精神疾患のケース※就業不能保険のうつ病など病気別の支払条件や対象商品を語る

うつ病などの精神疾患で休職したり働けなくなったり、退職を余儀なくされたりする人が増えています。
一方で、そういうメンタルヘルス、精神疾患をカバーできる制度が少なく、実際に病気になった人は大変な苦労をしています。今回は、精神疾患で就業不能になった人の生活について、「就業不能保険」や公的制度で支えられるのか考えてみたいと思います。

就業不能者の多くはうつ病などが多数という現実

チェックリスト

労働問題を研究している「独立行政法人 労働政策研究・研修機構」による調査~「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」によると、休職者の半数近くを「メンタルヘルス」(精神疾患)の人が占めています。

治療と職業生活の両立支援に関する調査

  • メンタルヘルス:40%超
  • がん:15%
  • 脳血管疾患:7%
  • 糖尿病:3%など

その他内臓疾患もあり

内臓疾患系の病気の場合、手術や投薬で回復すれば元と同じように働けますが、精神疾患の場合年単位の休養が必要な場合もあり、それでも治るのか確定できません。

もっと言うと、精神疾患の場合職場の休職制度では期間が足りない場合も多く、下記のようなケースもあります。

休職→復職→再発→退職
休職→(回復せずに)そのまま退職

内臓疾患の場合、治癒すれば元の立場で活躍できますが、精神疾患の場合「治癒」の概念はなく「完解」(症状が出ない)になるので、はっきり言うと出世コースはもう絶望的になります。

疑問 男性

そういう意味では、うつ病など精神疾患で就業不能になると、生涯賃金についても他の人よりもかなり下がってしまう可能性が高いよね。

就業不能保険とは?

就業不能保険

病気や事故で働けなくなった人のための保険として「就業不能保険」というものがあります。

疑問 男性

「がん保険」「医療保険」とどこが違うの?

ポイント 女性

就業不能保険の方が幅が広いと言えます。
在宅療養やリハビリが必要な場合、医療保険ではカバーできないことが多いんですよ。

  • 医療保険やがん保険:入院や手術一回当たりいくら、で支払われる(病院への入院や手術が必要)
  • 就業不能保険:入院、手術に加えて在宅療養で働けない期間も適用される

また、自営業、フリーランスの方は休職制度などもないですから、「働けない=収入がゼロになる」という危険な状態に陥ります。
就業不能保険は、働けない期間の収入をおよそ、働けなくなる前の六割~七割保障します。
これなら贅沢しなければ何とか食べていくことはできそうです。

就業不能保険の支払条件

  • 病気やケガの治療を目的とした入院をしていること
  • 医師の指示下、自宅等での在宅療養をしていること

いずれかが該当するケース。

就業不能保険:うつ病などの精神疾患の場合は?

精神疾患は就業不能保険適用外

傷が治れば仕事復帰できる事故や、患部を除去すればとりあえず回復する内臓疾患に比べて、精神疾患年単位での療養が必要な場合が多いといわれています。

疑問 男性

精神疾患こそが本来、就業不能保険が必要になるはずだよね。

ポイント 女性

しかし、現状はうつ病をはじめとした精神疾患に対して支払いができる保険はほとんど存在しません。

逆に一度精神疾患になってしまうと、新規に(精神疾患を含まない)「普通の生命保険」や共済に入ることも難しくなります(あるにはあるのですが種類が少なく、掛金は通常の倍)。

なぜそうなるのか。
様々なことが考えられますがおおよそ以下の点でしょう。

  • 精神疾患になる人(で働けなくなる人)の絶対数が多い
  • 精神疾患は「治癒」の概念がない
  • 療養は数年に及び支払期間が長くなる
  • 精神疾患は自殺するリスクが高い

結局、保険会社にしてみると、精神疾患の人に保険金を支払うと儲からないということに尽きます。
利益が上がらない保険を作っても商品価値がありませんから、営利企業としては精神疾患を対象から外すということです。

ポイント 女性

もっと言うと、精神疾患は目に見えないので、医師によって見立て、病名も異なるケースがあります。医師でさえそうなのに、保険会社の人がわかるわけないですよね。

疑問 男性

目に見えない精神疾患というのは、確かに判定が難しいよね。

ただし、後にご説明しますが例外的に精神疾患でも保険金が出るものがあります。
⇒精神疾患でも保険金が下りる保険

就業不能保険以外の公的援助の道は?

