就活が始まると、多数の企業に応募しつつ書類選考や面接を繰り返すため、非常に忙しい毎日を送る学生が少なくありません。
これは景気の動向にかかわらず、ここ30年の学生に共通した傾向といえるでしょう。
このような背景の中、世代を超えて都市伝説のように語られるのが「学歴フィルター」の存在。
果たして企業は学歴フィルターをかけているのか、アンケート調査をもとにしながら実態に迫ってみます。

そもそも学歴フィルターってなに?

就活生であれ耳にしたことがある単語だと思いますが、まず「学歴フィルター」について解説します。
学歴フィルターとは、企業が採用活動を行う場合、独自の条件で応募者を「仕分け」することを指します。
仕分けというと少し乱暴ですが、企業側も新入社員の採用になるべくコストをかけないよう効率化する必要があるため、応募の段階である程度の大きな「区切り」が必要になるのです。
例えば、偏差値や知名度、過去の就職実績などをもとにして大学をランク分けします。
AランクからFランクまでに分類したとき、「うちではCランク以上だけを採用候補とする」という方針のもとに、企業セミナーや説明会の案内を送付する対象を絞るのです。
これが学歴フィルター。
学歴フィルターをどの段階で実施するかは企業によってまちまちですが、説明会参加から書類選考の段階で行われるケースが多いようです。
もちろん、大学のランクにかかわらず優秀な学生がいる可能性は否めませんし、偏差値の高い大学の学生が必ず優秀な社員になるとは限りません。
しかし、統計的なデータや傾向、実績などをもとに判断すると、どうしてもランクの高い大学が有利になるというケースがあります。
学生の人柄や能力を全否定しているわけではなく、企業側もなるべく効率よく求める人材にアプローチしたいのです。

学歴フィルターを感じたのはどんなとき?

学歴フィルターは、大学の入試難易度やブランドと関連性があります。
例えば、旧帝大(東大や京大など旧制高等教育機関時代の主要大学で国立大学のトップ層)、関関同立、早慶上智、MARCH(都内の有名私立5大学)、産近甲龍、日東駒専などが有名です。
この他、特定の大学から入社実績が豊富であれば、その大学に対する「枠」を設けることもあるようです。
このような学歴フィルターによるフィルタリングを実施されてしまうと、競争の場にすら立つことができません。
では学歴フィルターを感じるときは、どのタイミングなのでしょうか?

説明会参加予約のタイミング

就活生からの声で最も多いが、「説明会予約」です。
近年は就活用サイトや企業の求人サイトを通じて、ネットから説明会への参加予約をするケースが増えています。
ある学生Aがアクセスした画面には「空席」が目立つものの、別な大学の学生Bがアクセスした画面では「満席」の表示。
これが学歴フィルターが効いているといわれる瞬間です。
企業側は、一定以上のランクの学生を優遇するために専用の枠を設け、そこが定員に達しなかった場合にのみ空席を開放していると考えられるでしょう。

募集案内資料送付のタイミング

学歴フィルターは何もネット上だけで行われるわけではありません。
大手企業の一部には、学生の自宅に直接「うちの会社に応募しませんか」という案内を送付することがあります。
ここにも学歴フィルターが存在しており、難関国立大学の学生宅には資料が届いたが、それ以外の学生宅には届いていないケースがあるのです。

選考が進むタイミング

ランクが高い学生の選考具合と、それ以外の学生で選考のスケジュールが異なることもあります。
企業側はなるべく早く優秀な人材を確保したいため、難関大学や有名大学出身者の選考を早め、ほかの企業に取られないよう内々定を出してしまうのです。
ここまでくるとエントリーシートの中身はそれほど重要ではなく、表面的な「スペック」で差をつけていることがわかりますよね。
ただし、選考過程の進みが早いか否かは学歴フィルターの「内側」にいる学生が実感することが多く、学歴フィルターの外からは判明しにくいというのが実態のようです。

内定直後

内定の数は学生によってかなり差があり、一部の学生が多数の内定を勝ち取る一方、3桁以上の企業に応募しても内定を得られない学生も存在します。
また、内定を勝ち取った企業の「質」にも差があり、これは学歴フィルターの存在を証明するデータのひとつといえそうです。
しかしいわゆる「Fラン」と呼ばれるような偏差値の低い大学の学生であっても、独自のスキルや特技をもとに大手企業からの内定を勝ち取るケースもあります。

就活後に初めて実感する差

就活を終えた学生のアンケートによると、就活中よりも就活後に学歴フィルターを実感するケースも多いようです。
例えば「応募した会社の数」ですが、難関国立大や有名私立大の理系学生などは、所属する研究室単位で「一本釣り」が行われるケースがあります。
簡単に言うと、企業と大学、もしくは研究室などに密接なコネクションがあり、教授やリクルーターとのやりとりで内定まで最短コースを突っ走るわけです。
仮にそのまますんなりと内定までたどり着いた場合、応募者数は「1社」。
一方、同じ業界を希望している別な大学の学生は、20社、30社と応募した末に内定を勝ち取ります。
新入社員として同じ会社に入社したものの、就活にかけたコストの差に驚くケースも珍しくないようです。
特に特定の理系分野に精通した学生を求める研究職などでは、一般の応募からはなかなかたどり着けない求人があることは事実でしょう。

学歴フィルターがすべてではないという声も!

ここまでの内容から、就活自体がナンセンスなのではないかと感じる方もいるでしょう。
しかし、就活は学歴だけが全てではありません。
学歴フィルターはあくまでも、企業側の採用コストを抑えるための効率化対策として実施されているもの。
企業の本音は「効率化」ではなく、「自社とマッチした優秀な人材と巡り会いたい」ということに尽きるでしょう。
実際に内定者懇親会などで、同期のほとんどが難関大学や有名大学であるにもかかわらず、しっかりと内定を勝ち取っている中堅大学の学生もいます。
筆者の先輩でも、母校からの採用実績が一切ない大手保険会社に単身乗り込み、見事内定を得た学生がいました。
要は「個人の能力や適性」が認められれば、学歴フィルターの外からでも内定を狙うことは十分にあり得るのです。
このあたりは、個人の「営業努力」といえるかもしれません。
就活は企業側の情報発信がスタートになりがちですが、個人としても志望する企業にアプローチができないか考えてみましょう。
人事担当者やリクルーターと会話ができる機会があれば積極的に参加したり、個人的なツテやコネを探ったり、一般的な就活と別に活動できる機会は意外と多いもの。
また、アルバイトやパートとして働きつづけ、そのまま正社員へと誘われるというケースもありますから、学歴フィルターに臆することはないのです。
所属する大学の難易度やランク、知名度などで差が生まれてしまうことは仕方のないこと。
その大学を選択した自分にも責任があります。
しかし、その後の行動次第である程度は挽回可能なものであることを、認識しておきましょう。

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