転職時の内定保留の伝え方と失礼のないマナー

転職活動の末、苦労して獲得した内定ですが、本命企業ではないところから先に出てしまい、ここから内定をもらうのは悩んでしまう、あるいは、「やはり自分の実力はこんなものではなく、もう少し就活を続けたくなった」そういう人もいらっしゃると思います。

新卒の就活であれば、内定式まで他社の内定をキープして、気のすむまで就活をして、最終的に会社以外には、お断りをすればいいわけですが、転職は違いますよね。内定から
新会社での勤務開始が1か月後だったりすると、キープは許されなそうです。どうしましょう・・。

その場合、1つの方法として「内定保留」というものがあります。あまり聞きなれない言葉ですが、企業から内定の連絡(「あなたを採用予定者としてお迎えします」)あった時に、内定を出すのを待ってもらうことです。

ただ、イレギュラーな対応を企業側にもお願いすることになるので、しかるべき伝え方やマナーなどステップを踏まないと、迷惑がかかり、やはり内定を承けたい場合、それが叶わなくなるかもしれません。

今回は、「内定保留」の極意について考えたいと思います。

<転職の内定保留の極意を知るメリットはこれ>

・リスクがない形でできる限り内定承諾を引っ張ることができます
・方法を誤らなければ内定留保自体入社後の不利益にはなりません
・正しい内定留保の方法を知ります
・内定留保が可能な期間やそれを伝える方法を知ります
・内定留保の「模範的な理由」を知ります

大原則「内定保留」は可能!

まず、大前提として「内定保留はできる」と考えてください。

新卒採用の場合、「キープ⇒辞退」が可能ですが、内定から入社まで1年~数か月ある新卒入社と違い、内定から入社まで期間が短い転職だと、企業は待ってくれないし、あっという間に内定辞退の法的期限である2週間前になってしまいます(※)。

入社日二週間前を切った内定辞退による損害賠償請求について|弁護士ドットコム

ただし、弁護士の中でも諸説あり、2週間を切っていても辞退して問題ない、という見解もあるようです。

内定を出した企業側も、即答で「入社します」と言ってくれたのでがんばってくれると思っていたが、すぐに「ここは違う」と辞められてしまうリスクを考えると、ある程度考える時間を与えた方がリスクヘッジになると認識するところもあります。

転職しやすい世の中にはなりましたが、その会社に入社するかどうかは、依然としてその人の人生に大きな影響を与えるので、ある程度の猶予は許容されるべき、という合意は企業の中でもあるようです。

内定保留するための失礼のない具体的な伝え方とステップ、注意点

ではやむにやまれず、内定保留する場合、どのようにすればいいのでしょうか?

一刻も早く内定保留を伝える

内定連絡を受けたのち、なるべく早く「少し保留したい」と伝えます。そうしないと、

・他の人全員に不在用通知を送ってしまう(「内定補欠」のようなことができない)
・社内で採用後の準備(他の人の異動等)

など多大な迷惑をかけてしまうからです。内定保留の結果、結局断った場合、不採用通知を一度出した人に「やっぱり内定です」とはいいにくいし、企業側がリスクを負うことになるからです。だから、速やかに、内定保留を伝えます。

電話で内定保留を伝える

内定保留したい、ということについては、必ず電話で直接人事や採用担当者に伝えてください。「メールの方が証拠が残るからいい」と思われるかもしれませんが、内定保留はあくまで企業側の好意であり、退職届などのように「一方的な意思表示、通知」で成立する法律行為ではないことに注意してください。もちろん、メールだと機械的で誠意が伝わりにくいということもあります。

丁寧に説明して、先方の了解を取らないといけません。書留郵便などでは「一刻も早く」に該当しません。速達でも1日かかりますし、一方的な意思表示ではダメなので郵便もNGです。

また、直接企業に出向いて面会して伝える、というのも辞めておきましょう。内定辞退についても、出向くべきかどうか、最近論争がありましたが「出向かず電話で」がいいとされています。まして、辞退以前の保留なので、相手の仕事時間をいただいて行うことではないようです。電話で説明できればOKです。

内定辞退は「直接会って」、日経報道が物議 専門家「大企業であればわざわざ出向かなくても…」|J-CAST

内定保留期間は長くて一週間

電話で内定受諾するかどうか、保留をお願いすることになりますが、いくら長くても一週間です。

本命の結果が出たらすぐに返事をするのが望ましく、考える場合も2、3日で、速やかに結論を出します。「今週いっぱいしか待てない」と言われれば、それに従うしかありません。

