ビジネスにおいて返事(リアクション)は基礎中の基礎。
そう肝に銘じている就活生の心をばっさりと裏切るのが「サイレントお祈り」です。
今回はサイレントお祈りに関する就活生の疑問や不安を代弁し、その真相に迫ってみます。

サイレントお祈りは果たして非常識なのか?

サイレントお祈りとは、「企業側が採用の合否連絡をしないこと」です。
合否と言いましたが、連絡がこなければ当然学生側は不合格だと思うしかありませんから、
「返事のないお祈り(不合格)」ということになりますよね。
このサイレントお祈り、近年非常に増えており、一部で問題になっています。

結論から言うと、サイレントお祈り事態は非常識極まりなく、失礼な行為です。
冒頭でも述べたように、「返事」はビジネスにおいて基礎中の基礎ですし、プライベートの人間関係でも必須のもの。
返事がない相手に敬意を払う人はいませんし、その後良好な関係を築こうとも思いませんよね。
「好きの反対は無関心」という言葉がある通り、相手に対して意図的な嫌悪感を示すものとも考えられます。

「もしかしたら自分が悪いのかも……」と不安になっている方は、決して自分を責める必要はありません。

ではなぜ企業側がサイレントお祈りをするのか?

一般常識では非常識極まりない「サイレントお祈り」ですが、なぜ企業側がやってしまうのでしょうか。
その理由は複数存在しますが、代表的なものをまとめると以下のようになるでしょう。

定員割れに備えている

ちょっとずるい対応なのですが、企業側は「採用予定枠を満たせない」ことを恐れています。
30人の採用枠に対して内定者を20人確保し、あとの10人がボーダーライン上に存在するとき、この10人にはあえて連絡をしないのです。
つまり、内定ライン上にいる学生は予備として確保しておくために、保留の意味が込められていると考えて良いでしょう。
リーマンショック後は企業の人材獲得競争が激化し、人材難が進行しています。
少しでも採用条件に合う人材で予定枠を満たすための、苦肉の策なのかもしれません。

採用コストの削減による影響

採用にかかる人材や期間が長くなるにつれ、コストがかかってしまいます。
近年はコスト意識の徹底が求められるようになり、人材獲得の現場でもそれは同様です。
多数の応募者がいる場合、合格者のみに返事をだし、不合格者には返事を出さない(もしくは後回しにする)ことで、採用の手間を削減していると考えられます。

担当部署の「お見合い」

簡単にいえば、企業側の不手際なのですが、意外と多いのがこの「お見合い」。
担当者Aと担当者Bが採用チームにいるとき、AはBが「お祈りメール」を出すと考えており、Bも同様にAが対応するだろうと考えていると、
結果的に誰も対応しないことになりますよね。
どうしても内定者への対応が優先されますから、お互いに任せているつもりで放置されるパターンです。

単純にメールの不達、もしくは郵便事故

確率は低いですが、このパターンも無きにしも非ずです。
実際に筆者も学生時代、メールの不具合によって合否連絡がこなかったことがありました。

このようにいくつかの理由が考えられるサイレントお祈りですが、やはり大半は企業側の勝手な都合です。
一体、どのくらいの企業が、サイレントお祈りを実施しているのでしょうか。

どのくらいの企業がやっているのか?その割合は?

人事関連の調査研究を行っているHR総研の調査結果を紐解くと、サイレントお祈りがいかに横行しているかがわかります。
調査対象となった企業のうち、「不合格者には通知をしない」と答えた企業は全体の22%。
これを、従業員1000人超の大企業に限定すると、通知をしないいわゆるサイレントお祈り企業は38%にまで拡大します。
一方、従業員99人以下の中小企業では15.5%という結果もありますので、大企業ほどサイレントお祈りをしがちという結果になりました。
大企業の4割近くがサイレントお祈りをするという実態が見えてくると、この問題がいかに深刻かがわかりますよね。

外資系企業でも増えているサイレントお祈り

実はサイレントお祈りの急増は、日本国内に限ったことではありません。
海外でも不合格者に通知をしない企業が増えており、あるデータでは外資系企業への求職者のうち、実に7割以上がサイレントお祈りを経験したといいます。
日本企業と単純比較はできないものの、海外でもサイレントお祈りを導入する企業が増えていることは間違いなさそうですね。

サイレントお祈りにどう対応する?問い合わせは可?

「これはサイレントお祈りかもしれないな」と不安に感じることがあれば、まずは問い合わせてみることをお勧めします。
実際に筆者も、あまりに通知が来ないため次の行動がとれず、問い合わせを実施した経験があります。
結果的に選考過程が長引いていただけで「内定」をもらったのですが、あの不安な日々は苦い思い出です。
学生といえども、内定前は企業と対等に付き合う気持ちをもってください。
弱気にならず、マナーをわきまえつつ問い合わせをすることは、決して失礼なことではありません。
また、問い合わせがあった学生を意図的に落とすということも考えにくいので、あまり気にしなくても大丈夫です。
採用担当者もサラリーマンですし、将来の貴重な戦力を個人の感情で振り落とすことは許されませんから。
返事の有無や期限を明確にしていない場合は、「結果をお知らせ願えませんでしょうか」と問い合わせをしてみましょう。
通知の期限が定めてある場合は経過後3日から5日程度、期限の定めがない場合は2週間後程度をめどに問い合わせをしてみてください。

出身大学による企業側の対応の違いは?

いわゆる「学歴フィルター」のようなもので、企業側の対応が変わることはあるのでしょうか。
これはイエスでもありノーでもあるといえます。
まず、学歴フィルターですが、企業内で明確に規定がある場合とそうでない場合があります。
しかし、できるだけ偏差値や知名度の高い大学から内定者を出したいという思惑はあるのです。
そこで、上位国立大や難関私立大の学生には早い段階で次の採用ステップを通知し、それでも定員に満たなかった場合は後日
残りの候補者に通知するという対応もあります。
ただし、難関大学出身者にはお祈りメールを出し、それ以外にはサイレントお祈りという対応は考えにくいです。
企業側が優先するのはあくまでも「内定者および内定候補者」であって、大学のランクはあくまでも判断基準のひとつでしかありませんから。

まとめ

サイレントお祈りは学生側の都合を無視し、礼を欠いた行為であることは間違いありません。
しかし、長く続いた不況から企業側は「買い手有利」の思考が定着し、学生をないがしろにしている傾向があります。
貴重な若手人材を奪い合う状況になっているうえに、ネット上でいとも簡単に企業の悪評が広まる昨今、かなりリスキーな行動といえるでしょう。
学生側も年収やブランドより、働きやすさや雰囲気の良さを重視する傾向にありますからね。
一方で、企業側の採用コストの都合による面も無視できません。
何千人と応募がある企業になれば、不合格者へ通知を出すだけで膨大なコストになります。
学生側もそのあたりの都合を考慮しつつ、失礼な対応をする企業には毅然とした態度で問い合わせをすべきだと思いますよ。

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