入社試験の面接方法は大きく個別面接集団面接(またはグループ面接)の二つに分けることができます。

この内、集団面接は新卒採用時には必ずと言って良いぐらい行われていますが、中途採用では応募者が他者に知られないよう転職活動を行っている場合があり、集団面接はあまり行われてきませんでした。

しかし近年では、転職ブームによる転職志望者の増加などを背景として、中途採用においても集団面接を実施する企業も見られるようになってきました。

そこで、ここでは具体的な質問事例を交え、集団面接における質問対策のポイントを中心に紹介します。

また、集団面接ならではのマナーや効果的な自己PRも覚えておきましょう。

突然集団面接になる可能性を想定しておこう

中途採用の面接対策を考える上で、ぜひ憶えておいて欲しい留意点があります。

中途採用における面接の形式は、「個別面接だ」と先入観だけで決めてかかってはいけないということ。

急に「集団面接」が実施される場合があるということです。

なぜか。その理由として主に以下の3点があげられます。

求人企業側の想定を上回る応募者が集まった

一つは求人企業側が想定していた数を上回る応募者が集まったため、集団面接に切り替えざるを得なくなったというケースです。

近年の転職ブームを踏まえれば、こうしたケースは増えることはあっても減ることは当面考えにくいと言えます。それだけに「中途採用=個別面接」という先入観は改めるべきです。

想定外の状況における対応力を評価したいから

二点目の理由は、中途採用=個別面接と言った先入観をもって臨む転職志望者の裏をかく意味で、あえて集団面接を実施するケースがあるということです。

個別面接と思い込んでいる応募者なら、面接会場に他の応募者もいたとなると多少動揺することになります。

そうした状況でも落ち着いて自分を発揮できるかどうかを評価するためです。

個別面接だけでは評価しにくい、集団への適応力を見たいから

中途採用における企業側の大きな心配ごとは、すでに一定の人間関係が出来上がっている組織の中に中途で採用した人物が馴染み、溶け込めるかどうかという点です。

そうした適応力は個別面接だけでは評価しにくい面があります。

そこで集団という状況の中での振る舞い等を通じて志望者の適応力を探るべく、集団面接を実施する企業もあります。

以上のような理由から、どのような面接形式かはっきりしていない場合には、先入観だけで「中途採用は個別面接」と決め付けないこと、集団面接が実施される可能性もあるという認識をもって採用試験に臨むことが大切です。

集団面接で押さえておきたいマナーは?

転職活動でも、集団面接が行われる場合が多々あることがわかりましたね。

集団面接には、集団面接ならではのマナーがあります。いきなり集団面接を告げられても慌てないように、身に着けておきましょう。

入室にもマナーあり!

採用試験は、入室時から始まっています。集団面接の場合、一緒に受ける受験者が一列になって順番に入室することがほとんどです。

もしもあなたが先頭で入る場合、ドアを3回ノックしましょう。2番目以降である場合、ノックの必要はありませんが、前の人からドアノブをしっかり受取り、後ろの人に確認しながら渡します。

最後の人は、後ろを向いて静かにドアを閉めましょう。

どの順番であっても、入室時には必ず面接官に向かって「失礼します」と伝えます。

先頭の人から、ドアから一番遠い椅子につきましょう。全員が椅子の横についてから面接官から着席の指示が出るので、先に座らないようにしてください。

退室まで気を抜かないこと!

退室するときには、最もドアに近い人から順番に退室します。

ドアから出るときにも「失礼します」の一言を忘れずにしましょう。

最後の人は、静かにドアを閉めます。

面接中にはこんなところに注意

他の応募者が質問に答えている間、自分に関係ないと思ってぼーっとするのはNGです。

面接官はしっかりチェックしていますよ。

過剰に反応する必要はありませんが、時々相槌を打って「聞いている」という姿勢をアピールしましょう。

 

挨拶がかぶってしまうことがないように、周りの空気に合わせることを意識してください。

集団面接で「質問されない」質問とは?

個々の事情を踏まえてプライバシーに関わる質問はなされない

新卒採用と異なり、中途採用では在職したまま転職活動を行っているため、そうした事情を公にできない応募者もいます。

そのため、中途採用における集団面接ではあまりプライベートに踏み込んだ質問がなされることはないという前提に立つことができます。

例えば次のような質問例です。

・現在勤めている企業名を教えてください

・現職の給与と希望する年収について教えて下さい

・御家族は転職に賛成されているのでしょうか

・一緒に暮らしている家族の中で介護が必要な方はいますか

逆に言えば、こうした質問を集団面接で行ってくる企業は人を思いやることができない企業と評価できますので、その企業への転職は慎重に考えた方が良いとも言えます。

また、こうしたプライバシーに関わる質問について集団の中で万一尋ねられた場合には「その点についてはこのような場ではお答えしにくいので、メールなど他の方法で回答することを希望いたします」といった回答を堂々と行えば良いだけです。

つまり集団面接では、”プライバシーに関わる質問や現職に関する質問以外”の質問がなされるとの前提で対策を考えて良いということになります。

集団面接で想定されるテーマごとの質問例と対策はコレだ!

