30代が未経験で転職しやすいおすすめ職種と業種!違う仕事にチャレンジ

30代になると20代の時よりも一層、他の業界・業種・職種への転職が難しくなると言われています。

「まったくこの業界は知らないので1から学びたいと思います!」
「やる気と熱意はあります!」

これで採用されるのは20代まで。

ポテンシャルだけ通用する年代ではなく、確かな職務経歴を求められるのが30代なのです。

■企業が求める理想的な30代の人材■

  • 30代全般:特に教育、研修をしなくてもすぐに「即戦力」として活躍できること
  • 30代前半:仕事の中核として最前線でバリバリ働けること
  • 30代後半:管理職、マネージャーとしての資質も併せて期待される

この記事ではこれら企業側の求めるものを踏まえた上で、30代の方々がどうすれば未経験の仕事への転職を成功させることができるのかをわかりやすく解説していきます。

意外と知らない「職種」と「業種」の違いがよくわかる

まず、「職種」「業種」の違いについて再確認しましょう。意外とごっちゃにしている人が多いのですが、職種と業種はまったく違う概念になります。

職種=仕事の種類

職種とは職場でどのような仕事をするのかという「仕事の種類」です。例えば具体的に例を挙げるとこういう分け方になります。

■職種の具体例■

  • 営業職=会社の商品をするために営業をする
  • 事務職=総務・人事などのデスクワークを行う
  • 企画職=新規事業のマーケティング等を担当する
  • エンジニア職=プログラマー、SEなど実際のプログラミング、システム構築を担当する

業種=業界の種類

一方業種は、その会社がどういう業界に属するのかを示したものです。

■業種の具体例■

  • 商社=ものを仕入れて売る
  • 医療、福祉=病院やクリニック、福祉施設
  • IT=システムを構築することを目的としている
  • 金融=銀行、信金、信託銀行等

職種と業種の違いを例で示します

「金融」と聞くと銀行の営業マンをイメージする人が多いですが、違います。「業種:金融」であってもその中で働く人々の職種は様々です。

■金融業界内の各職種(一例)■

  • 営業職=営業マン
  • 事務職=受付窓口対応、総務、人事
  • 企画職=資産運用のコンサルタント、NISAやiDeCoの企画、顧客との相談
  • ディーラー=顧客から預かった資産の運用
  • システム職=銀行のオンラインバンキングシステム等の設計、構築

ざっと思いつくだけでも、同じ「金融」という業種でもこれだけ職種の違いがあります。漠然と「○○業界がいい」とイメージしていても、その会社に転職できたときに行う仕事はまったく違う可能性があります。

不動産の営業をしていた人は、あまり銀行について詳しくなくても、営業職ならば行けるかもしれません。個人向けに数千万円~数億円の不動産の飛び込み営業の経験は、法人向けに行う融資営業に役立つはずです。

一方で、その人がシステムを組めないでしょうし、金融知識も経済知識もない人にディーラーなどさせたら大変なことになります。

「他業種、同職種」ならば応用が利きそうですが「他業種、他職種」への転職は非常に難しそうです。

30代が未経験の業種に転職するなら

最初に30代を過ぎると、未経験の仕事への転職は難しくなると書きましたが、「未経験の業種」でも「経験がある職種」ならば、比較的転職しやすいようです。

つまり、これまでの職種スキルが応用できる幅が広い仕事で、業界の専門知識は後からでもなんとかなる、というケースになります。

具体的な例として、例えば「他業種の営業職の人が、別の業種の営業職へ転職するような場合」です。日本の会社の場合、特に文系職種は、何も知らないことを前提に一から育てていくという慣習があり、逆に言うと中途採用の場合、一から育てることはできず、特に各職種独特のスキルを身に付けるには数年かかります。

他業種の人でも、職種が同じであれば、その職種独特のスキルは身についているはずですから、即戦力となりえます。

まったく薬の知識がない人が、製薬会社のMRになるのが当たり前、脳筋の体育会系(大学時代にまったく勉強していない)、がまったく業界知識がないのに商社や証券の営業職等で重宝される現状を鑑みるに、職種の適性さえあれば、知識は何とかなる(本来そうあるべきかどうかは別にして)

とはいっても、その職種の経験があるならば、すべての業種への転職が容易になるかというとそうでもありません。やはり、「同じ業界、業種」、「同じ職種」への即戦力採用でないと難しい職場もあるようです。

