【図解】自己都合退職でも失業保険を高く受け取る方法

我々は失業した時のために、毎月の給料から「雇用保険」を納付しています。したがって、失業=会社を退職した時には失業保険(雇用保険)がもらえるわけですが、実際にはあまりもらえないケースが多いのです。

特に自己都合退職(自分で退職願を書いて辞めるケース)は、とても保険とは思えないくらい、いやがらせのように失業保険をもらいにくくなっています。

それはなぜでしょうか?せっかく、自分たちで払っている失業保険なんだから、もらえるものは全部もらって転職したいですよね。でも、今の日本の失業保険制度は、なかなかもらうのが大変なんです。

ここでは、少しでも多くの(多額の)失業保険を受け取れる方法について考えてみたいと思います。

<自己都合退職でも失業保険を高く受け取る方法を知るメリットはこれ!>

・自己都合退職だとあまり失業手当がもらえない現実を理解します
・「1日あたりの失業保険の増額」「失業保険給付期間を増やす」「失業保険受給制限期間撤廃」の3つの方向から攻めていきます
・あきらめずハローワークで相談することの大切さを理解します
・失業保険の金額自体は高くないので場合によっては早く転職した方がいいです、なぜなら・・

普通の人は辞めて3か月経ってから90日分しかもらえない!?

まず、普通の人が自己都合退職した場合の失業保険について確認しておきましょう。

失業保険全体については、私が失業して失業保険をもらった時の記事

うつ病経験者が語る失業手当の全知識!【計算方法、期間、金額、バイトなど】

離職票とは?発行して書き方からハローワーク提出までのフロー解説。離職証明書と違いも

もあわせて読んでいただきたいと思いますが、健康な人で自己都合退職した場合、あまり失業保険がもらえない制度になっています。

・離職(退職)後ハローワークに行き(実際に出向き)「失業者認定」を受ける
・失業した旨を届け出て「雇用保険受給資格」が決定される
・「受給資格決定日」から7日間が「待機期間」
・待機期間後、3か月間は「給付制限期間」で、その間の失業手当は1円ももらえない
・3か月経過後、これまでの勤務年数(算定基礎期間)に応じて90日~150日の失業手当がもらえる
・失業手当の金額はとても安く、1日当たりMAX8250円(2018年10月現在)
・実際は年収500万円くらいの人だと1日5500円くらい(MAXもらえるのは年収1000万円だった人とか)しかもらえない

つまり、失業手当だけで楽して生活することはできません。家庭を持っている人はほぼ無理で、1人暮らしでも1か月15万円ちょっとです・・生活は厳しいですよね。

「健康な人で自己都合退職のケース」の失業保険をもらうスケジュールを図にしてみました。

実際に失業手当をもらえるまでに、3か月+7日以上かかります。それならば、それより前に転職をしないとお金が尽きてしまう人もいるかもしれません。決して失業保険を遊ぶ金にできるスケジュールではないことがわかります。

また、前職の勤務期間(算定基礎期間:前の転職で失業保険をもらっていた場合、それは除外される)によって失業保険を受給できる日数が変わります。長く勤めていた人ほど失業保険をもらえる期間が多少長くなります。

「算定基礎期間」
:所定給付日数(基本手当がもらえる日数の上限)を決定するための期間のことをいいます。基本的に前職で働いていた期間で、転職を繰り返している人の場合、前の転職の際に失業保険をもらっていればそれは合算されません。失業保険をもらわずに転職→退職の場合は合算が可能なケースもあり、ハローワークに確認してください。

つまり、大卒の人が20代で退職して失業手当をもらう場合、90日以上にはならず、もらえるまでに3か月半、全部もらっても50万円になるかどうか、というレベルの手当なんです。うーん、少ないですね。何とか失業保険を増やす方法はないのでしょうか?

