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震災復興特需や五輪特需などにより人手不足が叫ばれていることから建設業界は転職先として有力視されていますが、必ずしも好況一色とまでは言い切れない状況にあります。

では建設業界の景況は現在どうなっているのか、また業界の動向が労働者の年収にどのような影響を及ぼしているのか等々、建設業界の実情についてレポート致します。

建設業界の景気は?

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建設業界はリーマンショック後、しばらくは「土砂降り状態」と揶揄されるほど景気が落ち込んでいましたが、日本経済が弱含みながらも景気が持ち直してきたことに加え、震災復興特需や東京五輪特需などにより、建設業界は2013年頃まではちょっとした「バブル景気」に沸いていました。
ところが近年、建設業界は次の二点の難題に苦しめられている状況に陥っています。

深刻な人手不足と人件費の高騰

建設業界は労働集約型産業の代表格であり、言ってみれば建設工事を担う労働力こそが建設企業の商品であり、収益源と言えます。

しかしながら建設業界は長期に及んだ景気低迷により、長らくリストラや雇用の抑制を余儀なくされてきたことで、新人や若手の技能者を育成できる中堅クラスの技能労働者が数多く建設業界を去ってしまいました。

そこに震災復興特需や五輪特需により急速に建設業界の景況が上向いてきたことにより、とりわけ中堅層を中心とした技能労働者の人材争奪戦が生じ、それが建設業界全体に人手不足と人件費の高騰を招くことになった訳です。

建設資材の高騰

好況というのは需要が増加していることを意味しますが、建設需要の増加は同時に建設資材の需要増加も意味します。

つまり人手だけでなく建設資材の需要が上昇したことに加え、アベノミクスによって日本の円は円高から脱却し、円安傾向へと市場の流れを変えることに一応の成功を遂げていますが、円安はとりわけ輸入資材の高騰を招くことになります。

更には東南アジアなどを中心とした途上国の旺盛なインフラ整備需要などが加わり、東京五輪の予算高騰問題の一因となるほど、現在建設資材は輸入資材を中心に著しく価格が高騰してしまったことも、建設業界に冷や水を浴びせる結果となっています。

人件費と資材費の高騰により「利益の乏しい繁忙」

もっとも、人件費と資材費の高騰をそのまま建設価格に転化できたなら建設業界も一定の利益を享受できます。

ところが日本経済は依然弱含みの景気動向にあり、物価を経済の好循環によって押し上げる状況には至っていません。

現況、人件費や資材費をそのまま価格に転化した上で尚且つ利益を確保することは経済状況からいってとても難しい状況にあります。

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その結果建設企業は自社の利益が削られることになり、要は仕事はあるけれども利益が乏しい繁忙状況にあるのが現在の(大手を中心とした)建設業界の実情と言えます。

中小企業は「受注できない状況も」

体力のある大手企業であれば利益が多少削られても持ち堪えることができますが、中小企業、特に下請けとなっている中小企業はそのまま経営存続問題となってしまいます。

そのため、利益率の高い仕事をとってゆく必要がありますが、そうした利益率の高い仕事は同業者との競争が激しく、容易に受注できない状況があります。

また、それに追い討ちをかけているのが人材不足です。

人手さえあれば受注できるはずの収益性の高い建設工事案件も、人手不足のために請け負うことができず、泣く泣く受注を見送ってしまうといったケースもあちこちで生じています。

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整理しますと、建設需要そのものは堅調ながらも労働者がいないために受注できなかったり、受注できても自社の利益になかなか反映できなかったりというもどかしい状況にあえでいるのが、中小建設事業者の状況です。

建設業界の業績ランキングと年収は比例しているのか

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では建設業界の業績(平成26年)と平均年収実績をランキングで比較してみることで、建設業界の売上状況と年収の関係を確認してみることにしましょう。(引用データ「年収ラボ」)

売上ランキング

check-c081 1位:大林組  1.8兆円

check-c081 2位:鹿島建設 1.7兆円

check-c081 3位:大成建設 1.6兆円

check-c081 4位:清水建設 1.6兆円

check-c081 5位:大東建託 1.4兆円

check-c081 6位:竹中工務店  1.2兆円

check-c081 7位:長谷工コーポレーション 6,400億円

check-c081 8位:五洋建設 4,300億円

check-c081 9位:戸田建設 4,200億円

check-c081 10位:前田建設工業 4,000億円

年収ランキング

check-c081 1位:大東建託 926万円

check-c081 2位:鹿島建設 891万円

check-c081 3位:大成建設 891万円

check-c081 4位:大林組  890万円

check-c081 5位:清水建設 879万円

check-c081 6位:竹中工務店  865万円

check-c081 7位:長谷工コーポレーション 820万円

check-c081 8位:明豊ファシリティワークス 814万円

check-c081 9位:福田組 797万円

check-c081 10位:奥村組 780万円

売上ランキングと年収ランキングをまずベスト7で比較した場合、順位こそ一致していませんがランクインしている両者の顔ぶれは合致していることがわかります。

従ってベスト7に限れば、売上に完全に比例しているとまでは言えないものの、建設業界は「人の産業」であることを象徴しているとおり、売上規模と平均年収には一定の相関関係があるとみることができます。

