IT土方=プログラマーなの?IT土方の仕事内容や脱出方法を徹底解説

「IT土方ってどういう意味?一体何をする人たちのこと?」
「SEやプログラマーはIT土方と呼ばれているけど、IT業界はブラック企業ばかりなの?」
「プログラマーで入社したのに仕事は単純なテストだけ?そんな自分はIT土方?」

IT業界で働く人たちは、一度は「IT土方」という言葉を耳にしたことがありますよね。
2020年から小学校の授業でプログラミングが必修化されることから、プログラマーという職業に興味を持つ人が増えてきました。
そのため、IT業界で働きたい人は就業前に「IT土方」の意味が知っておきたいと思っているのではないでしょうか。

IT土方の正しい意味、IT土方と呼ばれる人たちの仕事内容や年収、IT土方が誕生した背景、IT土方を脱出する方法を詳しく解説します。

IT土方とはIT業界で単純労働に従事する人のこと

IT土方とは、IT業界でスキルを必要としない単純作業を低単価・長時間労働で請け負う人たちの俗称です。
デジタル土方やシステム屋、コンピューター土木作業員と呼ばれることもあります。
一般的には「IT土方=プログラマー」と認識されるケースがほとんど。
プログラマー以外にも下記業務も携わる人たちが、IT土方と呼ばれることも少なくありません。

・システムの監視
サーバのエラーや障害の発生のアラートを監視する業務。エラーや障害を検知したら手順に従って対応し、その結果をドキュメントに記録します。

・システムの運用保守
サーバやネットワークで障害が発生しないようシステムのメンテナンス・最適化を行う業務。障害発生時は手順書やマニュアルをもとにトラブルシューティングを行います。

・パソコンのセットアップ・キッティング
手順書に従ってサーバやクライアントPCのOS、アプリケーションのインストール、設定作業を実施。

・ヘルプデスク・テクニカルサポート
システムを使うユーザーからの質問に対してメールや電話で回答する業務。

上記業務はマニュアルを参照すれば対応できるケースが多いため、ルーティンワーク化しやすい仕事で高度なスキルを必要としません。
そのため、これらの職種はITコンサルやSE、プログラマーと比べて給料も安く設定されています。
未経験者を積極的に採用する企業も少なくありません。
スキルを必要としない仕事なので、上記職種に携わる人たちも業界内ではIT土方と呼ばれています。
しかし、IT業界のことをあまり知らない人たちからは、IT土方はプログラマーと認識されることもしばしば。
ここからはプログラマーがIT土方と呼ばれるようになった背景を詳しくみていきましょう。

プログラマーがIT土方と呼ばれる背景

プログラマーがIT土方と呼ばれるようになった理由は、IT業界、特にSlerの多重構造にあります。

IT業界では、直接クライアントから仕事を依頼される元請けの大手Slerを頂点に二次請けSler、三次請けSlerとピラミッド構造になっています。

■Slerのピラミッド構造
元請けの大手Sler → 二次請けSler (下請け)→ 三次請けSler(孫請け)

三次請けSlerだけでなく、四次請けSler、五次請けSlerとさらに下請けSlerが存在するケースも珍しくありません。
ピラミッド構造の上位に位置するSlerは、システム開発の工程で簡単かつ工数がかかる作業を下請けSlerに外注化します。

一般的に下記工程を経てシステム開発は行われています。

■システム開発の流れ
1. クライアントからの依頼・要望
2. クライアントの現状業務のヒヤリング・調査・分析
3. 開発範囲を決定し、提案書と構築費用をクライアントに提示
4. クライアントと基本契約書(金額・スケジュール・開発範囲)の締結
5. 要求定義書・要件定義書の作成
6. 要件定義書をもとにシステムの基本設計書を作成
7. 基本設計書をもとにシステムの内部設計を実施
8. テスト計画を作成
9. プログラミングを実施
10. 単体テスト・結合テスト・システムテスト・受入テストを実施
11. システム導入
12. クライアントの動作確認
13. システム及び設計書やマニュアル各種資料をクライアントに納品
14. 運用

元請けの大手Slerが担当するのは、主に1~8工程まで。
場合により元請けSlerは1~5までしか担当しないことも少なくありません。
6~10の作業を二次請け以下のSlerに外注化します。
二次請けSlerは6~8の工程を担当して、それ以降の9と10の作業をさらに下の三次請けSlerに発注することはIT業界ではよく聞く話です。
そして、三次請けSlerはさらにその下の四次請けSler、五次請けSlerに外注化することも珍しくありません。

ピラミッド構造の下にいけばいくほど、システム開発の工程でスキルを必要としない単純作業を請け負うこととなります。

クライアント企業から支払われる開発費は、元請けSlerの取り分が一番多く、下請けSlerにいけばいくほど社員の給料は安くなります。
給料が安いだけなく、納期がタイトな案件を請け負うこともしばしば。
深夜残業、休日出勤が常態化するデスマーチと呼ばれる状態に陥りがちです。