30代が未経験で転職が難しい業種

上記の業種は未経験者の転職がかなり難しい業界です。経験者でないと採用されない可能性が高いです。

IT系は本当に専門知識がないと太刀打ちできません。少々他業種のシステム部門にいたくらいでは、ITを専門にしている会社での仕事はできません。

IT・通信・インターネット

IT業界の転職には公式が明確に決まっていて

「○○の仕事を△年やっていればこのくらいの職場」ということが転職エージェントにも共有されています。

他業種のIT職とIT業界のIT職では、料理教室で家庭料理を習っていた人と、レストランでお客に出す料理を修行していた人、くらいの違いがあります。

同じ「料理を習う」でもまったく違うのがわかりますよね。そういう違いです。

不動産・建設・設備

こちらは専門資格が必要になります。宅建も持っていない人が転職してもできることは限られています。

いくら営業に強くても、職業柄資格がないとその仕事ができない場合(営業して不動産契約をする場合には宅建と内容が被る「管理業務主任者」資格が必要です)は未経験者ではどうにもならないことも。

コンサルティング

「コンサルティング」(コンサルタント)は、専門分野以外のことを行うのは非常に厳しく、個人の専門がないと相手に対して説得力がある提案はできません。

ファイナンシャルプランナーとして個人の資産運用を行っていた人が、企業の経営コンサルティングの会社に入ってもその知識を活かすことはできないでしょう。

30代が未経験でも転職しやすい業種はコレ

一方で、未経験者でも歓迎される業種もあります。これらはなぜ転職しやすいのでしょうか?

運輸・交通・物流・倉庫

運輸と言っても鉄道や航空業ではありません。地上の運輸業、つまりトラックによる配送や宅配便です。物流、倉庫もそれに準じます。

つまり、Amazonをはじめ楽天、ZOZOTOWNなど、通販の隆盛によって

「商品を管理、保管する倉庫」
「商品の販売網である物流」
「実際の商品配達である運輸、物流」

が完全に人手不足になっているから(※)です。ドライバーをはじめ、倉庫の荷詰め係などあらゆる人が足りていないので、30歳未経験でも歓迎されます。

物流の危機 人手不足克服へ荷主も協力を|読売新聞

商社

意外なことに商社も未経験者歓迎です。これは、商社の場合小手先の専門スキルではなく、総合的な「人間力勝負」のことが多く(三菱商事や三井物産の社員を見ればわかります)、人間的に成長しているであろう30代の人ならば、総合力で採用しやすいというわけです。

人間的にあまり成長していない場合は、もちろん見透かされてしまうでしょう。

流通・小売・フード

アパレル、スーパー、ホームセンター、外食産業などが該当します。これは言うまでもなく「ブラック企業」が多い業種で離職率の高さも半端ないです。

「人手不足で誰でもいいから来てほしい」
「誰でもできる仕事だからスキルはいらない」
「バイトを統括する責任者にさせたい。社会人経験さえあればよい」

これが本音なので、労働環境が整っていない企業に出会う確率が高いといえます。一時しのぎに転職できても続かず、転職歴だけが増える可能性もあるので、転職の際は見極めが肝心です。
※もちろんこれらの業界全てがブラックというわけではありません。

30代が未経験の職種にチャレンジするなら

続いて未経験の「職種」について考えます。職種によって身に付けるスキルが違います。営業の人に「マクロを組めるか」と問うのも違いますし、ずっとプログラマーをしていた人に飛び込み営業などはできないでしょう。

未経験の職種に転職するためには、その職種をずっとやってきた人のスキルに対抗できる、何らかの「裏打ち」が必要になります。知識やスキルは不要、誰でもいい、という仕事は業種の場合と同様、ブラックの可能性が高いので、それはみなさんが望むところではないですよね。

同じ職種をしてきた人の転職スキルに対抗するためには、資格、検定の合格、研修などの受講をして、客観的に採用担当者にご自身のスキルを示せることが重要になります。

また完全未経験でも、社内に研修制度がしっかりある場合や、同じような仕事をする他社がない場合、内部で人材を育てるという仕組みが導入されているかもしれません。

その場合、人間性重視の採用になり、人物がしっかりしていれば、30代未経験者でも採用される可能性があります。

30代が未経験でも転職しやすい職種

働いてきた業界である「業種」以上に重要となる、やってきた仕事の内容やスキルである「職種」、スキルや業務の蓄積がないと、30代での転職は難しい傾向にありますが、そうした中でも「未経験者歓迎」「未経験者でも転職しやすい」職種が存在します。

