これからの時代で手に職をつけるとは?性別・年代別おすすめ資格や転職すべき職業

かつてのように、会社が定年まで面倒を見てくれる時代ではなくなりました。というか、「まさかあの企業が!」という会社が倒産したり、外国企業に「身売り」を余儀なくされたりしています。いつ自分の立場が危なくなるのかわからない中では「手に職」をつけたいと思う人が増えても、それは当然だと思います。
「手に職」というと職人さんの技術というイメージがありますが、これからの時代にしっかり「手に職」として評価され稼げる仕事は何なのでしょうか?これからの時代の「手に職」コンテンツについて本記事では迫ってみたいと思います。

男性も女性もAI時代の「手に職」~将来を見通した転職、資格を!

昔からある職人さん系の「手に職」だち、中学校ないし高校卒業後からその道に入り、親方の下でみっちり修行して・・というイメージがありますが、一旦就職してからその道に入りなおすのはなかなか大変です。

また、かつてと違い「AI」(エーアイ)によって取り替わってしまう技術を身に着けても、自分の職場は奪われてしまいます。

かつて、私の職場にもいたのですが、タイプ専門の職員という人がいました。ワープロが普及していない時代、公文書は専門のタイピストの人が専門の機械でタイピングを行っていました。

独占的な仕事で、まさに「手に職」そのものだったのですが、タイピスト職人たちが活躍していたのはせいぜい25年くらい前、各部署にワープロないしPCが設置されるまでです。

その後タイピングについてどうなったのか言うまでもありません。各自が自分のパソコンでWARDによって作成して印刷する時代になりました。安定した「手に職」系の仕事だと思われたタイピングは、簡単にワープロやパソコンにとってかわられてしまったんです。

タイピストをしていた職員の人は、そのままクビ・・にはならず、他の職員と同様の配置転換を受けるようになり、要は普通の職員と同じように様々な部署を異動して、タイプ以外の仕事を任されるようになりました。

その人たちはタイプしかできないので、多くの方は新しい仕事内容に対応しきれず、辞めてしまったようです。

技術の進歩によって簡単にその地位を奪われてしまう、「手に職」に苦労して転職してもこの結果なのですから、「これで食べていく」と思っても、あっという間にその地位を機械に奪われてしまうかもしれません。未経験から始めて苦労しても、その苦労が報われない結果になってしまっては意味がありません。

・将来的にもAIなどに取って代わられる心配がない
・未経験から始めても食べていけるだけの技術が身に付き、それなりの地位に就ける

この二点が大切です。

「手に職」といって、医師や弁護士を目指しても、それはリスクが大きすぎます。その資格を手にすることができれば、一生食べていくこともできますが、なれない可能性の方がはるかに大きいわけで、実際になれる可能性と食べていける「手に職」かどうかを良く判断する必要があります。
それを踏まえて、年代別に今後需要があり、食べていくことができる資格や職業を考えてみました。あと、女性に特におススメのもの、大学を卒業していなくても大丈夫なもの(高卒可)についてもまとめてみました。

20代におススメの「手に職」系仕事・資格

20代であれば、転職需要もたくさんありますし、比較的難しい資格を勉強する時間的余裕もあります。結婚して子どもが生まれたら、そこまでリスクをとる行動もとれないので、手に職をつけるならば20代がおススメです。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(FP)は、個人のお金や資産に対して(不動産、税金、保険、資産運用、相続、年金など)、その運用についてアドバイスをする資格です。

よくWEB上の「質問コーナー」などでFPの人が回答していて、個人で独立開業しないといけないイメージがありますが、必ずしもそうではありません。転職に際しても持っているととても有利になる資格なんです。

金融機関、つまり銀行や証券会社、保険会社などに転職するときに役に立ちます。ここで、生活とお金の関係を学び、相談者の生活をコンサルティングする術を憶えれば、独立しても十分にやっていけます

金融機関へ転職可能な年齢、ということもあり、20代で目指したい資格にFPをまず挙げさせていただきました。

行政書士

「弁護士」「司法書士」「弁理士」「公認会計士」といった「サムライ資格」は一生ものの資格ですが、働きながら取得するのは結構大変です。

その中では「行政書士」は比較的取りやすく、将来的な独立開業も可能な資格です。

官公庁へ出す書類の作成を行うこの資格があれば、自治体や中央省庁とのやり取りが多い民間企業でも重宝されます。合格率は約10%。上で挙げたほかのサムライ資格よりも高く、筆者の友人も大学生時代に合格しました。

マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)他IT系資格

Microsoft Office Specialist(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)は「MOS」と呼ばれている、マイクロソフト公認の資格です。今から25年前は、Windowsの覇権がここまで浸透するとは思われていませんでしたが、今のパソコン業界はWindowsとマイクロソフトのソフトなしでは成り立たなくなっています。

