出世レースとは、会社の中で繰り広げられる出世をかけた戦いのことです。
同期入社した仲間よりも出世したい、社内の派閥にうまく取り入って良いポジションにつきたい、そんな野心を持って出世レースを勝ち抜くためにがむしゃらに働いているサラリーマンは多いと思います。
しかし、そんなサラリーマンたちが全員出世できるわけではありません。競争ですから、勝つ人がいれば負ける人も当然います。

出世レースに負けて出世コースから外れてしまったら、どうすれば良いのでしょうか?

出世レースに勝ち抜くだけが、サラリーマンの人生ではありません。たとえ挫折したとしても、そこから違う世界を広げていく人もいます。
ここでは、そんな出世レースに挫折した人達の体験談をご紹介します。そして、そこから学ぶことができる挫折からの立ち上がり方についても、考えてみたいと思います。

年代別の挫折ポイントとは?出世レースから脱落した人の体験談

出世レースから脱落した人たちは、どのように考えているのでしょうか?

人によって出世レースから脱落した時の状況や心境は全く違うと思われがちですが、不思議とみんな同じような年齢の時に、同じような状況で悩んでいます。

年齢によって変わる、出世レースにまつわる悩みや挫折ポイントについて見てみましょう。

20代で出世レースから脱落~新卒で入った会社とのミスマッチが起きる

出世レースにおいて最初の関門は20代で待ち構えています。
新卒で入社した頃、一緒に入社した同期達が最初のライバルです。

新入社員研修での成績を同期同士で競い合い、最初に配属された部署での仕事の成果で競い合います。

サラリーマンは、企業に入ると最初から出世レースに組み込まれる仕組みになっているのです。
入社してすぐは同期と実力に差はないと思っていても、仕事をこなす能力や先輩とコミュニケーションを取る能力など、それぞれの能力は異なります。
もちろん、入社してからの努力によって、どんどん成長して同期に差をつけていく人もいるでしょう。

また、新卒で入社したばかりの20代は仕事経験がないため、自分の能力と仕事のミスマッチが起きやすい世代でもあります。
たいていの人は自分で選んだ職業が自分に合っていなくても、仕事経験を積んでスキルを身につければ、次第に仕事になじんでいくことができます。
しかし、中には全く自分に合わない職業を最初に選んでしまったという人もいます。
ここで、脱落する人が出てくるのです。

20代でIT系の大手企業に入社したAさんは文系の大学を卒業しましたが、IT業界に興味がありIT業界に入りました。
プログラミングなどは全く経験したことがありませんでしたが、大学の先輩に「プログラミングは会社に入ってから研修で勉強することができる」と言われていたので、あまり心配していなかったのです。
実際、文系出身でもその企業で活躍している先輩は大勢いました。

しかし、実際に研修を受けてみるとAさんは絶望的にプログラミングができず、次第に落ちこぼれていきました。
一方で、同期達は自分一人で仕事ができるようになり、どんどん仕事をこなしていきます。

常に同期に差をつけられてしまったAさんが配属された部署は花形の開発部署ではなく、人事や総務を扱う管理部門の部署でした。
この時点で、Aさんは出世コースから早々に外れてしまったのです。

典型的な、新卒で入った会社とのミスマッチの例です。
20代の場合、早い時期で挫折ポイントが訪れることがあるのです。

30代で出世レースから脱落~人生におけるターニングポイントが訪れる

次に訪れる挫折ポイントは、30代で人生にいろいろなターニングポイントが訪れた時です。
20代までは自分一人のために働く独身の人が多く、仕事以外にストレスや悩みはあまりありません。

ところが、30代になると、結婚、出産といったイベントや20代と比べた体力の衰え、そして、仕事の上でも部下を持つ、仕事の責任が重くなるなどという、自分の中に大きな変化が訪れます。
20代までは自分のためだけにがむしゃらに頑張ればうまくいっていたものが、30代に差し掛かるとそうはいかなくなるのです。

