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不安と希望が入り混じった転職活動を乗り切り、無事内定を獲得できた後は一息つきたいところですが、今度は引継ぎ業務や引越しの準備等、一息つく間もなく転職の準備で忙殺されることになってしまいます。

そのためついつい放置されがちなのですが、転職した際には必ずやっておかないと後で大変なことになってしまう手続きがあります。

それが今回ご紹介する社会保険に関する手続きです。

なぜ放置されがちかと言えば「よくわからない」という方が多いことと、「社会保険なんて全部会社側でやってくれるのでは?」と誤解されている方が多いからです。

そこで今回は、転職した場合に「本人」がやるべき社会保険の各種手続きについて注意点を中心にわかりやすくお伝えしていきます。

まずは社会保険の種類を理解しておこう

 

転職時に社会保険を漏れなく手続きするためにも、社会保険にはどのような種類があるかを理解しておくことが必要です。

そこで社会保険の種類から確認しておくことにしましょう。

公的年金保険

社会保険の一つが公的年金ですが、年金にはいくつか種類があり、その中で多くの会社員の皆さんが加入している公的年金は「厚生年金」と呼ばれるものです。

その一方、従業員数5人未満の個人事業主の下で働いていたり、社会保険未加入の会社(本来は法律違反であり、現在では急速に減少しつつあります)で働いていた場合に加入している公的年金は「国民年金」となります。

健康保険

医療機関で保険診療を受ける場合に必要になる健康保険も社会保険の一つであり、健康保険にもいくつかの種類があります。

会社員の方が加入している保険は勤務先企業の業界団体などが組織している健康保険組合の保険や、協会けんぽの保険ということになります。

一方、主に自営業者の方が加入している健康保険は市区町村が運営する国民健康保険、略称「国保」になります。

労働保険(労災保険と雇用保険)

会社の規模等に関係なく、会社員の方なら必ず加入している社会保険が労働保険です。

労働保険には「労働者災害保険(略称:労災保険)」と「雇用保険」の二つがあり、労災保険は労働者が業務が原因で病気や怪我を負った場合、その治療費や生活費を支援する保険金を受け取れる制度であり、雇用保険は失業した際に次の職場に就職できるまでの一定期間の生活費を支援する目的で給付される保険制度のことです。

これら二つは区分して徴収されるのではなく「労働保険」として一括して事業所から徴収されていますので、それぞれの名称と共にこの点も併せて理解しておいた方が良いと言えます。

 

種別で転職時に必要な手続きの度合いは異なりますので、社会保険の種別をまずはしっかりと頭に入れておくことが、転職時の手続きを理解する上でも重要です。

 

転職が決まったらやるべきこととは?

では社会保険において「転職者本人」が何をなすべきなのか、現在会社勤めを行っている方がその会社を退職してから15日以上の日数を経て新しい会社へと転職するケースを前提に、時系列で注意点やポイントを紹介してゆくことにしましょう。

 

まずは「転職が決まったら」、即ち退職する前の段階でやるべきことからです。

1.健康保険被保険者証の返還

皆さんが会社を退職する「前」に行わなければならない手続きが、健康保険被保険者証の返還です。

法律の定めにより、社会保険の資格喪失届を保険証と共に提出しなければならない日が資格を喪失してから5日以内となっており、この手続きが遅れると転職後の社会保険手続きにも悪影響が生じます。

そのため、どんなに遅くとも退職日当日(もしくは会社側が例えば退職日の前日までに返還するよう定めている場合なら前日等)までに、即ち退職する前に会社側へ保険証を返還しておくことが大切です。

⇒ここに気をつけて!
本人の保険証だけでなく被扶養者分(例えば専業主婦をしている配偶者や子供の分等)についても返還が必要ですので、くれぐれも忘れないようにしてください。

 

次に、退職してから次の会社に就職するまで15日以上間が空くことを想定して、その期間に転職者本人が社会保険関連で何をすべきかをご紹介します。

2.退職した会社からの必要書類の受取り

転職後にスムーズな社会保険の移行手続きを行うためには、退職した会社から本人が受け取らなければならない書類があります。

・それら書類がすべて漏れなく退職先から受け取ることができたかどうか確認すること

・もし受領漏れがあったら退職先に請求すること

・受け取った書類は転職先に提出するまで保管・管理すること

これらはすべて本人が行うべき大切な取組みです。

では退職後どのような書類が送られてくるかと言うことですが、退職した会社から送られてくる社会保険関連の書類には次のようなものがあります。

・年金手帳

・健康保険資格喪失証明書

・雇用保険被保険者証

・離職票

これらの書類以外には「源泉徴収票」や「(会社によって)退職証明書」などがありますが、社会保険に関わる重要書類としてはこれら4つの書類となります。

会社によっては退職者に対する手続きであることから、こうした必要書類の送付がルーズな場合もあります。
そのため、本人が責任を持ってこれらの書類が漏れなく受け取れたかを自己点検することや、なかなか届かないといった場合には、本人が退職した会社に連絡をして催促、回収を図る手続きが不可欠です。

3.市町村役場に出向き「国民健康保険」加入手続きを行う

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次の職場に就職するまでに15日以上間が空いた場合、無保険の状態になってしまいます。

従って15日以上間が空くことがはっきりしている場合には「退職日から14日以内」に市町村役場に出向き、新しい職場で新たに健康保険組合の保険に加入するまでのつなぎとして国民健康保険加入手続きを行う必要があります。

この場合のポイントは、国民健康保険は扶養者がいる場合でも(ただし収入がない子供は除く)、個別に加入する手続きが必要になる点です。

例えばご主人さえ加入すれば専業主婦の奥さんも自動的にカバーされるという制度ではないので、子供を除けば夫婦それぞれの手続きを行うことも忘れないようにしておきましょう。

※月をまたぐ場合には更に国民年金の加入手続きも必要!

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「年金」については退職してから次の会社の入社日まで15日以上あったとしても、それが同じ月であるなら特に必要な手続きはありません。

しかし、もし月をまたぐ場合には年金保険の「未納期間」が生じることになります。なぜなら厚生年金は月度単位(月末起点)で算定されるためです。

そのため、翌月入社となる場合には国民健康保険に加えて、市町村役場において国民年金保険の加入手続きを行っておく必要があります。
また、この国民年金についても扶養者分をカバーするといった考え方はありません。
もし配偶者が専業主婦という場合には健康保険同様個別に年金に加入手続きを行う必要がありますので、その際には家族分の年金手帳を役場へ持参することがポイントとなります。

4.新しい会社へ入社したら

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では新しい会社へ無事入社を果たしたら、手続きは全て終わりかと言うとそうではありません。

まず必ずやらなければならないことは、退職先から受け取った各種必要書類を会社に提出することです。

これらの書類がなければ会社側だけでは社会保険の手続きを行うことができません。また、万一何か不足があった場合には本人が責任を持って取得し、会社へ提示することです。

もう一点は配偶者や子供など被扶養者がいる場合には、「健康保険被扶養者(異動)届」を作成し会社側に提出する必要があることです。

同届は会社の人事部などが提出するよう指示くれる場合もありますが、あくまで本人の自己申告が原則です。会社側で指示がない場合には自主的に同届を提出する旨を申告し、提出することが忘れてはならない注意点です。

a_085-1このように社会保険には退職から転職に至る期間次第で様々な手続きが必要であり、それらを忘れてしまうと、例えば万一病気になった場合に保険診療を受けられなかったり、年金未納期間が生じたりといった大きな不利益が生じます。転職される場合には、本記事を参考に各種手続きで漏れが生じないよう十分に留意するよう心掛けてください。

 

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