死なない起業 初動篇

 

あなたの起業は、失敗します。
借金玉
こんにちは。借金玉です。
これから起業したいと考えている人たちに、率直にお伝えしておきたいことがあります。それは、あなたの起業は失敗するということです。もちろんこれは別に大したことではありません。法人の生存率を調べてみればわかる通り、不吉な予言というのはたいてい当たるものです。何の価値もない話です。だからどうした?と皆さんも感じたことでしょう。

僕は「あいつは失敗する」といったネガティブな予言を9割当てる人間よりも、「あいつは成功する」というポジティブな予言を2割当てる人間を信頼します。というか、成功するスタートアップを2割当てられれば高確率で大金持ちになれますよね。

信じるか信じないかは皆さまのご判断にお任せしますが、一度起業に失敗して落ち武者になりながらも、何とか落ち武者狩りに遭わずに生き延びることのできた僕の経験を踏まえつつ、破滅前提でいかに死なずに起業をするか、これから起業を志す皆さんにとって少しでも一歩踏み出す気持ちが楽になるようなアドバイスが出来れば幸いです。

 

起業家が有能である必要はない

成功した起業家の半生は、輝かしい逸話で満ち満ちています。それらの多くは、大胆さ、奇抜さ、苦労、そして狂気に彩られています。今、ここまで書いてスティーブ・ジョブズがニヤリと笑っている顔が思い浮かびました。

しかし、このショブズさん。20代でパソコンを新しく開発してしまうような有能さのかたわら、「野菜しか食べなければ体臭は発生しないから風呂は必要ない」と本気で信じて「不潔だ」と謗られたり、「君は会社のために何をしている?」という問いに答えられなかった初対面の社員をクビにしてみたり、異常な逸話に事欠きません。こうしたエピソードは、成功したからこそ伝説になっているだけで、一歩間違えれば普通に異常者です。

というか一歩間違えなくても異常者だろあんなん。

そして、起業が一発目で成功するかというとそれは本当に難しいと言わざるを得ない。ご存知のとおり、ジョブズすらアップルを追放される憂き目にも遭っているわけです。起業家にとって有能であったり、奇抜であったりすることは実のところを言うと必須条件ではありません。

むしろ、経営の面白いところは自身に欠けているものを補うことができる点にあります。お金が必要であれば出資者を募り、ある能力を持った人材が必要であれば雇うことができる。必要なら自分でなんでも探して、会社というおもちゃ箱に突っ込めばいいのです。事業計画だってぶっちゃけ買おうと思えば買えますし、パクったっていいですし。

それでは、起業家の本質的役割とはそもそも何なのでしょうか。
それは、この一点に尽きると思います。

狂奔を巻き起こせるか。

考えてもみてください。起業して成功する可能性を見込めるような連中、どう考えてもサラリーマンやった方が期待値高いでしょう。そうじゃなければメンバーに必要ないんですよね。そう、起業というのは狂気なのです。「一発カマすから金出してくれや」と金を引っ張り、「一緒にゴールドラッシュキメたろうぜ」と仲間を集める。

それは、どう考えても失敗する可能性の方が高い選択です。イカれたバクチです。しかし、この狂った戦場に仲間たちを導いていく。これこそが起業家に求められる才能だと僕は思っています。

 

サイコロを振り続けろ

起業家の役目は、狂気をもってサイコロを振ることです。サイコロを振らなければ、ゲームは始まりません。そうして、初めて狂奔が巻き起こります。僕の場合は「イケてる商品を輸入して、その商品を軸にした飲食店を多店舗展開しながら卸売りもするぜ、原価も下がって儲かるぜ!」みたいな起業でした。

集めた出資金は4000万円程度。加えて、僕が連帯保証人となって会社名義での借り入れを2000万円ほど行いました。一時は流れに乗って従業員も10人ほどまで増えましたが、悪い意味でのビッグバンが起こり、登った角度で急落した結果、事業は撤退。借金だけが残り、無一文の「借金玉」が生まれたのでした。けれど、僕はいま生きています。