本命の結果が2週間後であれば、本命企業をあきらめるか、内定が出た企業をあきらめるか、の二択になります。

先に出た企業の内定を受諾→2週間後本命企業から内定→先に出た企業の内定辞退

は損害賠償請求などのリスクがあり、それでもどうしても、というのであれば弁護士に
相談しながら行うしかありません。

3社以上の内定保留は避ける

最大一週間のキープ目的で、内定保留する場合、1社だけにしてください。また、どちらか決めかねて内定保留する場合、比較するのは2社にしてください。

それ以上の内定をキープするのは、みなさんの中で行きたい企業のイメージが不安定、また、転職の軸がズレている可能性があります。

A社:残業が少なく有給休暇が多く取れる会社
B社:年収が上がる会社(ただし激務らしい)
C社:六本木ヒルズにある会社(憧れの六本木オフィス)

例えばこの3社で悩んで内定保留にするのは、何を達成したくて転職したいのかわかりませんよね。転職の軸がはっきりしないと、いくら内定を待ってもらっても転職後上手くいかないかもしれません。

内定保留の望ましい理由と望ましくない理由

内定保留する場合の理由として望ましいものと、NGなものを紹介します。

望ましい理由

1.「家族と相談させてください」

特に一人暮らしでない場合、この理由は有効です。

仕事が変わることで家族の生活環境も変化し、共働きの場合や子供がいる場合、介護する家族がいる場合など、これまで通りにいかないかもしれません。

家庭内のことについて、企業は聞きづらいし、聞くリスクもあるので、これで内定を引き延ばすことができます。実際に家族と相談しなくてもいいですよ。

2.「内定承諾前に、条件について面談させていただき、その後返事をさせてください」

入社後の給料や条件について、内定前は聞きにくいですが、内定後であれば聞いても書いませんン。それを方便に時間を稼ぎます。ただし、詳細な「雇用契約書」を内定通知と一緒にもらった場合は、使いづらい手かもしれません。

望ましくない理由

1.「第一希望、本命の選考結果がまだなので待っていただけますか?」

正直なところですが「それを言っては・・」という回答です。企業側も、複数選考を受けていることや、自社が本命ではないかもしれないことも知っています。

ただマナーとして「そこはぼかそうよ」ということです。ズバリ言う人は、たとえ採用しても、言ってはいけないことを言いそうで、早々に「地雷」認定されてしまうかもしれません。

2.「もう1社選考面接がありキャンセルできません」

望ましい理由として書いているサイトもありますが、当サイトとしてはNOとさせていただきます。

なぜなら「御社が第一希望です」と伝えたいのであれば、他の会社の面接を事前に断るべきですよね(ドタキャンはしない)。「絶対に行く気がない」企業の面接をわざわざ受ける方が先方に失礼です。ひょっとすると、断れば別の人が面接に呼ばれるかもしれませんし、あなたのためだけにその会社が準備をするかもしれません。

「結婚相手は決まっていますが、セッティングされているので別の方とお見合いをします」的な話ですから、ちょっと誠実さがないな、と思われてしまいます。

やはり「家族に相談して」で深い追及を避けるのがいいかもしれません。

結論が出たらすぐに報告する

内定保留している会社に行くことになった場合、断ることになった場合、いずれも結論が出たら速やかに、電話で連絡します。

当然ですが、待っていただいたことについて感謝、お礼を述べることも忘れないように。内定保留したことよりも、感謝やお礼がなかったことの方が、その会社に入社した場合、後々まで響くかもしれません。

電話の前に考えたい内定保留したい理由は何?

みなさんが、転職活動で内定が出た企業の内定保留を考える理由は何でしょうか?

