企業研究や自己分析などの就職活動の下準備が終わったら、いよいよ、企業への応募が始まります。エントリーシートや履歴書などの書類選考が通らなければ、面接までたどり着くことはできません。
就職活動の実質的な第一歩であるエントリーシートや履歴書は、どのように書けば人事担当の目に留まるのでしょうか?
わかっているようで実はあまりわかっていない、エントリーシートと履歴書の書き方についてまとめてみました。
これから就職活動を始めるという就活生の方は、必見です。
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人事の目に留まるエントリーシートや履歴書とは?
エントリーシートと履歴書は人事担当者の元に何百通も届きます。その書類一つ一つに目を通さなければならないのですから、書類を書く側としては読む人のことを考えて書かなければなりません。
どのように書けば相手に読んでもらえるのか、をまずは考える必要があります。
もちろん、書く内容がしっかりしていなければ、相手に何も伝わりません。
具体的にどのようなことに注意しなければならないのかを、見てみましょう。
読みやすいこと
見た途端不採用にされてしまうエントリーシートや履歴書とは、どのようなものかわかりますか?
それは、読みにくいエントリーシートや履歴書です。
- 字が汚く、誤字脱字が満載
- 字数が多すぎて読む気にならない
- ダラダラと書かれていて何が言いたいのかさっぱりわからない
そんなエントリーシートや履歴書は、見た途端不採用にされてしまいます。
企業の人事担当者は、毎日何通も届く書類を読まなければならないのです。読みにくく何を言っているのかさっぱりわからない、そんな書類を読むくらいなら、読みやすくしっかり書かれている書類の方が良いと思うのは当然でしょう。
相手が読みやすいかどうか配慮ができないような人材はいらない、ということでもあります。
どんなにすばらしいアピール内容が書かれていても、読んでもらえないのであれば意味がありません。
まずは、どうしたら人事担当者が読みやすくなるのか、という工夫が大事です。
具体的なアピール内容が相手に伝わること
エントリーシートや履歴書を書く際に、自分では一生懸命アピールしたい内容を書いたとしても、相手には全く伝わらないということがよくあります。
文章で相手に物事を伝えるというのは、実は意外と難しいことです。
よくあるのが、抽象的な表現でしかアピールできないため、相手に何も伝わらないというパターンです。
例えば、大学時代のサークル活動で部長を務めた際の、リーダー経験をアピールしたかったとします。
「私は大学でテニスサークルの部長を務めていました。サークルをまとめつつ、様々なイベントを積極的に企画しました。イベントは全て大成功に終わりました。」

この文章は悪いアピール例なのですが、どこが悪いのかわかるでしょうか?
この文章の「様々な」「積極的に」「大成功に終わりました」という言葉からは、具体的に何をして何がどれくらい凄いのかということが何もわからないのです。
「とてもたくさんの」「かなりの量の」「一生懸命やりました」「がんばりました」「積極的に取り組みました」「大成功でした」などという抽象的な表現では、何かを伝えているようでも何も伝わりません。
「〇〇人の部員が所属するテニスサークルで部長を務めました。5つの大学対抗の試合の企画、学祭での出店の出店、浜辺のごみ拾いなどのイベントを企画し成功させました。」
などという具体的な事柄が書かれていれば、人事担当者も「なるほど、それはすごい」とそのアピールの凄さが伝わります。
具体的なことが書かれていれば、「その試合とは何人くらい参加したのですか?試合の場所をおさえたり試合の進行をしたりということは、どのように実行したのですか?」などと、もっと話を聞きたいと思う材料になるのです。
エントリーシートや履歴書を読んで「この人の話をもっと聞きたい」と思われれば、それでOKなのです。そのための材料を提供するのが、エントリーシートや履歴書の仕事です。
「積極的に」「たくさん」「様々な」「一生懸命」「大成功した」などという抽象的な表現を連ねても、何が凄いのかは全く相手に伝わらないと思ってください。
それよりも、具体的なエピソードや「〇〇人の部員」「アルバイトで〇〇円の売り上げをあげた」などという、数字を使った定量的な表現や具体的なエピソードを使いましょう。
ビジネスマナーをおさえていること
エントリーシートや履歴書を書く際には、やはり、ビジネスマナーをきちんとおさえた内容を書くことが重要です。これから社会人として働く第一歩なのですから、ビジネスマナーをしっかり身につけておくべきです。
ネットや本などでいくらでもビジネスマナーについて勉強することができますから、この際に身につけてしまいましょう。これから面接を受けためにも、必要な知識です。
ただ、ビジネスマナーにとらわれ過ぎて、エントリーシートや履歴書の内容が薄くなってしまう人もいます。必要以上に敬語を多用したり無意味な出だしの文章が多すぎたりすることで、肝心のアピール内容の部分が少なくなってしまうのです。
簡潔に読みやすく、内容がストレートに伝わるということに主眼を置きつつ、ビジネスマナーをおさえるようにしてください。
人事担当の目に留まるエントリーシートの書き方とは?
