転職を検討されている方にとって悩ましい問題となってくるのが、住宅ローンを組むタイミングです。

ローンを組むタイミングを間違えてしまうと、すんなり通っていたはずのローンが通らなかったり、通るには通ったけども融資額が減らされてしまい、希望していた家に手が届かなくなったりすることも・・・

それだけに、転職時期と住宅ローンを組む時期は慎重に検討する必要があります

では具体的にどのようなことを検討したら良いのか、皆様の疑問を解消できるよう住宅ローンの審査と転職の関係などについて詳しく解説致します。

住宅ローンではどのようなことが審査されるのか

転職することが住宅ローンの審査にどう影響するかご理解頂くためにも、そもそも住宅ローンではどのようなことが審査されるのかを確認しておきましょう。

委細項目は住宅ローンを提供している金融機関によっても異なりますが、概ね次のような項目はどの金融機関においても審査されています。

 

(住宅ローンの主な審査項目)
・1.勤務先と仕事内容

・2.勤続年数

・3.借入時年齢と完済時年齢

・4.過去3年程度の年収

・5..返済負担率

・6.住宅の.担保評価

・7.ローン申込者の健康状態

・8.クレジットカード履歴や債務状況、ローンの利用状況や融資枠など

 

では審査のポイントについて、項目ごとにご紹介致します。

1.勤務先と仕事内容

住宅ローンは短い場合でも10年程度、最長で35年程度にわたって返済してもらう必要があるローンなので金融機関としては「長期的な返済能力」を大変重視します。

そのため、勤務先としては個人事業主より中小企業の正社員、中小企業の正社員より大企業の正社員、大企業より公務員という順序で評価される傾向にあります。

ただし、大手企業勤務であっても仕事内容が外務員などで、歩合給割合が大きいために収入に波があるといった方は安定性という観点でマイナス評価となる場合があります。

2.勤続年数

ローン申込者の「長期的な返済能力」を評価する上で、勤続年数も勤務先や仕事内容同様大変重視されます。

勤続年数とは当然のことですが”現職の勤続年数”です。

そのため、転職した場合に最も大きく影響してくるのがこの項目となります。

住宅ローン審査に通るためには、一般的に勤続年数として3年が必要と言われていますので、転職したばかりの方がローンを組むのはかなり厳しくなります。

但し金融機関によっては、転職したばかりで勤続年数が短い場合でも同じ業種・職種へのキャリアアップ型転職に限り、前職の勤続年数も加算して評価しくてくれる場合もありますので、全く不可能という訳でもありません。

