みなさん「ソーシャルリクルーティング」という言葉を知っていますか?
「リクルーティング」とあるので転職や採用に関することだとは何となくお分かりいただけると思いますが、これまでの採用活動のやり方とは全く違う、新しいSNSを活用した採用活動になります。いわゆる待ちの態勢である逆求人とは少し違うので解説していきます。
ソーシャルリクルーティングを知ろう!メリットは?
- オンライン上で企業説明を受けることができる
- 気軽に企業と連絡が取れる
- SNSを通じて自然な形で自己PRできる
- 企業の情報をより深く知ることができる
- 企業SNSを通じて企業からアプローチがくることもある
- ソーシャルリクルーティングにおすすめのSNSはFacebook!
具体的にどういうものなのか、ここでは要点を絞って解説していきたいと思います。
ソーシャルリクルーティングとは?意味を解説!通常の採用活動との違い
現在の通常の転職活動
通常の採用活動、見方を変えると就職や転職をしたい場合、みなさんはどうしますか?
- 転職サイト
- 転職エージェント
- ハローワーク
- 求人誌、新聞の折り込み、会社のHP(直接応募)
上記のいずれかになると思います。
求人を見つけて、それに応募するために履歴書やエントリーシートを書いて、「よそ行きモード」で就活、転職活動をするはずです。
そこには本来の自分はなくて、「就職しやすい偽りの自分」があるのみです。
企業の面接担当や役員も、履歴書やエントリーシートを通して、本当のあなたを見抜こうとしますが、数分~30分程度ではわからない部分もあります。

実は今でも採用に当たっては、本名で検索してその人のSNSを探して、その内容を選考材料にしている企業が少なくないんです。
ソーシャルつまり=SNSを選考の参考にしている事実
具体的にはSNSで良くないことを自慢していたり、炎上していたりした場合、その人はいくら面接が良くても落とします。
潜在的な「地雷」を見つけるためにSNSを覗いているわけですね。
SNSで簡単に炎上する投稿をする人は、顧客対応でもクレームがつくようなことをしてしまうでしょう。
潜在的リスク除去のためにできる範囲で、受験者のSNSを覗いています。
SNSでつながりながら選考活動「ソーシャルリクルーティング」
新しい採用方法である「ソーシャルリクルーティング」は、SNSを相手の本性を見抜くネガティブな手段としてだけ活用しません。
mixやFacebooks、twitter、Instagramをやっているならわかりますが、友人(フォロワー)になれば、「友人限定公開」の投稿を見ることができますし、SNSを通してメッセージのやり取りもできます。

面接に行き、いきなり人事や採用担当の人と会う、「お客様」ではなくSNSでつながった「仲間」として採用の選考を行うことは、今までの採用活動とはまったく異なるもので、最近大いに注目されています。
「ソーシャルリクルーティング」をしていない企業からも勝手に自分のSNSを見られて、判断材料にされているのですから、いっそのこと積極的にSNSを加点材料にしてしまおう、というのがこの考え方、方法になります。

転職メディアを通さないと転職できないということはないですからね。
二種類のソーシャルリクルーティング

1.既存のSNSを活用したソーシャルリクルーティング
Facebookに企業側がページを作り、転職希望者が「いいね」をしてそのページのメンバーになります。
あるいはtwitterやInstagramをフォローしてもらい、毎回のつぶやきや投稿をシェアしていきます。
twitterやInstagramであれば、転職希望者の書き込みも常にフォローできます。
その中でお互いの理解を深めて、ある段階で企業側が採用計画の投稿を行い、希望者がいればそれに応募する形です。

本当はmaxiのコミュニティを使って、ある企業に関心がある人を集めて、そこで好きに投稿してもらうのが良いのですが、最近のmixは廃れてきています。似たような使い方としてはFacebookのグループを共有して、そこで各自に投稿してもらう方法になるでしょうか?
ただし、この方法は転職希望者が警戒します。
過去の投稿を削除したり非公開にしたりしてしまう可能性もあり、かえって警戒される(個人情報やプライベートまで知りたがる企業だ)可能性もあります。
2.ソーシャルリクルーティング専門SNS
既存の有名SNSではなくて、採用活動専門のSNSというものがあります。

