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保育士の離職率はどれくらい?厚労省データと離職理由・転職のコツ

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保育士_離職率_推移_最新

保育士は資格を持つ人が多くいるにもかかわらず、社会問題になるレベルで保育士不足が叫ばれています。この問題の根底にあるのが保育士の離職率の高さです。

そこで今回は、保育士の離職率がどれくらいなのかを厚生労働省などの公的データとともに解説しつつ、離職した保育士が求めているもの、離職後に失敗しない転職のコツ、復職に使える制度を解説します。

指標 数値 出典
常勤保育士の離職率(全体) 10.3%(記事作成時点の調査)→ 9.3%(2017年) 厚生労働省
公営/私営の離職率 公営 7.1%/私営 12.0%(記事作成時点) 厚生労働省
3年以内の離職率 私営 29.7%/公営 12.5% 厚生労働省(2019〜2022年)
新卒1年目の離職率 私営 7.2〜10.0%/公営 1.1〜3.7% 厚生労働省(過去5年)
全産業の離職率 約15% 雇用動向調査
保育士の平均年収 約407万円 令和6年賃金構造基本統計調査

保育士の離職率はどれぐらい?

保育士の離職率は約10%

記事作成時点で公表されていた厚生労働省の保育士等に関する調査データによれば、公営・私営、勤続年数によってばらつきはあるものの、常勤保育士全体の離職率は10.3%となっていました。その後の調査(2017年時点)では9.3%と、やや低下しています。

もう少し細かく見ると、公営の保育施設の離職率は7.1%で、私営の保育施設の離職率は12%と比較的大きな差があります。その理由は雇用条件にあると考えられるでしょう。公営の場合は雇用条件の規定が守られ待遇も安定しているため離職率は低くなりますが、私営は運営法人によって待遇に差があるため、離職率が高くなる傾向があります。

また勤務年数によってもばらつきがあり、保育士経験が2年未満で離職する人は14.9%ともっとも高く、長く勤めている人ほど離職率は下がり、8年から10年未満であれば約半数の7.3%となっています。近年のデータでも、就職から3年以内に離職する割合は私営で29.7%、公営で12.5%と、入職して間もない時期の離職が多いことが分かります。

とはいえ、保育士全体の約10%が毎年離職しているのですから、10万人中1万人が保育士を辞めている計算になり、決して低いとはいえません。

出典元:厚生労働省

他業種と比較してなぜ離職率は高いのか

保育士_離職率_推移_3年以内の最新データ

仕事が大変なのは保育士に限ったことではなく、たとえば同じように不足が問題視されている看護師も決して楽な仕事ではありません。他の業種の離職率と比較してみないと、保育士の離職率の高さは分からないでしょう。

厚生労働省の雇用動向調査では、常用労働者に対する離職者の割合は約15%で推移しています(令和4年は全産業15.0%、医療・福祉15.3%)。この数字と比較すると、全体で約10%の保育業界は離職率が特別高いとはいえないかもしれません。

しかし看護師と比較してみると、看護師の新卒離職率が7.5%、常勤が11%程度であるのに対し、保育士は新卒から2年未満の離職率が14.9%、私営の新卒1年目でも7.2〜10.0%と、入職直後の離職が目立ちます。

一般的には保育士よりも看護師のほうが辛く大変な仕事というイメージがあるので離職率も高いと思われがちですが、看護師の場合は保育士よりも収入が多く、残業代もきちんと支払われる職場が多いといえます。保育士の場合は仕事が大変なうえに待遇面の不満が重なりやすいため、特に若手の離職が多いと考えられます。

出典元:厚生労働省

離職した保育士の半数は転職を希望している

保育士不足は離職率の高さに加え、転職により保育士そのものを辞めてしまう人が多いことも原因となっています。

他の国家資格保有者であれば、今の職場に不満があって辞めたとしても同じ業種に転職して仕事を続けるのが一般的です。しかし保育士は、そのまま異業種に転職する方が多く見られます。その原因となっているのが、サービス残業や保育以外の仕事量が多い労働環境や待遇の低さです。

これは昔から保育士業界で言われていることなので、他の保育施設に転職をしても状況は変わらないと思っている保育士は多く、そのため異業種に転職する人も多いと考えられます。しかし、異業種に転職しても保育士に戻りたいと思っている人は少なくなく、離職しても半数は保育士への再就職を希望しているというデータもあります。

ただし、あくまでも離職理由が改善できる職場が大前提になります。労働環境が整っていて待遇が良い求人がなかなか見つからず、異業種への転職を余儀なくされてしまうのが実情のようです。

離職した保育士が求めているものランキング

保育士_離職率_離職理由_給与

厚生労働省が保育士資格を保有している人に行った調査では、「保育士への就業を希望しない理由が解消された場合、保育士を希望する」という項目に約6割が「はい」と答えています。つまり離職した人の半数以上は、離職理由が改善されればもう一度保育士になりたいと思っているということです。