具体的に、エントリーシートはどのように書いたら良いのかについて、見ていきましょう。
効果的にアピールするためにはどうしたらいい?
エントリーシートで効果的なアピールをするためにはどうしたら良いのか、具体的な例文も交えながらご説明します。
具体的なアピール内容を一段掘り下げて仕事につなげる
アピールしたい内容があれば、とにかく具体的に書きましょう、ということはすでにお話ししました。次のようなアピールは全て具体的になっていますね。
「大学生活で学ぶ経済に関する科目に特に力を入れ、全てAを取得しました。」
「他サークルと協力して学祭のイベントを企画し、100人以上の参加者を集めました。」
「野球部の主将を務めました。初心者ばかりのチームでしたが練習方法を改善し、公式戦で優勝することができました。」

上記の例をさらに掘り下げて、実際に仕事にどう生かせるのかということにつなげましょう。
「大学生活で学ぶ経済に関する科目に特に力を入れ、全てAを取得しました。マーケティングに関する勉強も進めており、将来は〇〇メーカーの営業として活躍するため知識を深めています。」
「他サークルと協力して学祭のイベントを企画し、100人以上の参加者を集めました。参加者のニーズを調査し、どうしたら人を多く集められるのかを仲間と一緒に考えた結果、多くの参加者を集められたと思っています。将来は営業として多くの顧客のニーズをつかむような、仕事をしたいと考えています。」
「野球部の主将を務めました。初心者ばかりのチームでしたが練習方法を改善し、公式戦で優勝することができました。この経験から、チームで仕事に取り組むということの難しさと大事さを知ることができました。職場に配属されたら、チームの力を引き出すことができるようなリーダーシップを発揮したいと考えています。」

アピールしたことがどう仕事に生かせるのかというところまで書いて初めて、人事担当者は「この人はうちの会社で活躍できるのか」という判断ができるのです。
最もアピールしたい内容を絞って書く
エントリーシートでアピールしたい内容はたくさんあると思います。
しかし、紙面には限りがあり、無限にアピールできるわけではありません。
それに、内容を詰め込み過ぎると、読みにくくなり、かえって内容が相手に伝わりづらくなります。
学業、アルバイト、サークル活動、ボランティア活動、語学研修など、いろいろな分野にまんべんなくアピールすることも重要ですが、それぞれの活動においてアピールしたいことは一つか二つに絞りましょう。
一番アピールしたい内容だけに絞って書くことで、ストレートにアピール内容が相手に伝わります。
アピールのつもりでもアピールになっていない内容は書かない
よく、アピールのつもりで書いているのでしょうが、全くアピールになっていないことを書く人がいます。
例えば、
「大学受験はとても大変でしたが、何とか乗り切りました」という大学受験に関することは大学生ならほとんどみんなそうですから、アピールになっていません。
「早朝アルバイトをしていたのですが、朝が早くても遅刻したことは一度もありませんでした。」アルバイトに遅刻しないというのは当たり前のことです。このような「当り前のこと」はアピールになりませんし、逆にマイナスポイントになってしまいますから、書かないようにしてください。
エントリーシートの体裁の注意点とは
エントリーシートに書く内容もとても大事ですが、書き方の体裁を間違えると途端に読みづらく印象が悪いものになってしまいます。
エントリーシートの文体や構成などの体裁についての注意点をお話しします。
見出しを使ってわかりやすく構成する
見出しが一切ない文章は、とても読みづらいものです。まずパッと文面全体を見て何が書いてあるのかが大体わかる、というのが良い文章です。
そのためには、しっかりした文章構成にすることが大事です。
