田舎で悠々自適に農業をやってみたい、会社員生活はいい加減疲れたから自分のペースでできる農業がいい、誰にも邪魔をされずに自分と向き合いたいから農業をしたい、など農業に魅力を感じている人も多いのではないでしょうか?

農業に転職するためには何が必要なのか、いまいちわからないという人もいるかと思います。安易に脱サラしてしまっていいのか、失敗のリスクはないのか、色々検証してみたいと思います。

農業に転職する人はどのくらいいる?

「農家」が減っているという事実は皆さん知っていますよね。畑にする土地にもビルやマンションが建ち、農業をしている人は年々高齢化し、仕事を辞める人も増えています。農作物は輸入すればいいし、あえて広大な農場を管理するなんて大変すぎます。

農業就業人数は大きく減っています。5年に1回まとめられる2015年農林業センサス報告書|農林水産省によると、2015年の農業就業人口は200万人割れ寸前。

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かつて、1985年には542万人いた農業就業者が、この30年で半分以下になってしまいました。
日本の農業が危機に瀕しているのは事実です。

※参考記事
農業人口5年で2割減 15年調査、高齢化で離農進む

農作物を全て輸入でまかなうことは、島国の日本にとってはリスクが大きく(コメ不足でタイ米を輸入した年憶えていますよね)、何とかして自給率を上げていかないといけません。そのためには農業の衰退を食い止める必要があるわけです。

そのため、日本政府では農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)などの制度を設けて、新たに農業を始めたい人に資金的、経営ノウハウ的なバックアップを行っています。

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通常の開業で資金を給付というのは珍しいですね。たいてい貸与ですよね。

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お金をあげるからやってくれという制度を設けているということは(もちろん条件はありますが)、それだけ危機意識が強いことの裏返しなのでしょう。

そうした甲斐あってか(?)、ここ最近農業に転職する人は増えているようで、新規就農者調査|農林水産省によると、39歳以下の新規就農者は約1万5000人ということで、前年増が続いています。

農業に魅力を感じて転職する人は増えています。

  • 農業従事者、農家は大幅に減少
  • ただし農業をやりたい人、農業に転職する人は増加傾向

農家の減少に転職者が追いついておらず農業人口が減っているということです。

農業の魅力とは?

なぜ新しく農業を始める人、農業に転職する人が増えているのか、農業には会社員にはない魅力があるのでしょう。

理由はいくつも考えられます。

  • 人間関係から開放される
  • 自分のペースで仕事ができる
  • 自分の裁量の余地が大きい
  • 都会の喧騒から離れて自然の中で生きていくことのすばらしさ

これらを突き詰めると「自己実現と社会人としての挑戦」に行きつくのだといえます。

農業はそのイメージのように田舎のおじいさん、おばあさんが担っている面も大きく、「ビジネススキル」「経営分析」「事業計画」など、サラリーマンがかかわるビジネススキームと離れたところにありました(大規模な農業を計画的にしている会社もありますが・・・、小作農はそういうのとは違いますよね)。

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今までの経験を未開拓の分野で実践するには農業が最適であり、その結果として農作物という目に見える収穫が得られる農業は、サラリーマンが転職して一旗をあげるにはうってつけというわけです。

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なるほど。
自然の中で土にまみれて仕事をするのも、これまでのオフィスとは異なり魅力的に見えるのかもしれませんし「やりがい」が可視化されるので、モチベーションもアップしそうですね。だから農業への転職は人気なんですね。

農業は儲かるのでしょうか?

やりがいはありそうですが、農業で食べていけるのでしょうか?

色々な統計がありますが、平均すると300万円~400万円という農家が多いようです。
サラリーマンの平均年収は約420万円ですからそれと比較すると少な目、土地の管理も大変ですしどうなんでしょう?

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農業の場合、何もしなければ(農作物を育てなければ)当然1円の収入にもなりません。
会社に行き窓際族をしていても出世はできませんが、首にならない限りは食べていけますよね。
「働かざる者食うべからず」をまさに地で行くのが農業です。

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そうなると稼ぐために日の出から日没まで働かないと・・・・
超ブラックではありませんか!

