ハローワークの仕組みや転職活動の流れ、利用するメリット・デメリットを解説!

ハローワークでの転職の流れ

転職と聞くとまず思い浮かぶのが「ハローワーク」(公共職業安定所)です。国が運営する転職先あっせん所であり、誰でも利用することができます。

在職中に転職先が決まらなかった人や、退職して落ち着いた環境で転職活動したい人は、ここに登録して「失業者認定」を受けることができます。もちろん、在職中にこちらで転職先に応募することも可能です。

しかし、窓口で尋ねようにも大勢の利用者でごった返していることもしばしばで、初歩的なことから時間をかけてあれこれ尋ねにくい雰囲気があります。
それだけにハローワークを利用する場合には、基本的な流れや仕組みについて予め把握しておくことで戸惑うことがないようスムーズに利用したいものです。

そこで今回は会社を辞め、新しい会社へと転職するまでの流れの中でハローワークをどう利用すれば良いのか、あるいはどう利用する必要があるのか等基本事項をわかりやすく解説します。

ハローワークでの転職を行う際のメリットとデメリットとは

ハローワークで転職活動をする6つのメリット

ハローワークで転職するメリット

① 求人数が多い

掲載にお金が発生する転職エージェントとは違って、ハローワークの求人は無料で掲載できるので、大企業・中小企業に関わらず採用活動に資金をかけられない企業も気軽に掲載することができ、その結果、求人数が多くなります。

また、ハローワーク自体が全国に540箇所以上あり、求人情報が全て同じネットワークで紐付けられているので、結果的に求人数が膨大になるという傾向があるのです。

ただ、求人数が多いという意味では「資金をかけられない企業=地方の小さな会社」などもたくさんでてくるので、その中から自分の目標とする企業を地道に見つける必要があります。

② 地元の求人に強い

ハローワークでは、以下の職業安定法に基づき、現在の住まいから近い職場・転居(転勤)のない職場を紹介してくれるという特徴があります。地元で活躍したい方にはぴったりでしょう!

③ 職業訓練の斡旋をしてくれる

パソコンスキル・医療系福祉系・機械系・電気電子系・情報通信系・デザイン系・居住系・事務系など、様々なジャンルにわたってコースが用意されています。誰でも無料で申し込めて、次の転職に役立つ技術を身につけられるのはハローワークならでは!

④ 採否が必ず通知される。

転職活動を行っていると、応募したのに相手企業からの音沙汰がなかなかなく、時間を無駄にしてしまう…というケースも多々あります。ですがハローワークでの転職の場合は必ず採否が通知するので、スムーズに転職活動が行えるでしょう。

⑤ 面接対策

転職活動をするにあたって避けて通れないのが「面接」。ハローワークでは、面接が苦手だとする方に向けて、ハローワーク職員による模擬面接を行っていたり、面接についてのセミナーを開催しています。履歴書や職務経歴書といった応募書リュの書き方についても指導を行っているのでぜひ活用するといいでしょう。

⑥ 条件を満たせば「失業給付金」や「再就職手当(就職祝い金)」を受けることができる!

また、ハローワークでは通常の転職と違い、失業給付金や再就職手当を受け取ることができるのもメリットです。

もちろん誰でもいつでも受け取れるワケではなく、受給には条件があるのですが、利用できるのであれば利用した方がお得です。

再就職手当の詳細は以下の記事をご覧下さい。

ハローワークで転職活動をするデメリット4つ

① 相談員によって質が変化する

自分を担当してくれる担当者(相談員)の質にバラつきがあると言われています。ご存知の通り、転職活動はハローワーク・転職エージェントに関わらずやはり担当者さんとの相性が重要になってくるのです。
相性が良い担当者になると、親身になって相談に乗ってくれ、率先して仕事を紹介してくれます。ですが中にはやる気のない担当者さんにあたって「転職活動がなかなか進まない」と悔やんでいる方の声もよく聞きます。

