休職中にいろいろ考え、元の会社に復職するのはやめておこう、せっかくだから転職活動してしまおう、と考える人もいるかもしれません。
会社に行っておらず、時間はあるわけで、転職関連書類(履歴書、職務経歴書)、面接回数(平日昼間も可能)、転職サイトの閲覧、転職エージェントとの面談等、働きながらではないので十分時間が取れます。
退職後ではないので、職を失うリスクもなく、ダメなら最悪復職するというリスクヘッジも可能です。
しかし、休職中に転職活動するのは、今いる会社や、応募先企業にバレて不利益を被ることはないのでしょうか?
今回は休職中の転職活動について、不利にならないマニュアルを作ってみました。ご自身のキャリアのためにぜひ参考になさってください。
<休職中の転職活動について知るメリットはこれ!>
・休職中の転職活動の可否、「基本的にあり」の理由がわかります
・休職中であることが応募先に伝わるケースがわかります
・正直に休職中なのを話すべきかどうかがわかります
・病気やけがでの休職以外の休職についても言及しています
・転職活動すべきでないタイミングについても理解できます
休職中の転職活動で気をつけたいこと
大前提として「病気やけがで働けないから休職している」ということになっていますよね。働けないということは、転職してすぐ働くことも難しいわけで、そうなると「すぐに御社に転職して働きます」ということと齟齬が生じてしまいます。
一方で「休職に追い込んだ今の会社なんかに戻るものか!この機会を生かして転職してやる!」という気持ちを持つのも自然です(会社関係なく休職した場合は除く)。
退職せずにまとまった休みが得られるのは休職期間くらいなのも事実です。退職してから転職活動するのと、「在職中」(休職中は在職しています)に転職活動をするのでは、
・応募先企業の印象がいい(退職に追い込まれて転職活動している人ではない。キャリアアップのためかも)
・転職が決まらなかった場合のリスクヘッジ(仕方なく・・ですが、元の会社に復職できる)
・働きながらではないので心身の疲れがないなかでじっくり転職活動できる(休日や就業後だと疲れてしまう)
というメリットは否定できません。
転職は一生のことですから、このチャンスを生かすのもありだと考えます。ただし、会社の就業規則を確認しておきましょう。また、傷病手当金を受けている場合、支給の条件は「病気やけがで働けないこと」なので、転職活動ができるほど回復しているなら、受給を続けてよいかどうか加入している健康保険に確認しておくことが大切です。
以下ポイントを書きます。
休職中であることが応募先に伝わるケース
1.自分から面接で話す
転職希望の会社の面接で「休職中です」と話す、あるいは履歴書や職務経歴書に「○年○月から休職中」と書けば、自分でカミングアウトするわけでバレてしまいます。
2.同業他社の社員からバレる
転職希望企業が同業他社の場合、業界内の横のつながりからバレるかもしれません。
「実は今度、君の会社から転職者が来るんだよ~○○さんという人」
「えっ!? 彼、今休職中ですよ。なんだよ、あいつ!」
この社員たちの発現や行動はコンプライアンス的に問題がありますが、うっかり口を滑らせる可能性はゼロではありません。
3.SNSでバレる
おそらく、応募して面接に呼んだ場合、みなさんの名前、あるいは「名前 会社名」で検索され、twitter、Facebook、Instagramに該当者がいないかどうかチェックされると思ってください。
「休職中でつらい」などと投稿し、友人以外に公開していれば、休職中であることが伝わります。
4.源泉徴収票でバレる
転職後、新しい勤務先に、今の会社退職時に交付される「源泉徴収票」を提出します。それと新しい職場の給料等を合わせて、その年の年末に「年末調整」をします。
もし、休職期間に無給なのであれば、不自然に源泉徴収票の収入が少ないので、「給料を得ていなかった期間」と勘繰られ、休職がばれるケースがあります。
5.住民税バレる
