既卒者の就活事情厳しい世界を戦う方法

男性(真剣)

日本の場合、採用については著しい「新人優先主義」なのはよく知られていますね。

女性(真剣)

一度卒業して、どこにも就職しない「既卒」は明らかに不利になっているということも残念ながら事実です。

疑問 男性

人生に一度きりの「新卒パスポート」を使えなかった人は、もうまともな会社に就職できないのでしょうか。
そこで人生終了なのでしょうか?

ポイント 女性

いえ違います!
既卒でも戦う方法はありますので、ご安心下さい!

既卒者の就活事情を知るメリット

  • 「既卒」の定義を理解できます
  • 新卒絶対主義が徐々に薄れてきていて既卒にもチャンスが巡ってきています
  • 既卒に対するネガティブなイメージを知ってください
  • ネガティブイメージの払しょく方法を知ります
  • 具体的な就職の方法に少し特徴があります

既卒者とはどのような意味か?

既卒者とは卒業後、一度も就職したことがない人

「既卒」(きそつ)とは、読んで字の通りすでに大学などを卒業した人なのですが、もっと厳密に定義すると「高校、専門学校、大学などを卒業後、一度も就職したことがない人」を指します。

つまり、社会人経験がない人です。

社会人経験がない期間は、一般的には卒業後1~3年程度の人を差すことが多く、それ以上ブランクがある人はニートとかフリーターとかにカテゴライズされてしまいます。

よく聞く「第二新卒」は、一度就職をして、1~3年以内に辞めた人を指します。
つまり彼らは早くに辞めましたが「働いていた」という事実があります。

  • 既卒:一度も就職して働いていない
  • 第二新卒:一度は就職して3年以内に辞めた

と就活では意味が違うことになっています。

既卒者の就活が厳しい理由

新卒パスポート

なんで既卒者の就活が厳しいのでしょうか?
「社会にもまれていない」ということならば新卒も同じはずです。

なぜ新卒だけに「新卒パスポート」(新卒採用枠)を与えるのでしょうか?
こういうことをしているのは世界でも日本くらいです。

既卒就職が厳しい理由3つ

1.採用枠が新卒と異なる
これは採用側の勝手な分け方なのですが、「新卒」と「それ以外」で採用枠を分けてしまっています。

既卒は「新卒ではない」ので「それ以外」、つまり転職枠になってしまいます。
しかし、職務経験がないわけですので、転職者と同じ土俵で戦っても勝てない、というわけです。

2.既卒は問題あり、と企業が判断している
そもそもなぜ新卒枠を設けているのでしょう。
もちろん、卒業した学生を採用したいからなのですが、この場合「ポテンシャル採用」になります。

日本企業は一部理系職を除き、学生時代に学んだ学問を重視しません。

女性(真剣)

コミュニケーション能力とか社畜適性などを判断して、一から業務に必要な知識を叩き込み、自社の社員に仕立て上げます。

男性(真剣)

当然、ブラック企業などでは社畜として洗脳していくわけですね。

しかし、既卒の場合は「新卒で就職しなかった人」「新卒で就職できなかった人」という判断になり、この時点で「この人に問題があるのでは?」とマイナス評価になってしまうからです。

3.高齢の新人はいらない
これは大学院卒(文系)の新卒にも共通します。
日本企業の場合、なるべく若く入社してもらい、時間をかけて自社の価値観に染め上げていきます(洗脳していく)。

したがって、即戦力の中途採用ではない人は、なるべく「純粋無垢な若者」がいいのです。

「無駄に年を取って悪知恵を持っている人間はだめだ」と言って憚らない老害経営者が結構いることをここで知ってください。

以上をまとめると
「年を食ったスキルのない新人を採っても意味がない。社畜として洗脳するなら若い方がいい」
という結論になります。

就職浪人する人も

就職浪人しようかな…

しかし、それならば年齢で区切ればよいのですが、なぜか機械的に判断する企業が多く、同い年でも「既卒」(2年)と「新卒」(1浪1留)では後者の方が「新卒枠」に応募できます。
意味不明なのですがそうなっています。

したがって、「新卒パスポート」を捨てないために、就活がうまくいかなかった学生の中には、卒業をせずに、わざと留年して「1留の新卒」として翌年再び就活をする人もいます。

女性(真剣)

当然学費が発生します。
就職のためにわざと学業をおろそかにする、という本末転倒な状況が生まれています。

疑問 男性

大学とはいったい何なんでしょう?

既卒者は減っていない?