失業保険を増やす方法~金額を増やす、受給期間を増やす、受給制限をなくす

非常にもらうまでのハードルが多く、もらえても期待できる金額にはなりそうもないのですが、それでも失業保険を少しでも多くもらって転職したいですよね。そのためには大きく分けて3つの方法があります。

1.1日当たりの「基本手当日額」を増やす

2.受給期間を90日(~150日)よりも増やす

3.受給制限期間3か月をなくす

これらの方法ができるかどうか考えてみましょう。失業保険を多くもらうためにはこの3つしかありません。

方法1 離職日からさかのぼり6か月の月給を増やす

【1.1日当たりの「基本手当日額」を増やす】

失業保険1日の金額「基本手当日額」は、会社を辞めた月からさかのぼり6か月までの月給から算出されます。4月~6月の月給が高いと社会保険料が上がるのと同じように、辞めた月から6か月前までの月給が高ければ高いほど、失業手当の金額が上がります。

かといって、6か月前から意図的に残業を増やして残業代を稼ぐこともできないでしょうし、そういうことができる職場ならばそもそも退職に至らないはずです。

つまり、この方法を実現するためには、サービス残業代を法的に請求して、未払い残業代を勝ち取ってからハローワークに登録する人向けです。前職と徹底的に戦って辞めるわけで、「離職日の翌日から1年間」(受給期間)を過ぎてまだ争っていては失業保険そのものの受給資格がなくなってしまいます。

退職代行や弁護士を使って、退職願とともに未払い残業代請求をして、完全に前職と縁を切って、未払い残業代をぶんどって辞める人が取れる方法になります。

方法2 「自己都合退職」を「会社都合退職」に変える

【2.受給期間を90日(~150日)よりも増やす】
【3.受給制限期間3か月をなくす】

「自己都合退職」(自分で退職願を書いて辞める)場合は、上記の図のように、失業保険の受給期間が短く、受給制限期間3か月もあるのですが、「会社都合退職」つまり、倒産やリストラで職を失った人に対しては多少甘い制度になっています。

退職時にもらえる「離職票1」の「喪失区分」が「2」(自己都合退職)なのか「3」(会社都合退職)なのかまず確認してください。「3」ならば

・受給制限期間3か月がなくなる(待機期間7日後すぐに失業保険が受給できる)
・受給日数が増える人もいる(5年以上勤務していれば確実に+30日~+150日)

これが「会社都合退職」だと可能になります。

とはいえ、人事に「リストラ扱いにして」と言ってもそれに応えてくれるケースは少ないでしょう(そんな物分かりがいい会社ならば辞めないですよね)。

ただ、会社の了解なく、「自己都合退職」を「会社都合退職」に変えられるケースがあります。「離職票1」の「喪失区分」が「2」でもあきらめないでください。以下のケースはハローワークに相談すれば「会社都合退職」になるかもしれません。

1.採用時と異なる労働環境にされて辞めた

事務職で採用されたのに営業に回された。「都内勤務転勤なし」で雇用されたのに地方へ飛ばされた。

「話が違った」ことを客観的に証明できれば(雇用契約書のコピーなどがあればOK)、ハローワークにその旨を話せば「会社都合退職」に変更になるケースがあります。サービス残業を強いられている(だから話が違う)ことを証明しても、これが認められ、「会社都合退職」になることもあります。

2.セクハラやパワハラで病んで退職した

セクハラやパワハラを受けての退職が証明できれば、会社のせいで心身の障害を受け退職に至った=会社都合となります。こちらも、まずハローワークに相談してみるといいでしょう。

3.家族の介護での退職、父母の死去により実家に帰らざるを得ない

父親や母親の死亡、あるいは病気で扶養、介護するために、退職せざるを得ない場合も「会社都合退職」になります。

いずれのケースも、まず近くのハローワークに相談していただくのをおすすめします。

方法3 「就職困難者」になる

「障害者手帳」(身体でも精神でもOK)を持っていると「就職困難者」として扱われ

・受給制限期間3か月がなくなる(待機期間7日後すぐに失業保険が受給できる)
・受給日数が大幅に増える(300日か360日)