住民税からバレる可能性もあります。住民税は前年の所得に応じて計算され、それを翌年、給料から天引きする形で支払う(特別徴収)のが一般的です。無給で休職していて、前年の収入や所得が少なければ、転職先の同じような待遇の人と比べて著しく住民税が安く、「なぜ?」と思われてバレるかもしれません。
休職の事実をすべて話さないことと積極的にウソはつくのは違う
休職していることを積極的に話すと、当然バレてしまいますが
(1)休職の事実を話さない
(2)働いていると積極的にウソをつく
のは違います。
休職しているのに
「今の部署はとても忙しくて、先週もアメリカ出張してきたんです」
というのは虚偽を言っていて、バレたとき内定取り消しや解雇などのペナルティのリスクがゼロではありませんが、
「・・という部署でこういう仕事をして(休職前の仕事)、今に至ります」
と話すのは、虚偽のことを言っているわけではないのでセーフです。
ただし、面接で休職や健康状態について質問されたときは、うそをつかずに答えましょう。経歴や健康状態について虚偽の申告をすると、後で内定取り消しや解雇などのトラブルにつながることがあります。
在職中の会社との関係にも注意
休職中に転職活動をしていることが会社に伝わると、復職や退職の話し合いがこじれることもあります。転職先が決まったら、就業規則に沿って会社に退職の意思を誠実に伝えましょう。
正直に言わないことに不安がある?やはり休職中だと伝えた方がいいのか?への回答
休職の事実を自分から話す義務があるわけではありませんが、面接で聞かれたときにうそをつくと、後で大きなトラブルになりかねません。不安がある場合は、正直に伝えたうえで、今は問題なく働けることを説明しましょう。
休職の事実を伏せるのは嫌だという人は言ってもいい
性格的に休職を伏せるのは嫌、ウソはつきたくない、という人は、ある程度正直に話しても大丈夫です。
その場合「休職の理由」や「今の職場に復職しない理由」を納得いくように答えられるようにしておきましょう。
「この人はまた休職するかもしれない」、こういう人を採用するのはリスクがあります。
「復職ではなく転職を選んだ」がはっきりしていて、加えて転職後の意欲をアピールすることが最低限必要になります。
「御社で働くのは問題がありません」を強調する
病気やけがで休職していた場合、転職後、再休職の可能性が低いことを強調します。「しっかり療養して回復、あとは体力をつければ大丈夫と医師も言っています」こういうことをアピールしてください。
「治癒証明書」(病気やけがの場合)や、寛解したという診断書(精神疾患の場合)があると説得力があります。
「再休職のリスクは低いですよ」ということをわかってもらうのが大事です。
セクハラやパワハラなど明確な理由がある場合は話してもOK
セクハラやパワハラを受けて、労働委員会の調停や裁判係争中の方や、ショック等もあり会社の配慮で休職している方もいます。
そういうハラスメントを受けていての休職の場合は、正直に話してしまって構いません。ハラスメント防止は今や企業の重要なコンプライアンス案件になっています。
まさか「告発予備軍で『地雷だ』と思うような会社はないでしょうし、そういうところであれば、こちらから願い下げです。
障害者雇用で行くならば休職までの経緯を話すのも良い
病気やけがで休職をして、それが原因で障害者手帳を持つようになった人は、「障害者雇用枠」狙いであれば、休職の事実を告げても構いません。
「今いる会社よりも御社の方が、障害者が活躍でき、配慮もしてくれるので是非働きたい」と堂々と転職先の方がいいから、と話しても大丈夫です。むしろ、やる気がある人だと評価されるケースもあります。
病気休職ではない場合はアピールに転じることも可能
会社の休職制度は病気だけではありません。留学やボランティアなどを理由として休職制度を整備しているところもあり、それで就職をして、仕事とは違う経験をしたから転職したくなった、という人はそれを話していただいて大丈夫です。むしろ、まったく違う畑へ転職したい場合、その方がアピールでき、志望動機にもなります。