でも、農業の場合、大規模農場に雇われて働くのではなく、自分で農業を始める場合、自営業者になります。
つまり、サラリーマンと違い経費で落ちる部分もありますから、見かけ上の年収では判断できません。
{売上-経費=所得(年収)}で経費で落ちる余地が大きいです。

そして何より、自分で育てた農作物を自家消費できますから、食費もかなり節約できますし、うまく経営が軌道に乗ればそれほど悪くないように思えます。

問題は軌道に乗せることなのですが、上述の「農業次世代人材投資資金」などを利用して、開業当初の運転資金や当座の生活資金を確保できれば何とかなるのでしょう。

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「賭け」ではありますが、十分勝てるブックであり、それをサポートする公的支援もそれなりに整っているといえるでしょう。

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となると、後は需要があり売れるものを栽培する、しっかりとした販路を確保することが大切ですね。
同じ面積の畑でも売れる野菜、単価が高い野菜とそうではない安い野菜(もやしとか)では売り上げや収益も変わってきますから…。

それは個人の勘ではどうこうできないので、事前によく研究しないといけません。
もちろん、その土地が何の栽培に適しているのか、気候は?など複合的に考慮すべき点がありすぎます。

未経験や女性でもできる仕事なのでしょうか?

未経験者でも農業はできる?

それでは農業は「畑違い」(ジョーク!)の人でもいきなり始めることはできるのでしょうか?未経験者の場合は?女性の場合は?少し考えてみます。
農業を始めるにあたって必要なことはこの6要素であると言われています。

  1. 農地
  2. 資金
  3. 技術
  4. 販路
  5. 経験

農林水産省や自治体のバックアップによって、家や農地、資金についてはある程度サポートが期待できますが(実家の田舎に帰れば元々ある人もいますし)、後者3つについては素人にはなかなか大変な問題です。

何より重要なのが技術(栽培技術)であることはいうまでもなく、家庭菜園程度でトマトを育てたくらいでは太刀打ちできません。

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経験については未経験なのであるわけもなく、よくある「未経験者歓迎」の求人のようなものではなく誰でもできないというのが正直なところです。

食物マイスターや食生活アドバイザー、調理師、トラクター運転免許など、農業や食に関連する資格は持っているに越したことはありませんが、それが農業の転職に直接役に立つわけではなく、どこかで農業を経験しておかないと、素人がいきなり畑を耕せるわけでもありません。

ただ、農林水産省のサポートは資金面だけではなく

など研修制度も充実させています。

しかし、「習うより慣れろ」なのは言うまでもなく、やはりいきなり自分だけで農業を始めるよりも、どこかの大規模農場などで雇用されながら技術を磨き人脈を作ってからのほうが上手くいくでしょう。

センスがある人もいていきなり成功するケースもありますが、それはレアケースですしね。

女性でも農業はできる?

女性が農業に転職することは可能なのでしょうか?
日本の場合、古来より女性は農業の大切な担い手であり、女性だから不利益を受けるという業界では決してありません。

ただ、体力的に男性に劣るのは言うまでもないことですので、長時間肉体労働をする場合には大変かもしれません。それも個人差がありますから、「女性だから不利になる」ということはなく、むしろ女性ならではの細やかなセンスが評価されて、人気の農作物を生産して成功している方もたくさんいらっしゃいます。

また女性が輝く社会を目指していますから、国の女性へのバックアップも充実していて、農業についても「女性だけ」の支援プログラムも存在しています。
農業女子プロジェクト|農林水産省
農業女子プロジェクトについて(制度の概要)