実に3倍以上の期間、失業保険を受給できることになります。すでに手帳を持っている人は、(困難でなくても)「就職困難者」としてもらえるものはもらってしまいましょう。

一方、手帳がない人に対して「手帳を取得できるか考えろ」とは絶対に言えません。健康な人が取得すれば詐欺ですし(どこかの作曲家のように・・)、病気退職した人も自分で手帳を持つ判断をすべきです。

手帳がない場合「就職困難者」にはなれないのでしょうか?就職困難者の定義は以下のようになります。

1.身体障害者→手帳を持っている人

2.知的障害者→療育手帳を持っている人

3.精神障害者→手帳を持っている人か「統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む)又はてんかんにかかっている人」

4.保護観察中の者→刑法等で規定される人。要は軽微な犯罪をして、刑務所ではなく外部で日常生活を規律・監視されている人。

5.社会的事情により就職が著しく阻害されている者→特段の事情がある人でハローワークが認めた人

「4」「5」はみなさん違うと思います。そうなると、手帳がなくて就職困難者になれるのは、3の精神疾患(統合失調症、うつ病、躁うつ病、てんかん)の人になります。メンタルを病んで退職した人で、在職中から精神科に通っている人は、手帳がなくても医師の診断書で「就職困難者」に認定されるかもしれません。

医師及びハローワークに相談してみてください。ただし、病状がひどく働けない場合は、まず傷病手当金をもらって療養するのが最優先です(失業保険は今すぐ働ける人がもらうものです)。

【2.受給期間を90日(~150日)よりも増やす】
【3.受給制限期間3か月をなくす】

以上をまとめて表にしてみました。自己都合退職でも失業保険を増やせるかもしれません。該当する項目はありますか?

<「会社都合退職」の人と「就職困難者」の失業保険受給日数>

※会社都合退職した就職困難者の方は就職困難者の日数が適用されます

<会社都合退職の人の失業保険受給スケジュール>

<就職困難者の方の失業保険受給スケジュール>

失業保険を増やす、高く受け取る方法まとめ

キャリアアップ希望ならば「再就職手当」をもらってさっさと転職するのも1つ

失業保険をもらう前、あるいは、失業保険が3分の1以上残っているときに転職を決めると、「再就職手当」というお祝い金をもらえる制度もあります。

3か月半も待てない、さっさと転職を決めたいという人は、無理に失業保険を多くもらう方法を取らずに、額は減りますが、お祝い金をもらってしまうという手もあります。

失業保険を多くもらうのが難しい場合(目的をもってキャリアアップのために転職する場合など)は、こちらを選択してももちろん大丈夫です。

転職サイトや転職エージェントを活用する場合も絶対にハローワークに登録しよう

最後に、「ハローワークなんてろくな求人がない」「ブラック企業ばかりだ」「ハローワークのおっさん相談員は役に立たない」とハローワークをネガティブに見ている人も、求職者としてハローワークに登録しないと、失業保険も再就職手当も、1円ももらえませんので注意してください。

せっかく毎月の給料から失業保険をかけていたわけですから、権利としてもらえるものはもらいましょう。転職を引き延ばさずに、再就職手当をもらってしまってもいいんですよ。

転職サイトや転職エージェントで転職活動する人もハローワークには登録する、が正解です。転職サイトや転職エージェントでの活動も、失業保険受給のための「求職活動」に該当するのでわざわざハローワーク求人に応募する必要はないです。

自己都合退職でも失業保険を高く受け取る方法 まとめ

・自己都合退職の場合、通常は失業保険の受給までに制限期間3か月があり、日数も少ない
・過去6か月の月給を上げるために未払い残業を請求する
・自己都合退職を会社都合退職に変えられないか考える
・会社都合退職になると、受給制限期間がなくなり、受給日数が増える場合もある
・障害者手帳を持っている人は就職困難者になり、給付日数増と制限期間撤廃をする
・うつ病などメンタルを病んで退職した人は手帳がなくても医師の診断書で「就職困難者」になれるかも
・無理に失業保険を受給しようとせず、早めに転職を決めて「再就職手当」をもらう選択もあり
・転職サイトや転職エージェントを使い場合も、失業保険や再就職手当をもらうためにハローワークで求職者登録をすること