「つぶしが利く」資格として「ワード」「エクセル」「パワーポイント」「アクセス」「アウトルック」を学びます。「それぞれ使えるよ」という人もいるかもしれませんが、5つのソフトすべてスペシャリストレベルまで「使いこなせる」人はとても少ないと思います。特にアクセスは使ったことがない人も多いでしょう。
全部使えれば、企業への転職に際しても有利ですし、パワーポイントによるプレゼン資料作成、アクセスによる簡易なシステム開発は、フリーランスや独立開業するうえで大きな武器になります。アクセスだけでシステム開発して食べている人もいます。

20代におススメなのは、もしこの資格を武器に売り込むならば、IT業界は若い人の方が採用ニーズがあり、求人も多いからです。

まだ数学から離れて日が浅い20代ならば、思い出せる部分も多いはずです。

30代におススメの「手に職」系仕事・資格

30代になると「即戦力」として役立つことが求められます。転職はもちろんですが、独立開業した場合も、相応の社会人経験と専門技能がないと「えっ?」と思われてしまうため、評価されるハードルが高くなるのは意識してください。

エクステリアCADオペレーター

「CAD」と聞くと、建築のための設計図を書く仕事だとイメージする人が多いです。CADを使いこなすのは一級建築士で、そんなの無理だよ~、と思う方、建築(新築)のCADオペレーターではなく、エクステリアのCADオペレーターを狙ってみてはいかがでしょうか?

エクステリア、つまりインテリアの逆で、建物の外装工事の際の設計図などをコンピューターを使い設計する仕事が「エクステリアCADオペレーター」です。

人口減少社会で、新規着工件数も減っていくと思われますが、逆に既存の建物のリハウスや外装工事は増えてくるはずです。その際に、環境やバリアフリーに配慮した設計図を書ける人材は頼もしく、今後需要が増えてくることが予想されます。

これまでの仕事で身に着けた社会スキルも、顧客のニーズに合った外装の設計に役立つはずです。

電気工事士や配管技能士(電気系)

配管や電気工事系は主に男性向きの仕事ですが、30代から勉強しても十分に技術を身に着けることができ、食べていくことができます。

エアコンの取り付け業者は個人でやっている人が多いのに気づきませんか?体力がいる仕事ですが、小回りが利き、仕事の依頼も絶えません。

一回の工事(数時間)で数万円の報酬を得ることができるので割もよく、もちろん、AIにできる仕事ではありませんから、将来的にも安定しているといえるでしょう。

社会保険労務士

こちらも比較的難しい(合格率5%~7%)ですが、職場の労務問題を取り扱いますので、働いたことがない学生や社会人経験が浅い20代よりも、30代の人が取得していた方が説得力があります。

特に、人事や総務にいた人はその時の経験をダイレクトに生かせますし、労働者の相談を受けることも、企業の人事側の相談を受けることも、どちらの気持ちもわかりますので、顧客のターゲットはかなり広いでしょう。
(労働者と企業と)どちらの立場を助ける方向にするかは、資格を持っている人の考え方次第ですが、AIが様々な分野に進出している中で、企業社会における人の価値や働き方も大きく変わっていきます。その際に、社労士としてのニーズが大きく高まっていきます。

AI化が進むからこそ、これまで以上に産業構造の転換の中で、ニーズが高まり、食べていける仕事となり得るのが社会保険労務士なのです。

40代におススメの「手に職」系仕事・資格

40代になると、なかなか新しく勉強をすることが難しくなりますし、プロフェッショナルを顧客も求めがちになります。かといって、誰でもできる未経験者歓迎の仕事をしても、どんどん先細っていくでしょう。「手に職」の難易度が上がる年代でもあります。転職自体が難しくなっていく年齢でもあります。

ビルメンテナンス関連資格

ビルや建物の管理人の資格は重宝されます。ビルメンは比較的に体力的にも楽で、つぶしが利くのでおススメできます。

具体的には、「建築物環境衛生管理技術者」や「ビル管理技術者」「マンション管理士」のような国家資格は取得者の割に需要が高く、仕事がなくなる心配はありません。
自分で何かあったときに対処できる「電気工事士」や「危険物取扱者」、「ボイラー技士」などを持っていると最強です。

学生会館や大学から委託されている学生寮の「寮母」「寮父」に夫婦なる、という道もあります。大学が存続している限り寮や学生会館も続くわけで、一種の「利権」でもあります。これは結構おいしい資格なのかもしれません。

自動車運転免許関連

普通自動車の免許はみなさん持っていると思いますが、そうではなく物流のために専用の車を運転する免許です。「大型免許」ならトラックドライバーになれますし、「二種免許」ならタクシー運転手、「大型二種」はバス運転手への転職が可能になります。

amazonによる物流増大で、運転手不足になっているニュースを見たことがある人も多いでしょう。人手不足ということは、人を集めるために給料が上がり、待遇が改善するということです。転職需要も大きいです。

かなり専門技能にはなりますが、AI時代でも物流がなくなることはまずないでしょう。様々な「デリバリープロバイダー」など、大きな道路を走る車だけではなく、小道、路地に入ってく車の運転手のニーズも高まっていきます。

