「警察官は安定した公務員」「リストラはあり得ない」「非常勤の警察官なんていない」「だから、警察官を辞めて転職するなんてとんでもない」

一般的なイメージだと、このようになるはずです。治安を維持し、事件を解決する警察官は、人が暮らしていくなかでは絶対に必要な存在です。そんな超安定した職を投げうって、転職をするというケースはどういうものなのでしょうか?

そして、転職を選んだ人はどのように活動すればいいのでしょうか?警察官ならではの強みとは?

今回は警察官からの転職について、いろいろ考えてみたいと思います。

<警察官が転職を成功させる方法を知るメリットはこれ>

・警察官の離職率を知り若いうちならば珍しくないことを知ります
・「超安定した警察官が転職?」という民間企業の疑念を払しょくする必要があります
・警察の部署によって身につくスキルが違い、目指せる仕事も変わってきます
・警察を辞めるメリットとデメリットを理解します
・転職のためには転職エージェントを活用した方がいい理由を知ります

「警察庁」と「警視庁」の違いは?キャリアとノンキャリアの違いは?

最初に、よくある勘違いとして「警察庁」と「警視庁」の違いと、警察官の採用(キャリア、ノンキャリア)の違いについて解説します。

警察組織は都道府県ごとにあり、「○○県(道府)警察」というものがあります。これはみなさんよく聞くはずです。47都道府県の各警察を統括するのが「警察庁」になります。

警察庁が管轄する47都道府県の警察のうち、東京都警察を「警視庁」と呼びます。警視庁は東京都の警察ということで、特別に「警視総監」というポストがあり、警察庁長官(警察庁のトップ)と各道府県警察のトップ(警視監)の間に一段高いポストになります。

警視庁と他の道府県警察のそれ以外のポストや機能はそれほど変わりません。「キャリア」と呼ばれる幹部候補生(キャリア官僚)は「警察庁」に採用され、各都道府県警察(警視庁含む)に出向し、重要ポストに就きます。警察庁と各都道府県警察を「参勤交代」しながら偉くなっていきます。

ただし、キャリアとして採用される人は毎年10名ほどで、それ以外は最初から警視総監や警視監にはなれないノンキャリア組になります。この記事の対象となる警察官はほぼほぼノンキャリア組と思ってください。

警察庁勤務は、キャリア官僚のほか、警察庁採用のノンキャリア警察官や技官、行政職の公務員もいます。警察庁採用のノンキャリアは「準キャリア」と呼ばれ、巡査部長からのスタートになります。地方の都道府県警察に出向しても、交番のヒラ巡査ではありません。その他、事務を担当する行政職や心理カウンセラー、法医学、機械等を担当する技官が別採用となります(彼らはいわゆる「警察官」の業務はしない)。

都道府県警察、警視庁採用の警察官は「大卒」「高卒」に分かれ試験も別です。当然、大卒警察官の方が出世しやすい人事制度になっています。

・「警察庁」採用の人は国家公務員
・「警視庁」、各道府県警察採用の人は地方公務員。ただし、警視正以上になると国家公務員に変わります。

警視庁、各道府県警察に採用された警察官は、基本的に採用された都道府県内での勤務になります。警察庁や他の都道府県への出向も一部ありますが、本籍は採用された都道府県になります。

以上のことを図にすると以下のようになります。

(図1挿入)

(図2挿入)

■なぜ警察官を辞めたいと思うのか?

なぜ、超安定している警察官を辞めたいと思うのでしょうか?やはりブラックな職場なのでしょうか?

□警察官の離職率は?

まず警察官の離職率を見ていきたいと思います。

各種政府統計(※)より算出した離職率は

約2600名(普通退職者)÷約260000名(警察官全体人数)=約1%となっています。

こちらを他の公務員の離職率と比較してみましょう。

一般行政職  0.8%
教員     0.7%
自衛官    1.0%  
消防士    0.6%

になります。

警察官    1.0%

確かに公務員全体と比較すると高めですが、それでも1%です。100人のうち1人しか辞めないということになります。

データ出典
平成28年4月1日地方公務員給与実態調査結果|総務省
平成 28 年度 地方公務員の退職状況等調査|総務省

ただし、25歳未満の警察官の離職率に限ると約3.7%となります。一般行政職の25歳未満離職率は約0.9%なので結構高めです。やはり、最初の数年で合わなくて警察官を辞める人は一定数いるということは事実です。

しかし、「3年で3割辞める」と言われる民間企業に比べれば圧倒的に離職率が低いです。民間企業全体の離職率は15%前後(※)であり、公務員とは比較にならないくらい高いです。

