皆さんはアルバイトという言葉に、どれだけの責任や義務を感じているでしょうか?
以前、「大型連休は休みの希望を通さない」といったアルバイトへの対応がTVで取り上げられ、非常に話題となりました。
アルバイトとして働く側としても、アルバイトを雇う側としても、ぜひ一度考えておきたい問題です。

年末年始などの大型連休は休みの希望を通さない!?張り紙が物議をかもす

冒頭でも紹介したように、TVで紹介された飲食店の張り紙が話題となりました。
とある飲食店において「今後の大型連休は全て休み希望は通せません」と張り紙で通告されたのです。
店舗側の言い分は、連休中(この場合は年末年始)の営業が最優先であり、アルバイトが休むせいで店を開けられないのは損害だというもの。
経営者や店長職の方であれば、店舗運営に必要な人員の確保に頭を悩ませた経験があるはずです。
特に週末やなどは人が集まりにくい一方、店舗は忙しいことが多いために、シフト調整に苦労しますよね。

しかし、アルバイトとして働く側としては、年末年始やゴールデンウィークなどは、休んで好きなことをしたいですよね。
休みがとりやすいように、アルバイトという立場を選択することもあるわけですから。

この雇う側、雇われる側の間にあるジレンマを、世間の人々はどう考えているのでしょうか?
当サイトでは、20代から50代まで、さまざまな立場の人々に対して独自アンケートを実施。
その結果から見えてくる事柄を解説していきたいと思います。雇う側も雇われる側も、参考になるのではないでしょうか。

「大型連休の休みの希望は通さない」に対しては「反対」が過半数!

まず「大型連休の休みの希望は通さないという張り紙についてどう思うか」という問いに対し、選択肢の割合を表した円グラフを見てみましょう。
選択肢は以下のとおり。

 

「断固反対。休みたいときに休めば良い」
「どちらかというと反対。大型連休でも休むのは仕方ない」
「わからないどちらともいえない」
「どちらかと言うと賛成。できるだけシフトに貢献したほうが良い」
「賛成。大型連休に休むなんてどうかしている」

質問:「大型連休の休みの希望は通さないという張り紙についてどう思うか」

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「断固反対。休みたいときに休めば良い」と「どちらかというと反対。大型連休でも休むのは仕方ない」を総合した反対意見が52%。
一方、「賛成。大型連休に休むなんてどうかしている」+「どちらかと言うと賛成。できるだけシフトに貢献したほうが良い」は30%という結果になりました。
ちなみに、「賛成。大型連休に休むなんてどうかしている」という意見は一人もおらず、0%です。
この結果を見ると、「大型連休中に出勤を強制されるのはおかしい」と考える人が過半数を占めていますね。
反対派の意見を、一部抜粋してみましょう。
・アルバイトは本来、時間・休みの自由が利くものであったはず。それが最近は変わってきていると思います。私も販売のアルバイトをしていたとき、祝日や繁忙期は休みたくてもシフトを組まれました。
・社員ではなくバイトなので、あらかじめ休むと伝えていれば休んでも構わないと思います。あくまでもお店側と相談したうえで、ですが。

反対派の意見としては、「アルバイトにそこまでの責任はない」「本来時間を調整しやすいのがアルバイトのはず」といった傾向があるようです。
確かに、アルバイトやパートタイマーは正社員とは異なり、決められた時間を決められた時給で勤務する形態。
責任は軽い一方で、正社員よりも報酬は劣るため、手軽に働きやすい立場でしたよね。
ところが、店舗運営にかかるコスト削減の影響からか、アルバイトであっても責任や能力、スキルなどを要求されるケースが増えてきました。
特に「失われた20年」と呼ばれる時期に、この傾向は加速していったといえます。
デフレ経済下で、飲食店などは低価格路線をとるようになり、それが人件費にも影響し、安い賃金で働くアルバイトへの要求が高くなってしまったと考えられます。
特に飲食店は、店員のほとんどがアルバイトで正社員は店長のみ、という形態も珍しくありません。
すでに現場の主力はアルバイトになってしまっているのです。
アルバイトは「自由気ままに稼ぐための形態」ではなく、「店の主戦力」になってしまっているのでしょう。
これに対し、賛成派の意見としては、以下のようなものがありました。
・サービス業は大型連休が忙しいというのは分かっているはずで、休み希望が通らなくても仕方ないと思います。お金をもらって働く以上、貢献する必要があります。
・一番の稼ぎ時なので、アルバイトであってもシフトに貢献するべきだと思います。

「アルバイトであろうが、店の事情は理解できるはずだから貢献すべき」といった意見が多いようです。
確かに年末年始やゴールデンウィークのような大型連休は、かき入れ時のお店も多いでしょう。働いていれば、それくらいの事情はわかるはずだというもの頷けます。
また、「どちらともいえない」も18%あることから、判断を迷う人も相当数いるということがわかりますね。
ちなみに筆者個人としては、大型連休中の休みについては、「採用時に明確にしておくべき」という意見です。

「大型連休でもアルバイトの休み希望は通さない」に対する年代別の傾向は?