技能がある運転手ならば、60代、70代まで十分働けるはずです

福祉住環境コーディネーター

比較的年齢が高い人の受験者が多い検定試験に「福祉住環境コーディネーター」があります。

福祉と建築の両方の知識を持ったコーディネーターを認定する試験で、車いすの人のための家の手すりはどうするのか、足が不自由な人のためにお風呂をどう改装するのか、など、団塊の世代が後期高齢者になる10年後くらいから、大きな需要が発生することが予想されます。

実際に建築士(2級建築士でOK)や介護系の資格を持っている人ならば「オプション」として価値が高まる資格です。この検定単体でも、福祉業界へ転職する場合はかなりの知識があると判断されて優遇されるでしょう。ただし、人手不足の福祉・介護業界なので、待遇がこれによって大幅アップ、ということにはならないと思います。

女性におススメの「手に職」系仕事・資格

上記に加えて、得に「女性におススメ」という仕事を考えてみました。「女性にもできる仕事」ではなく「女性だからできる仕事」で「手に職」になります。

リラクゼーションセラピスト

「一般社団法人日本リラクゼーション業協会」によって認定されるリラクゼーションに関する唯一の試験、資格です。アロマテラピーやリフレクソロジーなど「癒し」の分野はほぼ女性でなければお客が来ない分野でもあります。

指圧など力を使う手技は別にして、オイルなどで優しく触れられる癒しは、男性ならば女性から受けたく、女性は男性は嫌で同性である女性から受けたいものです。つまり、男性セラピストの需要がほとんどないので、この分野は女性向けの仕事になります。

男性客とのトラブルが嫌なら「女性専用」にすればいいだけです。

ネイリスト

ネイリストも女性だからこそ需要がある女性向けの仕事です。一部のカリスマネイリストには男性がいますが、ほとんどが女性でお客も女性が圧倒的です。

長年の技術がものをいう仕事ですし、キャリアが大切。「手に職」にぴったりです。高級住宅地のマダム層を常連にして「太客」にできれば、安定して収入を得ることができます。より「技能職」としての性格が強いのですが、がんばってみる価値はありそうです。

上記リラクゼーションセラピストもそうですが、合わせて「カラーコーディネーター」など色彩系の資格を持っていると、より説得力が増します。

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テキスタイルデザイナー

耳慣れない仕事ですが、服飾やインテリア(乗物の内装を含む)の「テキスタイル」=布地・織物)をデザインする人のことです。単なるデザイナーではなく、

・ファッションデザイナー
・インテリアデザイナー
・布地の染師・織師

の三つの側面を持ちます。勉強する過程では、実際に染めたり織ったりすることもあり、知識だけのデザイナーよりもはるかに、デザインするものの素材を生かした意匠デザインが可能になります。

筆者の会社の同期も、2年で会社を辞めてテキスタイルデザインの専門学校に行き、今この仕事で活躍しています。

高卒OK!おススメの「手に職」系仕事・資格

高卒でも身に着けられる「手に職」系の仕事は、大卒資格が必要となる「サムライ資格」以外のものにならざるを得ません。

一方で体力勝負の「誰でもできる」系であれば、AIや新しいビジネススキーム(サービス提供の仕組み)の中で勝ち残っていくことはできないでしょう。

具体的にどの仕事がいいかは、その人次第です。上で挙げた各資格、仕事で大卒が必須なもの、あるいは高度な勉強が必要なもので苦手だ、というものを除いたものが、高卒の方も活躍できる仕事、資格ということになりますが、せっかくですから伝統工芸的な仕事はいかがでしょうか?

こちらで紹介している仕事、伝統工芸などであれば、高卒であることは不利にはなりませんし、早めに動けば、修行の期間を長くとれるだけ有利になります。こうした伝統工芸系の仕事を一生ものの「手に職」にするのも面白いのではないでしょうか?

高卒の「手に職」は

・大卒資格がいらないもの
・伝統工芸系

から選んでいただくとよいでしょう。

誰でもできる仕事は手に職にならない

今回紹介したものは、比較的誰でも思いつきそうな「飲食」「介護」「建設現場」などを意識的に排除しています。誰でも思いつくものは、誰でもできるため待遇も悪く、「いくらでも替えが利く=スキルが身につかない」傾向になります。もちろん、勝手に機械が握ってくれる回転寿司の例を挙げるまでもなく、容易にAIや機械に代わりうる仕事です。それでは「手に職」にはなりませんよね。

せっかく、一生ものもスキルを身につけたいのならば、替えが利かないニッチな分野で成功しましょう。そのためには漫然と「転職したいな~」と考えるだけでは不十分かもしれません。がんばってください。

年代別おすすめの資格や転職すべき職業とは? まとめ

・AIなど機械化によって容易に変わられる技術を身につけても「手に職」とはならない
・人が行うから、人が考えるからニーズがあるものを探す
・年代によって身につけやすい「手に職」は変わる
・特に年代が上がると、社会から要求される水準も上がる
・女性ならではの「手に職」もある。これは「女性でもなれる」ではなく「女性だから評価される」仕事である
・高卒の人は学歴で弾かれる資格もあるので注意する
・資格を取得しそれで食べていくためには研鑽の日々になる