就職が離職を上回る 2017年は54万人の入職超過に|財経新聞

「3年で3割辞める」のも事実であり、新規学卒者の離職状況|厚生労働省によれば、

民間企業へ就職した大卒の3割、高卒の4割が3年以内に辞めています。警察官の離職率は公務員の中では高めですが、民間企業と比べると桁が1つ小さい(離職しない)ことがわかります。

□警察は本当にブラックなの?~警察官を辞めたい理由

公務員の中でも警察官の離職率が高いということは、その職場環境ブラックなのでしょうか?辞めたい理由を考えてみましょう。

1.超体育会系である

イメージ通りなのですが、圧倒的男性社会で(男性警察官が90%以上)、しかも上位下達で仕事を行わなければいけない関係上、どうしても仕事以外の部分でも「先輩の言うことが絶対」みたいな関係になりがちです。

体育会系そのものであり、それが合わない人は耐えることができません。

2.団体行動がキツイ

警察官の場合、警察学校卒業後、一定期間のうちは新人警察官の場合、独身寮に入ることが多くの都道府県警で義務づけられています。個室ならばまだマシなのですが数人部屋のところもあります。

そこで団体行動や規律を学ぶのですが、当然、パワハラやいじめの温床であり、ストレスが大きくなります。非番の時でも門限などがあり、自由に行動できないケースもありそれも耐えられない人がいます。

3.不規則勤務が常態化

事件があれば駆け付けなければならないのはもちろん、交番を空にするわけにはいきません。シフト制で夜勤や宿直などもあり、昼夜のバランスが崩れてしまいます。疲れも取りにくく、休日でも日中寝ていることが少なくありません。

4.管轄地域からの外出制限

警察官の場合、独身寮から出ても、原則として勤務地近くに住むことが義務付けられています。また、何か事件があったときに呼び出せるよう、旅行や帰省の際も届け出が必要になります。外出の自由や転居の自由が制限されているわけで、仕事に縛られている感が辞めたくなってしまうのでしょう。

5.身の危険が付きまとう

犯人に撃たれたり、襲い掛かられたりするリスクがあります。殉職する可能性は他の公安職(自衛官、消防士等)と比較しても高く、かといって犯人から逃げることは許されません。災害時もまず駆けつけるのが警察官です。そこで、災害に巻き込まれて命を落とすケースも少なくありません。

6.凄惨な現場に遭遇する

殺人事件などの凄惨な事件現場に駆け付けるため、それが精神的なトラウマになってしまいます。これも警察官という仕事の宿命ではありますが、耐えられない人もいるでしょう。

警察官という仕事の特質上、受けなければならないストレスというものはどうしてもありそうです。

□警察官がうつ病になる原因

屈強な警察官ですが、体は健康でも心を病んで退職を余儀なくされるケースがよくあります。理由は上で挙げた「辞めたい理由」に加えて、以下のような原因が考えられます。

1.まったく仕事内容が違う部署をローテーションする

警察官と言っても部署によってまったく仕事内容が異なります。

・交通課(駐車違反やスピード違反の取り締まり)
・公安委員会(運転免許所の更新手続き)
・交番勤務(24時間シフト制)
・刑事課(殺人事件などの捜査)
・機動隊(籠城している犯人に突撃)
など

求められる能力が異なるため、違う部署は「別の職業」であり、そこで対応できずうつになってしまいます。

2.キャリアとノンキャリアの絶望的な差

警察ほど厳格な身分制度を持っている職業は、あまりありません。キャリア官僚として警察官になった人は、すぐに刑事や警察署長になります。自分の倍くらいの年齢のノンキャリアの部下を率いるわけです。ノンキャリアの警察官は何をどうしても出世できる限界が決まっています。

この動画を見ると、キャリアとノンキャリアの差が歴然です。

身分の絶望的な差でうつになってしまう人もいるようです。

3.周囲からの批判が多い

「警察のくせに何やっているんだ」「これでも模範となるべき人間か!」、犯罪を取り締まる警察官に対しては批判を浴びせやすいということがあり、法を守るだけではなく、道徳的に高い人であることを周囲は求めます。

そんなことできないし無理、という人はうつ病になりがちです。消防士や自衛官と比較して、警察官は日常で接する機会が多いので、それだけ「わかった気になって」批判する人が多いんです。

■警察官の転職は難しい?

警察を辞めた人たちはは実際には、どんな仕事に再就職しているのでしょうか?精神的肉体的に強靭であることを生かしているケースが多いのですが、担当した部署によって特殊スキルが身につき、それを生かした転職をしているケースもあります。

□警察で働く人はどんなスキルを持っている?