また、女性ならではの農業への転職として「農家の嫁になる」というものがあります。これならば、家も土地も販路も(夫も)付いてきて「一石十鳥」くらいになりそうです。

農家の男性と結婚したい女性向け婚活サイトとして以下を挙げておきます。
農業専門婚活サイトRaitai~恋の種まき~ – ホーム

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農業専門婚活サイトという斬新なコンセプトの婚活サイトです。
サイトの運営者は、ご自身が脱サラをして農業を始めて、農家の男性と結婚したという異色の経歴の持ち主です
転職かつ婚活もしてもいいという人は、こちらのサイトで「就職活動」をしても面白いかもしれません。

入会条件は
男性:農家(専業、兼業)農業法人勤務、新規就農希望者
女性:上記の条件の男性と結婚をしたいと考える方、農家の跡取り娘、田舎暮らしをしてみたい方
になっています。

実は農家の婿もこのサイトで募集しています(新規農業希望者)。新規に農業を始めたいけどバックアップがないという人もこのサイトで行けるかもしれません。農家の嫁、婿になりたい人、農業をやりたい人を本当に探しているのでしょう。

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一つの選択肢として婚活も一緒に行うというのはありかもしれませんね。

具体的に見ると農業は大変すぎる・・・

最初に書いたように農業従事者が高齢化していて、農家を継ぐ人が減っているのは、その労働環境にあることは言うまでもありません。

それほど儲からないのに大変すぎる、このことはよく理解しておいてください。昔に比べて機械化が進み楽になったとはいえ、クーラーも暖房もない外での作業が基本です(ビニールハウスは効き過ぎますし)。

農作物はこちらの都合など気にせず育っていきます。何もしないで放置しては枯れてしまったり、育ち過ぎて収穫の時期を逃してしまったりするかもしれません。

  • 夏の暑い中での直射日光に当たりながらの草取り、直射日光に照らされながら草むし・ビニールハウスで汗だくになりながら格闘
  • 真冬のまだ暗い早朝からの作業
  • 台風が来ればその対応(ちょっと田んぼの様子見てくる・・・(( ;゚Д゚)))
  • 害虫やカラスとの闘い

会社員のような「定時」「定休日」がない仕事です。
やはり過酷なのは言うまでもなくて、腰や足を痛めてしまう可能性もあります。

肉体的にも精神的にもかなり負荷がかかる仕事であり、ひょっとすると転職せずにそのまま会社員を続けていた方がいいかもしれませんよ。

失敗のリスク、全部自分で負う責任

何より農業で重大なのは、事業が失敗した時のリスクが大きすぎるということです。脱サラして安易な気持ちで始めても失敗する可能性があります。

「素人で農業を知らないから育てられない」ということが以外にも農業固有の潜在的リスクがあり、これはすべて自分で背負わなければいけないものになります。

収入が安定しないリスク

どこかの大規模農家に雇用されていない場合は、自営業になりますので毎月給料が入ってくるわけではありません。それどころか収穫期になり見事作物が採れても、売ることができないと1円にもなりません。

収穫までには種・苗、肥料、水、光熱費等先に運転資金、設備資金がかかります。資金繰りに余裕がなければあっという間にショートして潰れてしまうでしょう。収穫期までどう食いつなぐのか、そもそも無事収穫できるのか、ちゃんと売れるのか、特に初年度は資金的にどうなるのか予想が付きません。

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サラリーマン時代とは収入のタイミングが全く変わってくるので、安易に脱サラしてローンが払えなくなるなど重大なリスクが発生するかもしれません。

気候、災害のリスク

農業は自然を相手にしますから、台風や豪雨、洪水など自然災害に遭う可能性があります。

もちろん、用水路の整備などである程度防ぐことができますが、巨大台風が直撃したり、局地的豪雨に見舞われたりしたら、農作物が壊滅してしまいます。

この自然災害リスクがゼロにはできないため、いくら丹精込めて育てても、全滅しなかったとしても、結果的に売り物にならない、商品価値が下がる、B級品、C級品になってしまうなどして収入が大きく減ってしまう可能性があります。

men指指しノーマル

代々のベテラン農家であってもこのリスクを避けることはできないわけで、ましてや脱サラして転職したばかりの人ならばどうすることもできません(台風が来てもどう対策して良いのかわからない人もいます)。

