みなし残業【固定残業代制度】のメリットとデメリット※違法行為の相談は証拠持参

みなし残業のメリットとデメリット

残業代の未払いに苦しむ人の中には、会社から「残業代はみなし残業として給与に含まれているから」と言われている人も多いと思います。

ほとんどの人はこの「みなし残業代」は、法律に準じた制度であり、これ以上の残業代は出ないと思い込んでいるのが現状です。

みなし残業制度は「あらかじめ給与に固定の残業代を含んでいるから無制限に残業をさせられる」という制度ではありません。

毎月一定の残業が発生することを想定した手当なのです。

求人票に「月40時間の残業を含む」などの記載がある場合はみなし残業(固定残業代制度)があるということになります。

この場合は月40時間を超えるまでは残業の有無に関わらず一定の給料を貰う形になります。

40時間を超えた残業に関しては別途残業代を貰うことができます。

しかしみなし残業があると

・みなし残業があると絶対に残業しないといけないの?
・みなし残業があると残業させ放題なんじゃないの?
・40時間を超えた分の残業代は本当に貰えるの?

などの不安もあります。

この記事では、みなし残業についての正しい知識や違法性、メリットデメリットを解説していきます。

この記事でわかること

  • みなし残業時間を超えた分は別途残業代を請求できる
  • 基本給とみなし残業分の明確な区別がないのは違法
  • 超過分の残業代を請求するには証拠が必要
  • みなし残業があると、残業のない月でもみなし残業代が貰える

みなし残業の種類と仕組み

みなし労働時間制の3つの種類
みなし残業は正式には「みなし労働時間制」といいます。固定残業制度とも言われます。

本来は、営業の外回りなどの会社側が労働者の労働時間を正確に把握できない場合に対して実際の残業時間に関わらず一定の残業をしたとみなして給料を支払うシステムのことです。

注意点は
・法律で定められている「週40時間を超えた残業の割増賃金」
・深夜割増賃金
・休日割増賃金
が支払われないという点です。

しかし決められた一定時間を超えた分の残業代は会社側は労働者に支払わなければいけません。

みなし残業には3つの種類があります。

事業場外みなし労働時間制

外回りの営業マンや記者など、労働者が会社の外に出て仕事をしていて労働時間の把握が難しい場合に適用されるみなし残業制度です。

専門業務型裁量労働制

「労働時間」よりも仕事の「質」が問題となる一定の専門分野に関して、仕事の遂行の裁量をすべて労働者にゆだねる必要があるためにあらかじめ労使協定に定められた労働時間とみなして賃金を設定する制度です。

企画業務型裁量労働制

企画の立案・運営などの業務を行う、知識や経験を有する労働者に対して適用することのできるみなし残業制度です。専門業務型と違い職種が明確に限定されるわけではありません。

みなし残業って違法じゃないの?

みなし残業で働く時に確認するチェックリストを図解
上記で説明した3種類の職種に当てはまらないのにみなし残業がある…これって違法じゃないの?という疑問がありますよね。

みなし残業の制度は労働基準法に沿っていればある程度企業の裁量で独自の規則を作ることができます。3つの職種ではないからといって違法とは限らないのです。

しかし絶対に違法になる場合があります。

みなし残業のある会社で働いている方は注意しましょう。

違法になるケース

  • みなし残業に含まれる残業時間も金額も分からない
  • 「基本給には、45時間分の時間外手当を含む」など時間は分かるが残業代の金額が分からない
  • 他の手当が残業手当(みなし残業分)に含まれている
  • みなし残業を超えた分の残業代が支払われない
  • みなし残業時間が異常に長い(月45~80時間を超えるようなみなし残業は違法になる可能性がある)
  • 基本給が最低賃金を下回っている

