独立開業で役立つ資格9選と知るべき独立のメリット・リスクを解説!

独立開業の方法

会社員辞めて独立して働きたい、あるいは、今の仕事をしながら副業的にもう一つ何かをしたい、独立開業を考える人の気持ちは様々だと思いますが、そこにはメリットだけではなくリスクも存在します。

安易に会社を辞めて開業しても、まったく売り上げが上がらず、事業を畳むということになってしまっては、負債が残るだけではなく、再就職も難しい状況に陥ってしまいます。メリットとリスクを把握したうえで、リスクを減らした開業をできるように取り組んでいきましょう。

独立開業するメリットを紹介

まず、独立開業するメリットについて考えたいと思います。

年収がとんでもなく上がる、巨万の富を得られる

年収アップ

独立開業するメリットは、経営がうまくいけば利益がすべて自分のものになるということですよね。会社員では「給料」としてもらっていたものが、経営者になれば、事業を黒字にしてそこから役員報酬や、事業所得として収入を得ます。

一人で開業し、事業を行い、うまく経営ができれば、その利益を独占できます。会社員のように「給与体系」に縛られることもなく、結果を出せばすべてリターンとして自分に返ってきます。

巨万の富や名声を得ているIT企業の社長も、自分で独立開業したからであり、社員としてやっていたらせいぜい年収1000万円代で(それでもすごいですが)そこからもう一段ハイクラスになることはできません。

柔軟な働き方が可能になる

柔軟な働き方

「働き方改革」が実際には労働者にはマイナスだ、という意見が強いのは皆さんご存知だと思います。

しかし、独立開業すれば、経営者になるわけで、労働時間や就業規則などに縛られることがなくなります。

能力があり、結果を出せる人であれば、毎日午後起きでも、昼夜逆転生活でも、週休四日でも構いません。

そう「結果を出せれば」本当に柔軟な時間の使い方ができるようになります。

経費を計上して節税できる

税金

会社員の場合「クロヨン」「トーゴーサン」と呼ばれているように、所得をほぼすべて補足され、がっつり課税されます。
会社員が必要経費を計上し、申告する余地はほとんどありません。

しかし、独立開業して経営者、ないし個人事業主になれば、経費として計上できる余地が生まれます。「節税」ができるようになります(脱税は絶対にダメ!)。

自宅の家賃や知人との会食も経費になる余地があります。実際の所得からの支出ではなく、経費として計上できれば、税金も安くなりますし、自分の懐が痛まない、そういう可能性もあります。

繰り返しますが脱税は絶対ダメ!ですが、会社員ではできない「節税」の余地ができる、ということです。

社内の人間関係からの開放

解放

独立開業したい人の中には、社内の人間関係が嫌で仕方がなく、このままではおかしくなりそうだから、という人も少なくないでしょう。

独立開業すれば、自分でやっていくわけですから、社内政治や人間関係に振り回されることもありません。仕事上付き合う人もある程度取捨選択できるかもしれません。できない人、合わない人と一緒に仕事をすることから解放されるのはかなりのメリットです。

満員電車、「痛勤」からの解放

通勤

自宅で仕事、あるいは近所の事務所を借りれば、あの満員電車での通勤から解放されます。

通勤のつらさから解放されるのは、精神的にも大きいのだと思います。

野望・夢を実現できる

夢を実現

最後は、独立開業のもっとも重要なものです。

自分で経営計画を立て、好き内容に事業を行い、目指したい夢を実現します。

就職活動の際は「この会社でしたいこと、できること」を訴えたと思いますが、独立開業すればすべて自分の好きなように展開できます。

独立開業をするリスク

一方で、独立開業するリスクも意識しなければなりません。

収入が保証されない

通帳
会社員であれば、クビにならない限り給料をもらうことができますが、独立開業すれば(副業の場合を除き)、いくら誠実に清廉潔白な事業運営を行っていても、利益が出なければ収入はなく、生きていくことができません。