② 募集が終わっているのに求人を出しっぱなしにしている企業もある

メリット①として、求人情報の数が多いと述べましたが、中にはすでに募集が終わっている求人「カラ求人」も掲載されています、

また、募集はしているが給付金が目当てなので、応募して採用されても一定期間で解雇されるような求人も多いです。

そのようなカラ求人は、応募したところで時間を無駄にするだけなので注意して下さい。

③ ハローワーク訪問時にパソコンで求人を探す際に制限時間を設けられる場合がある。

場所によっては、一回のハローワーク訪問につき30分だけ!と決まられていたり、訪問人数が多い都心部のハローワークだと20分なんてところも。
混雑してくるとPC画面上にも「長時間のご利用は他の方のご迷惑に…」なんてテロップが流れる場合もあるので集中して転職活動できない!という声もちらほら…。

④ 企業への応募は、履歴書を1枚づつ送付しないといけない!

ハローワークで企業へ応募する場合、自身で履歴書を1枚づつ用意し企業に郵送する必要があります。その作業を代行してくれる転職エージェントと比べると、手間がかかりデメリットと感じるでしょう。

ハローワークと転職エージェントの違いを比較!

ハローワーク 転職サイト・エージェント
求人の多さ
求人の質_
フォロー・サポート
担当者からの情報提供の量_
応募の簡単さ履歴書を1件づつ送付代行してくれる
企業の特徴 中小企業 大企業・中小企業

転職サイトやエージェントは、ハローワークと違い求人を掲載するのに広告費を払うので、求人にお金をかけられない・かけたくない・かけるつもりのない「ブラック企業」は排除され、大企業の掲載が多数あります。
また、夜でも休日でも自分の空いた時間に応募できますから、働きながらでも、辞めて昼はリフレッシュしながらでも転職活動ができるメリットがあります。
採用スケジュールも書いてあるので、「すぐ来てください」とか「明後日面接します!」と慌てて呼び出されることもないので、プライベートと転職活動の両立がしやすくなっています。

最近は履歴書やエントリーシート、職務経歴書の添削指導や電話、メールでの相談を受け付けているところもあるので積極的に利用しましょう。

転職サイト・エージェントの違いまとめ

①ハローワークと違って、履歴書の作成・応募・スケジュール管理などすべてやってくれる
商品価値ありと判断した人を転職させるのがエージェントです。そのため、求人への応募や各種書類作成、スケジュール管理まで全部やってくれます。

②非公開求人、特別求人などがある

ハローワークと違い、希少な勤務場所の求人(公的機関や有名イベント会場など)や、普通の人にはレベルが高い求人(ICU、VIPルーム、救急病院等)も人を選んで紹介される可能性があります。
当然、給与は高いですし、待遇についても配慮されています(すぐに辞められると困りますからね)。こうした「掘り出し物」があるのは転職サイトやエージェントならではと言えるでしょう。

③担当者が積極的に動いてくれる

転職エージェントの多くが「歩合給」となっていて、保険の外交員や結婚相談所のカウンセラーのように契約が取れないとお金がもらえない仕組みになっています。
しかも、保険会社や結婚相談所であれば入会させれば後は放置プレイでいいのですが、転職エージェントの場合、転職後数か月経たないと転職させた会社から報酬が入らない仕組みになっています。

つまり、適当な会社(ブラック含む)に転職させてもすぐに辞められると一銭もエージェントに入らないので、

  • まともな会社を紹介し(事前の情報収集含む)
  • アフターフォローもしっかりやる

ということが不可欠です。

退職してから転職をするまでの流れ※ハローワークの正しい利用法

退職からハローワークで転職をするまでの流れ

メリット・デメリット、そして転職サイト・エージェントの違いを知った上で、会社を退職してから転職に至るまでハローワークはどう利用すべきなのか、基本的な流れを確認しておきましょう。

尚、想定としては在職中から転職活動を行い、退職した時点で既に転職先が決まっているというケースではなく、会社を辞めた後にハローワークを利用して転職先を探し、入社するというケースを想定致します。

①会社を退職したらすぐにハローワークへ!