起業に失敗することは、すなわち死を意味すると考えていた時期が僕にもありました。しかし、それからサラリーマンとしてコツコツ働いているうちに、世の中に大迷惑をかけた人も、破産した人も、案外、世の中に帰って来られるのだということを知りました。世界はやり直しが効くものです。

これは前世の記憶ですが、不動産業界だと「法的におまえまだそこにいたらダメなんちゃうか?」って人がツラっといたりします。

今では、あの2000万円は授業料だったな、と思っています。いろいろなことを学びました。繰り返しになりますが、最初の起業はまず失敗します。ならば、いっそその授業料というコストをどれだけ安く抑えられるかを考えましょう。

もしも200万円で起業して、2年間それなりに暮らすことができて撤退したという人は、どちらかというと幸せだと思います。

これは、実のところ得難い経験です。いま、もし僕の手元に1000万円あったら、200万円で5回起業するでしょう。起業の世界にありがちな、「ダメなら死ね」という発想はよくありません。むしろ、大切なのは生きて目が出るまでサイコロを振り続けることです。生きてさえいれば、何度でも立ち上がれます。狂気をもって、サイコロを振り続けましょう。

そしてこれは悲しい話ですが、初起業の時4000万円かかったことを、現在の僕は2000万円でお釣りがくる金額で実現することが出来ます。「経験」の力というのはそれだけ大きいのです。死ななければ次がある。強くてニューゲームもある。忘れないでください。

 

何を貫徹すべきか

一方で、起業家に必要な素質としての「狂気」とは、何も高速道路を逆走するような狂気だけではありません。むしろ、起業した後は、高速道路でたとえ分岐路を間違えてしまったとき、遠回りしてでも、あるいは一旦高速道路を降りてでも一度決めた目的地を目指し続ける、初志貫徹にこだわる「狂気」が必要です。

このとき、貫徹すべき最重要事項とは何か。答えは明確です。それは、「もうける」こと。確かに、起業には理念がないと仲間も従業員もついてきません。社会への貢献という大義名分が必要になるときもあります。しかし、まずはもうからないと始まらない。理念をうたうのも、社会貢献を果たすのも、利益が出てからで遅くはない、というのが僕の考えです。大きな目標を掲げること自体が力を生み出し、大勢の人を巻き込めるのは、一部のカリスマだけでしょう。逆に、「もうけるためにいま何をすべきか」を常に念頭に置いて、起業における仕組みも、人間関係も、日々の業務も最適化していく必要があります。

もちろん、その結果ブラック企業ならぬ「ブラック起業」となってしまうことは往々にありますが、そこは自身に火の粉が降りかかって来ないよう、労働基準法などに則した最低限のコンプライアンスをクリアしておきましょう。これは後にもふれることになりますが、感情論や倫理観を持ち込まれると厄介なので、「こういうルールになっているから」と、すべて仕組みの中で機械的に処理すべきです。そして、何よりも「もうけること」を優先する、という考えを共有できる人こそが創業メンバーに相応しい。よく起業には情熱が不可欠と言われますが、実際その通りです。しかし、その情熱の正体を突き詰めると、実は「もうける」という目的に向かって淡々と進んでいける冷徹さなのかもしれません。

あなたは何のために起業するのか。理由はたくさんあるでしょう。しかしそれは、「儲かる」という結果の上にしか実現しません。「食っていければいい」という表現する起業志望者がよくいますが、「食っていければいい」人が食って行けるほど、起業は甘くはありません。「俺たちは儲けるんだ」という意思を一つにまとめましょう。そして、火の玉の如く戦いましょう。創業初期はまさしく地獄のような時期です。そこをブチぬけていける狂奔があなたにあるか、是非考えてみてください。

あなたの起業はおそらく失敗します。
しかし、賽を振り続ける限りあなたの未来は続いていきます。
やっていきましょう。どこまでもやっていきましょう。
あなたの口から「次は上手くやります」が飛び出す限り、未来は尽きません。

\ 借金玉×ジョブシフト【第5回】 /

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この記事を書いた人

借金玉
 本が出て、作家の肩書がつきました。週刊プレイボーイ連載中です。 syakkindamaアット お仕事の依頼などはこちら。 コンサータは36ミリ飲んでます。ブログ↓

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