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「転職サイト」は転職を検討している方々が求人情報を得る手段として、今や不可欠な存在と言っても過言ではありません。

この記事をご覧になっている方も既に複数の転職サイトへ登録を行い、活用しているという方も多数いると思われます。

ところが、それだけ求職者の方々にとって重要な存在になったにも関わらず「転職サイト」はその意味を混同されたまま使用される場合がしばしば見受けられます。

どのような混同かということですが、それが今回のテーマでもある「転職サイト」と「転職エージェント」の混同です。

「転職サイト」と「転職エージェント」は同一視して理解されている方が大変多いのですが、実は両者は大きく異なります。

また、両者の違いを正確に理解することは今後の転職活動をより効率的、効果的にすすめる上でも大切になってきます。

そこで今回は転職サイトと転職エージェントの違いを、それぞれのビジネスモデルも交えてわかりやすく解説して参ります。

 

転職サイトと転職エージェントの最も明確な違い:「許認可事業」であるかどうか

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まず転職サイトと転職エージェントの両者を大きく隔たる、最も明確な違いから説明します。

それは行政の許可を受けて行なう必要がある事業即ち許認可事業であるか、そうでないかの違いです。

この点で「転職サイト」と「転職エージェント」は

check-c081 転職サイトの運営:許認可不要

check-c081 転職エージェントの運営:厚生労働大臣の許認可が必要

と明確に区分されます。
転職サイトの運営だけなら厚生労働大臣の許可を得ることなく、極論すれば誰でも運営することが可能です。

一方転職エージェントは民間企業が勝手に行なうことは許されず、事業を行なう場合には厚生労働大臣の許可を事前に得る必要があるのです。

許可が必要な事業とは「職業紹介」のこと

厚生労働大臣の許可が必要だということはわかりましたが、具体的にどのような事業を行なう場合に許可が必要になるのでしょうか。

この点を法律(職業安定法)用語に基づいて説明するなら、「職業紹介」に該当する事業を行なう場合に許可が必要となります。

職業紹介とは単に求人情報を求職者に提供することを指すものではなく、求人企業と求職者の間に入って両者へ積極的に関わり、求人企業と求職者の雇用契約が成立するよう仲介や斡旋を行なったり便宜をはかったりすることを言います。

この法律に定められた「職業紹介事業」を行なっているのが「転職エージェント」という訳ですが、更に正確に言えば、転職エージェントという呼称は一般用語であり、法律上の言葉を当てはめた場合には「有料職業紹介事業者」という呼称が該当します。

では転職エージェントが有料職業紹介事業者としてちゃんと許可を得ているかどうかをどう確認すれば良いかですが、許可を受けた事業者には「許可番号」が付与されています。

実例で確認してみましょう。

例えば「DODA」でお馴染みの大手企業インテリジェンス社の「会社概要」ページで確認してみることにします。
(インテリジェンス社・会社概要)

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会社概要中段において「許可番号」という見出しがあり、その見出しに

「有料職業紹介事業許可番号 13-ユ-304785」

と掲載されていることが確認できます。

13は都道府県番号で東京都を意味し、カタカナの「ユ」は「有料」(無料で行なっている場合は「ム」)でその後は6桁の数字が並んでいますが、これが有料職業紹介事業者として許可を受けた証となる番号です。

この許可番号を得ていない事業者の職業紹介行為は法律違反となるため、そのような事業者を利用した場合、最悪、自身の転職自体が水の泡となってしまう可能性もあります。

従って、転職エージェントを利用する場合には、有料職業紹介事業者としてまず許可番号があるかどうかを確認することです。

更に、もしその許可番号が適性なものかどうかも確認しておきたいという場合には、下記サイトで調べることができます。

(厚生労働省「人材サービス総合サイト」)

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「転職エージェント」が許可が必要で「転職サイト」が許可不要となる理由について

転職エージェント(=有料職業紹介事業)を行う場合には厚生労働大臣の許可が必要なのに対して、転職サイトは許可不要と説明しました。

従来「転職サイト=転職エージェント」として理解されてきた方々にとっては、とてもわかりにくい話となってきましたね。

そこで転職サイトはなぜ許可が不要なのか、即ち行政サイドは「転職サイト」と「転職エージェント」どのような解釈に基づいて区分しているのか、厚生労働省が定めた基準(※)に基づいて説明致します。

※参考情報:「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準について」

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「転職サイト」は「求人情報・求職者情報提供」事業という位置付け

先ほど「※参考情報」として紹介した、厚生労働省のサイトの見出しについて着目してください。

「民間企業が行なう・・・・”求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分”・・・」

となっています。

この見出しから

check-c081 転職サイト:求人情報・求職者情報提供

check-c081転職エージェント:職業紹介

といった区分をしていることが伺えます。

では転職サイトが該当する「求人情報・求職者情報提供」とは具体的にどのような行いを指すのでしょうか。

「求人情報・求職者情報提供」とは何か

「求人情報・求職者情報提供」とは「求人情報又は求職者情報を提供するのみで、求人及び求職の申込みを受けず、雇用関係の成立のあっせんを行わない」と定義付けられており、且つ「職業紹介ではない」とされています。

つまり求人情報をネット上で公開し、それを閲覧できるだけのサイトであり、雇用関係成立に向けた働きかけを行なわなければ法律上「職業紹介」に該当せず、誰でも運営することが可能となります。

求人企業への応募申込を行なえる仕組みがある場合はどうなるのか

もっとも、求人情報提供だけをサイト上で行なうという話ならわかりやすいのですが、「求人及び求職の申込みを受けず」という部分が加わると少々わかりにくい話になってきます。