例えば、結婚し子供ができると仕事だけに集中することができなくなります。
20代の頃のように徹夜して仕事をしても若さで押し切ることができましたが、それもできません。
そして、今までなら仕事で失敗をしても許される立場でしたが、部下を持つとそうはいかなくなります。

このように30代になると人生のターニングポイントが訪れ、悩みが増える人が多いのです。

30代になったBさんは、部下との関係に悩むようになりました。
今まではバリバリと仕事をこなし、営業部の出世コースの先頭でした。
実際、同期の中で最も昇進が早く、30代で課長クラスに昇進したのは同期の中ではBさんが一番乗りだったのです。

昇進して部下が増えてからも、これまでのようにバリバリと営業活動でライバルを蹴落としていけば良いと考えていましたが、次第に雲行きが怪しくなってきました。部下との関係がぎくしゃくするようになってしまったのです。

今までは自分一人が出世すれば良いと考えていましたが、部下を持つとチーム全体の成績を上げていかなければなりません。
そのためには、チーム内で協力し合わなければならないのです。

Bさんは今まで「協力しあう」ということをしたことがなかったので、どうすれば良いのかわかりません。
また、今までは「自分の個人成績を上げるために」という下心があって先輩や上司に取り入ってきました。
ところが、部下の心をつかむためには、それだけでは不十分です。「他人を蹴落として成績を上げよう」という上司についてくる部下はいません。

Bさんのチームは次第に成績を落とします。
Bさんは上司としてチームの業績を上げることができないということで最低の評価になり、後から出世した同期に追い抜かれてしまいました。

30代になると様々な変化が訪れます。
その変化を乗り切ることができずに出世コースから外れるというケースもあるのです。

40代で出世レースから脱落~派閥争いの果てに出世コースから外れる

サラリーマンの出世レースは終わることはありません。
20代、30代と出世レースのハードルを乗り越えてきてもまた、新たな関門が待ち受けています。

40代を超えると、自分の実力だけで出世レースを勝ち抜いていくことは困難になります。会社内のどの派閥に入っておくかということが、大きなカギになるのです。

Cさんはある事業部の部長と入社当時から親しくしており、その事業部長の元で出世してきました。
ところが、その事業部長が手掛けていたプロジェクトが大きな損失を出してしまい、事実上の降格処分を受けることになってしまいました。

大きな後ろ盾を失ったCさんは、出世を望めなくなってしまったのです。
同期入社の他の社員たちは、他の事業部の部長やさらに上の立場の上長とパイプを持っており、その事業部長の後ろ盾がなくても出世できました。
しかし、Cさんは、他に親しくしている上司がいなかったのです。

このように、ある程度上の世代になると、出世に必要なのは人脈になります。

実力も必要ですが、人脈をどううまくつないでいくかが最も重要なカギになるのです。
実力だけあっても、人とのつながりがない人は企業で出世することはできません。
逆に、大して実力がなくても、企業内の権力者に気に入られていれば出世できるということもあるのです。

出世レースに疲れたと感じた時の対処法

出世レースに勝ち続けるためには、プライベートの時間を削って仕事だけに集中しなければならない時もあります。
残業続きで家族と過ごす時間が取れないかもしれませんし、激務続きで体を壊す寸前までいくこともあるでしょう。

そんな時、ふと「何のために働いているんだろう?」と疑問に思う瞬間があるはずです。
出世レースに疲れ、疑問を感じるのは当然のことなのです。
ここでは、出世レースに疲れたと感じた時にどうすればよいのか、その対処法についてお話ししたいと思います。

仕事から離れて休む

出世レースに疲れたら、一度仕事から離れてみましょう。
仕事をやめるわけにはいきませんが、休みを取ることはできると思います。

仕事に追われて忙しくしていると、心も体も確実に疲労しています。
出世レースに勝つために仕事ばかりしていると、慢性的に疲れている状態が普通かもしれません。
しかし、そんな状態を続けても良いことは絶対にありません。若いうちはそれでも良かったかもしれませんが、年を取ると疲労がストレスとなって確実に溜まり、病気の原因になることもあるのです。