ソーシャルリクルーティングSNSは採用を前提とせず、その会社に「いいね」をしてもらい、グループメンバーになってもらったうえで、好きなメッセージの投稿(転職希望者)や、企業側の写真投稿やつぶやきを頻繁に行い、まずその会社や人について理解を深めます。
ある段階で「採用活動しますがいかがでしょうか?」と投稿して、転職したい人がこの会社に応募したい、と思うならば応募するという流れになります。応募せずに、緩い関係をSNS上で維持することも可能です。
ただし、専用SNSですから「よそ行きモード」を維持することはできますので、通常の婚活サイトよりも双方が近い、くらいになるかもしれません。
ソーシャルリクルーティングのメリットとデメリット(企業側)
企業側のメリット
1.相手と信頼構築ができる
実際に求人を出したり応募したりする前に、SNSとして企業と求職者との信頼構築ができます。「この企業はこういう事業をしている」「実際の職場環境はこうだ」ということを理解して応募できますし、企業側も転職の本気度があるのかわかりますし、「他の企業が本命でうちの企業は滑り止め」、のような転職活動の様子がわかるかもしれません。
2.書類選考の手間が省ける
普段の書き込みやSNSのプロフィールでどういう人なのかわかっていますから、あらためて書類選考する手間が省けます。一枚の履歴書やエントリーシートよりも、普段の書き込みの方がよほどその人の本来の姿や意欲を確認することができるでしょう。
3.面接での「化かしあい」を防げる
最初にも書きましたが、面接でつかなくてもいいウソや脚色をする必要がありません。応募してきた人の「素」はSNSによって事前にわかっています。人事面接自体がソーシャルリクルーティングなら不要になり、役員や社長の採取面接だけで済むかもしれません。
4.費用が安い
転職サイトや転職エージェントにかかる費用は数十万~百万円単位になりますが(特に転職エージェントの場合)、ソーシャルリクルーティングならば情報掲載料も格安で、数万円で済みます。
また、自分でtwitterやFacebookを介してリクルートするのであれば、無料SNSですので採用費用が掛からないという超お得なツールになります。
企業側のデメリット
1.情報がコントロールできない
転職サイトならば一方的に情報を発信することができますが、SNSならば絡んできた人の相手をする必要があります。丁寧に返信して、その企業に関心を持ってもらい実際に応募してもらわないといけません。
企業に都合のいい情報だけ出して、それ以外の(ネガティブな)情報は伏せることができない。ネガティブなことについて、回答しなかったり、回答を間違えるたりするとあっという間に拡散してしまいます。これは、普通に転職サイトで募集していたら知られなかったことなのかもしれません。
2.炎上しやすい
転職エージェントや転職サイトを利用している企業でも、面接や選考過程で何かあればSNSや「みん就」などの掲示板に書き込まれて炎上してしまいます。
SNSを使っているということは、他の手段よりもはるかに炎上しやすいリスクがあります。文章の推敲をせずに回答してしまう、うっかり言ってはいけないことを言ってしまう、相手に対する誹謗中傷ととられかねない言動等、リアルタイムで全世界に向けて発信することの怖さはどうしようもありません。
3.SNSの難易度が高い
SNSで発信するためには、それなりの熟練度、「慣れ」が必要です。一方的に情報をつぶやいてもあまりユーザーの心には響きません。リツイート、「#」(ハッシュタグ)の使い方など、SNS熟練者ならば、これを使ったソーシャルリクルーティングが上手くいきますが、そうではない人は素直に転職サイトから募集をかけた方がいいでしょう。
特にメールもやっと、というスキルの役員クラスが「積極的に交流を」としゃしゃり出てしまうと、思わぬ失敗をするかもしれません。会社の財務体質や内部情報などを書き込んでしまったら・・大変ですよね。SNSを使いこなせるスキル、リテラシーがないとソーシャルリクルーティングはすべきではないかもしれません。
ソーシャルリクルーティングのメリットとデメリット(応募側)
応募側のメリット
1.求人とのミスマッチが減る
企業側のアカウントと交流していきますので、実際の応募条件との齟齬が減ります。また、「こんな企業だとは思わなかった」「この企業ノリと自分はまったく合わない」といった転職当初に感じるギャップも減らすことができます。
企業が求める人材像とのミスマッチが転職を希望する原因であるとも思います。この負の連鎖を、企業の姿が見えやすいソーシャルリクルーティングで断ち切って、本当に自分が行きたい企業を見つけましょう。
2.自然な形でPRできる
ソーシャルリクルーティングSNSで企業側の人とやり取りをしたり、書き込みで本来の自分を見せやすくなりますので、面接やエントリーシートで無理やりなPR、虚飾・脚色されたPRをしないで済みます。
採用面接は苦手だという人も、ソーシャルリクルーティングならば自然な形で自分の魅力をアピールできるかもしれません。
3.他の選考に先んじて採用されるかも
ソーシャルリクルーティングを行っている企業の中には、通常の選考よりもソーシャルリクルーティングで、まず優秀な人材を見つけたいというところもあるかもしれません。通常選考に加えて「特別選考」も受けられるとしたら、SNSに参加しない手はないですよね。
応募側のデメリット
1.普段の書き込みやフォローアカウントが見つかる
実際に「不採用の材料」として、twitterやFacebookの投稿を見る企業が存在します。発言は自己責任ですが、それによってマイナス評価を食らう覚悟はありますか?
さらに、SNSの友人から交友関係も推測されます。フォローしているアカウントで趣味趣向もバレるかもしれません・・・、怖いですね!
2.ストレスがたまる
SNSに自分の趣味趣向や言いたいことを吐露してストレス解消している人もいますよね。結局、採用されるために「きれいな書き込み」「きれいなアカウント」を演じることは大きなストレスになります。
「本当の自分」を評価してもらうためのソーシャルリクルーティングなのに、結局面接以上に24時間SNS上の自分を演じなければならくなるとしたら、本末転倒もいいところです。
3.炎上すると他企業の選考にも影響する
複数の会社の選考についてソーシャルリクルーティングで行っている場合(twitterやFacebook、就職専用SNSを問わず)、ある書き込みの炎上が他の企業の選考にも影響するかもしれません。
ある分野の企業を批判し炎上してしまうと、関係ない他企業も「炎上体質」の人を採用したいとは思わないですよね。通常の選考ならばごまかせたご自身の体質が、ソーシャルリクルーティングだとあっさりバレてしまうかもしれません。