単純作業、長時間労働でも残業代が支給されればまだ救いはあります。
しかし、残業代がゼロの企業も少なくありません。
基本給が安く、残業代を支払わずに手取り20万円以下で、社員を酷使するのも最下層の下請けSlerではありがちなこと。

また、下請けSlerの多くは社員を客先常駐させます。
プロジェクトごとに勤務場所がちがうため、労働環境も安定しません。

単価が安い単純な仕事が下請け企業にどんどん流れていくIT業界の多重構造は、建築・土木業界ととても似ています。
こうした背景から、低賃金・不安定な環境で長時間労働を強いられるIT業界のピラミッド構造の最下層で働くプログラマーは、IT土方と呼ばれるようになりました。

下請けSlerのプログラマーがIT土方になるのは常駐先次第

下請けSlerで客先常駐をするプログラマー全員が、IT土方と呼ばれる単純作業をやるわけではありません。
また、デスマーチと呼ばれる長時間労働を強いられる過酷な現場に常駐するとは限りません。
厚生労働省の「平成30年度賃金行動基本統計調査」によると、プログラマーの残業時間は企業規模問わず20時間前後です。

プログラマーの主な業務内容は、SEが作成した設計書に沿ってプログラミングすることです。
プログラミングが完了したら仕様書どおりにシステムが動くかテストを行い、システムが動かなければプログラムを修正して再度テストを実施します。

語彙力や表現力がある人の説明がわかりやすいのと同じで、プログラマーも誰が見てもわかりやすいコード(※)で記述することもスキルがないとできません。
コードのわかりやすさは新人とベテランでは大きく差が出るといわれています。

※プログラミング言語で書いた文章

また、常駐先によりSEとプログラマーの業務があいまいな現場も珍しくありません。
プログラマーが設計書やテスト計画書の作成、リリース作業などSEの業務を担当する場合もあります。
そのため、さまざまな常駐先で経験を積んでプログラマーからSEにキャリアアップする人もたくさんいます。

すべてのプログラマーがIT土方とバカにされるような長時間労働、単純作業をするわけではないと覚えておきましょう。

IT土方を呼ばれてもプログラマーの年収は人並み

IT土方と自虐的な名称で呼ばれることもありますが、プログラマーの年収はサラリーマン全体でみると人並みの給与水準です。
厚生労働省の「平成30年度賃金行動基本統計調査」で調べてみるとプログラマーの平均年収は、400~500万円。
国税庁の「平成29年分民間給与実態統計調査結果」によると、給与所得者の平均年収は432万円となっています。
そのため、手取り20万円ももらえないような職場はほんの一部のブラック企業と考えてよいでしょう。
職場選びさえまちがえなければ、プログラマーは人並みの給料がもらえる職業といえます。

【未経験者向け】プログラマーをIT土方扱いする求人の特徴

プログラマーを募集する企業の中には、社員をIT土方扱いするブラック企業も少なくありません。
プログラマーをIT土方扱いするブラック企業の求人の特徴を紹介します。
IT業界未経験者でプログラマーになりたい人はぜひチェックしてみてください。

転職サイトに頻繁に求人を出す企業

転職サイトに頻繁に求人を出す企業は、社員の離職率が高い可能性があります。
特に「転職回数不問」「未経験者OK」「大量募集」と求人広告に書かれた企業は、人手不足だから誰でいいから採用したいケースが少なくありません。
まともな企業なら社員に長く在籍してもらいたいので、2~3回は面接を行い応募者の人柄やスキル、社会常識など総合的に判断します。
面接で応募企業が職歴やスキルに関する質問をあまりしない、自社の業務や常駐先企業について応募者に説明しない場合は注意しましょう。
面接で仕事内容や条件に関する質問をしても、まともな返事がかえってこない企業は避けたほうが無難です。

他社と比べて給料が高い

他社と比べて求人広告に掲載されている給料が高い企業も注意しなければなりません。
具体的には、「26歳プログラマー(入社2年)月収60万円」「32歳プロジェクトリーダー(入社3年)月収80万円」など求人広告に書くような企業です。
高収入をもらえる社員がゼロではありませんが、社員の大半がそれほど給料をもらっていません。

IT業界未経験者をターゲットとしたブラック企業である可能性が十分に考えられます。
「未経験がたった1年で月収50万円を達成」など、普通に考えたら未経験者がもらえるはずのない高額の給料をアピールする企業への応募は控えたほうがよいでしょう。

給料の幅が18~70万円と広すぎる企業もブラック企業の可能性大です。
内定後に提示される給料は下限の18万円に近い金額で設定される場合がほとんど。
上限の70万円に近い給料を提示されることはまずありません。

給料に固定残業代が含まれている</h3
下請けSlerのなかには、固定残業代を含めて給料を設定する企業も少なくありません。
具体的には、「残業代5万円込みの給料25万円」「基本給18万円、残業手当3万円」など求人広告に記載するような企業です。
残業がほとんどない客先に常駐する場合は、固定残業代が含まれた給料は社員にとってメリットでしかありません。
しかし、長時間労働が当たり前の常駐先だと何時間働いても、給料に固定残業代が含まれているので残業代はもらえません。
そればかりか、固定残業代を運用することでまともに労働時間を記録しないケースも珍しくありません。

