東京へ行かないと年収は上がらないのか?場所を選ばない働き方

トイアンナ
就職したいなら、東京へ行け。就活している学生には、常識なようだ。日本政策学生会議の調査によれば、地方からの人材流出は進学と就職がツートップ。地方のトップ大学を出ている学生も就職活動を期に東京の面接会場へ通い、都内での就職を選択していく。

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だが、本当に都内就職が最善なのかには、疑問がある。だが、都市部は暮らしにかかる費用が高い。私は新卒で地方へ就職し、その後東京にある会社へ転職した。地方在住だったころは年100万円貯蓄できていたが、転職後はすっからかんになった。引っ越しでお金が無くなったのもあるが、何しろ都会はお金を使う誘惑が多い。生活費は地方と都心でそこまで変わらなかったが、余計な出費がとたんに増えるのだ。

たとえば「友達と遊ぶ」ただそれだけにかかる費用が、地方と都心では全く異なる。地方なら川べりでダラダラとビールを飲んでいたのに、都心では「じゃあ表参道のガレット屋さんへ行こうよ」となるからだ。人付き合いを減らしたくないと思えば、都心ではお金が消えていく。

最初は都心での就職がいい、けれどその後は?

確かに雇用の数なら、東京・大阪の二大都市が多いだろう。私は就活のテクニックを教える仕事もしているが、都心での就職を最初はお勧めしている。大企業の本社は多くが東京・大阪へ集中している。大企業かどうか、あるいは本社かどうかで、年収は初年度から大きく変わるからだ。

さらに女性の場合は、地方だと正社員職の数すら限られている。私の実家がある地方では、女性で正社員になろうと願うなら大半は「市役所か、教師か、看護師」という世界だった。どれも専門的な技能が求められる専門職だ。私なんか、このどれを志望したってミスを連発して首になりそうである。(歯科)医師、弁護士、薬剤師なら地域を問わないが、さらに難しい。「フツーに大学を卒業して、フツーに就職」したい人にとって、地方就職はハードルが高すぎるのだ。

しかし「最初に東京へ就職する」ことと「ずっと東京にいる」ことは、まったくの別問題である。

Wherever(どこでもいける)働き方

就職活動ではよく「東京・大阪から離れたくない。転勤のない職場はどこか」と相談される。だが、都心部へしがみつくことで失うものも多い。地方支社がある会社は受けられない。転勤する可能性のある彼・彼女とは結婚できなくなる。転勤のない「エリア総合職」を選ばざるを得ないので、給与の伸びが鈍くなる。最初の就職口は都心をオススメするが、一方で永住を前提に都心へしがみつくことで、失うものは多いのだ。

いますぐ地方へ行け、という話ではないが「地方、あるいは世界のどこでも働ける」キャリア形成を考えておくのは、未来を切り開く突破口になる。

こんな話をするのも、私がキャリアでどん詰まったからだ。東京の会社で働いていたとき、私は自分のキャリアに満足していた。しかし急に夫の海外転勤が降ってきた。夫についていきたいなら、仕事を辞めるしかない。しかし私は専業主婦に向いていないし、家計の年収が半分になるのはしんどい。かといって、遠距離で何年も暮らせるだろうか……?

悩んだ末に、私はフリーライターとなった。当初から優しい取引先にお声がけいただけたおかげで、いまでも食べていけている。しかし、その理由は運だった。偶然、趣味でブログをやっていた。偶然、ライターの案件をそこからいただいた。ふと参加した飲み会で案件をいただいた。偶然私は生き残っただけで、同じキャリア選択をしても食べていけないパターンの方が多いだろう。

だから後悔している。「もっと、どこにいても働ける人生をおくる準備をしておけばよかった」と。

人生で住む場所を「選べる」とは限らない

都会にいたいと願っても、最後まで住めるとは限らない。地方にいるあなたの親が要介護になるかもしれない。年を取ってから転居をするのは大きなストレスになるから、あなたが地方へ戻る可能性は高い。不景気になれば東京でも仕事がなくなり実家へ戻るかもしれない。自営業の親戚が「やっぱりウチを継いでくれ」と言い出すかもしれない。結婚相手が地方へ住むかもしれない……。

都心へ住むのは「選択」ではなく、幸運の産物だ。だからこれからもずっと都心部へ住む前提で、キャリアを限定していくのはもったいないと思う。いま都心にいるのなら、わざわざ地方へ引っ越すことはないだろう。だが、今のうちに「Wherever(どこででも)働ける生き方」のリスクヘッジをしてもよいのではないか。

まず都心部から仕事を受注して、地方で働ける土台作りをするのがベストだろう。何だかんだ言っても、発注単価は都心部のほうが高い。だったら住まいは地方になっても、都心部から仕事を受けられるようになればいい。

今から準備できる3つのアクション

具体的にできる対策は3つ。まず、電話会議やリモート勤務ができる最低限のリテラシーを整えること。「Skypeって何ですか?」「SlackやChatworkって何?」状態からは脱しておいたほうがよい。全部合わせて5時間もあれば使いこなせるツールなので、何それ、と思った方はぜひ導入してほしい。

次に、営業回りは都心に住んでいる今からやっておくこと。地方や海外在住となれば、顔を合わせての打ち合わせができない。「顔もわからないヤツに案件は回せない」と思われないためにも、都心に住んでいる今のうちから顔合わせをたくさんしておこう。将来「ああ、あの人ね」と仕事をいただけるかもしれない。

最後に、あきらめないこと。伴侶の海外転職、転勤や介護など、人生では「もうキャリアを築くのはムリだ」と投げ出したくなる瞬間が何度もやってくる。けれど意外と、探せば突破口はある。リモート勤務、時短勤務などをあきらめずに探してほしい。いつか世界のどこにいても活躍できる人材として、あなたの名前が広がることを願っている。

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トイアンナ
売文業◆分野:恋愛、就活、マーケティング、グルメ、Gender Equality◆お問い合わせ窓口 toianna.blog@gmail.com