1.本命企業の結果がまだ

転職活動の際に数社受けて、最初に内定が出たのが、あまり志望度が高くない企業(練習で受けた、滑り止め等)で、一番行きたい本命企業の結果がまだだ、というケースです。

本命に行くために転職活動をするのであれば、内定保留して、せめて本命企業の結果が出るまで待ってもらうのは、現実的な選択と言えるでしょう。

2.同じタイミングで出た複数の内定で決めかねている

ほぼ同じタイミングで複数の会社から内定が出た場合、1つに決めなければなりませんが、甲乙つけがたく、決められません。自分の一生がかかっていますからうかつに「こっち」と決断できず、もう少し考える時間が欲しいのです。

3.条件面で不安がある、ブラック企業との口コミ

ここしか内定が出ていませんが、当初の条件よりも低い条件(年収、休日等)を提示された(話が違う!)、あるいは、口コミサイトなどでブラック企業だという書き込みを見つけた、確かによく考えるとそうかもしれない。そうなると即断ができません。

現状に不満があり転職活動しているのに、転職先の条件が今よりも悪くなってしまったら身も蓋もありません。

それ以外の理由で内定保留するケースはないと思いますが(家族にもう少し考えろと言われている、などもあるかもしれません)、なぜ一歩立ち止まって熟慮したいのか、ここをまず整理しましょう。漫然と内定承諾を引っ張るのは感心しません。

前もって内定保留するのが不安になる理由を整理しよう

この記事を見ているということは、いくら「内定保留が可能」と言っても不安があるからでしょう。その不安理由と実際について潰していきましょう。

人事の心証が悪くなり入社後の評価が下がる

「わがままなヤツ」と人事に思われてしまうと、心証が悪くなり、入社後の配属やその後の出世コースに響く、と危惧する人もいますが、そういうことはありません。

一番人事や役員は危惧するのは、お金と時間をかけて採用して人が使えなかったことであるので、入社後、しっかり結果を出せば問題ありません。

また、転職活動をしている人は、数社受けているのは常識で、それも会社側もわかってます。後段で述べるような下手な理由をつけなければ大丈夫です。

むしろ、しっかりとした内定保留の対応ができれば、「短期間で複数社から内定が出るような優秀な人がうちに来てくれた」となるかもしれませんよ。この理由は杞憂です。

「転職予備軍」だと思われる

転職保留をするということは、転職が目的ではなくより高い条件を求めて、転職を繰り返している人(ジョブホッパー)と思われるかもしれません。

条件次第でいくらでもいい所へ転職したい兆候が、転職保留した段階から出ている、そう思われると、やはり重要な部署などへ配属されないのでは?と思う人もいます。

こちらも、それだけ優秀な人ならば、給料以上の働きをしてくれるはずなので、むしろ「お買い得」と思う会社も増えてきているので安心してください。この理由も杞憂に終わりそうです。

内定保留にすると内定取り消しになるリスク

おそらく、最も不安なのが、内定保留にすると内定辞退が取り消しになるかも?という不安でしょう。

残念ながら内定保留にすると内定が取り消しになるケースがあるようで、そのリスク、可能性を0にすることはできません。

・人員が足りないから求人を出しているのにこれ以上待てない
・断ってくれないと別の人に内定を出さないといけない
・また採用活動する時間とお金が当社には無い

一刻も早く人員を補充した会社側の気持ちもわかります。だから、あとで述べるように、「保留期間は最小限」「誠意をもって伝える」ことが大切になります。

内定を保留している→内定を受諾していない→内定が成立しない→「労働契約締結の予約」が成立していない→会社側が内定を一方的に取り消すこともできる

という弁護士の見解もあります。

内定の応諾前の内定取り消しについて|日本の人事部

だから、本当に最小限の保留期間にしないといけないのです。

実際に内定保留した人の口コミ

実際に内定保留した人はどうだったのか、SNSからいくつか拾ってみました。参考にしてみてください。

内定保留しても満足いく結果が出ない人もいて、やはり転職の軸をしっかりさせた方がよさそうです。口コミを見ても、あれも、これも条件を求めると「一兎を追うものは・・」になりそうです。

転職の内定保留の極意。伝え方と失礼のないマナー まとめ

・内定保留は最大1週間くらいまで可能である
・その場合、速やかに担当者に電話連絡をする。先方に伺う必要はない一方、メールはNG
・結論が出たらやはり速やかに連絡する
・内定保留の理由は正直に話さず「家族に相談したい」がベター
・キープしたい、本命は別にあるということは言わなくても企業はわかっているので言わない
・転職の「軸」が定まらないと、内定保留を連発して結果的にいい転職ができない
・「内定留保=内定を承諾していない=雇用契約の予約に至っていない」。よって取り消されても法的に文句が言えないことに注意する
・だから本当に必要な時の最小限にとどめたい