転職エージェントは希望にマッチした求人を探して紹介してくれたり、面接日程を調整してくれたり、入社条件を代理で交渉してくれたり、現職で忙しい方が転職活動を行う際にとても頼りになる存在です。

しかし、そうしたたくさんのメリットがある一方、転職エージェント特有のデメリットもあります。
その一つがこの記事で紹介する、頼みもしていないのに希望外の求人を強くすすめてくる場合があることです。

本人の希望や条件に完璧にマッチしているなら何ら問題はありませんが、希望にマッチしているとは言い難い条件なのに特定の求人を強烈にプッシュしてくる場合があるのはなぜでしょうか。
また、こうした求人をすすめられた場合、どう対応したら良いのでしょうか。

転職エージェントが特定の求人を強力にすすめてくる裏事情などについて、詳しく解説させて頂きます。

そもそも強くすすめてくる求人には裏事情があるのか?

この記事は特定の求人を強力にすすめる裏事情を紹介することが目的ですが、そもそも希望外の求人を強くすすめるのには何らかの裏事情が必ずあるものなのでしょうか。

ほぼ100%に近い確率で何らかの裏事情がある

結論から言えば、ほぼ100%の割合で何らかの裏事情が存在します。

転職エージェントは利用者の希望や条件にマッチした求人企業を紹介することが、利用者満足度を高める上での必須条件となります。
自分が希望していた年収条件を大きく下回っていたり、希望勤務地が遠かったりするような求人ばかり紹介していれば、どんなに丁寧なサポートを行っていても利用者満足度は大きく低下することになります。

menガッツ

転職エージェントは一人でも多くの利用者を集め、求人企業に紹介できなければ商売が成り立ちません。
そのためには、利用者が満足できる求人企業を紹介することを徹底する必要がある訳です。

ところが強力にすすめる求人企業が利用者の希望とかけ離れている場合は、この原則から逸脱することになります。
つまり利用者満足度の低下も覚悟した上で求人をすすめている訳です。

それ相応の裏事情がないと、こうした求人の紹介は本来できないことなのです。

裏事情その1:ノルマの達成

womenノーマル

具体的にどんな裏事情があるの?

menガッツ

ではどんな裏事情があるかということですが、その一つがアドバイザーやコンサルタント(以下アドバイザー)が抱えている「ノルマ」です。

womenノーマル

なるほど。ノルマね…

アドバイザーが課せられるノルマとは営業マン同様売上が主なものになります。
アドバイザーにとっての売上とは求人企業に人材を紹介し、採用に至った場合に転職エージェントが得られる成功報酬のことです。

成功報酬とお伝えしているとおり、求人企業に登録利用者(以下利用者)を企業に紹介するだけでは報酬は発生しません。

採用に至るには、求人企業側の希望にマッチした人材を紹介する必要があります。
そのため、利用者の希望ばかりを重視して紹介を行っていれば、採用に至らないケースも増えるため、結果的にノルマ達成も困難になってきます。

menガッツ

そうした事情から、利用者の希望にそぐわなくとも採用されやすさを重視して特定の企業に応募するよう積極的に進言する場合が生じるのです。

裏事情その2:報酬割合が高い

求人企業が転職エージェントへ支払う報酬はある程度相場はありますが、具体的な報酬金額は企業によって、場合によっては同一企業でも求人などによって異なってくる場合があります。

例えば一刻もはやく人材を採用したい企業であれば、転職エージェントを積極的に動いてもらえるよう報酬割合を高くします。
また、希少性が高いハイスペックな人材を求める場合なども選りすぐりの人材を転職エージェントが紹介したくなるよう、高額報酬が設定されることが珍しくありません。

menガッツ

その結果、希望にマッチングしていなくとも、報酬割合が高い求人企業をアドバイザー側が積極的にすすめてくる場合が生じます。
報酬が高い求人企業への紹介を成功させた方がアドバイザーとしてもノルマを達成しやすくなりますし、人事査定で評価が高まること等も期待できるからです。

womenノーマル

採用される可能性が高い求人ってことでもあるのね!