固定残業代の正しい運用とは、社員に固定残業代の範囲となる残業時間を明記し、既定の残業時間を超えた分は割賃金を支払うものです。
給料の固定残業代にあたる残業時間の説明がない会社は、違法行為を行うブラック企業と考えてよいでしょう。

【経験者向け】プログラマーがIT土方から脱出する方法

プログラマーにとってホワイト企業はたくさんありますが、運悪く長時間労働・低賃金・単純作業ばかりやる会社に入社してしまった人もいることでしょう。
希望をもってIT業界に入ったにもかかわらず、不遇な環境で働くプログラマーがIT土方から脱出する方法をご紹介します。

ホワイト企業に転職する

IT土方を脱出する手っ取り早い方法は転職です。
AIやIoTの発達、2020年問題などで現在IT業界ではどの職種も深刻な人手不足。
転職サイトにはプログラマーを募集するホワイト企業の求人がたくさん掲載されています。
しかし、求人広告や面接だけで応募機企業がホワイトかブラックか簡単に見抜くことはできません。

プログラマーとは名ばかりで「単純作業ばかりやってきた自分にまともな転職先があるのだろか?」と不安に思う人もいますよね。
「転職サイトを使って1人で転職活動をすると、またブラック企業に入ってしまうかも……」と、心配な人は転職エージェントを使って転職活動をすることをおすすめします。

転職エージェントとは、自分のスキルや希望条件に合う求人を無料で紹介してくれる人材紹介会社のことです。
一口に転職エージェントといってもさまざまな種類があります。

・総合転職エージェント
全国各地の幅広い業種の求人を扱う転職エージェント。希望すればIターンやUターンも可能。代表的な転職エージェントにリクルートエージェント、DODA、マイナビエージェント、パソナキャリアがあります。

・IT業界特化型転職エージェント
IT業界の求人紹介に特化した転職エージェントのことです。代表的な転職エージェントにワークポートやギーグリーなどがあります。

・20代・第二新卒向け転職エージェント
社会人経験の浅い20代の若手社員や正社員経験のないフリーター向けの求人紹介に特化した転職エージェント。代表的な転職エージェントにUZUZ、就職Shop、ハタラクティブがあります。

どの転職エージェントも専任のコンサルタントがついてキャリアの棚卸、応募書類の書き方、面接対策など転職活動に関するさまざまな相談に乗ってくれます。
求人情報に掲載されていない社風や離職率、面接では聞きにくい福利厚生なども質問すれば詳しく教えてくれます。
自分でホワイト企業を探す自信がない人は登録してみるとよいでしょう。
どの転職エージェントも無料で利用できます。

フリーランスになる

フリーランスになるのもIT土方を脱出する1つの手段です。
「フリーランスなんてスキルがないと無理」と心配ですよね。

2019年6月時点のレバテックキャリアで実務経験が浅いプログラマー向けの求人を調べてみたら、32件ありました。
高度なスキルを必要としない案件なので、フリーランスのプログラマーにしては月額50万円前後と決して収入は高くありません。
しかし、実務経験の浅い若手を育ててくれる求人が多いので、スキルアップをしたい人は応募してみるとよいでしょう。

フリーランスなので正社員とちがって雇用契約ではなく、業務委託契約を結ぶこととなります。
そのため、慣れてくれば他案件と掛け持ちすることもできます。
自分に合わない案件だと思えば、契約書に明示された契約期間が過ぎれば、契約を更新する必要もありません。

他業界に転職する

IT土方を経験して「ずっとパソコンに向かうプログラマーやITエンジニアの仕事が合わない……」と感じた人は、思い切って他業界に転職するのもよいでしょう。

2019年6月時点の転職市場は求職者の売り手市場。
20代の転職者なら業界・職種経験がなくても、多くの企業が若手を積極的に採用する傾向にあります。
目指したい職種や業界が決まっている人は、未経験者を採用する求人に積極的に応募してみてください。
「ほかの業種に転職したいけど、何が自分に向いているかわからない」人は、総合転職エージェントや20代・第二新卒向けの転職エージェントに相談することをおすすめします。

結論:プログラマーがIT土方になるとは限らない

低賃金で何のスキルにもならない単調作業をデスマーチと呼ばれる過酷な労働環境でひたすらやり続けるIT土方と呼ばれる状況に陥るプログラマーもいます。
しかし、プログラマーをIT土方扱いするのは一部のブラック企業だけ。
まともな企業のプログラマーは、残業時間も20時間程度で年収も400~500万円と世間一般のサラリーマンと待遇が変わりません。

「自分はこの記事の中のIT土方と同じ境遇だ」
「今やってることがスキルアップにつながるか不安」

このような思いを抱いている人は、一刻も早く転職してIT土方と呼ばれる不遇な状況から脱出しましょう。