「金融機関にいましたが、海外の大学で難民問題を勉強した結果、即物的な融資ではなく、弱者を根本的に助けるため、社会制度の改革を働きかけている貴NPOで働きたくなりました」的な理由です。
会社のお金で大学や大学院へ通い、そのまま戻らずに転職するというケースは感心しませんが(官僚によくある)、自費で行っている人ならば大丈夫です。
逆に転職先に言っておいた方がいいケースもあり
休職の結果、問題なく働けるようになったものの、定期的な通院や、また症状が悪化するリスクがある人は、正直に話して転職先の理解を得ておいた方がいいケースもあります。
「毎月1回通院するなんて聞いていない」
そういうケースをなくすため、あらかじめ承諾をもらっておきましょう。
「休職中の会社は毎月1回の通院が難しいので、それが可能な御社に応募しました。なぜなら、病気や障害の人でも働ける職場を謳っているからです」みたいに話せば無下にはできないはずです。
正直に休職について話すことは、基本的にマイナスに働きますが、求職理由によっては不利にならなかったり、場合によってはアピール材料になったりするので、絶対的な答えはなくケースバイケースともいえそうです。
本当に働けるコンディションでないならば、休職を延ばして療養してください!
この記事は「けっこう元気になってきているので、せっかくの休職期間を利用して転職活動してもいい?」という人向けのものです。
休職していて、まだ回復せず働けない人や、新しい環境で働くと、また病気がぶり返しそうな人は、おとなしく休職をして療養し続けてください。
特にメンタルを病んでいる人は、新しい環境で働くことは大きなストレスになります。
アメリカの研究者Holmesらによる個人が感じるストレスについての研究論文“The Social Readjustment Rating Scale. Journal of Psychosomatic Research, 11(2), Holmes, T. H., & Rahe, R. H. (1967).pp.213-218.”によると、
「転職」のストレスは「妊娠」や「新しい家族が増える」のとほぼ同じで、「親友の死」よりも大きなものとされています。
したがって、そのストレスで体調悪化も予想されるため、重要な決断は本当に回復するまで先延ばしにした方がいいのです(メンタルでない休職の方もストレスは同じです)。
「今の職場ではもう先がないから、半年でも若いうちに転職をしたい。もちろん、休職したことはクローズにして」と思って、無理に転職すると、さらに大きなストレスで泥沼にはまってしまう可能性もあります。
「本当に回復して余裕。休みにも飽きてきたし、新天地で頑張りたい!」くらい回復していないと、休職中の転職活動の結果、大きな失敗をするリスクがあることも意識しておいてください。
休むべき時はしっかり休んだ方が、キャリアの再構成には近道のケースもあります。
本当に休職の結果、問題なく働けるのか、転職は大きなストレスであり、健康面で問題がない人でも「転職うつ」などになるケースもあります。ご自身のコンディションと今後のキャリアをよく考えて行動をしてください。
本当に転職活動していいのか?わからない場合は
転職活動を始めてよいか迷う場合は、まず主治医や会社の産業医に相談しましょう。働ける状態かどうかを確認したうえで、求人探しや応募書類については、ハローワークの職業相談なども利用できます。
以上、休職中の転職活動はチャンスとリスクが混合するため、その人次第になりますので、無理なく戦略をもって考えてみましょう。傷病休職の場合は、お体が第一ですよ!
休職中の転職活動で不利にならないマニュアル! まとめ
・休職中の転職活動は基本的に「あり」
・前年の収入やSNSなどから、休職していたことが伝わる場合がある
・面接で休職や健康状態について聞かれたら、うそをつかずに答える
・良心が痛み正直に話す場合は、転職後問題なく働けることを強調する
・休職理由によっては話した方がプラスに働くケースもある
・休職中はまとまった時間がとれる数少ないチャンスでもあり、それを活かすことは否定、批判できない
・判断に迷う場合は、主治医や産業医、ハローワークなどに相談する