就職内定率の推移

最近は空前の売り手市場で、学生の内定率も95%を超えています(※)。

10数年前のようにどこにも就職できずに終わってしまう、ということは数字上はないはずですが、実際には既卒者はいて、その数はそれほど変わっていないようです。

つまり、「本人に問題があって就職できない」人というのは一定数変わらずにいる、ということとも考えられます。

(株)リクルートキャリア 就職みらい研究所

既卒になる理由

ではどういう人が「既卒」になってしまうのでしょうか?
大学を卒業して就職しなかった人すべてが「既卒」になるわけではありません。

大学院へ行く、留学する、家業を継ぐ、資格試験の勉強をするというのは「卒業したけど仕事をしていない人」ではなく、就活した場合も一定の説得力があります。

  • 在学中に就活そのものをしていなかった
  • 就活はしてみたけれど、なんとなく真面目になれず、なんとなく卒業した
  • 就活したが内定が出なかった
  • 公務員試験を目指していたが、合格せず、民間企業の応募をしていなかった
  • 内定後、内定した会社のインターンやアルバイトをした結果、自分には合わないと思い内定辞退した
  • 大学や短大を卒業後、専門学校に通っていたため
  • 親が倒れて1年間介護をしていた

やむを得ない理由の人もいますが、上の方の理由はやはり本人に問題があるといってもいいでしょう。

女性(真剣)

しかし、失った時間を取り返すことはできません。
今からできる最良の策を検討する必要があります。

新卒就職できないと大変なことに

ニート・フリーター

「新卒枠」で就職できないと、ニートをしないまでもフリーターで食いつないでいかなければなりません。

しかし、正社員として就職したくなった場合、残っているのは、「新卒枠」ではなく「誰でもいい枠」であり、その大多数が超絶ブラック企業になります。

正社員で定年まで過ごせた場合と、フリーターの場合では、生涯賃金が1億5000万円くらい違う(正社員の方が多い)という調査もあります。
このまま正社員として就職せずに時間だけが過ぎてしまうと、取り返しがつかなくなります。

女性(真剣)

既卒という事実は覆せないのですから、それでも大丈夫なように戦略を練る必要が出てきます。

※早いうちに正社員として働けないとこうなってしまいます!
30歳超えたフリーターの末路!30代、40代をフリーターで過ごした将来の姿を再現

既卒OKの大手求人が増えている!?

青少年雇用機会確保指針

実は筆者が学生時代に就活したときと比べて、既卒(卒業後1~3年くらい)もOKとする「新卒求人」が増えています。

これは、2010年に厚生労働省が出した改正「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」によって、卒業後3年以内の既卒については「新卒採用」として扱うように、という通達、指針が効いています。

日本企業もお上の指導には逆らえないんです。
筆者の学生時代2000年代前半と比較して、既卒OKの新卒求人が明らかに増えています。

実際、下記などの超大手も既卒OKで新卒求人を出しています。

  • トヨタ
  • ホンダ
  • Panasonic
  • Sony
  • アサヒビール
  • 味の素
  • 川崎重工
  • NTT(東西)
  • JR各社
  • 三井住友銀行
  • ゆうちょ銀行
  • 野村證券
  • 電通
  • 野村総研
  • 住友商事

通達は法的拘束力はありませんが、確実に日本企業の採用文化を変えつつあります。
したがって、年々既卒でもOKの求人は増えていますが、それでも100%ではないことは注意してください。

まだまだ「新卒に限る」企業も多く、不利なのは否めません。
また、新卒求人に応募できても、年下の新卒と枠を争うわけですから、年を取っている分何かに勝っていないと、年齢給が安い新卒の方が採用されやすいのは事実でしょう。

少子化により、既卒への新卒枠の門戸は広がっていくのは事実でしょうが、埋まっていくのは大手企業、ホワイト企業からであり、ブラック企業しか決まらない傾向にあるのは変わりません。

また、既卒でも4年以上の人は、厚生労働省の通達での見捨てられていることに気付いてください。
卒業3年以内に本当に勝負しないといけません。

既卒で何をPRするのか?

熱意とやる気を新卒以上に見せる

既卒者は、通常の転職などのように職務経験をアピールできません。
また、「第二新卒」のように曲がりなりにも就活をがんばって入社した、という事実もありません。

女性

就職できなかった、就職しなかったという事実を挽回することが必要です。

男性(真剣)

かといって、ポテンシャル採用の枠ですから、新卒と同様の切り口しかなさそうですが・・・。

企業が既卒を採用する時には、新卒以上に以下の点が重要視されます。
「何かその人に問題があるのでは?」という視点で選考されるのを覆す必要があります。

  • 素直さ、物事を吸収することができるか
  • 意欲の高さ、熱意
  • 社風に合うか、一緒に働いていけそうな人柄か

言い方はよくないのですが、「既卒フィルタ」がかかると、「その人は社会不適合者なのでは?」「堪え性がなくすぐ辞めてしまいそう。だから就活も終えられなかった」という色眼鏡がかかってしまいます。

それを覆すためには(職務経験がないのですから)、理屈をこねくり回すよりも、熱意とやる気を新卒以上に見せる必要があります。

いちばんよくないのは、「上から目線」「評論家気取り」「アジェンダは~、ソリューションは~」みたいな受け答えです。
実績のない理論家ほど嫌われるものはありません。

こういうやり方は好きではないかもしれませんが、熱意を様々な面で訴えていくのが、就職内定への近道になります。

既卒で新卒求人へ応募するときの戦略

1.主体的に行動する
昔のように、就活の資料がどっさり送られてくることはなくなりましたが、受動的にしていては情報が入ってこない可能性があります。
卒業生でも大学の就職課は利用できるところもあります。

女性

卒業して時間はあるわけですから、応募企業の情報をHPなどで積極的に入手して、企業研究を深めていきましょう。
ここでも「なんとなく」だと結果は出ません!