ソーシャルリクルーティングの成功事例
フェイスブックやTwitterを使ったソーシャルリクルーティング活用事例を掲載しています。
Facebookを活用
1.NTTドコモ
NTTドコモではFacebookに専用ページを設けて、企業説明のためのオンライン説明会を行っています。
就活の際に大変なのは、その企業まで行き説明会を受けることですが、SNS上からライブ中継ができれば手間も省けますし、応募者のSNSの投稿内容も確認できて、双方「win-win」の関係になります。
2.双日
総合商社の双日もFacebook上にページを持っています。正直に「体育会系がいい」と人事担当者の「本音」も投稿していて話題になりました。会社のHPでこんなことを書いたら問題になりそうですが、SNSでの個人的な見解ならば許されるのだと思います。
事実、総合商社では体育会系のような気合と根性がないと厳しい場面も多いのでしょう。
1.日本オラクル
日本オラクルでは、Cloud アプリケーションコンサルタントのポジションが目白押し。是非、エンジニアTYPE転職フェアでは、当社のブースへお越しください。https://t.co/D2wI0hUd0s
— 日本オラクル採用(鈴木宏彦) (@Oracle_JP_Saiyo) 2018年1月16日
日本オラクルでは採用担当者が名前を出してtwitterを行っています。なんと、twitter経由で(メッセージ機能を利用して)採用に応募することもできます。
応募する(メッセージを送る)ためにはフォローし合うことが必要ですので、その担当者にもみなさんのtwitterが筒抜けになります。本来の意味でソーシャルリクルーティングができます。自信がある人はぜひ。
2.講談社
♪採用アカですが♪
本日入社式を迎えられた皆様、おめでとうございます。
そんな皆さんへ『図解 仕事の基本 社会人1年生大全』をオススメ!
身だしなみ、敬語など基本知識から、上司世代とのギャップの埋め方、折れない心の作り方まで。いまどき社会人の仕事術を網羅☆要Check!#講談社 #入社式 pic.twitter.com/BcGBAg0eQM— 講談社 採用担当 (@kodansha_saiyou) 2018年4月2日
講談社の採用担当の人もtwitterをやっています。「一応は公式アカウントですが、担当者個人の見解がかなり含まれますし、中の人は採用担当者ですけど責任者ではないので、つぶやきの取り扱いには十分ご注意ください。」と断りがありますが、実際にどうなのかはみなさん自身の責任と判断になります。
講談社は面接前の筆記に大量の希望者が集まるので、まずそれを突破することが何より大切です(筆者は新卒就活の時、講談社の面接まで行きました(面接番号1番!)。落ちましたが・・・)
1.三井住友カード
カード会社最大手三井住友カードの採用専門アカウントです。Instagramなので写真投稿がメインになっています。内定者による顔出しや、この会社に入ったのか?会社でしたいことなどをここから見ることができます。SNSですからフォローすればメッセージ投稿も可能です。
ソーシャルリクルーティングでtwitterやInstagramは結構難しいようで、やはり双方実名でできるFacebookの方が現状向いているかもしれません(実名制のFacebookでゲスなことを書く人はそんなにいないですからね。だから転職希望者も構えないで済みます)。
ソーシャルリクルーティング専門SNSを紹介!
twitterやFacebookでソーシャルリクルーティング選考を行う企業もありますが、最近はソーシャルリクルーティング専用のSNSもできています。
いずれも、転職サイトとは違い、SNSに投稿しながら合う企業があれば応募したり、企業からアプローチがあったりいます。和やかな雰囲気のサイトなので、通常の転職サイトのように「選考一色」でピリピリしていませんので、試しに登録してみても面白いでしょう。
Green
IT業界に特化したソーシャルリクルーティングサービスの求人サイトです。SNSによくある「いいね」(このサイトは「気になる」)でマッチングして「繋がり」、その後「会って」(ファーストコンタクト)、選考ステップに進みます。
そう、婚活サイトの仕組み(「いいね」→マッチング→メッセージやり取り→実際に会う)にそっくりなんですね。まず会ってフィーリングが合うかどうか確認するのですが、その前にメッセージでやり取りできます。
Wantedly Admin
こちらは「ソーシャルグラフ」(Web上の人間やコンテンツとの相関関係)いよって、登録している人の友人関係や友人の評価などが出てどういう人なのか判断できます。Facebookならば友人候補が推測されて出ますよね。あれに使い機能で、どういう人と既存のつながりがあるかどうか結果が出て、それに基づいてどういう人なのか判断するサイトです。
加えて、求職者は「話を聞きたい」、企業は「招待する」ことで両者のコミュニケーションが始まります。「応募」ではないことに注目です。
Forkwell Jobs
エンジニアの人が運営するエンジニアに特化したソーシャルリクルーティングサービスです。自分の詳細な経験やスキルを登録し、友人とのつながりも「ソーシャルグラフ」で表現されます。
登録できる企業は厳密に審査されるため、ホワイト企業が多くありがたいです。「話を聞きたい」ボタンから企業側とコンタクトがスタートします。