仕事をとってくる、お客が店に来る、そういう努力を怠れば、瞬く間に生活していくことができなくなります。多額の謝金を抱えて倒産、となれば人生がどうなってしまうやら・・・。
自己破産、一家離散・・すべて自己責任です。

開業資金、運転資金等がかかる場合も

開業資金
自宅のPCでできる仕事であれば開業資金もかかりませんが、お店や事務所を借りて、モノを仕入れて・・という事業をする場合、先立つものが必要になります。

アルバイトや社員を雇わないビジネスモデルであっても、月々の支払いや、お店への設備投資への設備投資が必要になります。

潤沢な自己資金があればまだいいのですが、そうではない場合、金融機関からお金を借りることになります。
つまり、事業開始時点で数百万の借金を背負うことになり、いきなり「背水の陣」状態になります。

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従業員を雇えば人件費がかかる

給料
自分だけ、あるいは家族で開業するならば、まだいいのですが、パートやアルバイトでも従業員を雇う場合、その人の「雇用」を守ることが最優先になります。

つまり、その人たちへの給料の支払いが優先され、自分たちの取り分は最後になります。

実質タダ働きという事態も想定されます。

また、人件費は給料だけではありません。会社組織にするならば、社会保険や厚生年金へ加入し、従業員の折半分の負担も必要になります。

自分ですべての責任を負う

責任
会社のように役職に応じた責任ではなく、対外的なものも含めてすべて自分が責任を負います。

法的リスクも享受しなければなりませんし、営業ができない人が独立開業しても仕事が取れないかもしれません。

会計処理はできますか?
税理士にお願いすると毎月数万円飛んでいきます。

申告漏れで追徴課税されて潰れてしまってもすべてご自身の責任です。

フランチャイズの場合さらに「ロイヤリティ」の支払いがある

契約書
私はフランチャイズをまったくおススメしないのはここにあります。

チェーンの名前でお客さんが来ても、それ以上に本部へ支払うロイヤリティが高くて、まったく儲からないお店が多いのです。

儲かってもロイヤリティを払いますが、儲からなくても払います。
毎月の「固定費」が重くのしかかることになります。

独立開業をしても「生存率10%」というのは本当?

「起業生存率」で検索すると、「10年で10%しか残らない」「20年後は1%以下」など、かなり悲観的なワードが出てきますが、個人事業主やフリーランスを含めると、10年後に事業を継続している割合は60%~70%のようです。

ただし、会社を設立したケースの方が生存率が低いので(会社の規模が大きければリスクも大きい)、やはりリスクヘッジが必要だということになります。

独立開業のリスクを減らす方法

創業計画書をしっかり作る

事業開始後、2年~3年までの売上や仕入れ、支払等の予想をまとめた「事業計画書」を作りましょう。

これを作成することで、ご自身の開業計画が無謀かどうか、俯瞰して考えることができます。

「絶対に上手くいく」という気合いは大切ですが、それだけでは事業は成功しません。商工会議所などで相談し、無料で創業計画書の作成指導を受けることもできます。

創業・開業資金の借り入れは自己資金と同額に

借り入れ

開業の際、資金が必要な事業も多いでしょう。

全額自己資金で賄うか、金融機関から借り入れをするか、選択をしますが、借り入れを行った場合も、自己資金と同額までにすべきです(自己資金:借り入れ=50:50)。

全額自己資金でやろうとすると、当面の運転資金や生活資金がショートしてしまうかもしれないので、借り入れするのはいいのですが、あまり金額が多いと、軌道に乗るまで、あるいは上手くいかなかった場合の返済に困ることになります。

「開業に回せる自己資金×2」が、今の自分の身の丈に合った事業規模であり、その範囲内で開業できる仕事にしてください。

フランチャイズはよく考える

フランチャイズ

筆者としては、フランチャイズでの開業は正直おススメしません。

いくら経営能力があり、稼げたとしても、ロイヤリティで持っていかれるので、儲けとしてはとても少なくなってしまうからです。「社員で直営店で働いた方がマシ」という意見もあり、これならば何のために独立開業したのか、意味がありませんし、うまみもありません。