会社を退職してから仕事を探す場合、まず気になるのがその間の生活費。退職後、転職先が直ぐにみつかれば問題はありませんが、なかなか転職先が決まらないという可能性もあります。そこで利用したいのが雇用保険ですが、雇用保険の申請を行なうにはハローワークで手続きを行う必要があります。

もし転職活動が長引いてしまっても生活費に困らないよう、転職先が確定してない方はハローワークで雇用保険の申請手続きを行ってから転職活動に臨むようにしましょう。

雇用保険の申請に必要な持ち物とは

雇用保険申請に必要な以下の書類等を携えて、ハローワークを訪問することが肝要です。

check-c081 離職票(退職後会社から受け取る)

check-c081 雇用保険被保険者証(会社が保管している場合には会社から受け取る)

check-c081 個人番号通知カード(マイナンバーカード)または個人番号の記載のある住民票

check-c081 運転免許証または旅券など写真つきの身分証明書

check-c081 証明用写真2枚(3cm×2.5cm)

check-c081 印鑑

特に気をつけなければならないのは、雇用保険申請にはマイナンバーが必要になるということです。

※平成28年1月から必要になったばかりなので多少やむを得えない面もありますが、雇用保険に関する多くのサイト記事ではマイナンバーの必要性について触れていないものが多数見受けられます。そのため、他サイトには必要物として載っていなかったからといって混乱しないようにしてください。

本年(平成28年1月)より雇用保険の申請に際してはマイナンバーを証明する書類やカードが必要になっていますので、他サイト情報でマイナンバー以外の必要物を確認されたという方は、個人番号通知カードか個人番号の記載のある住民票を追加することを忘れないようにしてください。

②雇用保険申請+ハローワークでの職探しには「求職手続き」が必要

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雇用保険に必要な書類を一式携えてハローワークを訪問したら、「雇用保険申請手続き」という名前の手続きはないので、必要となってくる手続きは「求職手続き」となります。

なぜ雇用保険申請手続きではなく「求職手続き」かというと、そもそも雇用保険とは「転職活動を真剣に行っているのになかなか転職先が見つからず、失業状態となってしまっている被保険者」を支援する目的の保険だからです。

そのため、求職手続きを行って職探しに取り組むことが大前提となることから雇用保険申請ではなく求職手続きとなる訳です。

求職手続きを行なうにはハローワークにある「求職申込書」という書類を作成した上で、離職票など必要物と共にハローワークの担当窓口に提出すれば、現状に関する質問などがなされ、特に問題がなければそれらを受理してもらえます。

また、求職手続きを行えばハローワークカードを受け取ることができ、このハローワークカードがあればハローワークから求人企業を紹介してもらえるようにもなります。

従って、求職手続きが済めば雇用保険申請手続き(※)もハローワークで職を探す場合の手続きも同時に済ますことができます。

(※尚雇用保険の受給については後日実施される説明会に参加する必要があります。参加しなければ受給されない場合がありますので必ず参加するようにしてください。)

③求人企業検索→紹介状の受理

ha8ではハローワークで職探しを行なうにはどうすれば良いか、その流れを説明しましょう!特別難しいことはありません。

ハローワークへ、ハローワークカードを忘れないよう持参した上で開庁時間に訪問します。
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ハローワーク内に設置してある求人検索用のパソコン(求人検索機)を利用して、希望条件等を画面に従って入力し、求人企業の検索を行ないます。
(なかなか求人が見つからない場合は、希望条件で妥協できるものから基準を下げて検索を行うことがコツです)
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応募したいと思える求人企業が見つかったら、求人票を出力してハローワークの職員へ渡します。
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職員の方が条件等を確認したり、必要に応じて求人企業へまだ募集を行なっているか等を確認した上で応募可能であることが判明したら、「紹介状」を発行してくれます。
紹介状を受け取ったら、後は自分自身での活動、即ち求人企業側へ連絡をして面接日を確定し、面接を受けることになります。

④転職が決定したらハローワークへ書類提出

ha10面接を受けた結果、目出度く採用が決まったら採用してくれた求人企業に「採用証明書」を発行してもらいます。

その採用証明書と雇用保険受給の説明会の際に受け取った雇用保険受給資格者証書、また雇用保険受給の際に作成が義務付けられている失業認定書(※)を用意した上で再びハローワークを訪問し、提出することで失業保険の停止手続きを行います。

