今から約7年ほど前、「楽天・ユニクロショック」とまで言われ、世間を騒がせたのが楽天とユニクロによる社内の英語公用化宣言でした。

当時は大変話題を呼びましたが、その後英語公用化の波は他企業にも及んだのでしょうか。

また、就活生にとってTOEICのスコア取得は今や常識となっていますが、英語公用化かどうかはともかく、日本企業は社員に対しどのような英語力を求めようとしているのでしょうか。

今回は楽天・ユニクロ以外の企業における英語公用化の状況や、主にグローバルに事業展開を行っている上場企業が社員に求めている英語力の水準や今後の動向などをテーマにお伝えして参ります。

社内英語公用化・その後の動き

英語公用化は必ずしも広がっているとは言えない

楽天、ユニクロの英語公用化宣言の後、「今後日本企業においてこうした傾向は確実に広がる」といった論調が当時は幅を利かせていましたが、現在のところ「広がっているとは言えない」というのが実状です。

楽天、ユニクロに次いでどのような企業が英語公用化を発表したかご紹介すると、
現時点ではこれらの企業に留まっています。

ブリジストン

2013年より英語公用化を発表し、以来取締役会議や海外事業部とのテレビ会議などを中心に順次取り組んでいる。

ホンダ

2015年は英語公用化を発表。但し今すぐではなく2020年までの目標として宣言。

シャープ

2015年に研究部門を皮切りに英語公用化する社内方針を発表。
但し全部門ではまだ行なわれてない。

以上のとおり、企業数としては数える程度という状況です。

また、英語公用化で先陣を切った楽天も海外事業撤退が相次いだり、社長本人が社内で日本語を使用している場面が指摘されたりするなど、約7年たった現在、決してうまく言っているとは言い切れません。

理由は様々指摘されていますが、一番の理由は日本人同士の会話で英語を使うことは正確なコミュニケーションができず生産性低下を招く場合が生じるため、特に日本人社員の反発が根強いことがあげられます。

全社員の英語教育に力を入れている=英語公用化ではない

尚、他サイトでは英語公用化というテーマの記事において、例えば三井不動産や日本電産といった企業名をあげて「英語公用化」を行なっているかのように紹介しているケースも見られます。

それらの企業は全社員の英語教育に力を入れていることは確かです。しかしながら「全社員の英語教育に力を入れいている=英語公用化」ではありません。

英語公用化とは、簡単に言えば企業内における仕事上のやり取りを原則全て英語を用いて行なうことを言います。

例えば海外企業との取引において担当社員が英語を使うことや、外国人役員がいる場合、その役員との会議は英語で行なわれるというケースは、英語公用化が話題になるずっと以前から外資系企業などでは当たり前のように見られた光景です。

こうした、限られた場面において英語を使用することは英語の公用化とは言えませんので、この点はくれぐれも混同なさらないよう御注意ください。

英語公用化は広がっていないが社員の英語力強化は広がっている

英語公用化は広まっているとは言えませんが、三井不動産や日本電産のように社員に対して一定レベルの英語力を求める企業は着実に増加しており、また、求める水準も年々向上しつつあります。

従って、特にグローバルに事業展開を行なっている上場企業への就職や転職を目指す場合には、英語力がますます問われる時代になっていることは間違いありません。

次に、社員に求められる英語力の水準とその傾向について確認してみましょう。

新卒採用におけるTOEICの採用基準


お伝えしたとおり「社員の英語力強化=英語公用化」ではありませんが、「英語公用化が広まっていない=英語力不要」でもないということです。

グローバルに事業展開している企業は、新卒採用段階から一定の英語力を求めています。

その一例が新卒採用におけるTOEICの採用基準です。

採用基準例(※2015年現在のデータ)

900以上 パナソニック(国際広報担当) 韓国サムスン

860以上 野村ホールディングス(グローバル型社員)

850以上 NTTコミュニケーションズ

800以上 住友不動産 野村不動産 楽天

750以上   JTB

730以上 武田薬品 日産自動車

700以上 NTT東日本 ファーストリテイリング 三菱電機
ヤマト運輸 ブリジストン 東京電力

650以上 アサヒビール 佐川グローバルロジスティクス

600以上 出光興産 大正製薬 大和ハウス工業 ニトリホールディングス

表向き「足切り基準」ではないが事実上800点以上が必要な企業もある

一覧でご紹介した「採用基準」の意味ですが、企業によっては応募時の足切り点として利用している場合もあれば、あくまで「新卒応募者に期待する基準」という意味で提示している場合もあり、これらTOEICのスコアは”表向き”同じ意味という訳ではありません。

しかしながら、名前があがっている企業は毎年就職人気企業ランキングで上位に入る人気企業ばかりです。

そのため、採用基準として名前があがっている人気企業なら800点未満が採用基準となっている場合であっても、実際には「800点以上」のスコアを有する学生間の競争となっている場合があります。

また、こうしたTOEICの採用基準で名前があがっている企業数は、上場企業全体数からみれば限られていますが、表面化していないだけでTOEICが採用時に参考とされる場合はこれらの企業に限りません。

一般財団法人国際コミュニケーションズ協会の調査によると、上場企業の約7割がTOEICスコアを「参考にする」または「参考にする場合がある」と回答しています。

つまり採用基準で名前があがっている以外の上場企業を受ける場合でも、ライバルに勝つためには800点以上といったハイスコアの獲得が不可欠との認識が必要です。

入社後に一定以上のスコアを求められる場合も

TOEICのスコアが求められるのは採用段階のみではありません。

次にご紹介するとおり、入社した後でもTOEICで一定以上の点数が求められる場合があります。

★入社後(異動や昇進も含む)TOEICのスコアが求められる企業例

800以上  日本マクドナルド(海外赴任)700以上  伊藤忠商事(採用後4年以内)  シャープ(課長職昇格条件)

