特別なキャリアも資格もないのに、誰もが羨むような有名企業へ転職を果たしたり、大幅な年収アップを実現したり・・・転職ではこうした逆転劇がしばしば起こります。

そうした逆転劇を生む裏方として大きな役割を果たしているのが転職エージェントであり、転職サイトですが、両者はどれだけ利用しても費用はかかりません(※)。

両者が提供してくれるサービスは全て「無料」で利用できます。

しかしながら「タダよりこわいものはない」とも言います。

そこでこの記事ではなぜ無料で利用できるのか、転職エージェントや転職サイトの定義や違いなどを含めて徹底的に解説致します。

(※転職サイトに限り一部例外的に有料のケースはあります。)

転職エージェントと転職サイトの違いって何?

転職エージェントも転職サイトも「無料」で利用できる理由を理解して頂くために、まずは転職エージェントと転職サイトの定義や違いについて予め理解しておいて頂く必要があります。

そこで転職エージェント、転職サイトの定義からそれぞれご紹介します。

「転職エージェント」とは「有料職業紹介事業者」のこと

「転職エージェント」とは法律上で「有料職業紹介事業者」と呼ばれている事業者のことです。

有料職業紹介事業とはどのような事業かと言いますと、職業安定法の第4条で次のように定義されています。

「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること」

法律上の定義をわかりやすい言葉に置き換えて説明すれば、転職エージェントの仕事とは転職したい人と採用したい企業の両者に登録してもらい、求職者と求人企業の間に入って採用が決まるように両者へ働きかけたり、サポートしたりすること、となります。

「転職支援」や「転職サポート」は転職エージェントのみが行えること!

有料職業紹介事業が法律で定義されている理由でもありますが、有料職業紹介事業は民間企業が許可なく勝手に行うことは法理上許されていません。

国の許可を取得する必要があります。

従って「雇用関係の成立をあっせんすること」、即ち転職支援サービスは誰でも行うことできるのではなく、有料職業紹介事業者として許可を取得した転職エージェントだけに許されている行為なのです。

「転職サイト」とは「求人情報・求職者情報提供サイト」のこと

転職サイトには法律上の規定はありませんが、厚生労働省において次のように紹介されています(※)。

(※ 厚生労働省「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準について」

転職サイトとは

「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供事業」

のことであり、情報提供事業者、即ち転職サイト運営者は

「自ら積極的に求職者又は求人者に連絡を行い、応募又は採用の勧奨、採用面接日時の調整、情報の追加的提供等を行なわないこと」が条件とされています。

つまり転職サイトは「求人情報や求職者の情報提供のみ行うサイト」のことであり、転職エージェントが行っている転職支援サービスは行っていないし、また法律上行うこともできない点が転職エージェントと転職サイトの大きな違いとなります。

利用者側からみた場合の転職サイトとは?

転職サイトについて運営者が何を行えるかという観点から説明しましたが、利用者側からみた場合には転職サイトは次のように説明できます。
・転職サイトとは求人情報は検索できるが、サイト運営者から個別に求人企業の紹介を受けることはできないサイト
・転職サイトを利用して求人企業へ応募した場合には、サイト運営者を介さずに求人企業と直接やり取りを行うことになるサイト

転職エージェントと転職サイトの違い・まとめ

では転職エージェント転職サイトの違いを整理してみましょう。両者の違いは次のように整理できます。

事業を行う場合の許可の必要性:
・転職エージェント・・・許可が必要
・転職サイト・・・・・・許可不要

雇用が成立するようあっせんする行為=転職支援サービス
・転職エージェント・・・できる
・転職サイト・・・・・・できない。求職者と求人企業が直接やり取りを行って決める。

求人情報の提供
・転職エージェント・・・できる
・転職サイト・・・・・・できる

 

「転職エージェント」と「転職サイト」が区別しにくい理由とは?

転職エージェント転職サイトはご紹介したような明確な違いがあるにもかかわらず、ネット上において両語が明確に使い分けられているとは言えない状況があります。

そのため、これから転職活動を行うという方々が混乱してしまったり、誤解してしまったりするケースが残念ながら生じていますが、なぜこうした状況が生まれているか、実は理由があるのです。

最大の理由:転職エージェントが転職サイト機能も兼ねている場合が多いため

お伝えしたとおり、転職エージェントは法律上許可が必要ですが、転職サイトを行う場合には許可が不要です。

そのため、転職エージェントが自社サイトで「転職サイト」を運営しても何ら問題はありませんし、実際のところ、数多くの転職エージェントが転職サイトの運営も行っています。

このような場合一々「転職エージェント兼転職サイト」といった長ったらしいサイトの説明を行えばかえってわかりにくくなってしまいます。

そこでどちらか一つに絞ってサイト紹介する場合、「転職エージェント」より「転職サイト」の方が平易な言葉であることから、転職エージェントが自社サイトを自ら「転職サイト◯☓」と紹介しているケースがかなり見られます。

こうした状況が、転職エージェントと転職サイトを混同してしまう大きな原因になっています。

転職ポータルサイトでも両語が区別されずに使用されている

また、ご紹介したような状況が生まれているのでやむを得ない面もありますが、個人の方が運営されている転職ポータルサイトやブログの記事でも、転職エージェントと転職サイトが明確に区別されないまま説明されているケースがかなり見られます。