女性

保険の支払いが非常に厳しい精神疾患ですが、もしかかってしまった場合どうするのがいいのでしょうか?
経済的な援助が少しでも期待できるベターな選択を考えてみたいと思います。

これは私がうつ病で休職→退職した経験も踏まえています。
大前提として、うつ病になり休む時点でキャリアはまずなくなると思ってください。

ケガや他の病気ではあまりないのですが、メンタル系は「完治」がなく、また症状が出る可能性があるため、そういう因子を持つ人を責任あるポジションには就けたがらないという事実はご理解ください。

1.会社の傷病休暇

傷病休暇

まず休職した場合、傷病休暇制度がある場合にはそれを使います。
有給休暇が一定日数溜まると、今度は傷病休暇としてプールされるケースが多いようです。

あと、会社によっては独自の(単独の)傷病休暇があることもあります。
病気の時に使うためのものですから、まさにこの時に使うわけです。

傷病休暇については有給休暇と同様で、その間の賃金全額が出るところが多いようです。

2.傷病手当金

傷病手当金

次に健保組合の「傷病手当金」の申請をします。
初めて精神疾患で申請するのであれば一年六か月受給することができます。

健康保険に一年以上加入などの条件がありますが、医師の診断書があればうつ病でも他の精神疾患でも受給できます。

女性

おおよそ月給の70%が支給されます。
会社を退職しても、受給開始から一年六か月はもらえるので安心してください(ただし受給開始時には在職していることが必要)。

大変ありがたいのですが、同じ病気で受給できるのは一回まで。
精神疾患での場合、病名が「うつ病→躁鬱病」などに変わっても最初の病気のみです。

「受給開始から一年六か月」までしかもらえません。
途中で復職して二年後症状が悪化しても、もう傷病手当金の需給ができないので注意してください。

3.自立支援制度、障害者手帳

自立支援制度

覚悟ができれば、障害者手帳を申請してもいいともいます。
「障害者」のカテゴリになるのは絶対に嫌!という人もいますが、働けないほどの精神疾患であれば取得できると思います。

それ以前の段階で、精神科の医療費や薬代が10%になる「自立支援(精神通院)」も申請しておきましょう。

4.失業手当(300日)

失業手当

精神疾患が治らず退職を余儀なくされるケースもあります。
休職期間も決まっていますからそれでも復帰できないのであれば辞めるしかないですよね。

女性

退職後、もし働けるようになれば失業手当を受給します。
実は障害者手帳(3級でもOK)があると、「就職困難者」として、通常90日~150日しかもらえない失業手当が、300日~360日もらえます。

男性

無理をしないで働けそうな会社を見つけるまで、さしあたり一年程度はこれで食いつなぐことができますね。

失業認定の条件も普通の人より緩く、ハローワークの障害者専用窓口は空いています。
もし、手帳を持っているのであれば、多少生きていくための足しになるでしょう。

5.障害年金

障害年金

障害者手帳とは審査が別になります。
手帳よりも基準は厳しくでなかなかもらえません。

もらえても、障害基礎年金2級ならば年間約80万円、障害厚生年金は約60万円ですので、これで独立して生きていくのは難しいです。
実家に戻り、年単位の療養生活をするしかありません。

  1. 傷病休暇

  2. 傷病手当

    在職中に障害者手帳取得

  3. 有給休暇残り

    退職

  4. 失業手当300日

    通常は90日~150日

  5. 障害年金

これがもらえるものは全部もらう流れになります。

就業不能保険を除く、給付の類は以上になります。
やはりそれだけで生きていくのは結構厳しいです。

しかし、年単位での療養が必要なのが精神疾患、これは困りました。
かかってしまったら人生終了なのでしょうか?

うつ病などの精神疾患もOKの就業不能保険

実はうつ病など精神疾患で働けなくなった時でももらえる就業不能保険がわずかではありますが存在します。
こちらを紹介したいと思います。

1.くらすプラス|チューリヒ生命
くらすプラス

非常に珍しい、精神疾患でももらえる就業不能保険になります。

ただし、条件があり

  • 医療保険に「特約」の形でつける(つまり単独で精神疾患の就業不能保険はない)
  • 「気分障害(うつ病など)」「統合失調症」「摂食障害」「睡眠障害」など『所定のストレス疾病』に適用される
  • 60日以上の入院が条件
  • 保険金は月額10万円が原則