650以上  日立製作所(課長昇格条件)

600以上  トヨタ自動車(係長昇格条件)   NEC(全社員(目標値))  日本IBM(課長昇格の条件)    三井物産(入社時の最低基準)  富士通(入社2年以内の目標)  丸紅(入社5年目の条件)

日立製作所(入社2年以内の目標)  マツダ(課長職)  横浜ゴム(全社員(目標値))

 

580以上  三菱商事(全社員最低基準)

550以上  住友金属工業(全社員(目標値))

500以上  帝人(課長以上)

ご紹介のとおり、入社後TOEICのスコアが求められるのも就職人気ランキングにランクインするような人気企業ばかりです。

これら人気企業へ就職した場合、採用時のみならず、入社後もTOEICで一定点数以上のスコアを取得できる英語力が求められ続けることを覚悟しなければならないということです。

TOEICだけで十分か?TOEICが重視される理由および今後の傾向と対策について

TOEICは上場企業における英語力評価の尺度として、不動の地位を確立している状況にあります。

ところが、耳にしたことがある方も多いと思われますが、TOEICのスコアが高い=英会話ペラペラとは限りません。

800点以上のビジネスマンを対象に調査しところ、56%が国際ビジネスで通用する英会話力を持ち合わせていないというデータは有名な話となっています。

にも関わらず、上場企業の多くが競い合うようにTOEICのスコアを重視しているのかですが、これには次のような理由があります。

★日本企業がTOEICのスコア重視する主な理由

・TOEICで問われる内容は語学としての英語力ではなく「ビジネス英語」を問う内容であり、TOEIC高得点者は実務における英語の吸収力も高い傾向にある。

・TOEICは主観的評価が避けられない「話す」、「書く」能力の評価ではなく、公平に評価しやすい「読む」「聞く」に特化されているので、人事評価で用いやすい。

・ビジネスにおいては会話以上に「文書」が重視されるため、企業は読み取り能力を特に重視している。

・例えば英検は合格、不合格といった二つの評価だけになってしまうが、TOEICは1点刻みのスコアが評価基準となるため、努力目標値としても活用しやすい。

こうした理由から日本企業はTOEICを重視しています。

要は日本企業の人事制度に大変マッチしている英語力テストが、TOEICであったと言えます。

そのため、TOEICに変わる、企業にとって利用しやすい英語力テストが登場しない限り、課題はあるとしてもTOEICのスコアが日本企業の社員に求められ続ける状況は変わらないと見るべきでしょう。

鍵は「会話力」と新たな潮流「BULATS」

企業がTOEICを利用する傾向は今後も当分続くとみられますが、ではTOEICだけ頑張っていれば十分かというと、そうとは言い切れません。

TOEICの一番の課題は英会話力が評価できない点です。

いくらビジネスの世界では文書が重視されるといっても、例えば交渉の場面では話術が重要になってくることは言うまでもありません。

そのため、英語の「話す」力を養成すべく、近年急速に企業の間で導入が進んでいるもう一つの英語力検定試験があります。

それが「BULATS」(ブラッツ)です。

BULATSの導入企業例(抜粋)

三井物産    三菱商事     住友商事、

長瀬産業    全日空商事、   商船三井、

日立製作所、  日本電気、    富士通、

東芝、     伊藤忠テクノソリューションズ

横河電機、   昭和電工、    旭硝子、

三菱重工業、  凸版印刷、    川崎汽船、

ヤンマー、   大日本住友製薬、

旺文社、    サントリー、   佐川グローバルロジスティクス、

日本経済新聞社、野村證券

 

ご紹介している企業例は、あくまで導入を公表している企業の一部に過ぎません。

ご覧のとおり、BULATSもいわゆる就職人気企業ランキングに登場する人気企業が導入していることがわかります。

こうした傾向を踏まえた場合、今後、企業における英語力評価の基準は

「TOEICからBULATSに変わる」

とはならないまでも

「TOEIC+BULATS」

となる可能性が十分考えられます。

BULATSの個人受験申込が可能に!自主的な取り組みが対策となる

もしBULATSの導入企業例に上げられている企業への就職をめざすなら、TOEICスコアで800点以上あるから英語力は十分と考えず、プラスαとしてBULATSへも取り組むことをオススメします。

BULATSは就活生に浸透しているとはまだ言えませんが、だからこそ今から取り組んでおけばライバルに差を付ける有力な武器となり得ます。

BULATSの目標は5段階評価の4以上を一つの目標に

BULATSはスコアも出ますが、スコアより5段階の評価基準が重視されるテストです。

そのため、TOEICのように何点取れば良いという発想より、5段階評価でできるだけ高い評価を得ることを目標にすることが取り組む上でのポイントです。

現時点では、BULATSが新卒採用においてTOEICのような足切り点として採用されている事例はまだみられません。

従ってBULATSの5段階評価でどのランクを取得すれば良いといった明確な目標値を提示することは困難ですが、BULATSを導入している企業が人気企業であることを考慮した場合、最高評価を最終的な目標としつつ、まずは4以上を目指すことが第一段階の目標と考えれば良いでしょう。

「団体受験のみ」だったのが個人受験も可能に

BULATSは試験制度が創設された当時は団体受験のみでしたが、近年個人受験も可能となりました。

入試ではありませんので、個人受験してみて現時点での英語力がどのような評価を得られるかを把握することから取り組むの一つの方法と言えます。

その上で、専用の対策書も旺文社などから発行されていますので、それらを購入し、弱点となった分野を中心に対策学習に取り組むようにすると効率的な学習が行なえます。

参考:BULATS

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