人間関係のリスク

会社社会の人間関係に疲れて一人でできる農業をしたい、という人もいるでしょうが、農業も人間関係から逃れることは難しいです。

農村ならば「村社会」です。知らないところから来た農業をしたこともない「よそ者」に対する風当たりは強いかもしれません。それはなくても、田舎、農村独特のウェットな人間関係が肌に合わない人もいます。

そうなるとそこで暮らすこと自体が大きなストレスになってしまい、何のために転職したのかわからなくなってしまいます。

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「近所付き合いなどいらないししない、採れた農作物は勝手に売る」といっても、何のコネもツテもない人が自分の農作物を売ることはかなり難しいです。

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農協なり青果組合なり、流通経路を持っている団体に加入しないとそもそもものを売ることもできないですよね。

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そうなるとそこでの人間関係も発生します。
農業は自分一人で好きなペースでできる仕事ではないということです。

これらは基本自営業ですから、全ての責任を自分で負うことになってしまいます(大災害ならば見舞金や補償金も多少出るとは思いますが・・・)。

単に技術がないリスクだけではなく、農業という仕事の性質上どうしても発生するこれらのリスクを許容して、乗り越えることができなければ農業への転職は失敗してしまうでしょう。
安易に転職して~というものではなく、安全に転職したいのならば別の会社に転職した方がはるかにましです。

それでも、農業へのやりがいを感じて、新しい道を開拓したいのならば腹をくくってがんばりましょう。

それでも農業に転職したい人向けに転職サイトを紹介します

最後に独立開業して農業を始めるのではなく、農園や牧場に転職したい人向けの転職サイトを紹介します。条件を見ていただくとわかりますが、社員として働く場合、農業は安月給で早起き、休日も少ないというものがほとんどです。

それならば、こういうところで経験を積んだ後、独立して農業を始めた方がいいでしょう。参考にしてみてください。

あぐりナビ


あぐりナビ: 農業、酪農、牧場を中心とした農業求人サイト

農業求人サイトといえば「あぐりナビ!」。この分野では求人件数ナンバーワンの転職サイトです(求人件数約1000件)。

農家のおしごとナビ


農業求人サイト|農家のおしごとナビ

新規に農業を始めたい人も大歓迎!という農業転職サイトです。農業に関するコラムや就農ツアーの案内なども行っています。

第一次産業ネット


農業求人、林業漁業の求人サイト|第一次産業ネット

新卒の農業、漁業求人中心ですが、転職の方もOKです。サイトの作りが農業っぽくなくて、ITの転職サイトのような構成になっています。農業をビジネスとして俯瞰して考えたい人はこのサイトに登録するといいかもしれません。

全国新規就農相談センター


新規就農相談センター

「全国農業会議所」が運営するサイトです。求人情報の他、農業開業についても詳しく相談することができます。転職して独立開業したい意志が強い方はまずこのサイトを見ていただくと参考になるかもしれません。

農業への転職は一筋縄ではいかないのっで、色々なサイトや相談窓口でよく情報を仕入れて間違った選択をしないように、リスクを意識して動くようにしてくださいね。

農業に転職する人達!脱サラから未経験や女性まで魅力と失敗リスク まとめ

  • 全国の農業人口は大きく減っている
  • 一方で農業へ転職した人は国のバックアップもあり徐々に増えている
  • 農業は素人が始めようとすると様々なリスクがある
  • 農業固有の避けられないリスクもある
  • 失敗すると負債などを自分ですべてかぶっています。相応の覚悟が必要
  • 体力的にも楽な仕事ではないことに注意する
  • 未経験者や女性でも転職できるが事前に農業についてよく理解することが必要
  • まず従業員として大規模農場で経験を積むという方法もあり
  • 農業はそれほど儲かるものではない
  • やりがいを持って働けるように早急な判断は避けてよく研究する

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