3.借入時年齢と完済時年齢

この点も転職時期とかかわってきますが、「いつまでに住宅ローンを組んでおくべきか」という点で重要なポイントになります。

住宅ローンは完済時の年齢に上限があります。

具体的な上限は金融機関により異なりますが、現状では「80歳未満」というケースが多く見られます。

仮に55歳時に35年返済で住宅ローンを組もうと考えても、80歳を超えますので35年ではローンを組めません。

従って借りる年齢と借りる期間、返済し終える年齢の3つを制限内に収める必要があるのです。

4.過去3年程度の年収

住宅ローンは前年の年収だけで審査されるのではなく、過去2~3年程度さかのぼった年収も審査対象になります。

5..返済負担率

年間でのローン返済額が年収(税込)に占める割合が返済負担率です。

返済負担率をどこまで認めるかは金融機関によって異なりますが、住宅金融支援機構を事例とした場合では

  • 年収400万円未満:30%
  • 年収400万円以上:35%

となっています。

仮に年収600万円の方なら600万☓35%=210万円となりますので、金利分も含めた年間ローン返済額が210万円以内に収まることがローンを組む条件になります。

例えばボーナス返済なしであれば月額17万5千円、ボーナス月2回で30万円支払う場合には月額の返済額は15万円が上限となってきます。

6.住宅の.担保評価

金融機関は万一住宅ローンの返済が滞った場合、住宅を差し押さえて競売にかけることで資金の回収を行いますが、その回収見込額の目安となるのが住宅の担保評価です。

いくら借りる方の条件が良くとも担保評価が低ければ、借りれる額は低くなってしまいますので特に中古物件を検討している方は、物件選びを慎重に行う必要があります。

7.健康状態

万一ローン返済者が死亡した場合、生命保険で残債を支払えるよう住宅ローンを組む場合には団信という生命保険加入が義務付けられます

健康状態とは生命保に険加入できる健康状態かどうかということです。

8.クレジットカード履歴や債務状況、ローンの利用状況や融資枠など

意外に盲点となるのが8番です。

クレジットカードの信用調査で問題がないことは必須条件ですが、それだけではダメです。

例えば最大300万円利用できるカードローンを作っていたら、仮に借入を行っていなくとも「300万円を借りている状態」として評価されてしまいます。

従って住宅ローンを組みたい方はカードローンを事前に解約しておくことや、もし他に借入を行っている場合には一括返済などしてローンを解消しておくなどの対策が必要になってきます。

住宅ローンは転職前にローンを通すべき!その理由は?

住宅ローンを組むタイミングは転職前か後かで言えばはっきりしています。

ズバリ「転職前」です。

住宅ローンの審査項目はどれ一つとっても軽視できるものはありません。

特に「勤続年数」は重要な審査項目であり、他の項目が良くとも勤続年数が悪いだけで審査に落ちることもあるのが住宅ローンです。

住宅ローンの「勤続年数」で必要とされる一般的な基準は「3年」と言われています。

転職したばかりは勿論、転職して1年未満という状況ではよほど良い条件でも揃わない限り、審査には通りにくくなってしまうからです。

例外的に組めたとしてもローンの条件が不利になってしまいやすい

「勤続年数」に関する説明で、例外的に同業種への転職で年収アップとなるキャリアアップ型の転職なら勤続年数が短くとも住宅ローンが組める場合があるとお伝えしました。

これは事実です。

しかし、どの金融機関にも通じる話ではありません。

条件面で無理して住宅ローンを組もうとすれば仮に通ったとしても利用できる金融機関が限られてくる、即ち住宅ローンが選べなくなるという問題を招くことになります。

あくまで一般論ですが、金融機関によって条件面で無理をしてくれる場合があるのは、条件を緩めることで高まるリスクを金利に上乗せしている場合が多いと言えます。

その結果、条件面で無理して住宅ローンを組もとうすれば、他の住宅ローン商品より割高な金利となる可能性が高まるのです。

そのような意味でも、転職直後に無理して住宅ローンを組むことはオススメできません。

住宅ローンを組むなら転職前に組むのが賢明です。

転職前の方が年収が高い場合、ワンランク上の家が買える?

