
近年の日本では転職が一般的になり、転職活動に取り組む人も中途採用の求人も増えています。それに伴い、ネット上で増えているのが「転職サイト」です。
転職サイトは文字どおり「転職」を前提に求人情報を提供するサイトで、「新卒の就職」を対象としているわけではありません。ところが、新卒向けの就職情報サイトだけでなく転職サイトも上手に活用することで、就活を有利に進める学生が増えています。

| 使い方 | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| メインの就職情報サイトとして | × | 転職サイトは中途採用の求人が中心で、新卒採用情報は少ない |
| サブの情報源として | ○ | 企業研究、求める人物像の把握、土壇場の求人探しに役立つ |
新卒の就職活動に転職サイトは有効なのか?
新卒の就職活動において、転職サイトは有効に利用できるのでしょうか。結論から先にいえば、次のような評価になります。
メインの就職情報サイトとして → ×
サブの就職情報サイトとして → ○
転職サイトはあくまで中途採用を前提とした求人情報が主体なので、新卒採用情報を得る主要なツールとして使うのは無理があります。

就職活動と転職活動の違い

就職活動と転職活動は、面接だけでなく選考期間や入社後の研修でも違います。
| 新卒の就職活動 | 転職活動 | |
|---|---|---|
| 一次面接 | 集団面接が多い | 個人面接が多い |
| 選考期間 | 3〜6か月程度 | 1か月程度 |
| 入社時期 | 4月入社が中心 | 内定後数週間〜3か月前後 |
| 入社後の研修 | 数週間〜数か月の新人研修 | 少ない(即戦力として扱われる) |
面接の違い
転職活動では一次面接から個人面接のところが多いですが、就職活動では一次面接は集団面接という企業が多くあります。
内定までの選考期間の違い
転職活動の選考期間は新卒の就職活動より短く、平均1か月程度です。就職活動は3〜6か月程度かかります。
入社時期の違い
転職者は内定後、数週間〜3か月前後で入社する企業が多い一方、新入社員は4月入社が中心です。
入社後の研修の違い
転職の場合、入社後の研修は新入社員に比べて少ない企業がほとんどです。転職者は最低限のビジネスマナーや知識があるものと想定され、即戦力として扱われるためです。
転職サイトを利用する企業側の事情

新卒と中途では採用ルートが異なっている
新卒であれ中途であれ「求人」であることに違いはないので、同じ媒体で募集すれば媒体経費が一つで済むという合理性があります。ならば転職サイトで両方を同時募集してもよさそうですが、そう単純にはいかない事情が企業側にあります。
新卒の場合は採用後に新人研修を行ってから配属先を決めるため、採用段階では人事部が採用を行い、新卒者全体を管理するのが一般的です。一方、中途採用は例外的な企業を除き、各事業部で欠員などが生じた場合に臨時で募集するもので、特別な新人研修はしないところがほとんどです。

また、事業部ごとに必要な人材要件が異なることが多いため、それぞれの事業部が主体となって採用を行います。
つまり新卒と中途採用では採用ルートやタイミングが異なるため、企業側にとっても簡単に一元化できるものではないのです。こうした事情が、新卒採用情報サイトと転職サイトという棲み分けが成立している大きな理由です。
少数ながら新卒者「も」対象としている求人情報もある

企業側は新卒採用では新卒専門サイト、中途採用では転職サイトと使い分けるのが一般的ですが、少数ながら転職サイトに新卒「も」対象とした求人広告を掲載する企業があります。
企業にとって、求人広告の掲載料をそれぞれのサイトに支払うのは経費負担の増大です。中途採用がメインで新卒採用に大きなコストをかけられない企業や、募集している仕事がそれほど実務経験を問わないため新卒からの応募も受け入れる企業は、新卒専門サイトには掲載せず、転職サイトに新卒も対象として求人を出すケースがあります。