それに、疲れが慢性的にたまった状態になると、精神的にも疲れた状態になります。
元気だと良い考えや明るく楽しい考えも浮かんできますが、疲れた状態が続くとだんだん考えが後ろ向きになってきます。

そんな状態が続くと、精神的に病んでしまうこともあるのです。
「仕事を休んだりしたら、ライバルに抜かれる!」
「出世に響くから休めない!」
などと出世レースから脱落することを気にしてなかなか安めない人もいると思います。

しかし、ここは仕事から一度完全に離れる勇気を持ちましょう。
しっかり休むことで、英気を養うのです。そうすることで、次第に体も心も復活するでしょう。

しっかりとリフレッシュすることで、
「今までなぜあんなに出世コースから外れることが怖かったのだろう」
と憑き物が取れたようになるはずです。
そして、仕事以外のことを考える余裕が生まれ、出世レースに追われた生活を見直すことができるでしょう。

自分にとって何が一番大事なのかをもう一度よく考える

出世することに心血を注ぎこみ、何が何でも会社で出世することを目指していたのはなぜでしょうか?

会社で出世していくことが、自分にとって何より大事なことだと思っていたからではないでしょうか。
生きていくためには働くことが必要です。

そして、より多くのお金を稼ぐためには、出世することが一番良い方法です。
だから、出世するためにがむしゃらに働いてきたのだと思います。

でも、出世することはより豊かな人生を歩むために大事なことですが、果たしてそれが「自分にとって一番大事なこと」なのでしょうか?

一番大事なものということは、他の何を犠牲にしても守りたいものということです。
出世レースで戦うために今まで犠牲にしてきたものは何でしょうか?
自分の趣味を楽しむ時間や家族との時間でしょうか。
もしかしたら、しっかり睡眠を取って体を休める時間まで無駄にしてきたかもしれません。

それらのことをすべて犠牲にしても出世したい、とにかく出世することが自分にとって一番大事なことなのだと言うのであれば、出世レースに全てをかけても悔いはないでしょう。

しかし、その状態は長くは続けられません。
自分の時間や家族との時間、何より自分の健康を無駄にしてまで大事にすべきものなど無いはずなのです。
出世レースが一番大事という時期もあるかもしれませんが、いつかは他に大事なものができるはずです。

出世レースに疲れてしまったら、自分にとって本当に大事なものとは何なのかをよく考えてみる良い機会なのではないでしょうか。

周りに流されるのはやめる

20代の若い世代に当てはまることが多いのが、周りの人がみんな出世を目指している環境にいると流されてしまうというケースです。

大企業に入社して出世コースに入るためにがむしゃらに頑張るのが当たり前という風潮だった場合、自分一人だけが出世を目指さずマイペースで働く、ということは難しいかもしれません。まして、若い頃は入社した時に植え付けられた考え方の影響が大きく、周りがよく見えていないことが多いものです。ライバル心から同期から一人だけ取り残されて出世できないのは嫌だと思う人もいるでしょう。

しかし、落ち着いて周りを見渡してみてください。社員の全員が出世のためにあくせく働いているわけではありません。
自分の時間や家族との時間を大事にし、仕事が終わったらプライベートの時間をしっかりとっている社員はたくさんいるはずなのです。
「出世しないのはかっこ悪い」
「同期の中で自分だけ出世できないのは嫌だ」
と周りから取り残されることを恐れて出世レースを戦うのが当たり前だと思っている若い人は、いつか無理がたたって体を壊してしまいます。そうなってからでは遅いのです。