その一方、ベスト8~10は全く顔ぶれが異なります。

例えば年収ランキングで8位となった「明豊ファシリティワークス」は東京都の企業で売上は約80億円、「福田組」は新潟県の企業で約1500億円、大阪の「奥村組」の売上は約2,000億円となっています。

このことを総合的に評価した場合、大林、鹿島、大成、清水といった日本を代表するスーパーゼネコンは売上、年収共に建設業界を代表する水準と規模を誇りますが、スーパーゼネコン以外では必ずしも売上規模と年収水準の相関が強いとは言いきれないのが建設業界の特徴です。

そもそも年収は経営幹部の人材に対する戦略や考え方によって大きく左右されるものであり、この点では建設業界も例外ではないと言えます。

また、建設業界の景況感でもお伝えしたとおり建設業界は利益率の悪化に苦しんでいますので、受注件数を増やせば売上はその分増えますが、高い売上=高い利益率=儲かっている企業とは限りません。

利益率が悪ければ人件費も抑制されることになりますので、転職先として建設業界を考える場合には、売上だけではなく各企業の利益率も重視することが大切です。

建設業界の職種と仕事内容は?

仕事はあっても受注できなかったり収益性向上に結び付かなかったりといった、特殊な状況にある建設業界ですが、お伝えしているとおり、人手不足に悩んでいることは間違いありません。

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そのため中途採用において旺盛なニーズがしかも幅広い年齢層に対してありますので、特に30代後半から40歳程度の方々にとっては有力な転職先の一つと言えます。

そこで、建設業界の代表的な職種とそれぞれの仕事内容についてご紹介しておきます。

建設業界の職種は大きく「技術職」と「総合職」に分けることができます。

まず総合職ですが、総合職では他企業とそれほど職種は変わりません。

check-c081 営業

check-c081 総務

check-c081 経理

check-c081 広告宣伝、広報

等の一般企業でもお馴染みの職種ですが、これらの職種も新卒採用だけでなく中途採用においても募集が行なわれています。

尚、経理ですが建設業に特化した経理事務資格として「建設業経理事務士」という専門的な資格があります。

同有資格者以外建設企業の経理職として採用されないという訳ではありませんが、企業側は人物評価が同じであれば有資格者の方を重視します。

特に建設企業は建築士や施工管理技士、電気工事士等々資格がものを言う業界でもありますので、他業界より資格が評価を得やすい傾向にありますので、取得しておいた方が有利になってきます。

次に技術系の職種です。

check091設計

建物等の設計を行なう仕事が設計です。

設計に携わるには建築士資格が必要な職種であり、無資格者は建築士の設計補助という役回りになります。

建設企業の花形職種とも言えますが、1級建築士は合格率10%前後の難関国家資格の一つに数えられており、受験資格の取得にも業務経験が必要になることから資格を取得してから転職を考えるのは現実的な方法とは言えません。

建築士は建設会社で実務を学びながら、資格取得を目指した方が良いでしょう。

check091CADオペレーター

設計図をCADソフトウエアを使用して、図面として作成を行なう仕事です。CADのソフトウエアを操作できれば良く、特に資格が必要と言う訳ではありません。特に女性の人気が高い職種です。

 

check091施工管理

大手ゼネコン等元請企業の中心的な仕事となるのが、建設現場の施工管理です。尚、施工管理を行うには、業務独占資格ではありませんが、「施工管理技士」という実務経験が取得に必要な資格がものを言ってきます。

こちらも建築士同様、転職のために取得するのではなく転職後キャリアップのために取得するという考え方が必要です。

 

最後に「職人系」といってよい、建設作業によって区分・呼称されている代表的職種をご紹介します。

check091左官

建設分の壁面やや床等を、こてを使用して塗装を行う仕事を左官といいます。

 

check091鳶工(とび)

建設現場をみた場合、建物を囲むように足場が設置されていますが、あのような仮設の足場や現場の工事の仮事務所など、建設現場で必要になる仮設の工事を主に担う職種をとびと言います。

 

check091型枠大工

木でできたコンクリートのパネルを建設工具を使用して切断したり加工したりすることにより、液状のコンクリートを流し込むための型枠を施工する作業を行う仕事を担っている職人を型枠大工と表現しています。
このように建設企業は「資格」が必要な職種が多いことから、人材不足を招きやすい構造的な側面があります。また職人系の職種は特に資格が必要ではありませんが、技能職であるため、訓練と共にある程度の現場経験が必要になります。

そのため、未経験で職人系の職種へ転職を果たす場合には「見習い工」としてスタートすることになります。

見習い工の内は給与水準は年齢に関係ない水準となりますので、年収ダウンを覚悟する必要もありますが、腕の良い職人は高年収を獲得している場合もあります。

人並み以上の努力が必要ですが、職人技を極めることで高年収を目指すというのも一つの選択肢と言って良いでしょう。

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