東京都の保育士実態調査(2022年)でも、退職を考える理由は「給料が安い」61.6%、「職場の人間関係」30.1%が上位で、実際に過去に保育士を辞めた理由(令和5年度公表分)は「職場の人間関係」31.5%、「仕事量が多い」23.1%、「給料が安い」22.1%の順でした。では、離職した保育士はどういった改善を求めているのでしょうか。

順位 求めている改善 背景
1位 給与・賞与などの改善 仕事の負担と給与が釣り合わない
2位 職員数の増員 配置基準ギリギリで休みが取れない
3位 事務・雑務の軽減 持ち帰り仕事・サービス残業の常態化

1位:給与・賞与などの改善

保育士が職場にもっとも求める改善点は、給与や賞与のアップです。保育施設は普通の会社のように物やサービスの売り上げで利益を得ているわけではないため、安定している代わりに売上増加でボーナスが増えることはありません。役職も多くないのでキャリアアップで昇給を狙うのも難しく、残業をしてもサービス残業になることもあります。

保育施設の多くは国や自治体からの給付(公定価格)と利用者の保育料で運営されているため、施設独自に給料を大幅にアップする余裕がないのが実情です。

それでも、2013年度以降の国の処遇改善により状況は変わりつつあります。2024年度には公定価格の人件費が10.7%引き上げられ、令和6年賃金構造基本統計調査では保育士の平均年収は約407万円(月給約27.7万円、賞与約74.2万円)と、記事作成時点の約320万円台から大きく上がりました。給与や賞与は施設ごとに差があるので、処遇改善加算をきちんと職員に配分している施設を選ぶことが大切です。

2位:職員数の増員

保育施設には保育士の配置基準があり、最低でも○人配置しなくてはいけないという決まりがあります。国の配置基準によると、0歳児は子ども3人、1〜2歳児は子ども6人、3歳児は子ども15人、4歳以上は子ども25人に対して保育士が1人です(3歳以上は2024年4月から。それまでは20人・30人でした。1歳児についても5人に1人への改善が進められています)。

自治体もしくは保育施設ごとに、国の配置基準を下回らない範囲で独自の基準を定めているところもあります。ただし配置基準はあくまでも最低人数ですから、十分に余裕を持って保育できる人数ではありません。

そのため多くの保育施設では配置基準以上の保育士を配置していますが、保育士不足のため人手が足りていない施設もあります。近年は保育士の労働環境を改善する動きが活発になっており、職員数を増やすために待遇を見直したり、ICTの導入で仕事を軽減したりする保育施設が増えています。こういった施設であれば保育士の負担を減らせるので、転職で状況を改善することも可能です。

3位:事務・雑務の軽減

日本保育協会の調査結果では、保育士の1日の平均勤務時間は約9時間40分で、そのうち7時間が保育、残りの2時間40分は事務作業や雑務とされています。

事務作業は、連絡ノートや保育記録の記入、指導計画の作成や会議、懇談会の報告書作成などがあり、雑務は保育教材の準備や保育室の清掃、季節ごとの飾り付けの作成、イベントや行事の準備などが挙げられます。これらの作業がサービス残業や持ち帰り仕事になっている保育施設もあり、この点が改善されない限りは保育業界に戻りたくないという人が多いのもうなずけます。

ただし近年は、登降園管理や連絡帳、指導計画をアプリで管理するICT化や、保育補助・事務員の配置で保育士の負担を減らす施設が増えています。国もICT導入の補助を行っており、施設によって事務負担には大きな差が出ています。

出典元:厚生労働省

保育士が離職せず済む転職を成功させるコツ

保育士_離職率_転職に成功するコツ

ある程度保育業界で働いている保育士であれば、どこで働いても労働環境や待遇に大きな違いはないと思ってしまうかもしれません。ですが転職のやり方さえ間違わなければ、自分が楽しく働ける職場を見つけることは可能ですし、より良い待遇で働くこともできます。

離職理由の整理をする

転職を成功させるために必要なのが、離職理由の整理をすることです。ほとんどの場合、「辞めたい」と思う瞬間が積み重なることで離職を検討するので離職理由が漠然としてしまい、いざ転職しても同じような理由で離職するという悪循環に陥ってしまいがちです。

離職理由が分かっていれば、求人を探すときに、離職する原因となった問題を解決できる職場かどうかを判断できます。すべての理由を解決できるような職場を探すのは現実的ではありませんので、転職理由を整理したら何が一番嫌だったのかを洗い出して優先順位をつけてください。

離職理由を解消する職場を探す

保育士の離職理由は給与や待遇への不満、職員数の不足、事務・雑務の多さが上位を占めています。つまり離職する保育士のほとんどは理由が共通しているため、離職理由を解消できる求人は人気が高く、募集が出てもすぐに締め切られてしまいます。

転職活動が長期化すると、最終的には離職理由が解消できないような条件でも応募してしまう方は少なくありません。これではまた同じ状況になってしまうので、妥協せず探し続けるのも成功のコツといえます。