1.警察行政職員(技術)

交番にいるような「警察官」ではなく、警察の運営が上手に行われるように仕事を行う、事務官や技官を指します。ただし約1か月間の警察学校での最低限の訓練は受けることになります(通常の警察官は6か月~10か月)。

技術職の行政職員は土木・建築・機械・電気・心理などのスキルを持っています。つまり、民間の製造業や建設業の技術系会社員や心理カウンセラーと同等の技術を持っていることになり、これを生かした転職ができます。

2.警察官

一般的な「警察官」です。共通するスキルとしては、運動能力が高い、拳銃を扱える、柔道や剣道ができるということですが、そのほか担当する部署によって身につくスキルがあります。
 
 ⅰ)地域警察
 :交番勤務やパトロールをします。いろいろな困った人とも接するため、クレーム処理や暴言へのストレスなどが身につきます。

 ⅱ)交通警察
 :スピード違反などの取り締まりを行います。アヤシイと思った自動車をマークしますから、多数の中からエラーを探すスキルが身につきます。

 ⅲ)刑事警察
 :刑事事件の解決を担当します。修羅場で危険な場面も多く、とっさの判断力や危機管理能力がないとやっていけません。

 ⅳ)生活安全課
 :未成年の非行防止や薬物犯罪を未然に防ぐための普及啓もう活動を行っています。人前で講演することも多く、スピーチ能力や資料作成能力が磨かれます。
 
 ⅴ)組織犯罪対策
 :麻薬や覚せい剤の密輸防止、シンジケートの摘発などを行います。通信傍受や時には「おとり捜査」なども行い、スパイアクション的な業務になります。
 
 ⅵ)警備警察
 :外部の侵入を防ぐまさに「盾」となり警備をします。長時間の集中力やとっさに守る瞬発力が磨かれます。

□警察官のスキルを一般企業で活かせる職種や業種は?

これらをまとめると、警察官のスキルを活かせる仕事は以下の表のようになります。

(表3挿入)

精神的なタフさがあれば、歩合制の営業職などでもやって行けそうです。礼儀正しさは営業でも評価される部分ですよね。

一般的な体力や壮健さを活かした仕事に加えて、部署によって身につくスキルが異なります。自動車学校の教官は、免許証の最終試験が警察署で実施していることからわかるように、即戦力のスキルになります。

あとは、どこまで自分の仕事をPRできるかでしょう。警察官としての守秘義務などもあり「こういう事件を担当しまして・・」と言えない部分もあるかと思います。

思い切って、自分で探偵やコンサルタントとして独立するのも面白いかもしれません。腕がよければかなり稼げるはずです。

■警察を辞めるデメリット

□何か不祥事を起こしたと誤解されがち

よく新聞などに「警官は依願退職した」などという記事があるように、「警官を辞める=不祥事を起こして退職せざるを得なかった」というイメージが共有されています。実際に警察官の犯罪率が高いというデータはないのに、職業柄高い規範意識や倫理観を求められ、それゆえ、辞めたことに投げティブな印象を持つ人が少なくありません。

□公務員の安定を手放すことになる

警察官は絶対に世の中に必要な職業ですから、その待遇は通常の公務員以上に手厚く保障されています。そんな「超安定」な身分を失うわけで大きなデメリットになります。

□どの企業に行こうが「異業種」の「未経験」扱いになる

警察官の業務をそのままスライドさせてできる民間の仕事はありません。治安を守り、犯罪を抑止し、犯人を検挙できるのは、公権力(公務員)という背景があるからであり、同じようなことは民間ではできないし求められないということになります。

つまり、警察と民間は別世界であり、「異業種」「未経験」となります。民間の銀行から税務署や経済産業省などへの出向はありますが、警察庁への出向はありません。警察権を民間人に与えることはできないんです。

□年収が下がる

確実に年収が下がるわけではありませんが、トータルすれば手厚い保障がなくなるので、金銭面で不利になることが多いでしょう。

■警察を辞めてよかった!メリットと口コミ

公務員の中でも圧倒的に安定した待遇を捨てて退職することに果たしてメリットはあるのでしょうか?

□家族と一緒に過ごせる時間が増える

安定した身分保障はなくなりますが、シフト制で旅行にも届け出が必要な縛られた働き方から解放されます。

家族を持っている人も場合、子どもと一緒に過ごせる時間が増えて、ゆったりとした中で暮らすことができます。時間や思い出はお金で買うことができません。

□「警察官」というプレッシャーから解放される

誰に会っても「この人は警察官」という色眼鏡で見られてしまいます。警察官のステレオタイプ(真面目、剛健、愚直)から外れるような行動ができず、息苦しい毎日です。警察官だって聖人君主ではないのです。

こういう無言の世間からのプレッシャーに潰されてしまう人もいます。本来の自分を出せる職場に転職することでストレス、プレッシャーから解放されます。

□実際に警察を辞めた人の体験談&感想

30歳の元警察官の男性です。

26歳で結婚し、翌年子どもが生まれました。当時の職場は交番で、シフト制によって昼夜逆転、安定した休日もなく、いきなり事件現場に駆り出されることもありました。

そういう環境なので、妻はパートに出ることも、子どもを保育園に預けることもできず、専業主婦を余儀なくされていました。本来、妻はバリバリ働きたいタイプで、前の職場を仕方なく辞めてもらったという経緯があります。

子どもがハイハイから歩けるようになった時、言葉を話し始めた時、そうした子どもの人生における大切なステップの場に私はいませんでした。全部妻に任せきりで、父親らしいことをしてやれない、これで私と家族の人生はいいのでしょうか?