次に、年代別で意見をみていきましょう。
社会の変化や経済の浮き沈みが激しかった日本では、世代間で大きな意識の差がありそうです。
ではどんな違いがあるのでしょうか。
年代別に意見の割合みると、次のようになります。

20代

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反対意見の例
・アルバイトしている側にも予定はあるので、大型連休のためのアルバイトでなければ希望は通すべき(29歳、学生)
賛成意見の例
・大型連休は休めないかもしれませんが、その分旅行の価格が下がる平日などの遊びに行けるので(27歳、学生)

30代

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反対意見の例
・バイトにはなんの義務もないと思う。もし人員がほしいのであれば、連休期間限定のバイトを雇えば良いのではないだろうか。(30歳、フリーター)
賛成意見の例
・子供がいたため休日は出勤しにくいと面接で伝え採用していただいたのですが、実際働き出すと休日出勤を求められ辛かったです。(36歳、準社員・派遣社員)

40代以上

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反対意見の例
・雇う方から言えば繁忙期なので、休んでほしくないというのはあると思うが強制するのはどうかと思う。(43歳、学生)
賛成意見の例
・飲食業などのサービス業で休日が稼ぎどきなのは、承知の上だと思います。雇用する側は時給に多少の手当てを付けて、休日に働くことに魅力を感じさせられればよいのでは(52歳、パートタイマー)

円グラフを見ると一目瞭然ですが、年代があがるごとに反対意見の割合が減っていき、20代では約68%が反対であるのに対し、40代では約27%にまで減少しています。
年代があがるにつれて、大型連休の休み希望が通らないことに対して、抵抗が少なくなっているようですね。
やはり若い世代は、仕事よりもプライベートを優先するのかもしれません。
また、現在のアルバイトを辞めても次の仕事が見つかりやすいため、強気に出ることができるという考え方もあるでしょう。
さらに別の見方をすれば、30代、40代と年齢が上がるにつれ、管理職を経験する人々が増えることから、考え方が変わるという点も挙げられそうです。

「大型連休でもアルバイトの休み希望は通さない」に対する立場別の傾向は?

最後に、立場別でも回答の割合を見ていきましょう。今回は、「学生もしくはフリーター」と「社員もしくは準社員・派遣社員」の2ケースで比較してみます。

学生もしくはフリーターの立場で集計した結果は以下の通りです。

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次に、「社員もしくは準社員・派遣社員」です。

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立場別では、どちらも反対が約50%、賛成が約30%と、割合に大きな差はつかないようです。
ただし、「社員もしくは準社員・派遣社員」側では「断固反対」が0%であったことから、フリーターや学生ほど大きな拒否感を抱いていないと言えそうですね。
より店舗運営の内情を知る身としては、非常事態であれば仕方ないと考えるのかもしれません。
実際に「社員もしくは準社員・派遣社員」側からは、こんな意見があがっていました。
・「大型連休には出勤してほしい」というのが社員としての素直な思いですが、仕方のない理由の場合は休める環境を作るべきです。

理想としては大型連休であってもアルバイトの休み希望は通すべきだが、本心を言えば出勤してほしいところなのでしょう。
アルバイトがいかに現場の主戦力とみなされているかが、よくわかります。
また、「学生もしくはフリーター」側では、こんな意見が印象的でした。
・アルバイト側の自由に働きたいという考えはあって当然であり、それを踏まえる事前にフォローするマネジメントが店長には必要。今回のケースは、それが失敗だったという認識である為。

店舗運営にかかわるマネジメントの問題であって、アルバイトが責任を負うべき問題ではないという意見です。確かにこれも一理あります。
アルバイトは社員待遇とは全く異なる雇用形態ですから、経営やマネジメントに関する責任とは無関係のはずです。
「大型連休は全て休み希望は通せません」という張り紙が必要になること自体が、マネジメントや経営の失敗を表しているとも言えるでしょう。

まとめ

この問題は、雇う側、雇われる側間の意識の食い違いが原因で起こったと考えられます。また、日本の労働問題の根幹に通じているものといえそうです。
日本では、雇用契約の条件がしっかり詰められていないことがあり、この点は欧米よりも遅れていると言わざるを得ません。
雇い主に尽くすのが労働者の見本だった時代は、とうに終わっています。
雇用は流動化し、終身雇用制度は崩壊し、自己責任の社会へと変貌しつつあります。
特に若い世代に対しては、「雇い主の言うことは受け入れて当然」という意識は通用しにくいのです。
アルバイトなしには営業すらできない環境があるわけですから、正社員待遇でなくとも厳密な契約が必要となる時代がやってきそうです。