うつ病になった人が、その後人生を反転させるためには転職しかありません。元の会社では、降格等になる可能性もありますし出世は絶望的です。

うつ病になった原因がその会社自体にある場合(部署異動では解決できない場合)、は働くところを帰るしかないですからね。

そうしたうつ病の転職の場合、転職サイトを使った方がいいのか、転職エージェントを利用した方がいいのか、筆者もうつ病経験者なので割とシリアスに考えてみました。

■大前提 とにかく回復最優先!

ご家族がいる場合や、金銭的な面で働かざるを得ない場合もあるかもしれません。しかし、うつ病の場合は「完解」しない状態で復帰しても、また簡単に症状が悪化してしまいます。

筆者も、かつて休職からの復職を経験しましたが、最初の休職からわずか2か月で働けなくなってしまいました。うつ病の原因となった部署からは完全に異動して、全く仕事内容的に問題がなかったのにも関わらず、です。

まして、それが転職して違う職場に行っていたなら、ストレスは半端ないでしょう。そこでまた症状が悪化してしまったら、せっかくの転職活動も台無しになってしまいます。

まずは腰を落ち着けて回復した方が絶対にいいです。おそらく、というかほぼ確実に元のキャリアコースに戻ることはできません。ならば開き直って回復させていくのを優先させた方がいいです。

□「退職」ではなく、まず「休職」

今の会社を辞めて転職したい、という気持ちはわかりますが、うつ病の症状が出ている段階では退職は避けた方が賢明です。うつ病をはじめとした精神疾患の場合、人生において重要な選択はすべきではない、というのが私も医師もカウンセラーも一致する見解です。

うつ病によって脳が疲れて判断力がなくなっています。また、退職に伴う手続き自体億劫でできないという人もいるでしょう。

だから、まず会社の休職制度を利用して「何も考えずに休める」状態を作ってください。休職ならば、社会保険、年金等の手続き、支払等はすべて人事や総務がやってくれるはずです。

転職するにしても働きながらよりも休職中に何かした方がいいと思います。本来的には、「働けない」という診断書を提出して休職しているので、働くための転職活動ができるのはおかしいのですが、法的には問題ないです。

ただし、下記の「傷病手当金」受給中に会社以外でアルバイトをして収入を得てしまうとアウトなので注意してください。

とにかく、余計なことを考えずにある程度休んで脳を回復させるのを第一に考えてください。

□金銭面では「傷病手当金」の活用を!

「じっくり回復」といっても、休職したり退職したりしたら収入がありません。そこで活用したいのが「傷病手当金」になります。

傷病手当金とは、1年以上同じ会社に勤めていた場合もらえる保険金で、1回、もらい始めてから1年半だけ、給料の7割が保障されるという公的制度です。保険金なので、これに所得税などはかかりませんし、確定申告の必要もありません。

これで当座の生活はしのげるはずです。家族がいる場合も7割の給料が出るならば何とかなるはずです。

ただし、傷病手当金がもらえるのは最大1年半なので、その中で回復させて問題なく働ける状態にしないといけません。

金銭的には何とかなるのですから、この制度を大いに活用してください。

□退職ではなく休職がいいもう1つの理由

さっさと退職して転職活動を・・、という方、少し待ってください。転職活動をしてもすぐに決まるとは限りませんし、うつ病の症状が重くなってしまえば動けなくなってしまいます。

そうなると「履歴書の空白期間」が長くなってしまいます。言うまでもなく「空白期間」が長ければ長いほど転職には不利ですし、その理由も聞かれます。

「うつ病で辞めました」

とはなかなか言えないですよね。

でも、休職ならばその間会社に在籍していますから、履歴書の空白期間にはなりません

「新しい会社に年末提出する『源泉徴収票』でバレる」(休職期間中は働いていないので給料はなく所得はありません。だから不自然に「給与所得」が少ない源泉徴収票になる)という意見もありますが、それを理由に一度雇用した会社から解雇できないですし、そこまでチェックしている人事は少数だと思います。

社員

退職して転職活動をするデメリット>休職して源泉徴収票でバレるデメリット

であり、もらえるもの(傷病手当金)をもらいながら療養し、症状を回復させないと取り返しがつかなくなります。

以上、療養最優先で行動していただき、ある程度回復したら転職活動に入ります。その場合、転職サイトと転職エージェント、どちらがいいのでしょうか?

■うつ病で転職する場合の転職サイトのメリット、デメリット

一般的な転職サイトと転職エージェントの比較、メリット、デメリットについては、当サイトのトップページ

に詳しくまとめていますで、そちらを読んでください。ここではうつ病のケースに特化してまとめてみたいと思います。

□転職サイトのメリット

①家にいながら求人が見られる

療養中とはいえ、うつの症状が出てきてしまえば外に出るのが大変になります。でも転職サイトを眺めることくらいは家のPC、あるいはスマホでできるはずです。

今の自分にできることが何なのか、とりあえず把握できるのが転職サイトのメリットですね。

②自分のペースで進められる

転職サイトなら今すぐの求人ではなく、ある程度先に採用される求人も掲載されています。長期的なスパンで転職を考えるケースでは、転職サイトのほうがよくて、業界動向や採用人数などを確認しながらご自身の転職計画を進めることができます。