何故なら転職サイトではネット上で公開されている求人情報に対し、サイト上から「応募」できる仕組みを備えている場合が殆どだからです。

この仕組みはまさしく「求職の申込み」をサイトが「受けている」ように思えますが、この点について厚生労働省は次のようにはっきりと説明しています(部分抜粋)。

”情報提供事業者のホームページ上にある求人に対し、求人者が当該ホームページを経由して電子メールを送信することにより直接オンライン上で応募又は勧誘できる仕組みを設ける場合には(一部省略)求職者又は求人者に対して必要なメールアドレスを提供しているに過ぎず、このことによって職業紹介に該当するものではない”

わかりやすく翻訳すると、要はオンライン上で求人企業に応募できる仕組みが用意されていたとしても、求人企業がサイト経由で知らされた求職者のメールアドレスを使用して求職者と交渉を行なう仕組みなら、サイト運営者が「求職の申込みを受ける」ことには該当せず、「職業紹介」にもあたらないということです。

ではご紹介した事項のポイントを踏まえ、両者の違いを整理してみましょう。

check-c081 職業紹介(=転職エージェント):求人企業と求職者の間に積極的に入り応募や採用の個別勧奨を行い、雇用関係が成立するよう便宜を図ること

check-c081 求人情報又は求職者情報の提供(=転職サイト):求人情報の提供だけを行なうこと、もしくは求人情報に対し応募申込ができるサイトでも、求職者と求人企業が直接連絡し合う仕組みとなっており、サイト事業者が雇用契約成立に向けたあっせんを行っていないこと

この点が「転職サイト」と「転職エージェント」との違い、具体的には提供されるサービスの違いとして理解することができます。

なぜ「転職サイト=転職エージェント」という見方が広まったのか

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このように厚生労働省がいわば転職サイトと転職エージェントの違いを明確に提示しているにも関わらず、「転職サイト=転職エージェント」という認識や見方が求職者の間で広まってしまったのは何故でしょうか。

この理由は簡単です。

「転職エージェントが転職サイトも運営している場合が圧倒的に多いから」です。ほとんど全ての場合と言っても言い過ぎではありません。

転職エージェントが儲かるには、一人でも多くの求職者を求人企業へ紹介し、雇用契約を成立させる必要があります。

そのためには一人でも多くの求職者を自社サイトに誘引するなどして、サービスを利用するよう呼びかける必要があります。

求職者が熱心に探している情報と言えば「求人情報」です。

そこで、転職サイトを運営すれば多数の求職者のアクセスが見込めますし、その中からサービスを提供する登録者を集うこともできるようになりますので転職エージェントが自社で「転職サイト」を運営するのは元々取り組みやすい上、広告宣伝としても大変合理的な手段となってきます。

その結果、転職エージェントは積極的に転職サイトも運営するようになっただけでなく、より宣伝効果を高めるために「転職サイト」の方を大々的に広告している場合が多いため、いつしか転職サイト=転職エージェントが同一視されるようになった訳です。

転職サイトと転職エージェントのビジネスモデルの違い

転職エージェントが積極的に「転職サイトも」運営してる場合がとても多いのは事実ですが、転職サイトのみ事業として運営している場合もあります。

当サイトでも該当する転職サイトをいくつか紹介していますが、例えばyahooが運営している「キュリア転職」は転職エージェントではなく転職サイトです。

では転職エージェントと転職サイトの「ビジネスモデル」、わかりやすくいえば儲けるための方法としてどのような違いがあるかについても説明しておきましょう。

転職サイトは「求人広告掲載料」収入が基本

転職サイトは、サイトに求人広告を掲載した企業から支払われる求人広告掲載料が主な収入の柱となります。

この点は雑誌が広告記事を掲載した場合、広告主となる企業から広告掲載掲載料をもらえますが、このビジネスモデルと基本的に同じですね。

詳細な料金設定は転職サイトによって異なりますが、ページの面積や掲載する情報料等によって料金が異なるほか、例えばトップページに見出しやバナーと共に紹介し、求人情報がより目立つようなサービスをオプションサービスとして利用すればその分利用料が発生するといった仕組みが一般的です。

尚、転職サイト利用により求職者が料金を徴収されることはまずありません。求職者側は無料で利用することができます。

転職エージェントは「採用」成立時の成功報酬が基本

転職エージェントは、求人企業に求職者を紹介、あるいは斡旋したしただけでは報酬は発生しません。

求人企業が紹介を受けた求職者をちゃんと採用できてはじめて求人企業側から支払われる、成功報酬が主な収益源となっています。

一方、職業紹介法の定めとして、転職エージェントは原則として求職者側から料金を受け取ることを原則禁止しています。

そのため、転職エージェントは求職者が就職や転職を果たせるよう、応募書類を添削したり、面接指導を行なったり、求人企業側に推薦状を書く等々、様々な手厚い支援を「無料」で懸命に行なってくれる訳です。

例えるなら転職エージェントと求職者はWIN・WINの関係であり、手厚い転職支援を受けても料金を請求される心配はありませんので、安心して利用することができます。

さて転職サイトと転職エージェントの違いについて説明して参りましたが、如何だったでしょうか。

指摘したとおり「転職サイト=転職エージェント」ではありませんので、転職サイトへ登録したら転職エージェントが行ってくれる手厚い転職支援サービスが必ず受けられるとは限りません。

もし転職エージェントが提供できるサービスを望む場合はサイト上の説明だけでなく、「許可番号」などを手掛かりに確認すること、転職サイトと転職エージェントを混同せず区別し、それぞれのサービス内容を踏まえた上で活用することが大切です。

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