一体どういう職種ならば、30代未経験でも行けそうなのか考えてみましょう。

1.美容・宿泊などサービス系

日本を訪れる外国人が年間3000万人を超えています(※)。オリンピックが近くなり、今後さらに増えることが予想され、ホテルや旅館などはうれしい悲鳴をあげています。

そのため、宿泊サービス業に従事する人が足りず、未経験者であっても、社会人経験があり接客対応ができる人ならば歓迎されます。

(※)
訪日外国人3000万人突破 : 「2020年4000万人」の目標に向けて弾み

美容職はエステティシャンなどが該当します。男性向け、あるいはティーン向けのエステも増えており、これらを担当するエステティシャンが不足しています。

もちろんある程度の技術力があった方がいいのですが、猫の手も借りたいというのは本音のようです。

それ以外にもアミューズメントパーク従業員なども未経験であっても転職しやすい状況です。

ただし、シフト制勤務や土日休めないなど条件が折り合わないことが多分にあり、人材が辞めてしまう状況の裏返しでもあります。

2.販売・飲食

小売店の販売員や外食チェーンの従業員(店長、調理員、接客等)などがここに該当します。

もともと、スキル以上に対人コミュニケーション能力が高く要求される仕事です。

したがって、スキルや経験がなくても人と話すのが好き、コミュニケーション能力が高い、こういう人は即戦力として歓迎されます。

もちろん、激務で薄給、休みも少なくシフト勤務が多い、というネガティブな労働条件の結果、人が定着しないので「とにかく(スキルがない人でも)誰でも来てほしい」というブラックな面があることは否定できません。

3.工場・配送

工場での労働者(組立工や塗装工)は、マニュアルがしっかりしているので、未経験の方でも歓迎されます。期間工の待遇がいいのは、その業務(いわゆる3K)を避ける人が多いからなのですが、逆に積極的に正社員として工場での労働を希望する人は歓迎されます。

※期間工についてもっと詳しく
⇒期間工の地図 │fromジョブシフト

配送の仕事については上で書いたように、ネット通販が大幅に増えたことで、各運送会社の仕事はパンク状態にあります。したがって、配送業(宅配便等のドライバー)を希望する人は大いに歓迎される状態にあります。

もちろん、トラックを運転するので、そのための自動車運転免許(普通、中型、できれば大型も)が必要になります。

4.営業

営業職は職務経験が必要に思えますが、対人コミュニケーションに秀でていれば、営業職の経験がなくても歓迎されます。

コミュニケーション能力を示すためには、面接で上手な受け答えをするしかありません。採用担当はプロですから、本当に営業能力がある人かどうかはそこでバッチリ見抜きます。だから未経験者でも面接までたどり着けば、そこで逆転が可能なんです。

5.事務

事務職はむしろ「事務職しかできない人」よりも他職種を経験した人の方が加点要素になり評価されます。

「経理もできる事務」「システムが組める事務」「営業のことがわかる事務」などは、単なる事務とは違い、場面によっては応用できて企業側も重宝するでしょう。

「なぜ前の職種ではなく事務職を希望するのか」

への返答さえしっかりしていれば、未経験者でもまったく問題ありません。

ただし、事務職の人気は高く、「売り手市場」と言われる現在でも求人倍率が1倍を下回る地域がほとんどの「狭き門」であることに注意してください。

30代が未経験で転職が難しい職種

一方で、高度なスキルや即戦力が必要で、よほどのことがない限り、未経験者の転職が難しい職種もあります。

1.ITエンジニア

プログラミングをするため、経験がない人に行うことはできません。新卒採用の場合は、未経験者の文系学生も採用して研修、教育する会社もありますが、30代の中途採用の人にIT技術を教える余裕はまったくありません。

未経験者には高度すぎるため、情報技術関連の難関国家資格(ITストラテジスト試験(ST)、システム監査技術者試験(AU)、プロジェクトマネージャ試験(PM))あたりを持っていてようやく面接に呼んでもらえるかどうか・・・。

「いくら難関資格を持っていても実務経験がない30代はいらない」というIT企業も少なくありません。エンジニア職ではなく、営業職やマネージャー、管理職としてIT企業に転職することはできますが、技術者として30代未経験はかなり難しいと思ってください。

2.web・インターネット・ゲーム制作

こちらもITエンジニアと同様で、実務経験がないと相手にされません。最近隆盛のスマホゲームもこのカテゴリでしょう。

過去に自分が作った作品など「ポートフォリオ」を応募時に示せないと、相手にされないこともあります。

スキルが日進月歩していく職種なので、まったくの未経験者がそれに適合してスキルアップを図っていくのはかなりの難易度だと言えるでしょう。

3.建築・土木作業員、建築設計・デザイン

実際の建設作業員(大工さん、とび職等)も未経験者ができるものではありませんし、建築設計、デザイン等も熟練のスキルが必要になります。

専門的な知識や技術が必須の職種は、それを持っていない人は歓迎されないというのをよく意識してください。

未経験の職種に転職したいなら

以上をまとめると、30代で未経験職種への転職は、技術やスキルが必要だがやり方次第では転職できる、ということになります。そのためには、客観的にスキルや知識を証明できることが重要です。

では、実際に未経験の仕事にチャレンジしたい人は具体的にどのような行動を起こすべきでしょうか?