「のれん分け」的なことが将来的に可能で、それ以後は、本当に「独立」できるのであれば、修行の意味でフランチャイズで数年働くというのはアリですが、それ以外は会社員の方がよほど楽という生活が待っています。

何をやりたいのか、どのフランチャイズなのか、事前に評判や口コミもよく確認して決断してください。

つぶしの利く資格を取得しておく

資格

医師や弁護士は別格ですし、この文脈で言及する資格ではありませんが、もし事業が上手くいかなかった場合、最悪、再就職につながる資格を取得しておくべきです。

ご存じのとおり、日本社会は、アラフォー以降の転職やブランク期間が非常にマイナスになります。ブランク期間については正直に事業をしていたというべきですが、それが転職に活かせないかもしれません。

だからこそ、「この資格を持っているので即戦力になります!」というものを身につけておくべきです。

独立開業に際して、どのくらいリスクヘッジができるのか、リスクヘッジができれば精神的にも楽になり、より事業展開について考えられるはずです。

独立開業におすすめの資格

リスクを減らすために資格を持っていた方がよさそう、ということになりました。

では、具体的にどのような資格を持っていると、独立開業およびリスクヘッジに役立つのでしょうか?

「その資格で食べていく」+「何かあった時につぶしが利く」で考えました。

日商簿記検定1級

簿記

簿記だけで食べていくことはできませんが、1級を持っていれば会計のエキスパートと認定され、何かあった時もどこかで雇ってもらえます。

何より、自分の事業の分析にも役立ちますし、自分で決算書類を作成して申告するのも容易になります。

会計や複式簿記の方法は知っておいて損はなく、事業を展開していくうえでも財務諸表の読み方がわかると有利です。

システムアナリスト(情報処理技術者試験)、ITコーディネータ

システムアナリスト

フリーのSEでやっていく場合、経験年数ややってきた仕事の職務経歴も大切ですが、外部から仕事をとってくる際には、この二つの資格を持っていると有利です。

もちろん、フリーランスから転職に切り替える場合も、IT業界には訴求力がある資格になり、すぐに転職先も決まります。

IT案件の受注は、フリーであっても一件100万円単位の契約になります。

是非とも高額案件を契約するためにこの資格を目指してください。

Webクリエイター能力認定試験、ウェブデザイン技能検定

WEBデザイナー

IT系資格を独立のためだけに取得するのは、それだけで挫けそう、自分は文系なので絶対に無理、という人は、WEBデザイナー系の資格を取ってみてはいかがでしょうか?

WEBの知識(IT資格よりもやさしい)+デザインという芸術系センスで勝負します。

WEBデザイナーもフリーランスでやっている人が多い職業です。

Webクリエイター能力認定試験、ウェブデザイン技能検定は、内容としても十分で、これに合格すれば独立してやっていけると言われています。特に「ウェブデザイン技能検定」は国家資格なので評価が高いです。

行政書士

行政書士

法律系の資格で独立開業して食べていけるのは、もちろん、弁護士や司法書士、弁理士なのは言うまでもありませんが、WEBの記事を見て「目指してみよう」ができるほど容易ではないのもご存知ですよね。

社会人から始めて、仕事と並行して取得でき、独立しやすく、つぶしが利き、何かあった時に役に立つのが「行政書士」になります。

「行政書士事務所」を自分で開業でき、官公署などへの手続きや権利義務、事実証明関係書類などを作成します。

行政書士試験の合格率も比較的高く(10数%)、法律を大学でやらなかった人でも取れます(逆に司法試験や司法書士はかなり大変です)。

認定心理士

カウンセラー

カウンセラーとして独立開業したい場合、臨床心理士の資格を取るのがいちばんですが、臨床心理士は心理学系の大学院へ行くか、1年以上の実務経験が必要で、そう簡単に取得できません。