一番アピールしたいことを最初に配置する、アピールしたいことを適度な量のまとまりに分けるなど、どのような構成にすれば読みやすいかを考えましょう。思いついたまま書くのでは、読みやすい文章とは言えません。
そして、そのまとまりごとに、内容を一言で言い表した見出しを付けます。そうすることで、そのまとまりには何が書いてあるのかを頭に入れつつ文章を読むことができるので、格段に文章が読みやすくなります。
書いてみてわかりづらいと思ったら、構成を変えたり見出しを改良したりして、何度も書き直しましょう。そうすることで、わかりやすいエントリーシートに仕上がります。
箇条書きを効果的に使う
内容によっては、箇条書きを使うことで相手に内容が伝わりやすくなります。
例えば、取得した資格を説明する際などです。
どうすればわかりやすく伝えられるかを考えて、箇条書きを使ってみてください。
一文は短く簡潔にする
一つの文章が長すぎると、とても読みづらくなります。
〇〇なのですが~、△△の場合は〇〇で~、など文章をむやみに長くしすぎるのはよくありません。
一文を短く簡潔に書くように心がけましょう。
無駄な言い回しを削る
文章を書いていると、無駄な言い回しを無意識に付け足してしまうことがあります。
「〇〇できるのではないかと考えます。」
は、
「〇〇ができます。」
などと言いきりましょう。
無駄な言い回しを削ることで文章がシンプルになり、より相手に伝わりやすくなります。
略語や一般的ではない言い回しは使わない
「バイト」や「高校」は略語で、正しくは「アルバイト」「高等学校」です。略語は使わず正式な言い回しで書きましょう。
また、大学やアルバイト先などでしか通じない用語は使わず、一般的に通じるような用語に言い換えましょう。
人事担当の目に留まる履歴書の書き方とは?
履歴書は基本的には体裁に合わせてきちんと書けば問題ない項目ばかりですが、体裁や書き方を知らないと「常識がない」と思われてしまいます。
ここでは、ポイントに絞って大事な部分について、お話しします。
ポイントをおさえて不備のない履歴書を書きましょう。
基本情報の書き方
名前、生年月日、住所、メールアドレス、電話番号、などです。
メールアドレスは企業からファイルが送られてくることなども考えて、携帯電話ではなくPCのアドレスにしましょう。
日付は、郵送の場合は投函日、手渡しの場合は渡す日にちを書きましょう。
履歴書全体で、日付の年は元号か西暦で統一します。
写真は写真館で撮る
写真は履歴書の中でも、あなたの顔を見せる大事な部分です。
必ず写真館で撮ってもらいましょう。
移りが悪い写真を貼ってしまうと第一印象を最悪なものにしてしまいます。
誠実そうに見える写真を選んでください。
学歴・職歴の書き方
学歴の年は履歴書全体で元号か西暦のどちらかに統一します。
中学校卒業から、学校名の正式名称を書きましょう。「高校」ではなく「高等学校」になります。最終学歴の卒業見込みも忘れずに書いてください。
アルバイトは職歴に入りませんから、学校卒業後に働いた経験がない場合、職歴は「なし」になります。
フリーの記入欄の書き方
趣味・特技・資格・免許
趣味・特技欄はどうでもいいと思われがちですが、個性を出したり話のネタにしたりもできる意外と大事なところです。もちろん、仕事に直結する内容であれば積極的に書きましょう。
資格や免許がある場合は、しっかりとその内容を記入します。略語ではなく正式名称で書き、取得年月日も書きます。
ゼミナール・専攻学科
大学のゼミでどのような研究をしたのか、専攻した学科ではどのような勉強をしたのかなどを説明する欄です。
そこから仕事に生かせることは何か、どのような目的意識を持って勉強してきたかということを分かりやすく説明してください。
部活やサークルなど学業以外の取り組み
学業以外の部活やサークル、アルバイト、ボランティア活動などについて書く欄です。
単に楽しかった、充実していたなどという内容だけでは、アピールにはつながりません。むしろ、「遊んでばっかりだったのでは?」とマイナスポイントになる場合もありますから、注意しましょう。