(※失業認定書の作成方法は説明会で詳しく説明して貰えます。)

以上が退職から再就職までの流れにおけるハローワークの利用方法となります。

ハローワークに関するQ&A

では、ハローワークに関する質問で代表的な質問を中心にQ&A形式でご紹介します。

qハローワークではどんな企業が求人を行なっているの?
aハローワークで求人を行なっている企業は中小、零細企業が中心です。求人企業の最大のメリットは無料で求人を行える点にありますので、零細企業でも利用しやすい点が主な理由です。しかしながら、地元密着で事業展開を行なっている上場企業や大手企業なども利用している場合はありますので、全てが中小、零細といったことではありません。

qブラック企業が紛れ込んでいると良く聞くけど本当?

aそうした可能性は残念ながらゼロではありません。

原則として一定の条件を満たした条件の求人であれば、求人の登録は比較的容易に行なえますので、ブラック企業が紛れ込んでしまう可能性は除外できません。

ハローワークを利用する場合には、そうした可能性もあるということを念頭に職場の求人条件や労働状況をつぶさに確認するよう心がけた方が良いと言えます。

q求人検索機で求人票の印刷は5枚までしかできないといった書き込みがあるけど本当?

aその点は導入されている検索機が旧式か新式かによります。即ちハローワークの施設によって事情が異なるということです。

新式の検索機であれば最大10枚まで印刷できますが、旧式を利用しているハローワークでは上限が5枚までとなっています。

q求人情報はネットで検索することはできないの?

a「ハローワークインターネットサービス」というサイトがありますので、こちらで検索を行うこともできます。

(ハローワークインターネットサービス)
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但しあくまでインターネット上での求人情報公開を望んだ求人企業に限られます。

決して全ての求人情報を検索できるという訳ではありませんので、やはり最寄りのハローワークに出向いて検索機で検索を行うことが望ましいと言えます。

qハローワークから紹介を受けて内定をもらった企業の内定は断っても良い?
a内定をもらった場合、内定を辞退したとしても何ら問題ありません。何か罰則がある訳でもありませんし、ハローワークがしばらく利用できなくなるといったこともありません。内定を断った後でもちゃんとハローワークから求人企業の紹介を受けることはできますので、内定をもらったら冷静に判断するようにしてください。

最後に※ハローワークの基本情報

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ではハローワークの基本的な情報からお伝えして参りましょう。

ハローワークはどこにある?

ハローワークは全国の都道府県に複数施設がありますが、全都道府県のハローワーク所在地はこちらで調べるのが一番正確であり、検索も簡単です。

(全国ハローワークの所在案内:厚生労働省サイトより)
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民間企業や個人が運営しているサイトでもハローワークの所在地を紹介している場合がありますが、古い情報をそのまま掲載しているなど不正確な場合もあるので注意が必要です。
(「頻繁に移転する」とまでは言えませんが、庁舎が移転することは決して珍しいことでもありません。

各ハローワークの連絡先は?

先ほどご紹介した「全国ハローワークの所在案内」で所在地と共に、代表の電話番号が明記されています。

代表となっている電話番号へ連絡すれば、要件に対応した部署や担当者につないでくれます。

ハローワークの開庁日時は?

ハローワークの開庁時間とは要はハローワークを利用できる時間のことですが、正確な時間は庁舎ごとに異なりますので利用する予定の庁舎へ電話連絡し、確認することが望ましいと言えます。

その上で、一般的な開庁日時をご紹介すると

一般的な開庁日時check091平日 午前8時半~午後5時15分check091日曜、祝日 休み但し施設によっては、平日の特定曜日に限り午後7時まで開庁している場合等もあります。また土曜日も開庁しているハローワークはかなり増加しています。check091主な開庁パターン 隔週月2回(第1、第3土曜日か第2、第4土曜日)まだまだ少数ながら「毎週土曜日」開庁しているハローワークもあります。但し土曜日は平日より開庁している時間が短くなっています。check091午前10時~午後5時 が多い

中には午前8時半から開庁していたり午後6時まで運営しているケースもありますが、土曜日に利用できるハローワークは上記の時間帯を覚えておけば、ほぼ確実に利用できます。

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