みなし残業の制度自体は違法ではありませんが、会社によっては残業させ放題のようになっている会社も実際にあります。

そのみなし残業は本当に正当なものなのでしょうか?ぜひチェックしてみてください。

みなし残業時間が月45時間を超えている

異常に長いみなし残業時間は違法になる可能性があります。

三六協定で許されている45時間を超えるみなし残業は違法性が高いです。

特に違法になる可能性が高いのは、過労死のボーダーラインとなる月80時間の残業を超えるみなし残業です。

基本給が最低賃金を下回っている

みなし残業代を抜いた基本給の部分を173.8(月の所定労働時間)で割って時給を計算してみましょう。職場の都道府県の最低賃金を下回っている場合は違法です。

みなし残業代が基礎時給の1.25倍を下回っている

残業代の割増率は基礎時給の1.25倍以上と決められています。

みなし残業代がこれをしたまわっている場合は違法です。

基本給の部分と残業代の部分が明確にわかれていない

基本給の部分と残業代の部分が明確に区別できないようなみなし残業制度は違法だと最高裁が判断しています。

・みなし残業に含まれる残業時間も金額も分からない
・「基本給には45時間分の時間外手当を含む」など時間は分かるが残業代の金額がわからない

上記のような場合は注意しましょう。

みなし残業を超えた分の残業代が支払われていない

みなし残業時間を超えた分の残業代が支払われないのは違法です。

超過分の残業代は請求できる

例えば「給与〇万円(40時間分のみなし残業代を含む)」という表記があります。
これは給与+40時間分の固定残業手当を含んだ額という意味です。

40時間以上の残業が発生しているのなら、超過分の割増料金は請求できます。

しかし実際はこのみなし残業の超過分を無視して、労働者に長時間労働をさせている企業も少なくありません。

たとえみなし残業代が含まれていようと、それ以上の残業をしていれば未払いの残業代を請求できる可能性は高いです。

ただし請求できる残業代は遡って2年までなので、もし行動をする場合はできるだけ早く相談することをオススメします。

超過分の残業代を請求する方法

超過分の残業代を請求しようとする場合には、どれぐらい残業したかの証拠が必要です。

有効な証拠の例として

・タイムカード
・会社のパソコンの利用履歴
・業務日報
・シフト表
・勤怠表

などがあります。

しかしブラック企業の中には残業代の支払いをしないためにわざと勤怠管理をしない会社もあります。

そのような場合は退勤時間の個人的な記録やメモでも証拠として扱われるので、残業代を請求しようと考えている場合は毎日自分で勤怠管理をすることが大切です。

証拠をしっかり準備したあとは会社との交渉になるわけですが、たった一人で会社に交渉しても軽くあしらわれてしまうことがほとんどです。

きちんと回収するには弁護士に依頼するのが手っ取り早い方法です。

いきなり裁判になるのではなくまずは弁護士から交渉という形になるので、裁判になる前に和解する場合が多いです。確実に回収したい場合は専門家に相談しましょう。

退職後でも超過分の残業代を請求できる

退職後は超過分の残業代を請求できないと思っていませんか?

在職中はもちろんのこと、退職してからでも超過分の残業代は請求することができます。

在職中は上司や周りの目や風当たりなどを気にして請求するのに勇気が必要ですが、退職後なら遠慮なく請求できますよね。

超過分の残業代の請求は、じつは退職後の方が圧倒的に多いのです。

在職中に請求するのはちょっと…という方で退職の予定がある場合は、在職中に証拠を集めて退職してから請求するという方法もあります。

ただし、残業代の請求権は2年間です。2年を過ぎると請求できなくなるので注意しましょう。

みなし残業はデメリットだけじゃない!?メリットもおさえておこう

  • あらかじめ残業代を支払いされてるなんて損じゃない?
  • みなし残業って、基礎時給が低い気がする
  • ブラック企業のイメージが強い

みなし残業は月末に残業代を計算しなくて良いことや、基礎時給を低くできるので会社側のメリットが多いような気がしますよね。

しかしみなし残業制度は労働者にもメリットがあります。

例えば給料にみなし残業が40時間含まれている場合、毎月40時間までの残業代分は固定で払っているから、40時間を超えるまでは別途残業手当はつかないということ。
逆に「月の残業が20時間であったとしても、40時間分の固定残業手当は支払う」という制度です。

  • 収入が安定する
  • 定時で帰っても一定の残業代がもらえる
  • ノルマをこなせなくても給料が変動することはない
  • 残業があまりない職種の場合、月給が高くなる

このようなメリットがあります。

残業が少なかった場合は得になりますし、制度がしっかり整っていて超過した分の残業代もしっかり支払われるのであれば効率よく働けるようです。

みなし残業代・超過分の計算方法を知ろう!