自己PR
自由に自己PRをする欄です。
一番アピールしたい内容一つに絞って記入します。
あれもこれもといくつも入れると、かえって内容がぼやけてしまいます。
アピールした内容をどのように仕事に生かそうと考えているのかも、忘れずに書きましょう。
志望動機
フリーの記入欄の中で、一番重要な項目です。
応募した企業に入社したいのはなぜか、ということを書きます。ここで、応募した企業についてどこまで調べているのかということが、相手にわかってしまいます。
また、応募した企業の良さを書くだけでは、「なぜ君はうちに入りたいと思ったの?」ということが伝わりません。自分の経験やエピソードなど具体的に自分につながる内容を書くことで、より相手にこの企業に入りたいという熱意が伝わります。
工夫して書いてみてください。
本人希望記入欄
本人希望記入欄とは転職時に仕事内容や勤務条件などの希望を伝えるために記入する項目です。新卒の場合は書かないのが一般的です。
「貴社規定に従います。」と書きましょう。
選考書類を郵送・手渡しする際の注意点
書類ができたら企業に送りますが、パソコンで入力フォームから送るのでなければ郵送するか手渡しするかのどちらかになります。その際の注意点をご説明します。
郵送する場合封筒はどうすれば良い?
A4サイズの書類が折らずに入る封筒に、エントリーシートと履歴書をクリアファイルに入れて送ります。
大学名が入った封筒を使うと、わかりやすいでしょう。
表に宛先を正しく書き、裏に自分の住所と名前を必ず書きます。
切手の料金に間違いがないように、郵便局に持ち込んで送ってもらうのが確実です。
応募書類を送る際の送り状はどう書けばいいの?
応募書類を郵送する際には、送り状は必ず付けます。送り状に書く内容は以下の通りです。
- 送付した日付
- 相手の企業名と担当者名(名前がわからなければ人事部ご担当者様とする)
- あなたの住所、電話番号、メールアドレス、名前
- 文面
- 送る書類の内容と枚数
企業名や担当者名は絶対に間違えてはいけません。
あなたの電話番号やメールアドレスは必ず連絡がつくものにしましょう。
具体的には次のような形になります。
社会人になればこのような文面の書類を作ることになります。今のうちからしっかり慣れておくと良いでしょう。
〇〇〇〇年〇月〇日
〇〇株式会社
人事部〇〇様
〇〇大学〇〇学部〇〇学科
(名前)
(住所)
(電話番号)
(メールアドレス)
応募書類の送付につきまして
拝啓
貴社におかれましてはますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。
私は、〇〇大学 〇〇学部 〇〇〇〇と申します。
この度、貴社の新卒採用に応募させていただきたく、下記の応募書類をお送りいたします。ぜひご検討を頂き、面接の機会を頂けますと幸いです。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
・エントリーシート 1枚
・履歴書 1枚
以上
手持ちの場合もクリアファイルに入れて渡す
郵送ではなく手持ちで企業に提出する場合も、A4サイズのクリアファイルに入れて折れないようにして持っていきましょう。
書類をそのまま持っていくと、紙が折れて印象が悪くなります。
まとめ
エントリーシートと履歴書を書く際に、人事担当者の目に留まるようにするためには様々な工夫が必要です。
大事なのは、
- 読む相手のことを考えて読みやすくなる工夫をすること
- 自分のアピール内容がより具体的に相手に伝わるようにすること
- アピール内容がどう仕事に生かせるかを必ず書くこと
- 履歴書は体裁を守って正しく記入すること
- 郵送や手持ちで渡す際のマナーを守ること
でした。
これらのことを守れば、人事担当者の目に留まる良い応募書類が書けるはずです。工夫して書いてみてくださいね。