バス運転手は勤務先で民営と公営に大きく分けることができますが、転職する場合にはどちらを選んだ方が良いのでしょうか。

バス運転手への転職を検討されている皆様の判断の参考にして頂けるよう、民営、公営それぞれのバス運転手の給与や勤務条件等の他、それぞれのメリットとデメリットの両方をご紹介して参ります。

バス運転手を取り巻く現状

民営と公営を具体的に比較する前に、まずバス運転手の現状について触れておきます。

高齢化と人手不足が進んでいる

バス運転手になるには大型二種免許が必要ですが、この免許取得がバス運転手確保における一つのハードルになっています。

普通免許より取得が難しいことに加え、少子高齢化により若年者の人口が減少傾向にある上、若者の間では自動車離れが進んでおり、大型どころか普通免許取得人口すら減少傾向(※)にあるからです。

※参考データ:大型二種免許取得の年齢内訳対比(平成26年度)

・20歳~29歳:9,710名

・60歳~69歳:250,698名

こうした状況から、若年バス運転手の応募者が減少しているため、バス運転手の高齢化とバス運転手不足が全国的な問題になりつつあります。

人手不足=転職しやすいとは言い切れない

人手不足が深刻であれば一般的には「転職しやすい職種」となるはずですが、バス運転手についてはそうとも言い切れません。

なぜなら人口減に伴いバス利用者そのものが減っている中、人口が多い地域では地下鉄などの電車網整備が進み、バス離れが進行しているため、民間も公営もバス事業の経営状況が思わしくないからです。

例えばバス事業者の黒字・赤字割合(平成24年度データ)は

・黒字:27.3%

・赤字:72.7%

と赤字が7割を超える深刻な状況です。

そのため、特に地方では乗合バスの路線廃止が相次いでおり、おいそれとバス運転手の増員を行なえないことから、現役のバス運転手の残業や休日出勤等によって運転手不足の穴埋めが行なわれている状況です。

その一方、若年バス運転手が不足しているのは事実ですので、安定的な利益を確保している民間のバス事業者の中には大型二種を取得していない応募者まで受入れ、採用後に指導して取得させることに取り組んでいる場合もあります。

つまり、バス運転手の転職市場は採用する事業者による格差がかなり生じている状況と言えます。

バス運転手・民営と公営を徹底比較!

ではバス運転手の給与や勤務条件などについて、民営と公営を比べてみることにしましょう。

尚、バス運転手と一口に言っても貸切バスや不特定のお客様の乗り降りを前提とした乗合バス(=路線バス)とでは、業務内容や勤務条件などが異なってきます。

ここでは主に「路線バス」の運転手を主に想定した上でご紹介することに致します。

給与面では? 大きな格差がまだ存在している

バス運転手の民営と公営における給与格差について、ネット上では「それほど著しい格差はなくなった」との指摘が多く見られます。

そうした説が正しいか、実際のデータで比較してみましょう。

 

平成10年度と平成24年度のバス運転手年収比較(国土交通省調べ)

民営 公営
平成10年度 621万 842万
平成24年度 446万 654万

 

データが示すとおり、平成10年度では800万を超えていた公営バス運転手の年収は公務員であっても決して右肩上がりで上昇した訳ではなく、654万円と約2割も減少はしました。

しかしながら民間は約3割も低下してしまったため、結果としてバス運転手の年収における官民格差はいまだに解消していない状況なのです。

従って給与については、明らかに公営に軍配が上がります。

業務内容及び勤務面では? 民営・公営とも不規則勤務体系・残業・休日出勤あり

業務内容では大差なし

路線バス運転手の1日の主な業務内容はおおむね次のとおりです。

・(アルコールチェックなどを受けた上で)運航前に車両点検を行なうこと

・路線ルートを定刻に従ってバスを運行させつつ、乗客を安全に乗降させること

・運行を終えたら再びバスの点検を行なうこと

・車内清掃や運賃の回収などを行った上で業務報告を行なうこと

 

これら業務内容において、民営と公営ではそれほど大きな違いはありません。

もしあるとすれば、それは民営と公営の違いというより、事業者の違いによって生じる違いと言えます。

勤務体制でもそれほど大きな差はない

次に勤務体制ですが、この点も民営、公営での違いはあまりありません。

早朝から深夜までバスを運行させている路線なら、バス運転手の勤務シフトを早番、昼番、遅番といった具合に3つ程度組んで対応しますので、必然的に勤務時間は不規則になってきます。

一方、運行時間が限られている路線の場合は同一の出社・退社時間か、それほど時間差がない早番、遅番程度の勤務シフトとなりますので、あまり不規則な勤務体制にはなりません。