2.志望先を絞らない
既卒は不利なのことは否定でいない事実です。
既卒でも新卒と同様に扱ってくれる企業を見つけるためにも、業界を絞らず幅広い「ホワイト企業」を探した方がいいでしょう。

女性

時間があるのですからしっかり自己分析をして、有利な就職先を探してみましょう。

3.既卒理由は正直に
既卒になった理由は正直に話しましょう。
介護などやむを得ない理由であれば、企業も情が湧きかえって有利になるかもしれません。

女性

そうでなくても、取り繕いはバレてしまいます。
これまでの怠惰な自分から「変わります!」という姿勢をアピールするためには、むしろ正直に話した方が好感触になります。

4.言い訳ではなく何をそこから学んだのかをアピール
正直に既卒になった理由を話したうえで、言い訳ではなく、そこから他の新卒学生には経験できなかった「何か」を学んだことをアピールします。
新卒よりも年上の部分のキャリアを訴えられるのはそこしかありません。

女性

「既卒になる過程で○○を学べたので、それは新卒にはない経験であった」
ということを評価してもらいましょう。

既卒求人を見つけるためには?就職活動の方法と就職相談

基本的に新卒の就活と同じルートで構いません。
なお、高卒既卒の方も、大卒などと同じで自分で就活をします。

高校在学中の就活のように、学校に求人が来て、先生が希望を取りまとめて、応募は1社か2社のみ、という流れにはならないので注意してください。

学校へ相談するのはあり?

学校に相談する

実際に就活を始める前に、学校へ相談するのはありでしょうか?

答えは「あり」です。

<高卒既卒の場合>

高校時代の先生がまだ在学していて、関係が良好ならば相談してもいいでしょう。ただし、求人への応募は学校を介さず自分で履歴書を送ったり、転職サイトから応募したり、という流れになります。

<大卒、短大卒、大学院既卒の場合>

OBであることを伝えれば、大学等の就職課を利用できるはずです。相談だけではなく、大学主催の就活セミナーの受講もできるかもしれません。ともかく行ってみましょう。

就職サイトを利用する

就職サイトを利用する

リクナビなどの就職サイトに登録ができます。
求人を探す際に「既卒可」などでソートすれば、既卒でも応募できる求人が出てきますのでそれに応募しましょう。

また、「既卒可」ではない求人でも応募自体はタダですし、この段階で履歴書などを書かないのであれば、ダメもとで応募してみるものありでしょう。

就活ルールは法律で決まっているわけではありません。
運よく面接まで行ければ、あとは実力勝負になります。

転職エージェントを利用する

転職エージェントを利用する

基本的に転職エージェントは、職務経験のある人の転職のためのものですが、最近は新卒向けのサービスも出てきています。

新卒向けのサービスならば既卒でも大丈夫なはずです。
エージェントが間に入れば、既卒になった理由を説得力を持って企業側に伝えることが可能になるかもしれません。

要はみなさんに「市場価値」があるならば、転職エージェントの利用は有力な選択肢になりえます。

ハローワークの利用は最後の手段

ハローワークの利用は最後の手段

ハローワークを介して求人に応募する方法もあります。
しかし、ハローワークにはブラック企業の求人が多いのも事実です。

一方、ハローラークには転職を繰り返すどうしようもない人たちが来ています。
その人たちでも、ここで転職できるわけで、経歴の傷がない既卒のみなさんなら、仕事自体は見つけることができるはずです。

ただし、ブラック企業の山の中から、僅かにあるまともな求人を見つけることができるでしょうか?
相談に行くのはいいですが、ハローワーク求人に応募するのは最後の手段にした方がよさそうです。

既卒者の就活事情※新卒と違って就職できない&厳しい世界を戦う方法 まとめ

  • 「既卒」は就職に際してまったくプラスにならない
  • 企業によっては「既卒」の採用をしないところも多い
  • ただし、厚生労働省の通達によって3年以内の既卒ならば新卒と同等に扱うところが出てきた
  • 既卒の場合新卒以上にやる気をアピールしないと企業の心象が改善しない
  • 積極的に能動的に就活を行う必要がある
  • 時間はあるのだから企業研究や自己分析は念入りに行う
  • 就活は就職サイトを中心に。転職エージェントに登録できればしめたものである
  • ハローワークの求人は最後の手段にする
  • 卒業3年を過ぎると「既卒」の枠も超えて相当厳しくなる