新卒が転職サイトを利用して応募するメリット


メリット1:企業に関する多角的な情報を得られる

転職サイトは社会人を主な対象としているので、社会経験のある人の視点で求められる情報を提供しています。一方、新卒向けの就職情報サイトは社会経験のない学生でも理解できる情報であることが前提なので、企業の事業内容を深く掘り下げるより、平易な言葉で分かりやすく伝えることに重きが置かれます。
その結果、転職サイトと就職情報サイトの両方に求人を掲載しているA社があった場合、同じA社でもサイトによって事業内容や仕事内容の伝え方がかなり異なります。転職サイトに掲載されているA社の情報を閲覧すれば、A社についてより多角的に、深く理解できます。
メリット2:求人に対する具体的な要件、資質を探ることができる

転職サイトのもう一つの有効な使い方は、就職情報サイトだけでは分かりにくい企業側の「求める人物像や資質、要件」を具体的につかめることです。
新卒採用は技術職や専門職を除くと配属先確定前の募集なので、求める人物像を細かく特定しにくく、抽象的な紹介にとどまりがちです。その点、転職サイトに掲載される求人は「このような要件や資質を持った人を採用します」というストレートな情報が中心です。転職サイトを参考にすれば、入社後に期待される具体的な資質や要件を探ることができます。
メリット3:土壇場の求人情報獲得に力を発揮してくれる

転職サイトで、新卒も対象とする企業の求人が若干増える時期があります。それは年末〜2月ごろです。3月末決算の企業が次年度に向けて人材確保に乗り出す時期で、求人件数そのものが増えるためです。
また、転職サイトの求人広告は長期間の掲載を前提とせず、予定していた人数を確保でき次第掲載を打ち切るのが基本です。1年後や半年後の採用を前提に新卒の求人を転職サイトに出すケースはほとんどありません。年末から2月ごろなら、応募してきた学生を短期間で採用できるので、その時期に新卒も対象とした求人を出す企業が増えます。
なかなか内定が得られないまま年を越しそうだ、あるいは越してしまったという学生が、土壇場で求人企業を見つけたい場合に転職サイトは役立ちます。
新卒が転職サイトを上手に利用するコツ
上手に利用するコツ その1:気になる企業名で転職サイトも検索する

新卒専門の就職情報サイトで気になった企業があれば、転職サイトでもその企業名で検索してみましょう。転職サイトでもヒットしたらその情報にも目を通し、必要に応じてブックマークしておきます。
専門用語が多く理解しにくい点もあるかもしれませんが、その企業の人材に対する考え方や仕事内容への理解を深める教材として活用できます。そうした努力は、エントリーシートの作成や面接で志望動機を語る場面できっと役立ちます。
上手に利用するコツ その2:「応募資格」から求められるレベルを読み取る

特に着目すべきは、各企業の募集要項にある「応募資格」「応募条件」です。たとえば新卒には「TOEICのスコアは不問」としている企業でも、中途採用者には「TOEIC650点以上」を課している場合があります。この情報から、その企業では入社後ゆくゆくはTOEIC650点以上の実力が要求される可能性が高いと読み取れますし、スコアアップを目指すなら650点を目標にするという戦略的な取り組みができます。
自分が興味のある業界に特化した転職サイトは知りたい情報の宝庫!
IT業界に興味があるならIT系に特化した転職サイトを、薬剤師になりたいなら薬剤師専門サイトを、外資系に就職したいなら外資系に強い転職サイトを、という具合に、興味のある業界の転職サイトは特にチェックしておくことをおすすめします。どんな企業が、どんな職種で募集しているかが一目で分かるからです。ある程度の年代になればどの程度のスキルが求められ、どれくらいの年収をもらえるのかを知る指標にもなります。
総合的にさまざまな業界や市場全体の情報をつかみたい人には、大手の総合転職サイトが参考になります。リクナビNEXTの「グッドポイント診断」のような自己分析ツールを使えば、自分の強みを知り、新たな可能性を見いだすこともできるでしょう。
上手に利用するコツ その3:「新卒歓迎」の求人を探す

