航空業界の花形といえば、パイロットやCAを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、それ以外にも専門性が高く、やりがいのある仕事はいくつかあります。
そのひとつがディスパッチャー(運航管理者)です。あまり聞きなれない仕事ですよね。しかし、見方によっては航空業界で最も重要な仕事ともいえるのです。
今回はそんなディスパッチャーの仕事内容や必要な資格、給料などを網羅的に調べてみました。航空業界への就職・転職を希望する方は必見ですよ。

ディスパッチャーとは?

ディスパッチャーの仕事内容

ディスパッチャーは、航空機の運航において重要な役割を担っており、「地上のパイロット」とも呼ばれる仕事です。
もうこの呼び方から、責任が重く専門性が高い仕事であると想像がつきますよね。
その想像通り、空路の計画や離着陸を行う空港周辺の気象状況、乗客や荷物の重量、進路変更が起こった場合の代替空港の選定など、を行う地上の司令塔です。

航空機は空路や重量、気象などによって必要な燃料が変わりますし、非常時には臨機応変な対応が必要になります。
こういった事態に備えた周辺環境のデータ収集、分析はパイロットが担うわけではなく、あらかじめディスパッチャーが整備しておくのです。
もちろん、故障やハイジャックなど、不測の事態が発生した場合には、迅速にルート変更は着陸空港の手配も行います。
そして離陸前には、機長に対してプランの説明(ブリーフィング)を行って、認識の統一をします。

このように、あらゆる情報を収集・分析し、目的地までの最も安全で効率のよいフライトプランの作成をするのがディスパッチャー。
さらに離陸後も航空機が安全に運行できているか、無線で確認や管理が必要など常に航空機を地上からサポートしているのです。

ディスパッチャーに求められる資質

前述したように「地上のパイロット」とも呼ばれる職種であるため、冷静沈着かつ合理的で、的確な状況判断が求められます。
特に扱うデータが多岐にわたるため、論理的かつ整理された思考ができる人材が適しているでしょう。
さまざまなデータを集めて分析し、短時間で最適なプランを作成するためには、確かな知識と熟練の判断力も必要になってきます。
そのため、常に学び続ける心と、機長をサポートする強い意志がなければ、勤まりにくいかもしれませんね。

ディスパッチャーになるためのルート

ディスパッチャーになるには、「航空会社に総合職として採用されること」もしくは「運航管理関連業務の専門企業に入社すること」の2つがあります。
このどちらかのルートを選択すれば、将来的にディスパッチャーになれる可能性が高くなるでしょう。
しかし、国家資格の取得や社内試験の通過など、いくつかの関門があることも事実です。
まずは、適性があると判断されたうえで「運航管理部門」へ配属されなくてはなりません。
また、国家資格を取得したあとも、社内の試験に合格する必要があるため、決して簡単にたどり着ける仕事とはいえないのです。

ディスパッチャーに必要な資格は?年収はどの程度?

ディスパッチャーに必要な資格

ディスパッチャーになるためには、2つの資格が必要です。ひとつは「運航管理者」。これは国土交通省が管轄する国家資格です。
この試験を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・21歳以上であること
・操縦、空中航法、気象業務、機上での無線設備操作、航空交通管制業務、運航管理者の補助、いずれか1つの経験を2年(運航管理者補助の場合は1年)以上、または2つ以上の経験を各1年以上経験していること

また、これに加えて「航空無線通信士」も必要になってくるでしょう。空を飛んでいる航空機と交信するには、この資格が必要だからです。

しかし、航空会社に入社した時点でこのような資格を持っている必要はありません。
まずは航空会社や運行管理関連の専門会社に入社して、運行管理を行う部署に配属されたあと、実務経験を積みながら資格取得を目指す、というのが一般的なルートになります。
これは一般論ですが、入社後2年間は運行管理業務を行い、そこから「運航管理者」と「航空無線通信士」を取得することで、ディスパッチャーへの道が拓かれます。
ただし、国家資格はあくまでも必要条件であって、十分条件ではありません。国家資格を取得してから、航空会社の内部選考を通過してはじめて正式なディスパッチャーとなるからです。

まずは実務を2年程度積み、その後に国家資格取得、さらに社内試験を通過というステップがあることを、覚えておいてください。

ディスパッチャーの年収(給料)は?

ディスパッチャーは、国家資格を取得し社内選考に合格してはじめて給料が上昇しはじめると考えて良いでしょう。
そのため、最初は300万円から500万円程度の年収です。
その後、正式にディスパッチャーとなって経験を積んでいくと、900万円程度まで上昇するとのこと。
もちろん、これは航空会社の規定や勤務形態(正社員や契約社員)にもよりますから、あくまでも参考値です。
しかし、経験を積むごとに高収入を狙える仕事といえるでしょう。
ちなみに、契約社員で運行管理部門勤務となれば、最初は1100円程度の時給なのだそうですよ。下積みの期間がある仕事ともいえそうです。

ディスパッチャーという仕事のメリットとデメリット

ではここで、ディスパッチャーのメリットとデメリットを整理してみましょう。まずはメリットからです。

メリット

・無資格、未経験からでも目指すことができる
・分析や情報収集、フライトプラン作成という航空業界ならではの仕事に携わることができる
・「地上のパイロット」と呼ばれるだけあり、安定した需要がある

デメリット

・資格を取得して経験を積むまでは年収がやや低め
・仕事をしながら国家資格に合格する必要があるため、勉強と仕事の両立が必要
・ディスパッチャーはあくまでも「総合職」として採用されるため、航空会社に入社すれば必ずディスパッチャーになれるわけではない
・適性がないと判断されれば、ディスパッチャーへの道のりは閉ざされる可能性が高い

このように、責任が重く専門性の高い仕事だけに、誰もがディスパッチャーになれるとは限らない点に注意が必要です。
しかし、安定した需要がありますから、一度ディスパッチャーになってしまえば、かなり安定した人生を送れそうです。
まずは航空会社、もしくは運航管理関連業務を専門とする会社に採用されるところから、スタートになります。

まとめ

パイロットやCAと同等、もしくはそれ以上の重責を担うのがディスパッチャー(運航管理者)です。
冷静かつ論理的で、緊急事態にも素早く対応できる精神力が必要な仕事といえるでしょう。
しかし、それだけに遣り甲斐も大きく、一般企業とは一味違う経験が、人間的な成長を促す仕事ともいえます。
年収面ではそれほど高額ではないものの、安定して昇給する傾向にありますので、安定志向の人間に適しているといえるでしょう。
航空業界を陰で支える司令塔「ディスパッチャー」を目指すなら、まずは航空会社や運行管理専門会社への就職・転職を目指してみてください。