簡単に言うと
Facebookのつながり+マッチングアプリの気軽さ
を持っているところが多く、「応募」ではなく「コンタクト」であることが注目されます。
登録して、徐々にプロフィールを整備していくのでも構わないと思います。
他の転職サービスとソーシャルリクルーティングを併用してみてはいかが?
ソーシャルリクルーティングサービスはまだ日本ではスタートしてばかりで、軌道に乗る前の段階です。
だからこそ、他の転職希望者に先んじて有利な条件で転職できる可能性もありますが、導入していない企業も多く、やはりいつもの転職サービス(転職サイト、転職エージェント)と掛け持ちをした方がいいでしょう。

だから、ご自身のいつも使っているSNSについても使い方をブラッシュアップしてください。
SNS時代の転職活動の成功は使い方にかかっています。
SNSを使っていない人は、無理に登録しなくてもいいでしょう。
プライベートがバレるリスクがないのですからね。
ソーシャルリクルーティングとは? まとめ
- ソーシャルリクルーティングサービスとは通常の転職サイトではなく、SNSでつながってから採用をする新しいスタイル
- 今でも企業は採用に当たって個人のSNSをチェックして「落とす」材料にしている
- ソーシャルリクルーティングでは「素」の自分を良くも悪くも評価される
- メリット、デメリットを良く理解する
- 企業側は採用コストを下げて応募者について深く調べられる
- 企業も転職希望者もSNSの炎上には注意する
- 一度迂闊に書き込んだら拡散してしまうリスクを良く理解する
- まだ日本では一般的ではない転職スタイルなので、他の転職サービスと並行、併用した方がいいかも
- 実際にソーシャルリクルーティングサービスを使っている有名企業も多い
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