一方、心理系の検定試験や民間資格は乱立していて、取得しようと思えば、数日の講習(ただし講習料数十万円)で取れるものもありますが、見る人が見れば大して実力がないのがわかります。

「認定心理士」は、心理学系の大学で所定の単位を取得し、日本心理学会の申請して取得できる心理学の資格です。

最短で通信制大学一年で取得でき、本当に心理学を勉強したことの証明にもなります。

これを持っていれば「心理カウンセラー」を名乗っても、信頼してもらえますし、独立開業の際に有利になります。

中小企業診断士

中小企業診断士

国家資格で2次試験まで合格する必要があります。実際に中小企業のコンサルティングを行わなくても、この資格は役に立ちます。

独立開業で「○○コンサル」やセミナー講師の箔付けにも使えますし、自分で会社を経営する際にも資格取得に際して学んだことが役に立ちます。

経営者が参加する異業種交流会でも一目置かれますし、話のきっかけになりやすい資格ですので、目指してみてもいいと思います。

独立開業の方法

独立開業の方法
最後に独立開業の方法について説明します。

開業したときの手続きについては、国税庁のHPも合わせて読んでいただき、書類等を確認してください。

事業を始めたときや法人を設立したときに必要な届出|国税庁

個人の場合

個人事業主、フリーランスとして開業したい場合、「開業した!」と思ったその日から開業になります。

本当は、開業後1か月以内に税務署に「開業届」を提出しますが、しなくても罰則はありません。

しかし、もちろん、開業後の収入は確定申告しなければなりません。

「開業届」を税務署に出すことで、「青色申告控除」が受けられます。

これは、確定申告の際に、10万円ないし65万円が課税所得から控除される、つまり税金が減るシステムです。

経費で落とせるものがあり、さらに最高65万円の所得控除があるので、独立開業はうまみがあるわけです。

ただし、65万円控除の場合、複式簿記での記帳が必要になり、だからこそ簿記検定を持っていると有利になるわけです。

法人の場合

会社を設立して独立開業したい場合は、法人の設立登記が必要になります。

会社の定款を定めて、資本金を決めて、役員を選任して・・と時間もお金もかかります。

法人設立については以下を合わせて読んでください。

参考:商業・法人登記申請手続|法務局

会社を退職して始めるケース

辞める決意が固いならば、在職中に開業して(開業届を出して)も構いませんし、この段階で「副業禁止規定」もほぼ無視できるはずです。

ただし、開業してしまうと利益がなくても「失業手当」を受け取ることができません。

失業手当は退職後のボーナスではなく、働きたいけど職が見つからない人のためのものです。開業しているということは、すでに職が見つかっているわけで、失業手当を申請すると不正受給になります。

一方、退職後、早期に就職が決まった時にもらえる「再就職手当」ですが、実は自分で開業した際も条件が合えばもらうことができます。

こっちの方がボーナスみたいな感じです。

もらわないと損ですので、ハローワークに相談に行ってください。

届け出が必要な業種もあり

仕事によっては届け出や許可が必要なものもあります。

いきなり、無許可で飲食店は開業できませんよね。

何を始めたいのかで違ってきますので、事前によく確認してください。

独立開業に当たってはいろいろなチェックポイントがあり、なるべくリスクを減らした開業が望まれます。

独立開業で役立つ資格やメリットとリスクまとめ

  • 開業に当たっては、開業資金の過多や従業員の有無でリスクが変わる
  • 会社員のように「雇用」されていないので利益が出なければ収入がない
  • 利益さえ出せば自由な働き方ができる
  • 開業にあたりフランチャイズ形式で始めるのは本当によく検討する
  • 開業後何かあってもつぶしが利く資格を取っておくとよい
  • 個人と法人で開業方法が異なることを知る
  • 仕事を辞めて開業する場合、失業手当がもらえない可能性がある
  • 退職後開業する場合「再就職手当」をもらえるように手続きする