みなし残業がサービス残業にならないためにも、みなし残業の計算方法をしっかり理解しましょう。みなし残業代の超過分の詳しい金額は以下の計算式で確認できます。

まずは基礎時給を計算しよう

基本給が25万で所定労働時間が1ヶ月170時間の場合
基本給(みなし残業分を差し引いた)÷所定労働時間(170時間程度)=基礎時給

25万÷170時間=約1470円が基礎時給になります。

この基礎時給が会社が所在する都道府県の最低賃金より下回っていないかどうかもチェックしましょう。下回っている場合は労働基準法に違反しています。みなし残業制度の場合、基礎時給が低めに設定されている会社もあるので要注意!

次にみなし残業代を計算しよう

残業代は、基礎時給の1.25倍以上である必要があります。

基礎時給1470円×1.25=1時間の残業代1837円

1時間の残業代は1837円以上でないといけないということになります。

みなし残業40時間の場合
残業代1837円×40=みなし残業代73480円

基本給が25万円で所定労働時間が170時間、みなし残業が40時間の場合はみなし残業代は73480円以上のはず、という計算になりました。

基本給25万円+みなし残業代73480円=32万3480円

基本給が25万円の場合のみなし残業代を含んだ給料(手当等は含まない)は、32万3480円以上であるという計算になりました。

みなし残業代が正当な金額であるかチェックしてみましょう。

みなし残業の超過分を計算しよう

40時間のみなし残業ですが50時間の残業をした場合は

超過した時間(10時間)×残業代(1837円)=18370円

超過分は18370円ということになります。

  • みなし残業代の超過分が支払われていない
  • 基本時給が最低賃金より下回っている
  • 残業していないからといって、固定残業代が引かれる
  • みなし残業代を払っているからといって無理矢理残業時間代分働かされる

このような場合は、契約の変更・残業代の請求をすることができます。

泣き寝入りする人が多いですが、これは労働者の当然の権利です。

 

サービス残業とみなし残業の違いって?

サービス残業とみなし残業の違いをグラフで図解

サービス残業とみなし残業では【定時を過ぎて働くこと】という共通点がありますが、このような違いがあります。

サービス残業の場合、定時を過ぎたり始業開始前に出社して仕事をしても、その分の給与はもらえません。
残業代は、役職がついている人には支払われないので、スキルが備わっていないのに無理矢理昇格させるケースもあるようです。

一方みなし残業の場合、全く残業代が支払われないわけではなく、【あらかじめ月額の中に残業代が含まれている】ことがポイントです。
みなし残業では、月に残業できる時間の上限が設定されています

1週間15時間
2週間27時間
4週間43時間
1ヶ月45時間

みなし残業は、最初から残業代が固定されて支払われる制度なので、一般的に残業をしたときにもらえる割増賃金や、時間帯が深夜になったときにもらえる深夜割増賃金などがもらえないことが多いです。

仕事が終わらなくて休日出勤をした場合でも同じです。サービス残業に比べると【もらえないよりもらえるほうがまし】と思うかもしれませんが、制度がしっかりしていない場合、残業時間や残業代以上の仕事を求められることがあります。みなし残業は実質的にサービス残業と同じ扱いになっていることが多いのが現状です。

 

こちらも詳しく ⇒サービス残業の実態と平均時間に迫る!サビ残の請求方法と相談先

まとめ

残業代の未払いは、労働者側が泣き寝入りしてしまうケースも多い問題です。

しかし、最近は相談窓口も増えてきており少しずつですが改善の傾向が見え始めています。
労働者が労働や残業に関する知識を持っていないからこそ、会社側の違法行為が続いてしまうという場合がほとんどです。

まずは残業代の未払いについて疑問に感じたら、相談窓口に連絡してみることからはじめるといいでしょう。

 

こちらの記事も読まれています