「大学が就職予備校化している」という話題を耳にしたことはありませんか?
就職氷河期後、大学や学歴そのものに対する見方が変わり、学ぶことに疑問を感じる人が増えています。
いくら有名大学・難関大学を卒業しても、それが就職に結びつくとは限らないからです。
大学で学問を修めるよりも、より実務的な専門学校で就職力を高めたほうが有利だという声もあります。
そこで今回は、就職氷河期からリーマンショック時に就職、転職を経験した筆者が、専門学校卒と大学卒を徹底比較。
就職やその後の転職までを視野にいれ、それぞれのメリットとデメリットをまとめていきます。

専門学校卒が大学卒より有利といわれる背景

大学は、建前上、日本の教育制度における頂点と言われています。
小学校、中学校、高校と学んできたことの集大成が受験で試され、そこで合格してはじめて大学に入学できるわけです。
筆者の親世代(いわゆる団塊の世代で60代後半)では、大卒自体がある種のブランドであり、出世や昇格の条件でもありました。
また、そもそも大学を目指すだけの教育環境や経済力を兼ね備えた家庭が少なかったこともあり、大卒は希少価値の高い人材だったのです。
大学の数も今のように多いわけではありませんでしたからね。
大卒になるためのルート自体が狭かったわけです。

もちろん、学歴がなくても優秀な人材はいるのですが、学歴は企業にとってブランドや看板ともなるため、やはり学歴を持つ人材を欲していたのです。
しかし時は流れ、国民全体が比較的豊かになりました。
さらにさまざまな大学が誕生し、それほど成績が良くなくとも大学生になることが可能になりました。
定員割れを起こす学部も出始めたことから、ある程度妥協すればどこかの大学に入れる時代になったのです。
そこへ就職氷河期が覆いかぶさり、大卒者が就職に有利という神話は崩れ去りました。
企業は学歴よりも、「若く、素直で、できれば即戦力になりうる人材」を求めるようになったのです。

筆者が大学生時代も、同級生の幾人かは大学卒業後に専門学校へ再入学したり、ダブルスクールを決行したりと、就職への近道として専門学校を活用していました。
正直「何のための大学なのだろう」と切なくなったことは確かです。

大学と専門学校は何が違うのか?

大学卒と専門学校卒では、そもそも求められるものが違うと考えてよいでしょう。
大学を「基礎的かつ汎用的な能力を証明する機関」とするならば、専門学校は「実務能力を証明する機関」といえると思います。
例えば、大学では「法学」「経済学」「文学」といったように学問として物事を学んでいきます。
また、学んだ知識をもとに問題提起を行い、自分の中から湧き出る疑問に対する答えを突き詰めていきます。

一方、専門学校では実務教育に重点が置かれていて、業務や資格取得に有利になるような教育を受けます。
つまり、ゴールがしっかりと決まっていて、確定していることを専門的に掘り下げていくといったイメージになるでしょう。

企業に余裕がある時代は、とりあえず頭の良い学生を採用し、実務教育は企業が行うという方法が一般的でした。
しかし、不況によって疲弊した企業が増え、人材教育にお金と時間をかけられなくなり、より安く実用的な労働力として専門学校卒を重宝しはじめたのです。

筆者が新卒で就職活動を行っていた2000年代初頭は、専門学校卒だけを採用する企業もあったほどですからね。
4年制大学の卒業者よりも若く、自社の業務に近い知識を持っている人材を安く雇えるわけですから、ある意味当然なのかもしれません。

専門学校と大学卒を比較!異業種転職では大卒が有利か?

ここまでの内容から、専門学校のほうが有利なのでは?と感じる人も多いことでしょう。
しかし、あながちそうとも言い切れません。
ここで、筆者の経験や世間一般の意見を踏まえながら、専門学校卒と大学卒のメリット、デメリットを整理したいと思います。

大学卒

メリット

・卒業した大学のランクが自分の能力を客観的に証明する材料となる
・大学の知名度やブランドを、自分の能力の一部にできる
・有名企業や大手企業への就職できる確率があがる
・優秀な同級生はかけがえのない人脈となる
・いわゆる「学歴フィルター」の中に入ってしまえばかなり有利である
・それなりの大学を出れば「かしこい人」「教養のある人」という評価が得られやすい
・異業種、異分野への転職時に「学歴」が評価のポイントとなることがある

デメリット

・中小企業などでは意外に「学歴逆差別」が多い(高学歴は意図的に採用しない)
・文系学部の一部は社会的にあまり需要がない内容を学ぶため、就活のネタにしにくい
・難関大学に合格したというプライドが、就職活動の妨げとなる可能性
・大学生時代までの自分と社会人の自分のギャップに悩みがちである
・企業の採用枠次第では、大学のランクに見合わない企業へ就職しなくてはならず、プライドが傷つく
・大学入学までの時間的金銭的コストが高く、コスパが悪い

専門学校卒

メリット

・就職を目指す業界や職種が明確であるため、特定業界への就職率が高い
・資格を取得しやすい
・大学よりも期間が短く「早く社会に出たい」という学生に向いている
・会社の規模や知名度を問わなければ、非常に就職しやすい

デメリット

・異業種、異分野への転職といった「方向転換」がしにくい
・大手企業や有名企業の「総合職」を目指す場合はやや不利
・一部の企業ではそもそも「学歴」とみなされないこともある
・「大卒者」を対象とした募集には応募できない(例外あり)

ポイントとして、専門学校は就職では有利ですが、その後の転職ではやや不利になる場合もあります。
なぜなら、対象とする分野がピンポイントで決まっており、専門職への就職が大半だからです。
大卒のように別分野の総合職へ転職できる可能性は、相当低いと考えてよいでしょう。

まとめ

就職、転職は人生の一大転機です。
専門学校であっても大学であっても、そこを目指すために努力すること自体は間違っていません。
要は使い分けの問題なのです。
自分の可能性を信じ、まずは学問として知識を吸収して成長したいのであれば大学を選択すべきでしょう。
しかし、すでにピンポイントでなりたい職業が決まっている場合は、専門学校のほうが近道となることが多いです。
また、対象となるのが大学卒では主に総合職、専門卒では専門職といった違いもあります。
自分の目標や適性に応じて、選択していく必要があるといえそうですね。

 

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