転職ポータルサイトや個人のブログ記事を読む場合には、そうした誤用が多いことも留意した上で慎重に目を通すようにしてください。

転職エージェントも転職サイトも利用は「無料」!その理由とは

転職エージェントも転職サイトも、求職者の方が利用する場合には「無料」で利用できます。

ではなぜ無料で利用できるのか、その理由について収益メカニズムなども交えてそれぞれ説明致します。

転職エージェントが無料の理由:法律上で手数料を受け取ることを禁じられているから

転職エージェントを求職者の方が利用した場合に一切お金がとられないのは、法律上で求職者の方から手数料を徴収することを禁じられているからです。

転職エージェントが手数料を受け取ることを禁じた法律は、職業安定法第三十二条です。

”(職業安定法第第三十二条の三 ②)
有料職業紹介事業者は、(一部省略)求職者からは手数料を徴収してはならない。”

職業安定法とは、求職者の方を守るための法律です。

もし転職エージェントが求職者から手数料を受け取ることを認めてしまえば、例えば生活に困窮している求職者の方が仕事欲しさから借金をしてしまい、更に生活が困窮するようなことが起きるおそれがあります。

また、お金持ちだけが有利な仕事を紹介してもらえる可能性を生むことで不平等を招き、社会基盤を損ねることにもなり兼ねません。

そうした事態が起きることを防ぐために、事業者を厳しくチェック、監視する目的で国は有料職業紹介事業者、即ち転職エージェントを許可制の事業にした訳です。

転職エージェントは「無料で利用できる」ではなく「無料で利用できなければならない」

法律的には「無料で利用できる」のではなく「無料で利用できなければならない」ということになります。

従って、いくら転職エージェントから求人企業の紹介をしてもらおうとも、応募書類の書き方を指導してもらおうとも、面接日程の調整してもらおうとも、お金が発生することを心配する必要は一切ありません。

法律で守られていますので、求職者の方々は安心して「無料」でサービスを受けて良いのです。

転職エージェントはどうやって儲けているの?

無料は有り難いことですが、では転職エージェントはどうやって利益を得ているのでしょうか。

転職エージェントは求職者の方から料金を受け取ることは禁じられていますが、求人企業から料金を受け取ることは禁じられていません。

転職エージェントは求人企業から受け取る「紹介料」が主な利益となっています。

殆どの場合は「成功報酬」

紹介料と言っても、誰かを適当に紹介するだけで求人企業から紹介料をもらえる訳ではありません。

紹介した求職者と求人企業間で雇用契約が成立し、尚且つその求職者が一定期間以上求人企業で誠実に働きはじめて紹介料がもらえる「成功報酬」という形態がほとんどです。

そうでなければ、例えばさくらで求職者を紹介し、雇用契約だけさせたらすぐに辞めさせて報酬だけを稼ぐと言った悪質な行為も可能になります。

一部の例外的なケースを除けば、転職エージェントは求職者の方を求人企業へ紹介するだけでは何ら利益を手にすることはできないのです。

成功報酬なので求職者の転職成功を懸命に支援する

成功報酬額は転職エージェントと求人企業の個別契約ですのでそれぞれ異なりますが、一般的な基準となるのは求職者を採用した場合の「月額給与」であり、相場としては月額給与の2ヶ月分~6ヶ月分程度となっています。

そのため、転職エージェントとしては求職者の方をできるだけ良い給与条件で求人企業へ採用してもらうことが、自社の利益にもつながります。

だからこそ、転職エージェントは一人でも多くの求職者の方々が少しでも良い条件で採用してもらえるよう、「無料」で懸命に支援する訳です。

転職サイトが無料で利用できる理由:広告料で儲けるため

転職サイトはなぜ無料で利用できるのでしょうか。その理由は広告料収入の単価にあります。

転職サイトは、求人広告をサイトに掲載することで得られる広告料収入が主な収益源になっています。

広告料収入は一般的に、広告を見る人が多ければ多いほど単価はアップするものです。

そのため、転職サイトは一人でも多くの方にアクセスしてもらい、求人広告を見てもらうことが利益につながります。

転職サイトの場合、報酬については転職エージェントのような規制は受けませんので、求人広告を見る求職者の方から料金を取ることも可能です。

しかし広告情報は無料が当たり前になっているネットの世界で料金を取れば、それだけ求人広告を見てくれる人が減るおそれがあり、それは結果的に転職サイトの利益にも反することになるため、大半の転職サイトが無料で閲覧利用できるようにしているのです。

会員制有料転職サイトもある

ただし、例外的に有料の転職サイトも存在します。

例えばTVCMでお馴染みの「ビズリーチ(※)」なども「転職サイト」でありながら、一部の会員に限り有料で求人情報を提供するサービスがあります。

※(ビズリーチ、なぜ有料?:ソース元/ビズリーチ社)

現在のところ有料転職サイトはビズリーチなどわずかなサイトに限られており、無料サイトが圧倒的に多い中でこうした有料転職サイトが主流になることは考えにくい状況です。

しかしながら、転職サイトは求職者からお金をもらうことは可能ですので、こうした有料サイトが今後も登場する可能性はあります。

まとめ

転職エージェントと転職サイトはそれぞれ利点がありますので、その利点を上手に活かすことが転職成功につながります。

そのためには無料で利用できるという事実だけではなく、両者の定義や違い、無料でサービス提供できる理由についても正確に理解しておくことが上手な活用にもつながってきます。

本記事を転職エージェントや転職サイトの正しい理解にぜひお役立てください。