それに、同期で入社したからと言って、みんな同じ実力を持っているとは限りません。
仕事の能力がもともと高くいきなり成果を出す人もいれば、じっくりと仕事の経験を積んで後からじわじわと実力をつけていくタイプの人もいます。
同期であっても仕事のやり方や実力は様々ですから、同期と同じように仕事ができるようにならないからと言って焦る必要はないのです。

30代を超えてからも同じです。プライベートを置き去りにして仕事に100%の力を注ぐことができる人もいれば、家庭を持って100%の力を使うことができなくなった人もいます。みんなそれぞれ状況が違う中で、同じように出世レースを戦うことができるとは限りません。
周りに流されることなく、自分の生活を一番に考えることが重要なのです。

自分の人生における変化を柔軟に感じ取る

出世レースに疲れてしまったということは、もしかしたら自分の中に何らかの変化が訪れたのかもしれません。
30代で出世レースから脱落した体験談のところでもお話ししましたが、人は30代前後で人生に変化が訪れます。
結婚や出産、体力の衰え、会社でのポジションの変化などです。

20代の頃にはがむしゃらに働いて「出世第一!」で生きてくることができたかもしれません。
しかし、このような人生における変化が訪れると、今までのように出世だけを考えて生きていくことができなくなります。

仕事に100%の力を使っていては、結婚して家庭ができた時に家庭に1%も使うことができません。
また、30代を迎えると次の日に疲れが残りやすくなるので、20代の頃のように夜中まで残業を続けることはできなくなります。
会社での立場が変わり責任が重くなりますから、体力的な面だけでなく精神的なストレスもたまるようになるでしょう。

人は年と共に変わります。年をとったら、若い頃のようにがむしゃらに働き続けることはできなくなるのです。
そんな自分の中の変化を無視して今まで通り出世レースを戦い続けようとすると、必ずどこかに無理が生じます。

出世レースに疲れたと感じたのは、自分の変化が原因なのかもしれません。
そんな時は一度立ち止まって、自分の体調や生活のリズム、家族と時間が取れているのかなどを見直すことが重要なのです。

完璧主義をやめる

出世レースに邁進し続けようとする人の多くは、完璧主義者です。
仕事をするなら誰よりも成果を上げたい、同期の中で一番でなくてはならないと、どこまでも完璧を求めている人が多いです。

完璧主義を続けると、次第に自分を追い詰めてしまいます。完璧を求めているのに理想通りに行動することができず、焦りが出ます。完璧を求めるあまり自分のふがいなさに腹が立ち、自分で自分を追い詰めてしまうのです。

しかし、出世レースは相手があることなので、当然自分の思い通りにはなりません。
いくら完璧を追い求めても、出世は決して自分の思い通りにはならないのです。

完璧主義をやめるというのは、完璧主義者にとってとても難しいことかもしれません。
しかし、家族や自分を大事にする時間を犠牲にしてまで完璧を追い求めたとしても、何もならないのです。
「これくらい出世できれば、生活には困らないだろう」
「ここまで努力して結果も出したし、あとは自分のために時間を使おう」
などと、完璧を追い求めることをやめれば心に余裕が生まれます。

完璧を求めすぎず、ほどほどに仕事をすることも長い人生の中で必要なことなのではないでしょうか。

まとめ

社員同士が競い合いながら実力を高めていく出世レースは、必ずしも悪いことではありません。
しかし、過酷な出世レースのために体や心を壊してしまっては、意味がないのです。

自分の力を100%出し切って出世レースを戦うためには何かを犠牲にする必要があります。
それを納得した上で出世レースを戦い抜くなら何も問題はありません。
しかし、自分の体や家族など、自分の大事なものを犠牲にしていることに気づいていないのであれば、とても危険です。

仕事とは、生きていくために、また、大事なものを守るためにする行為です。
しかし、その大事なものが犠牲になってしまうのであれば、本末転倒なのです。
出世レースに疲れてしまったということは、何か大事なものを失う寸前なのかもしれません。

この機会に、自分に大事なものとは何なのか、もう一度見直してみてはいかがでしょうか?