□転職サイトのデメリット

転職サイトのデメリットは、書類の作成、応募、スケジューリング等を全て自分で行わなければなりません。

うつ病によって脳や体のパフォーマンスが落ちているときに、これをするのは大きな負担です。

だから本気で転職しかない!と思っている場合は、十分に回復して「完解」と呼べる状態まで持っていいき、短期戦で勝負した方がいいということになります。

■うつ病で転職する場合の転職エージェントのメリット、デメリット

□転職エージェントのメリット

①書類作成、応募等全てお任せ

うつ病にかかわらず、転職エージェント一般に該当することですが、全てエージェントがやってくれます。

これはパフォーマンスが落ちてしまった人にとってはありがたくて、例えうつ病が回復しても、もとの100%まで戻ることは稀です。リハビリも必要であり、その中で自分で応募して履歴書やエントリーシートを書くのは負担が大きすぎます。

でも転職エージェントならば完全お任せで転職活動ができます。細かい作業のストレスや面倒なスケジューリングから開放されて、面接等に専念できます。

②うつ病について理解があるエージェントも

うつ病で転職したい、うつ病にかかったことがある、現在薬を飲んでいるなどご自身の現状を話すことで、特段の配慮をしてくれるエージェントがいるかもしれません。

社員

うつ病であることを話すかどうかについては

うつ病で転職エージェントに診断書提出は義務?告白によるメリット&デメリット

を読んでいただければと思いますが

ⅰ)うつ病可、配慮してくれる求人を探してくれるエージェント
ⅱ)うつ病、病気になった人専門のエージェント

2つの可能性があります。

私は「本当に回復して何の問題もない場合」以外は、うつ病だった旨話しておくべきという立場です。

転職エージェントは転職させることで歩合給を得ていますから、より転職しやすい、定着してくれるところ(転職後数か月勤務しないとマージンが発生しない場合が多い。すぐに辞めてもらうと困る)を斡旋してくれるはずです。

転職後、穏やかな環境で働きたいのであれば、業界の内情に詳しい転職エージェント経由の応募のほうが優れています。

□転職エージェントのデメリット

①内定が出たらすぐに転職すること前提

転職サイト経由の応募と違って、転職エージェントは即戦力即採用です。内定が出てからすぐに今の職場へ辞表を出して・・・、ということが求められますから「まだ本当働けるのかわからない」くらいの症状であれば、転職エージェントを使うと逆効果です。

すぐに別の職場に転職して、またうつ病が悪化してしまうかもしれません。「もう大丈夫、すぐに働ける」という自信があれば大丈夫ですが、そうでないならばやめた方がいいかもしれません。

内定が出ても断り続けると、当然エージェントからの信頼がなくなります。

②断られる可能性も

転職エージェントの場合、「商品価値なし」と判断されれば「申し訳ないですが・・・」とお断りされる可能性もあります。

特に「空白期間」が長い場合、うつ病によるもの以外の説明ができないと厳しいと思います。

ただし、一般的な求人を扱う大手の転職エージェントは断られる可能性がありますが、

⇒うつ病で転職エージェントに診断書提出は義務?告白によるメリット&デメリット

にリンクがあるような、病気の人や障害者、精神疾患専門のエージェントならば対応してくれると思います。

病気ならばそれについて詳しくて、理解がある会社に転職した方がいいですから、「餅は餅屋」で専門エージェントのほうが断られませんよね。

■回復に自信があれば転職エージェント、まず様子見ならば転職サイト

以上、転職サイトと転職エージェントのメリット、デメリットを書きましたが、具体的には以下のような転職計画を立てるといいでしょう。

 

①まず回復・療養に専念する

②多少良くなったら「様子見」で転職サイトに登録

③気に入った、できそうな仕事があれば転職サイトから徐々に応募

④転職活動に自信が出てすぐにでも働けると判断したら転職エージェントに登録

⑤転職エージェントに登録する際には、うつ病であったことを正直に話した方がいい

 

つまり、本当に転職しても大丈夫な自信があるならば転職エージェント、そうでないならば転職サイトで様子を見る、ということでいいと思います。

■(番外)ハローワークは使える?

最後に「ハローワーク」についても触れておきます。あまり使えないというのが正直な意見です。

担当者はあまり慣れていませんし、うつ病であるからどうこうという配慮もありません。障害者向け窓口で障害者向け求人もありますが、うつ病=障害者ではありませんし、精神疾患の人向けの求人自体が少ないのでおススメできません。

障害者向け、あるいは「うつ病の人可」の求人を探すのであれば、素直に障害者、病気の人専門の転職エージェントなどに登録した方がいいです。

ハローワークの窓口は基本的に平日のみですし、あまり時間が取れない人には厳しいと思います。

ですので、ハローワークは退職してしまった場合に失業手当の受給をするところ、くらいのイメージでいた方がいいと思います。

ただし、失業手当は働けることが前提ですので、まだ傷病手当金を受給している人は、働けないということですので(失業手当は)もらえません。その点は注意してください。

■シリアスに考えるうつ病で転職する場合は転職サイトor転職エージェント? まとめ

  • 転職サイト、転職エージェントそれぞれにメリット、デメリットがある
  • まずはうつ病の症状を回復させるのが最優先なのが大原則
  • 退職をせずに休職をして傷病手当金をもらいながら回復への時間稼ぎをした方がいい
  • 少し症状がよくなったらまず転職サイトを眺めてみて求人動向を把握する
  • 完全に完解してすぐに働ける状況になれば、転職エージェントへの登録も考える
  • 転職エージェントには正直に病気のことを話した方がいい
  • ハローワークはあまり当てにしない