つまり勤務シフトにおける差は民営、公営の差と言うより、バスの路線の運行時間帯による差として理解した方が適切です。

残業時間について

残業時間も同様です。

公営だから残業時間はない、少ないとは言い切れません。

例えば突発的に生じた事故渋滞に巻き込まれてしまえば、民営であろうと公営であろうと定時までに営業所へ戻れず、残業となってしまうことは普通に生じます。

また、交代予定のバス運転手が急病で出社できないとなれば、その分を他の運転手で穴埋めしなければなりませんので、残業や早出を余儀なくされる場合もあります。

バス運転手不足と高齢化が全国的な傾向であることから、こうした事情に伴う残業時間の増加は民営、公営の違いに留まらず、全国的に増える傾向にあります。

休日出勤も同様だが代休取得では公営の方がより厳格

残業の発生同様、休日出勤も同様です。

民営であれ、公営であれ、予定していたバス運転手が体調不良で出社できない場合には他のバス運転手が交代要員として入ることになるからです。

ただし、近年、観光バスを中心にバスによる大きな事故の多発を受けて、バス運転手の勤務状況について国が厳しい目を光らせるようになりました。

そのため、経営状況や人員体制にもよりますが、休日出勤後の代休取得が満足にできないという状況は以前より改善は見られるようです。

特に公営バス運転手は公務員ですので、民間以上に代休取得は厳格に運用されていますので、規定の休日日数を確保できないという状況はあまり見られません。

転職先としてのメリット・デメリットで比較

転職先としてのメリット、デメリットという点では民営と公営でどのような違いがあるのでしょうか。

民営バスあるいは公営バス運転手になるメリットとデメリットについても比較してみることにしましょう。

民営バス運転手のメリット・デメリット

メリット

・事業者の数が多いため、転職先も選びやすい。

・大型二種免許を取得してない場合でも、採用してもらえる場合がある。

・大型二種免許取得まで学費負担をしてくれたり、研修指導を行なってくれたりする場合もある。

・例えばチケット販売など、運賃以外の売上に応じてインセンティブボーナスを得られる場合がある。

・大手鉄道会社系列のバス会社などなら、充実した福利厚生サービスを利用できる(レストランやホテル代が格安で利用できる等々)。

 

デメリット

・公営のような身分保証がないため、経営状況次第でリストラされたり、倒産によって失職したりする可能性がある。・公営に比べると給与が安い傾向にある。

・事業者によっては退職金が出ないケースもある。

公営バス運転手のメリット・デメリット

メリット

・公務員採用となるため、身分が保証される。・民営と比較した場合に給与水準が高い。

・休日出勤や残業はあるが、自治体運営のためブラック事業者にあたる心配はない。

 

デメリット

・大型二種免許があることが採用の大前提となってしまう。

・事業者の絶対数が少ないため、転職においては全般的に狭き門となっている。

・バス利用者減少に伴い、事業が廃止される可能性も十分ある。万一事業廃止となった場合にはリストラされなくとも、運転手以外の不慣れな公務に転籍させられる可能性もある。

バス運転手になる方法

では、バス運転手として転職する場合にはどうすれば良いか、転職するための手順について民営、公営それぞれ説明致します。

民営バス運転手の場合

応募条件

民営バス運転手であっても、大型二種免許を持っていることが応募条件となる場合が一般的です。

しかしながら、度々お伝えしているとおり、普通免許しか持っていない場合でも事業者によっては応募可能な場合があります。

この点は求人サイトなどで応募条件を丁寧に確認することが肝要です。

また、仮に大型二種免許が応募で必要となっている場合でも、民営バスの場合なら実務経験はそれほど問われません。

つまり民営バス運転手なら、大型二種さえ取得できれば実務経験がなくともバス運転手として転職できる可能性は高まると考えて頂いて結構です。

採用方法

では採用方法ですが、民営の場合は事業者によって多少差異が見られますが、一般的な選考の流れは次のようになっています。

一般的な選考の流れ

・書類選考

・筆記テストと面接

・実地技能テストと最終面接

・採用

 

筆記テストや技能テストは大型二種免許を取得できる交通知識や運転技術があれば、それほど難問を課せられるケースはありません。

従って大型二種の免許をまだ持っていない方なら、大型二種取得に向けた教習所での勉強や実技訓練などがそのまま採用試験対策にもなってくると言えます。

公営バス運転手の場合

公営バス運転手の場合には、採用する自治体によって応募条件や選考方法に差異がありますが、概ね共通している点をお伝えすると次のようになります。

応募条件

大型二種免許取得は必須条件となっています。ただし、実技試験前までに大型免許取得が確実な方なら応募可としている自治体もあります。

その他の応募条件では一定以上の学歴が問われたり、過去の交通違反履歴が民営以上にシビアに問われます。

過去の交通違反で累積点が多い場合には応募出来ない場合もあります。

選考方法

公営バスの場合の選考方法は次のような流れが一般的です。

公営バスの選考の流れ

・筆記試験(教養試験)と適性検査

・実技試験と身体検査

・面接

・採用

応募条件を満たしていることが大前提ですが、公営の場合には書類選考ではなく教養試験や適性検査といったペーパー試験をまず受験します。

その試験の合格者が実技試験と身体検査に臨み、それに合格したら面接、採用という流れです。

応募者が多いため、ペーパードライバーや免許取得したばかりの方は厳しい

お伝えしているとおり、公営バス運転手は狭き門である上、給与条件が良いことから民営バス経験者も多数受けるため、ペーパードライバーや免許を取得したばかりという方にっとてはかなり厳しい状況になっています。

そのため、大型二種免許をとったばかり、これから取得するという方は民営バス運転手として実務経験を積んだ上で公営バス運転手を目指すという方法が堅実と言えます。

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