裏事情その3:人事的な評価を高めたい

転職エージェントによってはアドバイザーに対して売上ノルマを設定していなかったり、設定していてもクリアしやすい最低限のノルマに留めていたりする場合もあります。
しかし、売上ノルマがなかったとしても、人事評価もないという企業はまずありません。

menガッツ

アドバイザーにとって、何人転職を成功させたかの実績は最もと言って良いぐらい重要な評価項目となっています。

その結果、ノルマに比較的近い裏事情となりますが、自分の実績や評価を高めるために利用者に対し、希望にマッチしていなくとも採用が決まりやすい求人企業を強くすすめる場合があります。

裏事情その4:独占契約を結んでいる得意先をライバル企業に奪われたくない

はやくその企業へ人材を紹介しないとライバル企業に求人企業が奪われかねないという場合も、アドバイザーが特定企業を強くすすめる裏事情としてあげられます。

独占契約を結べていない求人企業であれば、ライバルの転職エージェントとも契約している可能性があります。
ライバル企業が先に求人を紹介し、必要な求人数が確保できてしまえば「終了」となってしまいますので求人の紹介を急ぐ必要が生じます。

womenノーマル

なるほど。転職エージェントってたくさんありますから、のんびりしてられないってことなのね。

menガッツ

その結果、採用される見込みが高い利用者などに希望にマッチしていなかったとしても積極的にそうした可能性の高い求人企業をすすめてくる場合があります。

裏事情その5:独占契約を勝ち取ったばかりの企業の期待に応えたい

一般契約と異なり、独占契約であれば他の転職エージェントに仕事を奪われる心配がないので無理して利用者を紹介する必要がなさそうに思われます。
ところがそうはいかない場合があるのです。

独占契約は求人企業にとって他の転職エージェントを利用できなくなるというデメリットが伴います。
そのため、特にはじめて独占契約を結ぶような場合には例えば希望している人材を一定期間内に必ず◯名以上紹介することを約束するなど、独占契約を結ぶことで生じるデメリットを解消できるような条件が付帯しているものなのです。

womenノーマル

デメリットばかりじゃ企業側も困るし、条件があるのは当然と言えば当然よね。

menガッツ

その結果、独占契約を締結してくれる求人企業との約束事に応じる必要が生じることから、利用者の希望にマッチしていない場合でもその企業を強くすすめるという行為につながることがあるわけです。

裏事情その6:特定の求人企業から泣き付かれた

転職エージェントのアドバイザーは利用者だけでなく、求人企業側とも密にコミュニケーションを図りながら仕事に取り組んでいますので自然と関係が深まってゆきます。
アドバイザーも人間ですから、親しくなった求人企業とそうでもない企業であれば人情的に前者を特にひいきしたくなるものです。

womenノーマル

そりゃそうよね…。これまで築いてきた信頼関係もあるし。

もしひいきしている求人企業にはなかなか応募者が現れず、採用に苦戦している状況で「誰か紹介してくれないか」と泣き付かれたとしたら、アドバイザーもなんとかしてあげようと考えてしまうわね。[/char]

menガッツ

その結果、利用者側の希望条件にはマッチしていなくとも、泣き付かれた求人企業側の条件にマッチしている利用者であれば求人企業を手助する人情的な理由から積極的に応募すすめることがあります。

これは裏事情と言うより人情的な事情ゆえ、同情できる余地はあります。
しかしながら希望条件にマッチしていなければ、やはり利用者にとって好ましい紹介とは言えません。

裏事情その7:ようやく取引きにこぎ着けた求人企業だったから

空前の転職ブームを背景に転職エージェントは現在約2万社近い数に増え、転職エージェント間の競争は激しくなる一方です。
利用者の争奪戦も激しさを増していますが、転職エージェントを利用してくれる求人企業の争奪戦も年々激しくなる一方という状況です。

特に利用者からの人気が高い有名企業であれば、転職エージェントとしては格好の広告材料にできますので喉から手が出るぐらい取引したいと考えています。
そのため、ある有名企業の人事部長クラスになれば転職エージェントからのワイロに近い贈答合戦や接待合戦が密かに行われている場合もあります。

menガッツ

そうした状況の中、他のエージェントと取引きしていた有名企業を説得し、自社へ鞍替えしてもらうことに成功できた場合には何が何でも早期に結果を出して、求人企業から信頼を確実なものにしたいと考えるものです。