なりたくてなった警察官ですが、こういう人生は望んでいません。その思いが強くなった時、転職を決意しました。転職エージェントに登録して、いろいろ相談すると、企業の営業マンが行けるのではないか?と言われ、「そういう選択肢もあるのか」と納得したうえで、面接を受けて見事内定が得られました。

営業先の人に「元警察官です」というと、すごく信頼されます。質実剛健で嘘をつかないというイメージで、信頼してくれるようです。上司からも「君がいるとすごくお客さんから評判がいいよ」と褒められます。

現在の職場は土日完全週休2日制で家族との時間もできました。妻も、時短勤務で働き始め、家事も分担しています。警察学校や独身寮で叩きこまれた家事スキルが役に立っているみたいですね。

子どもとの時間もでき、この前、保育園の運動会に参加できました。家族と一緒にいることがこんなにうれしいなんて、転職してよかったです!

■警察官からの転職を成功させるコツ

警察官から転職したい場合、「安定した職をなぜ捨てたのか?その人に問題があるのでは?」という採用側の疑念を払しょくする必要があります。ただやみくもに採用面接を受けてもうまくいきません。

□警察官の転職活動は必ず仕事を辞める前から開始

在職中に転職活動をする時間を確保するのはなかなか大変ですが、退職後だと「問題を起こして辞めさせられたのでは?」という疑念を持たれることになります。やはり「警察官は安定していて辞めない」というイメージがあるため、在職中に「目的があり敢えて警察官を辞めるんです」と言った方が説得力があります。

□ネガティブな退職理由は決して求人企業に伝えない

警察官からの転職に限った話ではありませんが、転職理由にネガティブなことはNGです。警察官は精神的にもタフだと思われているわけで、そこでネガティブなことを話すと、「ダメ」なイメージが増幅されかねません。

□警察官の強みを活かした自己PRを心がける

警察官だから経験できたこと、警察官だから身につけられたことを積極的にPRしてください。ほかの人は経験したくてもできないことをみなさんは経験しているはずです。それを強みにします。

□確実に転職したければ転職エージェントに登録する

忙しいなかで少しでも転職活動の時間を確保し、警察官としての経験を活かしたい場合、転職エージェントに登録しましょう。警察官だった強みを生かせる職場を紹介してくれるはずです。

体験談にあった営業職への転職も、自分だけで転職活動していたらなかなか見つけられません。

・書類作成やスケジュール管理、面接の日程調整などをエージェントにお任せできる
・転職サイトなどには出ていないとっておきの「非公開求人」の紹介
・性格や向き不向きを経験豊かなエージェントがカウンセリングしアドバイス

という大きなメリットがあるので、自分だけで判断せずにプロの力も借りてみてはいかがでしょうか?

■警察官の転職におすすめの転職エージェント

当サイトが特におすすめするのは、以下の転職エージェントになります。

『リクルートエージェント』

特徴:業界最大手リクルートが運営する転職エージェント。求人、実績ともにナンバーワン!です。

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『マイナビエージェント』

特徴:20代~アラサー世代の若手のサポートが手厚い転職エージェントです。警察官として日が浅く転職したい場合は、こちらを利用するといいでしょう。

公式HP:https://mynavi-agent.jp/

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『Type転職エージェント』

様々なキャリアに適合した求人を紹介する転職エージェントです。警察官のような特別な経歴の方は、むしろ大歓迎します。

公式HP:https://shoukai.type.jp/
20代の方におすすめ

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■辞めたいと思ったらすぐ行動!警察官が転職を成功させる方法 まとめ

・警察官の離職率は1%で民間企業の10分の1以下である
・25歳までの若手は4%近くあり、向かない人が見切りをつけるケースは珍しくない
・警察は超安定職なので、転職活動していると「この人に問題があるのでは?」と思われかねない
・したがって、転職の目的を明確にして、ポジティブな理由で在職中に転職活動を開始する
・警察官ならではのスキルを活かして好待遇の転職を勝ち取る
・忙しい警察官のためには転職エージェントに登録して彼らの力を借りる
・「頑強でタフ」という警察官へのイメージを肯定的に利用する