ここ20年ほどの間に、大企業でも障害者を雇用するようになりました。
今回取り上げるのは、アパレル界の巨人「ユニクロ」。
今やグローバル企業となったユニクロが障害者雇用を促進する理由は何なのか、さらにその実情はどんなものなのか、考えてみたいと思います。

ユニクロの障害者雇用とは?

ユニクロでは2001年から会社の方針として、「1店舗1名以上」の障害者雇用を目標としており、2012年時点でこれをほぼ達成。
日本国内に限定すれば9割の店舗で障害者が働いているそうです。

日本には、企業に対して一定割合の障害者雇用を義務づける「障害者雇用率制度」があります。
現行の障害者雇用率制度では、労働者のうち2%(法定雇用率)を障害者が占めるよう義務付けられているのです。
これに対してユニクロではグループとして5.87%の障害者雇用を実現していますから、法定雇用率を大幅に上回っていますよね。

特に精神障害者に対する取り組みが優れており、本社の総務職として採用している実績もあるほど。
精神障害は人数が多い一方で雇用枠が限定されており、なかなか安定した職に就くことが難しいという実態があります。
ユニクロでは、こういった問題に対応するため、店舗以外の本社や本部でも、積極的に障害者を採用しているのです。

なぜ障害者雇用を積極的にするようになったのか

これはユニクロに限った話ではないのですが、大手企業やグローバル企業は、障害者雇用に積極的です。
その理由として「ダイバーシティマネジメントの促進」があげられます。
ダイバーシティという言葉、聞いたことはあるけれどいまいち理解していないという方も多いでしょう。
ダイバーシティとは、簡単に言えば「多様性」です。
例えば日本でも、「外で働くのは男」という時代は終わりましたよね。
女性もどんどん社会参加しています。
当然のことながら、男性と女性は色んな違いがあります。
体の仕組み、モノの考え方、感じ方、ライフスタイルなど、挙げればキリがないくらいです。
これからの企業は、男女間の違いのようにさまざまな「差異」を「多様性」として取り入れていかなければ、生き残っていくことは難しいとされています。
働き手がどんどん減っていく中で優秀な人材を獲得しつづけるには、人材それぞれが抱える違いを許容し、うまく組織として成立させる必要があるからです。
また、商品やサービスの開発においても、さまざまな視点が必要になります。
昔と違い、社会は単一の価値観で動いていないからです。

障害者雇用は、このダイバーシティマネジメントの一環として取り入れられている側面があります。
もちろん、国からの義務付けや社会貢献といった意味合いもあるでしょう。
しかし、障害者もうまく戦力として取り込んでいかなければ、強い企業にはなり得ないという考え方があるのです。

障害者の割合は?開始から今までの雇用の実績や離職率は?

すでに紹介したとおり、ユニクロでは法定雇用率を上回る5.87%という障害者雇用率を実現しています。
2001年から取り組みを開始し、日本国内では1249名が、海外も合わせると1534名が従業員として雇用されているのです。(2015年8月実績)
しかし、ここで気になるのが離職率。

採用されたものの、その後離職してしまった人は一体どのくらいの割合なのでしょうか。
離職率は、職場環境や労働の実態を推し量るために重要な指標ですからね。
ユニクロ自体は、離職率が非常に高い企業として知られています。
一部報道では、「3年で5割、5年で8割が離職」という驚異の数字が取り上げられることもありました。
これはあくまでも健常者として採用されている社員のデータで、障害者が含まれているとは考えにくいでしょう。

そこで障害者だけの離職率を調査してみると、健常者の数分の1(1説では7%程度)にまで抑えられているようです。※1
出典:ユニクロの障害者雇用
ただし、これは2009年時点の発表ですので、現在では多少変化している可能性もあります。

一般に、障害者雇用は通常の雇用とくらべると定着率が悪いといわれますが、ユニクロの場合は逆の結果になっているようですね。

全国どこの店舗でも求人ある?健常者との時給の差はある?

まず求人についてですが、全国の店舗で最低1人は障害者雇用を行うといった目標を掲げているため、
基本的には全国各地の店舗で求人がでる可能性はあります。

しかし、問題はその「席」が空くかです。
すでに述べたように障害者の離職率が低いユニクロでは、すでに障害者雇用の枠が埋まっている店舗が多いと考えられます。
こればかりは実際の店舗の求人をチェックしていくしかないでしょう。

次に時給です。これに関しては評判が良いみたいですね。
東京都内であれば1000円から1100円スタートといった時給もあり、健常者とほとんど変わりありません
障害者の賃金は非常に低いのが一般的で、最低賃金に少し色を付けた程度といった職場が多い中、賃金では恵まれている部類に入るでしょう。

仕事内容はぶっちゃけどうなの?

障害者雇用で採用されたスタッフに割り当てられる仕事はマニュアル化されており、次のようなものが多いようです。
・ミシンやアイロンなどを使った補正
・PCを使った検品や伝票整理
・商品のたたみなおし
・備品の管理、整理整頓
・バックルームからの品出し

主に裏方の仕事が多いようですね。しかし一部の障害者は接客業務にも携わっているとのことで、個々人の状況に応じて仕事が割り振られると言えそうです。

数年前に文春で話題になった障害者いじめの実態は?

以前、一部店舗における障害者へのいじめが問題になりました。
週刊文春の告発によって、ユニクロの障害者雇用の実態が暴かれた記事です。
その内容は以下の通り。

・勤務歴8年の準社員が突然シフトから外された
・勤務実績がないため給与は支払われていない
・契約更新をする準社員だったが「次回契約はない」といった言葉を投げつけられる
・「仕事がのろい・できない」といった内容を怒鳴られる

店長が変わったタイミングでこのような問題が起きたとのこと。
ユニクロでは店舗の運営やスタッフの教育にかかる権限は、店長に一任されている部分が多く、本部はあまり介入しないようです。
そのため、「店長次第」の部分が多いと言えるでしょう。

ただし実際には、すべての店舗でこのような問題が起こっているわけではありませんし、現在でも障害者雇用を継続しています。
しかし、ユニクロの体制を考えると、店長の考え方や相性によっては、不当な扱いを受ける可能性がゼロではないと言えるかもしれませんね。

結論的に障害者にとってユニクロはオススメの企業?

何をもってオススメとするかによりますが、賃金や仕事内容、グループ全体としての方向性を考えればオススメできる企業といえそうです。
一部週刊誌で問題が報じられたあとも、積極的に障害者雇用を促進しています。
離職率も健常者に比べるとかなり低く、賃金的にも不当な差がつけられていません。
ただし、職場での人間関係といった部分では、健常者同様に配慮していく必要がありそうです。
やる気と能力のある人材は、障害者であっても積極的に登用するというのがユニクロの考え方ですから、一度は応募してみる価値がありそうですよ。

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