求人票と見学で確認したいポイント

確認項目 見るべきポイント
給与 基本給と手当の内訳、処遇改善加算の配分方法、賞与の月数
職員体制 配置基準に対する加配の有無、保育補助・事務員の配置
残業・持ち帰り 月平均残業時間、残業代の支給単位、ICT導入の有無
休暇 有給休暇の平均取得日数、年度途中の退職者数
雰囲気 見学時の職員同士の声かけ、子どもへの接し方

保育士専門の転職エージェントを使えば、離職率や残業の実態など求人票に出ない情報を事前に教えてもらえるので、同じ理由での離職を避けやすくなります。複数のエージェントに同じ希望条件を伝えて、紹介される園を比較するのも有効です。

離職した保育士の復職を支援する短時間正社員制度がある

保育士を続けたかったけれど、勤務時間の問題や待遇への不満で辞めてしまい、今は違う業種で働いているという方にとっては、再度保育士を目指すのはハードルが高いかもしれません。しかし、保育士不足を解消するために、国は短時間正社員制度という復職を支援する仕組みを推進しています。

短時間正社員制度とは?

短時間正社員とは名前のとおり所定労働時間が短い正規職員のことで、フルタイムの正社員よりも勤務時間や勤務日数が少なくても雇用形態は正社員となります。1週間の所定労働時間が短くても、基本給や賞与、退職金の算定方法がフルタイム正社員と同等なので、パートや非正規職員よりも高待遇で働くことができます。

短時間正社員制度は雇う側にも働く側にもメリットがある!

雇う側は、短時間正社員制度を導入することで優秀な人材を確保でき、離職理由を減らせるので保育士が定着します。働く側にも、家庭と仕事が負担なく両立できる、待遇が改善される、長時間労働が解消されてワークライフバランスが整うといったメリットがあります。保育士不足は保育施設にとって死活問題ですから、導入する意義のある制度なのです。

短時間正社員制度を導入している保育施設を見つける方法

短時間正社員の求人は、求人票に「短時間正社員」と書かれていることがあるので、ハローワークや求人サイトで探してみましょう。気になる保育施設があれば、制度があるかどうかを直接問い合わせてみるのも一つの方法です。また、各自治体の保育士・保育所支援センターでは、潜在保育士向けの復職研修や就職相談、保育所とのマッチングを無料で行っています。

出典元:厚生労働省

保育士の離職率に関するよくある質問

Q. 保育士を辞めた後、資格はどうなりますか?

保育士資格は国家資格で更新制ではないため、一度登録すれば失効しません。ブランクがあっても復職できますが、保育指針や制度が変わっているので、自治体の復職研修を受けると安心です。

Q. 潜在保育士はどのくらいいますか?

保育士登録者のうち保育所等で働いていない「潜在保育士」は100万人規模にのぼるとされ、国や自治体は復職支援(就職準備金の貸付、未就学児を持つ保育士の保育料補助など)を行っています。

Q. 離職率の低い保育園はどう見分けますか?

面接で「職員の平均勤続年数」「昨年度の退職者数」を聞くのが最も確実です。年中同じ求人が出ている園は定着率が低い可能性があります。保育士専門の転職エージェントは園ごとの離職状況を把握していることが多いので、応募前に聞いてみるのも有効です。また、自治体によっては保育施設の職員配置や処遇改善の取り組み状況を公表しているので、ホームページも確認してみましょう。

Q. 保育士の離職率は今後下がりますか?

処遇改善による給与の上昇、配置基準の改善、ICT化による事務負担の軽減が進んでおり、国も「保育士等の意識及び業務負担軽減に関する調査研究」(こども家庭庁、2025年度)などで離職防止策の検討を続けています。施設間の差は残るため、数字全体よりも「自分が働く園の定着率」を確認することが大切です。

Q. 離職後に失業手当はもらえますか?

雇用保険に12か月以上加入していれば受給できます(倒産・解雇などの場合は6か月以上)。自己都合退職の場合、2025年4月以降は給付制限が原則1か月に短縮されました。離職票が届いたらハローワークで手続きをしましょう。

保育士を続けるために

子どもの頃からの夢だった保育士になった方でも、想像以上に仕事がハードだった、労働環境が悪すぎるといった理由で離職を検討するのは仕方のないことかもしれません。しかし保育士不足が続く中、保育施設も国も、保育士が働きやすい環境や働きたくなる待遇への改善を進めています。

どこの保育施設も同じ条件に思えるかもしれませんが、求人票をよく見比べたり、見学で職場の雰囲気を確かめたりすれば、離職理由を解消できる職場が見つかるかもしれません。せっかく保育士になったのですから、自分に合った職場を見つけて、好きな仕事を楽しく続けてください。

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ジョブシフト編集部

仕事・転職・キャリアに関する情報を、読者が判断しやすい形に整理して発信しています。記事内容は公開後も必要に応じて更新します。