失業した場合の頼みの綱として失業保険は頼りになる保険制度ですが、失業保険は失業中だけもらえるもの、再就職した後は何ももらえないと思い込んではおられませんか。

失業保険を受給されている方が一定の条件を満たして再就職を果たせば、ハローワークからもらえる手当が別にあるのです。

それが”ハローワークの転職祝い金”とも言われている「再就職手当」です。

再就職手当とは具体的にどのような手当でどうすれば受け取れるのか、詳しく説明致します。

再就職手当って何?

再就職手当とは何かを簡単に説明しますと、失業保険の受給が決定した方、並びに失業保険を受けっ取っている方々を対象とし、失業保険の受給日数期間を1/3以上残して再就職を果たした場合にもらえる手当のことです。

ちなみに、世間一般で「失業保険」と呼ばれている保険金について厚生労働省は「(雇用保険制度の)基本手当」という表現を用いています。

従って

  • 失業中に受け取る手当:基本手当
  • 再就職を果たした際に受け取れる手当:再就職手当

という整理の仕方をすると、失業保険と再就職手当の違いがよりはっきりしてきます。

再就職手当の主旨は何?なぜこのような制度があるの?

再就職手当は雇用保険制度の中で、「就職促進給付」という制度に位置付けられている手当です。

「就職促進」という言葉からわかるとおり、要は「失業保険を受け取っている方はできるだけ早く再就職を果たしてくださいね、そうすれば再就職手当が貰えますよ」と再就職の早期実現を失業者の方へ促す狙いがあります。

失業保険の平均受給期間が長期化すれば雇用保険財源が悪化しますし、失業された方も履歴書上の空白期間が長引くことで再就職に不利になってきます。

そうした状況を回避するために、早期再就職を果たした方への特典として設けられた手当が再就職手当という訳です。

再就職手当がもらえる条件とは?

再就職手当は失業保険を受け取っている方が再就職を果たせば誰でも受け取ることができる・・・という訳ではありません。

再就職手当を受け取るにはいくつかの要件を満たす必要があります。

厚生労働省は再就職手当がもらえる要件として8項目をあげていますので(※)、どのような項目があるかを確認しつつ、各項目ごとにポイントや注意点などを補足説明致します。

※出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」より

厚生労働省があげている8項目の要件と補足説明

1.就職日の前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。

(例えば失業保険の支給総日数が150日だったとします。1/3以上ですからこの場合なら50日以上支給日数の残り期間を残して再就職を果たす必要があるということです。
また、区切りとなるのは「就職日」ではなく「就職日の前日」です。就職日の前日に1/3を切ってしまった場合には再就職手当は貰えなくなりますので、十分ご注意ください。)

2.1年を超えて勤務することが確実であると認められること

(期間限定の契約社員や派遣社員は支給対象外となります。
また、長期雇用が見込まれてもアルバイトなら対象外となりますのでこの点も注意が必要です。
要は正社員として採用されることが条件と考えておけば間違いありません。)

3.待期満了後の就職であること

(失業保険の受給資格決定後、保険金受給の説明会が開始されるまでに7日間の待機期間が必ず設けられますが、「待機満了」とはその7日間を指します。
従って既に失業保険を1回以上受け取っている方は気にする必要はありません。)

4.離職理由による給付制限を受けた場合は、待期満了後1か月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること

(離職理による給付制限を受ける場合とは「自己都合退職」の場合です。
自己都合で退職された方は、7日間の待機期間終了後1ヶ月の間は民間求人サイトで求人を探し、転職したら手当は貰えないことになります。
求人探しはハローワークか、許可(有料職業紹介事業許可番号)を得ている転職エージェントを利用するよう心掛けてください。)

5.離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと(資本・資金・人事・取引等の状況からみて、離職前の事業主と密接な関係にある事業主も含みます。)

(例えばA社を退職した方がA社、もしくはA社のグループ企業だとかA社との取引が売上のほとんどを占めるような会社に再就職したら手当の対象外になってきます。)

6.就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと

(過去3年以内に再就職手当、または常用就職支度手当を受け取っていたら対象外ということです。
ちなみに「常用就職支度手当」とは45歳上の方と障害者の方に限り、失業保険受給期間1/3を超えた場合でも特別に受け取れる手当のことです。
45歳以上の方や障害者の方が失業した場合、再就職を果たすまでの期間が長期化する可能性が高まります。
つまり再就職手当の対象外になりやすい方々と言えますので、再就職手当以外の手当を加味することでそうした方々の再就職を支援する目的で創設された手当と言えます。
尚、45歳上の方が再就職手当の受給対象となった場合には再就職手当のみとなり、常用就職支度手当はもらえません。)

7.受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと

(このポイントは「内定」という言葉にあります。
仮に就職日が受給資格決定後であったとしても、内定していたのがその前であれば手当はもらえないことになります。)

8.原則、雇用保険の被保険者資格を取得する要件を満たす条件での雇用であること

(雇用保険加入を前提としている雇用、つまり社員として雇用されたのであれば大丈夫です。
雇用保険に加入しない例として業務委託契約などがありますが、こうした雇用保険に加入しないケース、即ち社員として雇用されたとは言えないケースが対象外になるということです。)

再就職手当はいくら貰える?