転職に必要な資格・知識を一から学ぶ

資格試験や検定試験に合格して資格を取得するのが一番です。アヤシイ民間試験ではなく、なるべく国家資格や公的団体が主催する試験に合格した方が信頼度が高くなります。

一から学ぶのは大変ですが、何もない状態で未経験者として未経験職種に転職をするよりもはるかにマシです。

働きながら学ぶ:各種スクールや通信教育

働きながら通信講座や土日の専門学校で学び、資格を取ったり、資格試験を受験するやり方です。

休暇や余暇を勉強に充てるので自分の時間が無くなりますが、いずれにせよ資格や検定を取るためには勉強しなければなりません。

例えば筆者は、昨年1年間通信制の大学で学び(4年次編入という1年コースがあります)、新しい学位と「認定心理士」という心理学資格を取得できました。

通信制大学の中には、スクーリング(登校)しなくても、全部WEB上で完結する(レポートはメール、最終テストはWEB試験)ところもあり、思っているよりも負荷は少ないです。

辞めてから学ぶ:職業訓練校

もう1つが、仕事を辞めてハローワークに登録して、職業訓練を行う方法です。

この方法だと、職業訓練、資格取得のためのお金が無料であるだけではなく、場合によっては「職業訓練給付金」という失業手当のような給付を受けながら、つまり、お金をもらって勉強することができます。

時間的に余裕があり、前職は辞めてしまいたいという人はこのやり方を選ぶのもいでしょう。

転職に直結する資格を効果的に取る

資格ならば何でもいいわけではありません。

転職に直結しない資格や趣味レベルのものであれば時間の無駄になってしまいます(もちろん自己啓発で勉強するのはOKです)。

結論!30代が未経験で転職しやすい職種の条件はこの2つ

  • 激務で人手不足の職種
  • 前職のスキルや知識を活かせる職種

前職のスキルや知識を活かせる職種

多少なりとも前職のスキルや知識を生かせる職種であれば、なるべくそういう職に転職するのも1つです。金融機関でお客様対応の仕事をしていた人、つまり悪質クレーマーや職業的総会屋などを相手にする仕事をしていた人なら精神的に相当タフなはずです。

そういう人ならば、一般的に大変な不動産営業や証券営業も、直接的な営業スキルがなくてもできるかもしれません。

応用できそうなスキルや知識、経験がないかどうか、もう一度これまでの経験の「棚卸し」をするのをおすすめします。

激務で人手不足の職種

人手不足の職種、つまり小売りの販売員、介護実務、外食チェーンの「雇われ店長」などであれば、職種未経験でも採用は比較的容易です。

しかし、何度も繰り返しになりますが、これらの仕事はブラックで低賃金、激務薄給だから人が逃げて集まらないわけです。

また、例えば介護職でも社会保険福祉士や精神保健福祉士を持つ人は、介護の「上流」(管理やプラン策定)を担うため、キツイ現場は資格や経験がない人が担います。「ソルジャー」として使い捨てられるのが嫌なのであれば、より難関資格を取得するしかないです。

30代の未経験転職まとめ

これまで30代未経験でも行ける業種や職種について紹介してきました。

未経験でも、ポテンシャル次第、あるいは自分で能力を涵養できるスキルならば、転職の際にも評価されますが、どうしても「前の職場でしか経験できないこと、仕事を通して養われるスキル」が必要な仕事は、未経験者には難しい、ということになります。

逆に「30代未経験者大歓迎」という仕事のなかには、人がすぐ辞めてしまう働きづらい仕事が多いのも事実。本当にその業務の中でスキルやキャリアを積めるのか、よく見極めてください。

30代の未経験転職まとめ

  • 30代になると一般的に即戦力、会社の主力としての働きが期待される
  • 30代未経験者に一から指導する余裕は多くの会社には無い
  • 職種は営業や事務など実際の「仕事内容」、業種はその仕事の「業界」
  • 同じ業種、同じ職種の方が転職しやすいのは事実
  • 特に「他職種」への転職は難しいと覚悟すべき
  • 30代が未経験で転職しやすい職種は「人手不足」か「前職のスキルを活かせる」職種
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