探せば見つかる「新卒歓迎」の文字。転職サイトで新卒も対象とした求人を探すコツは2つあります。
1点目は、「新卒歓迎」「新卒応募可」など新卒を含むキーワードをあらかじめ選択して検索できる転職サイトを探しておくことです。ほとんどの転職サイトはフリーワード検索ができますが、新卒に関するキーワードが検索条件に設定されているサイトは、新卒も対象とした求人がそこそこ掲載されている可能性が高いためです。
2点目は、ヒットした求人情報を隅々まで丁寧に読むことです。求人情報は転職希望者向けなので、「新卒歓迎」の文字は隅のほうについでのように書かれていることが少なくありません。また「新卒可」ではなく「第二新卒可」となっている場合もあります。新卒=第二新卒ではないので新卒は募集していない可能性が高いのですが、応募を検討したい企業なら、直接問い合わせて新卒は応募できないか尋ねてみるのも一つの方法です。そうした積極的な行動が、土壇場での内定獲得の可能性を切り開くこともあります。
新卒が使える就活サービスの整理
転職サイトはあくまでサブです。新卒が就活で使える主なサービスを整理しておきます。
| サービス | 役割 | 使い方 |
|---|---|---|
| 新卒向け就職情報サイト(マイナビ・リクナビなど) | メイン。新卒採用情報の大半が集まる | エントリー、説明会予約、企業研究の起点 |
| 転職サイト | サブ。企業研究と土壇場の求人探し | 企業名検索、応募資格の確認、「新卒歓迎」検索 |
| 就活エージェント | 新卒向けの個別サポート | 求人紹介、面接対策。中小・ベンチャーに強い |
| 大学のキャリアセンター | 学内求人と個別相談 | OB・OG情報、学校推薦、書類添削 |
| 新卒応援ハローワーク | 公的な無料支援 | 担当者制の相談、セミナー、卒業後3年以内も対象 |
| 逆求人・スカウト型サイト | 企業から声がかかる | プロフィールを登録してオファーを待つ |

新卒が転職サイトを使う際の注意点
- 中途向けの求人に新卒が応募しても、原則として選考対象外:「新卒歓迎」「未経験可」の記載がない求人への応募は避ける
- 転職エージェントは新卒には対応していないことが多い:新卒向けの就活エージェントや新卒応援ハローワークを使う
- 情報の鮮度に注意:転職サイトの求人は短期間で掲載終了するので、こまめにチェックする
- 大学のキャリアセンターと併用する:応募書類の添削や面接対策は、キャリアセンターや新卒応援ハローワークで無料で受けられる
架空ケース:転職サイトで企業研究を深めて内定を得たAさん(架空)
架空のAさん(大学4年・文系)は、第一志望のメーカーの新卒採用ページだけでは仕事内容のイメージがつかめず、転職サイトで同社の中途採用求人を検索しました。そこには営業職に求めるスキルや1日の流れが具体的に書かれており、それをもとに志望動機を練り直したところ、面接で「仕事内容をよく理解している」と評価され、内定を獲得したといいます。
まとめ
- 転職サイトは新卒の就活のメインにはならないが、サブの情報源として有効
- 企業の事業内容を深く知る、求める人物像や要件を読み取る、年末〜2月の土壇場で新卒歓迎の求人を探す、という3つのメリットがある
- 気になる企業名で転職サイトも検索し、応募資格から求められるレベルを読み取る
- 「新卒歓迎」「新卒応募可」のキーワードで検索し、求人票は隅々まで読む
- 大学のキャリアセンターや新卒応援ハローワークと併用し、面接対策や応募書類のサポートも受ける
これらを組み合わせて活用することで、就職活動を効果的に進め、希望する企業からの内定獲得につなげることができるでしょう。転職サイトを上手に活用し、就活の勝ち組となって優良企業への内定を勝ち取ってください。