転職によって年収が上がる方がいる一方、Iターンなどで働く場所ややりたい仕事を優先したことで年収が下がる方もいます。

このようなケースであれば、転職前に住宅ローンを組んでおいた方が良いことは容易に想像が付きますが、具体的にどの程度の違いが生じるか、事例でご紹介しましょう。

転職前年収450万円→転職後350万円という場合

仮に転職前が年収450万円の方が転職後に100万円年収が下がり、350万円になったとします。

住宅ローン審査項目の中で、年収額が最も大きく影響してくるのは「返済負担率」です。

返済負担率の説明でご紹介した住宅金融支援機構の例を再度用いた場合、それぞれの最大返済負担率は

  • 転職前(年収450万円):35%
  • 転職後(年収350万円):30%

となります。

この返済負担率で「返済期間35年」、返済方法は元利均等払いで利率は「1.8%」と仮定した場合、それぞれ借り入れ可能な最大額は次のようになります。

  • 転職前(年収450万円):4,087万円
  • 転職後(年収350万円):2,725万円

このように年収で100万円の差は、借り入れ可能額の差で1,400万円近くにも及ぶ場合があることがおわかり頂けたと思います。

借り入れ可能額が1千万円以上異なれば家やマンションはワンランクどころか、場合によってはツーランク程度上のものに手が届く可能性もありますよね。

転職によって年収が下がる可能性がある方は、尚更転職前に住宅ローンを組んでおくべきです。

もしも転職後に住宅ローンを通したいなら気をつけておくべきポイント

中には諸事情により転職後にしか住宅ローンが組めないという方もおられると思います。

もし転職後に住宅ローンを組むという場合には、次のような点に留意して頂くことが大切です。

転職後すぐに住宅ローンは無理。3年は我慢すること。

住宅ローンを転職前に組んだ方が良い理由として繰り返しお伝えしてきたとおり、住宅ローンの審査項目の一つ「勤続年数」で最低でも「3年」必要になってくるからです。

3年未満でも不可能ではありませんが、無理をすれば選べる住宅ローンが限られてしまい、金利上不利になってしまう可能性が高まります。

逆に言えば3年経過すれば勤続年数ではねられてしまう可能性はほぼ解消しますので、住宅ローンを組むなら転職後3年は待つとぜひ憶えておいてください。

支出がかさんでもカードローンなどで安易に借金をしないこと。

特に転職に伴って転居した方は、生活用品や家具が新たに必要になるなど転職してしばらくはあれこれ支出が伴いやすいものです。

しかし、仮に給与だけでは賄えず、一時的に借金をしなければならない状況が生じたとしてもカードローンを作ってお金を借りたり、クレジットカードのキャッシングを利用したりすることはできるだけ避けるべきです。

なぜなら、8番目の項目でご紹介した「クレジットカード履歴や債務状況、ローンの利用状況や融資枠など」に影響するおそれがあるからです。

住宅ローンを組むまでは金融機関からの借金は極力避けることです。

どうしても臨時で資金が必要になった場合には、親族から一時的にお金を借りたり、前職の退職金を利用したりするのも一つの方法です。

住宅ローンが通ったらすぐ転職していいの?

転職前に住宅ローンを組んだ方が良いことはおわかり頂けたと思いますが、住宅ローンが通ってしまえばすぐにでも転職して良いものでしょうか。

住宅ローンは通常仮審査と本審査の2回行われ、仮審査合格段階ではまだ正式に住宅ローンに通ったとは言えません。

ここでは「本審査」に通ったケースを前提として、転職して良い時期についてご紹介します。

本審査合格とは融資確約ではない

もし本審査合格後に転職したら、本審査で審査した内容と異なることになりますので「再審査」となってしまいます。

つまり本審査合格は取り消されることになるのです。

再審査の結果、転職したことで勤続年数がゼロになってしまえばおそらくほとんどの住宅ローンがダメになってしまうでしょう。

そもそも本審査合格の意味は「融資の確約」ではありません。

わかりやすく言えば「審査には合格したので、今後問題がなければ融資を実行しても良いですよ」という意味に過ぎず、「必ず融資します」と約束した訳ではないことを理解しておく必要があります。

ネット上「住宅ローンの本審査に通ってしまえば、(すぐに転職しても)黙っていれば平気」という驚くべき書き込みがネットの掲示板などで見かけれますが、極めて危険な考え方です。

金融機関の信頼を裏切るような行為は絶対に行うべきではありません。

転職するなら融資が実行された後

では最短でいつなら転職して良いかですが、それは融資が実行された後と言えます。

具体的に言えば、住宅ローンで申し込んだ融資額が自分の指定口座に振り込まれた後ということです。

お金が振り込まれた後であれば、審査内容と仮に異なる状況が生じたとしても、再度審査が行われる心配はありません。

従って、できるだけ早期に転職を果たしたいという場合には、融資実行日をしっかりと把握し、融資が実行された翌日以後に速やかに現職を退職し、転職先に入社するというスケジュールを組むようにしてください。