そのため、取引きにこぎ着けたばかりの求人企業に対しては利用者側の希望にマッチしていなかったとしても積極的にすすめようという動機が生まれることになります。

裏事情その8:現状の希望のままでは採用される見込みが低い

これまで紹介してきた裏事情は、転職エージェント側の利益や都合を優先した裏事情が中心でしたが、特定の求人を強力にすすめる理由はそうした転職エージェント側の利益や都合に基づくものとは限りません。

menガッツ

利用者の転職成功を重視すればこそ、希望にマッチしていなくとも特定の求人を積極的にすすめる場合があります。

その一つが、利用者の希望条件が高過ぎるなどにより、このまま希望を尊重した求人を紹介し続けても転職が実現する見込みが低い場合です。

例えば年収では1千万円以上欲しいといっても、そうした希望条件をクリアできる求人自体が少ない上、そうした好条件の求人は応募者に求められる要件も高いため、応募できる対象者も自ずと限られてきます。

womenノーマル

こうした事情ならそのまま伝えても良いのでは??

menガッツ

確かにそうですね。
ところが転職条件で高望みする利用者はプライドばかり高く、本当の理由をストレートに言っても聞き入れてくれない、もしくは感情的になってしまうことが多く見られます。

そこで「条件にマッチしていないが、求人企業側からぜひ応募して欲しいと言われた」といったプライドを傷つけないような嘘の理由を提示した上で、利用者へ特定企業をすすめる場合があるのです。

womenノーマル

なるほと。円滑に進めるために必要なことってわけですね。

裏事情その9:利用者の転職断念を促す

この事情はかなり稀なケースですが、利用者に転職自体を断念させる、もしくは転職支援を打ち切る区切りとして特定の求人企業を強くすすめる場合もあります。

例えば高齢の利用者が転職先として志望している業界、もしくは職種では高齢の方が採用される可能性はほとんど期待できないといったケースです。

通常であれば登録面談時に「紹介できる求人がない」ということで登録自体を断る場合がほとんどですが、まれに初期対応のミスで登録が成立したり、登録時には可能性がある職種や業種を志望していたケースなどが該当したりします。

また、登録当時はギリギリなんとかなる年齢だったが転職活動が長期化した結果、年齢的に転職が難しくなったというケースもあります。

menガッツ

そうした方々には一切求人を紹介しないという方法で転職を断念してもらう方法もありますが、そうした方法では希望にマッチしていない求人を紹介するより利用者の反発や不満を招きやすくなります。
そこで希望にマッチしていなかったとしても、利用者の気持ちを促すために特定の求人を積極的に紹介するという方法をとることがあるのです。

アドバイザーが強くすすめる求人には応募すべきではないのか?

裏事情のある求人=必ずしも悪意の求人ばかりではない

「裏事情」という言葉はどちらかと言えば悪いイメージがあります。
しかし、ご紹介してきた数々の裏事情の中には決して悪意ではなく、利用者のことを考えての事情もあることもお分かり頂けたと思います。

menガッツ

転職エージェントのアドバイザーが希望にマッチしていない求人を強くすすめてきたからと言って、転職エージェントやそのアドバイザーをただちに悪者扱いすることはいささか早計です。

裏事情のある求人も検討の価値がある場合もある

希望条件にマッチしていないのに強く推奨してくる求人は、全て「応募の検討に値しない求人」とまでは言い切れません。

menガッツ

例えば勤務地など、転職先としてどうしても譲歩できない条件でマッチしていないのであれば、無理して検討する必要はありません。
が、仮にマッチしていなかったとしても妥協もしくは変更可能な条件の範囲であれば、検討すること自体、必ずしも悪いとは言い切れないのです。

womenノーマル

転職エージェント側の裏事情が多少あったとしても、積極的にすすめる求人企業の中には知名度が低いために応募者がなかなか集まらないで苦労しているが、実は優良企業だという場合もありますからね。

menガッツ

また、求人企業が転職エージェントへ支払う成功報酬は、求人サイトへ広告を掲載するコストよりかなり高額になります。
場合によっては数倍以上となることも珍しくありません。

それだけの投資を行ってでも早急に人材を獲得したい企業とは、急成長しており人材確保が追い付いていない企業という可能性だって十分あり得るのです。

また積極的にすすめてくる以上、採用される見込みも高いと言えます。
入社条件も交渉しやすい場合が多くなります。

従って希望条件とマッチしていないのにアドバイザーが強くすすめてくる求人があれば、即悪い求人と決めつけずに、慎重であることは大切ですが、妥協や変更が可能な範囲であれば検討してみるのも一つの方法なのです。