つまり、在宅療養だけではダメで、60日以上入院して初めてこの保険が適用できるというわけです。60日以上入院すれば以後は退院し自宅療養でも大丈夫です。私もうつ病経験者ですが、あれだけひどくても入院には至りませんでした。60日以上入院ということは、完全に自分で何もできず寝たきり状態です。そこまでの症状になって初めて保険金が出る、というハードルの高さを知ってください。

2.もしものときの…生活費|日本生命
もしものときの...生活費

2017年10月にできたばかりの新しい就業不能保険です。保険最大手ニッセイが作ったものだけあり、カバーしている範囲はここで紹介しているどの保険よりも大きくなっています。

  • 対象となる精神疾患が多い(14類型(うつ病含む))
  • 精神障害2級以上
  • 保険料月額8000円前後

精神疾患になった場合、入院が条件になり、障害等級2級か1級であることが必要なので、精神疾患になった時の保険の受けやすさであればチューリヒの方がいいでしょう。ただ、精神疾患に限定せずに幅広く就労不能傷害保険をかけたいのであれば、こちらも大いに検討に値します。保険料がやや高いのがネックですが考える価値は大有りです。

3.解約返戻金抑制型就労不能傷害保険|プルデンシャル生命保険
解約返戻金抑制型就労不能傷害保険

精神疾患でも受けられる就業不能保険はチューリヒだけ、という紹介をしているサイトが多いですが、まだあります。

こちらの「解約返戻金抑制型就労不能傷害保険」も精神疾患でも受けられる就業不能保険になります。ただし条件はより厳しく限定的になっています。

  • 障害者手帳1級ないし2級相当の精神疾患になること
  • 給付金(保険金)をもらえるのは三年間のみ
  • 給付金は月額30万円

これだけで暮らせる保険金額ですが、障害者手帳1級、2級の精神疾患というのは、一人では生活できない寝たきり状態だと思ってください。しかも、最大で三年間、三年でこのレベルの精神疾患が完解するのはかなり厳しいです。

やはりこれもかなり条件が高いと考えるべきです。

4.就業不能保障特約(2012)「はたらくささえ」|フコク生命
はたらくささえ

こちらも、通常の医療保険に「特約」として追加保険料を支払うことで加入できます。精神疾患になったときに保険金が下りるのですが

  • 1回限り 30万円のみ

という限定付きです。ないよりマシですが雀の涙くらいにしかならず、わざわざこの保険に入る意味はないかもしれません。

うつ病など精神疾患で就業不能保険は厳しい?

精神疾患で就業不能保険をもらうのはかなりハードルが高い

以上、精神疾患でももらえる就業不能保険を見てきましたが、正直、これがもらえる状態になってしまうと手遅れです。
回復するのは相当厳しく、復帰するのは至難の業です。
かといってもらえる状態の人(ほぼ寝たきり)が、これだけで生活していくのも難しく、何とも言いようがありません。

会社員や公務員の方は、まず「傷病休暇」「傷病手当金」を受給して、その間に回復するのを目指してください。

女性

真にこの保険が有効なのは「傷病手当」「傷病手当金」が制度上ない、個人事業主やフリーランスの方々です。
この人たちは、上で紹介した「就労不能傷害保険」、特に「1」と「2」「3」については加入を検討してもよいと思います。
働けなくなれば即収入ゼロになる人たちは、この保険は大いに意味があるでしょう。

会社員と公務員の人はそれより前に、ワンクッション就労不能傷害保険より受け取りやすいもの(傷病休暇、傷病手当金)があると思ってください。

多くの人が苦しむ精神疾患ですが、それへのサポートが非常に心もとない現状の中で、就労不能傷害保険を有効活用してみてください。

うつ病など精神疾患も給料保証してくれる就業不能保険:まとめ

  • 就労不能傷害保険は医療保険でカバーできない「退院後」や「自宅療養」で働けない時の収入を補填する保険
  • 休職者の約半数を占めるうつ病などの精神疾患の人が受け取れる就労不能傷害保険は非常に少ない
  • 現状、精神疾患が原因で受け取れる就労不能傷害保険は三つのみ
  • 相当精神疾患の状態が悪くないと(再起不能レベル)受け取るのが難しいものもある
  • 比較的保険金がもらえやすいのはチューリヒ生命の「くらすプラス」(それでも60日以上の入院が必要)
  • 会社員や公務員であれば、まず傷病休暇や傷病手当金を考えるべき
  • 個人事業主やフリーランスの人はこれらの就労不能傷害保険を検討する余地あり

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