では集団面接という形式を前提とした場合に、特に考えられる質問例としてどのようなものがあるか、テーマごとにご紹介しましょう。

志望者本人の資質や性格、個人的な考えに関するもの

(質問例)

・ご自身の長所、短所についてお聞かせください

・周囲からどのような人物であると言われることが多いですか

・あなたにとって「仕事」とはどのようなものでしょうか。

・あなたが座右の銘としていること、もしくはあなたが特に大切にしている信条があればお聞かせください。

(対策)

プライバシーに関わる具体的なことは聞かれないと言っても、ご紹介したような長所、短所といった典型的質問は集団面接においても実施されるとの前提が必要です。

そのため、この点の対策は個別面接対策とそれほど変わらないと言えます。

自問自答によって自身の長所や短所、人生観の整理を行っておくことだけでなく、転職情報サイトなどを活用し性格分析を行っておくことや、友人知人から自分がどのような性格かを尋ねておくことがこうした質問に沈黙せずに済む有効な対策となります。

効果的な自己PRとは?

集団面接でも、まず間違いなく聞かれるのは自己PR。しかし、個別面接では自己PRができても、集団面接では他の応募者を意識してしまい、上手にアピールできなかったという人が意外と多いのです。

集団面接での自己PRでは、自分を控えめにアピールすることが良しとされていて、バランス感覚が問われます。

上手にアピールするためには、まず長々しい自己PRを避けること。他の人の時間を気にせずに自分ばかりを主張する、空気の読めない人とみなされます。

また、時には自分が考えていた自己PRが、他の応募者と重なってしまうことがあります。

内容がまるっきり被るとどうしても印象が薄くなるので、変えることが望ましいですが、面接時の緊迫した状況で新しい自己PRを考えるのは至難の業です。

あらかじめ2~3の自己PRを考えておくと急なハプニングにも慌てません。

様々な答えが考えられるクイズのような質問

(質問例)

・あなたが少人数しか乗れない小型の船を運航していたところ、目の前で大型船が沈没し大勢の人が海に投げ出されたとします。あなたならどのような行動をしますか。

・A案とB案について多数決を行った結果、両案の賛成者数は同数でした。あなたが組織の長としてA案かB案かを決めなければならない場合、この後どのようにして決めますか。

(対策)

こうしたクイズのようなスタイルの質問は、集団面接だからこそよく実施される場合があります。

何故なら特に他者が「なるほど」と思えるような回答をした場合に強いプレッシャーとなる等、
他者の回答の影響を受けやすい質問だからです。

このようなケースの質問対策として大切なことは、まずこうした質問がなされる場合がある前提を持つことと、他人がどう回答しようが一切気にしないと言う心構えを持つことです。

また、基本的な対策としては例えば事件や事故に関するニュースに接した際、単に情報を受け取るだけでなく「どうすればこうした事件や事故は防げるか」を考えたり、政治的なニュースに接した場合には「自分が政治家ならどのような政治判断をしたか」などを真剣に考えたりすることです。

更に、友人や知人に自分が考えたそれら意見をぶつけて感想を聞く等、自分の意見に対する他者評価にも耳を傾けるようにすれば尚良いと言えるでしょう。

時事に関するもの

(質問例)

・最近のニュースで特に関心のあるニュースを関心を持った理由と併せて聞かせてください

・最近弊社の業界では○○が話題になっていますが、○○についてあなたの意見を聞かせてください

(対策)
時事に関する話題なら個人のプライバシーを脅かす心配がありませんし、クイズスタイルの質問同様他者の回答に影響を受けやすい質問となりますので、集団面接の機会で尋ねられる可能性が高い質問テーマと言えます。

こうした時事に関する質問対策の基本は何と言っても日頃からニュースに目を通しておくことです。

その上で特に気になったニュースを週単位で一つピックアップし、なぜ関心を持ったかなど自分の所見をまとめておくようにすると効果的です。

尚、集団面接における回答として政治色の強い時事、例えば自治体や国会議員で特定の政党の候補者の当落などは、仮に選挙シーズンにあたったとしても避けるようにしましょう。

集団面接では、集団の中で回答してよい時事話題の選定センスなども求人企業側は評価しています。政治や宗教など、個人的な思想信条で対立を招きやすい話題を避けることは社会人としてのTPOと言えます。

グループディスカッションという形態でも慌てずに!

最後に、例外的ケースと言えますが、中途採用の集団面接においても稀にグループディスカッションが実施される可能性があります。

例えば「弊社の社員になったつもりで、少子高齢化を踏まえた企業戦略を皆さんで考えてみてください」といったテーマを投げかけられ、それらを比較的自由に応募者同士で協議を行うよう求められる場合がありますが、これがグループディスカッションです。

この場合、協議している内容以上にグループで協議する場合の協調性やリーダーシップなどが重点的に評価されます。

そのため、質問より対策が難しく考えられるかも知れませんが、実はグループディスカッションに対する対策はそれほど難しくありません。

もし自分が苦手なテーマが題目として出されたらすぐに「司会進行役」をかって出ることで、他の応募者の聞き役や意見のまとめ役にまわることです。

逆に自分が大変得意としているテーマなら、状況をみてあえて司会進行役になった上で簡単に自分の意見や考えを簡潔に述べながら進行させるのも良いですし、誰かが司会進行役をかって出たなら、その指示に従って持論を簡潔に述べれば良いのです。

ただし、人が発言している際にその発言を封じて自分の意見を述べたり、頭ごなしに他者の意見を否定したりすることは絶対に避けましょう。どんなに説得力があろうと「協調性がない人物」と評価される可能性が高まるからです。

むしろ、他者の発言内容で良いと思えた点やなるほどと思った点をディスカッションの中で積極的に指摘するようにすると、面接での評価アップにもつながります。