再就職手当は一体いくら受け取ることができるのでしょうか。

再就職手当は一律いくらではなく、再就職を果たした時期などによって異なってきます。

また、手当の計算式は二種類に分かれますので、それぞれについてご紹介致します。

失業保険の給付日数が2/3以上残っている場合

再就職手当は失業保険の給付日数が1/3以上残っている場合に受け取れるのですが、その期間が2/3以上残っていれば更に有利な掛け率で受け取ることができます。

2/3以上残っている場合の再就職手当計算式

失業保険の日額(※1)×所定給付日数の残日数×70%(※2)

 

(計算例)

例えば給付日数期間が180日で残りが130日、失業保険の日額が5千円だったとすれば

5,000円☓130日☓70%=455,000円

 

となりますので、この場合であれば45万5千円の再就職手当を一括で受け取ることができます。

ただし「※」について、細かな条件があります。

※1について

計算式に用いられる失業保険の日額には年齢により上限(平成29年7月31日まで)が定められています。

・59歳以下:5,805円

・60歳~64歳:4,707円

※2について

70%となるのは就職日が平成29年1月1日以降の場合です。

その前に再就職を果たした方はかけ率が「60%」となります。

失業保険の給付日数が1/3以上(2/3未満)残っている場合

1/3以上残っている場合の再就職手当計算式

失業保険の日額(※1)×所定給付日数の残日数×60%(※3)

 

(計算例)

給付日数の全期間が180日で残り給付日数が70日、日額が5千円だったとすれば

5,000円☓70日☓60%=210,000円

 

このケースでは再就職手当として21万円受け取ることができます。

尚「※」ですが、「※1」は2/3以上の場合と全く同一条件で59歳以下の方は5,805円、60歳~64歳の方は4,707円が上限となります。

※3について

これも2/3以上の場合と同様で平成29年1月1日以降に就職した場合には60%ですが、それ以前の就職日の場合は10%低い50%となります。

再就職手当はいつもらえる?

再就職手当はいつ受け取ることができるかについて厚生労働省は明確しておらず、同省サイトでは「再就職手当の支給申請書を受理後、支給までには一定程度お時間を要します」との回答に留めています。

そこで、あくまで「目安」となりますが、受け取れる期間と流れについて説明するとおよそ次のようになります。

再就職手当の申請

↓(受給資格要件の基本審査)

ハローワークより雇用先への在籍確認(~1ヶ月から1ヶ月半程度)

指定の銀行口座への振込(在籍確認終了後から1週間程度)

ご覧頂いたとおりハローワークへ再就職手当の申請を行った後、ハローワークで受給資格を満たしているか書類上の審査が行われた上でおよそ1ヶ月から1ヶ月半後にハローワークが就職先に本人の在籍確認を行います。

在籍確認ができたら更に1週間程度で指定の銀行口座へ再就職手当が振り込まれることになりますので、再就職手当は申請日からおおむね1ヶ月半前後で受け取ることができるものと考えておいて良いでしょう。

尚、審査状況については電話でハローワークへ尋ねても、応じてもらえません

審査状況を確認したい場合には身分証明書を携帯の上、ハローワークを訪問した上で直接確認する必要があります。

再就職手当の申請方法は?

再就職手当の申請方法は次のとおりです。

留意事項はありますが、手続きそのものはとても簡単です。

再就職手当申請書の申請期間(申請書を受理してもらえる期間)

再就職手当申請書を受理してもらえる期間は「就職日(内定日ではありません)から1ヶ月以内」となっています。

内定段階であり就職日を迎えていない場合は申請書を受け付けてもらえません。

また、就職日から1ヶ月を超えてしまっても申請できなくなりますので、再就職ばかりの大変慌ただしい時期ですが、1ヶ月以内に申請手続きを行うことを忘れないよう十分ご注意ください。

再就職手当・申請手続きの流れ

再就職手当の申請手続きは、次のような流れになっています。

 

1.就職が決定したら「再就職手当申請書」をハローワークで受け取るか、次のサイトへアクセスし、印刷する。

ハローワークインターネットサービス「再就職手当支給申請書」

2.雇用先の事業主へ協力を依頼し、再就職手当申請書の「事業主の証明」欄へ記入、捺印してもらう。同申請書の本人記入欄は本人が記入・捺印し、書類を完成させる。

3.就職日から1ヶ月以内にハローワークを訪問して再就職手当申請書を提出するか、ハローワークへ申請書を郵送する。(手続きとしては以上。以後審査が行われる。)

 

この流れからわかるとおり、再就職手当申請書は手当を申請する本人だけでは作成することができません。

採用した事業主に記入や捺印の協力をしてもらう必要があります。

従って再就職が決まったらすぐに再就職手当申請書を入手しておき、できるだけ早く事業主に申請書作成の協力を依頼しておくことがポイントと言えます。

せっかく国が支給してくれるお祝い金ですので、この記事をよく確認して頂き、もらい忘れとならないようくれぐれもご注意ください。