

保育士として働くことの大変さを減らし、プライベートと両立しながら自分の力を発揮できる働き方として、「派遣」を選ぶ保育士が増えています。
結論から言うと、派遣保育士は時給が園の直接雇用のパートより高めで、残業がなく、担任などの重い責任を持たずに働ける働き方です。一方で、賞与や昇給は期待しにくく、同じ園で長く働くには制限があります。この記事では、保育士の現状、派遣のメリット・デメリット、時給の目安、紹介予定派遣の仕組み、評判のいい派遣会社までをまとめました。
- 保育士が置かれている現状と問題点が分かる
- 保育士が派遣で働くメリット・デメリットが分かる
- 派遣保育士の時給の目安と、ボーナス・短期勤務の実情が分かる
- 紹介予定派遣の仕組みと、おすすめの保育士向け派遣会社が分かる
なぜ保育士の派遣が人気か?保育士として働く問題点と現状
保育士の数は、今も足りていません。こども家庭庁の資料によると、2025年7月の保育士の有効求人倍率は2.77倍(全職種平均は1.18倍)、東京都では4.28倍です。保育園はあっても保育士が集まらず、受け入れ人数を減らしている園もあります。


保育士が抱えている主な問題点は次の3つです。
1. 給与が他の職種より低め
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、保育士の月給(決まって支給する現金給与額)は277,200円、年間賞与は741,700円で、年収に直すと約407万円です。処遇改善の積み重ねで以前より上がってきましたが、給与所得者全体の平均487万円(民間給与実態統計調査、令和7年分)と比べると、まだ低い水準です。
2. 労働時間が長く、持ち帰りの仕事が多い

保育中は子どもにかかりきりになるため、連絡帳、指導案、おたより、壁面や遊具の制作といった事務や準備は、保育の時間外に回りがちです。園に残れない場合は持ち帰りになり、労働時間として数えられないまま「サービス残業」になりやすいのが実情です。
3. 人間関係のストレス

保育士は女性が多い職場で、担任同士やベテランと若手の関係、保護者対応などで悩む人が少なくありません。東京都の保育士実態調査では、過去に保育士を辞めた人の退職理由の1位は「職場の人間関係」(31.5%)で、「仕事量が多い」(23.1%)、「給料が安い」(22.1%)が続きます。


保育士の派遣社員のメリット・デメリット

こうした問題の多くを軽くする方法として、「派遣保育士」という働き方があります。派遣会社に雇われ、派遣会社と契約した保育園で働き、給料は派遣会社から受け取る仕組みです。なぜ派遣だと働きやすいのか、そしてデメリットは何かを見ていきましょう。
派遣社員の保育士のメリット
【派遣保育士ならではのメリットは?】
1. 残業がない、あっても残業代が出る
派遣は契約で勤務時間が決まっているので、「子どもが帰ったあとに残って残業」という働き方にはなりません。契約した時間を働き、時間が来れば帰れます。


2. 必要以上の責任がない
派遣保育士がクラス担任や主任になることは、まずありません。フリー保育士として、担任のサポートや、正規職員がいない時間帯の保育を担当するのが中心です。指導案の作成や行事の企画を主体的に担うことも基本的にありません(勤務時間内の手伝い程度はあります)。

3. パート・アルバイトより時給が高い
園に直接雇用されるパート・アルバイトの時給は、地域の最低賃金に少し上乗せした程度のことが多く、派遣のほうが高めに設定されるのが一般的です。
具体的な目安として、保育業界に特化した人材サービス会社アスカの発表(2026年4月)では、同社の派遣保育士の平均時給は1,506円で、東京都は1,757円、神奈川県は1,592円、千葉県は1,648円でした。国が労使協定方式の基準として定める保育士の一般賃金(全国平均の時給換算)は1,229円なので、それを277円上回っています。

4. 短期勤務ができる
1か月や3か月といった短期の勤務も、派遣なら可能です。産休に入る保育士の代わりに新年度までのつなぎで働く、行事で忙しい時期だけサポートに入る、といった求人があります。

5. 人間関係が合わなければ園を変えられる
派遣先の人間関係に悩んだら、派遣会社の担当者に相談して、契約更新のタイミングで別の園を紹介してもらえます。直接雇用で転職を繰り返すより、経歴に傷がつきにくいのも利点です。
派遣社員の保育士のデメリット
【派遣保育士にデメリットはあるの?】
1. 契約が更新されないことがある
園に直接雇用されているわけではないので、園の都合で「次回は更新しません」となることがあります。正規職員で足りないところを埋める立場なので、調整されやすい身分であることは知っておきましょう。

2. 昇進や出世はできない
派遣の立場では、担任や主任などの責任ある役職には就けません。

3. 昇給が難しく、ボーナスは少ない・ない場合が多い
正規職員なら年々昇給していきますが、派遣では契約更新しても時給が据え置きになることが多いです。賞与も、正規職員のような形では支給されないのが一般的です。
ただし、2020年4月からの「同一労働同一賃金」のルールにより、派遣会社は派遣先の職員との均等・均衡を図る方式か、労使協定で決めた水準(同じ職種の一般的な賃金以上)で賃金を払う方式を取らなければならなくなりました。多くの派遣会社は労使協定方式で、賞与や退職金に相当する分を時給に上乗せしています。「ボーナスがない」のではなく「時給に含まれている」形なので、登録時に確認してみてください。


4. 同じ園で3年を超えて働けない
労働者派遣法のいわゆる「3年ルール」により、同じ園の同じ部署で派遣として働けるのは原則3年までです(派遣会社に無期雇用されている人や60歳以上の人は対象外)。気に入った園で長く働きたい場合は、園に直接雇用を申し出るか、後述の紹介予定派遣を使う方法があります。
派遣・正規職員・パートの違いを比較
| 比較項目 | 派遣保育士 | 正規職員 | パート・アルバイト(直接雇用) |
|---|---|---|---|
| 雇用主 | 派遣会社 | 園の運営法人 | 園の運営法人 |
| 給与の形 | 時給制。賞与・退職金相当分は時給に上乗せされることが多い | 月給+賞与+処遇改善の手当 | 時給制。賞与は園による |
| 時給の目安 | 平均1,506円(アスカ、2026年4月) | 月給277,200円・年収約407万円(令和6年、全国) | 最低賃金+α(地域の最低賃金は1,085〜1,280円) |
| 担任・行事の責任 | 原則なし(サポート中心) | あり | 園による(補助が中心) |
| 残業 | 原則なし。あれば派遣会社から残業代 | あり。持ち帰りも多い | 少ないが、園による |
| 働ける期間 | 契約ごと。同じ園は原則3年まで | 定年まで | 契約ごと(更新あり) |
| 社会保険 | 要件を満たせば派遣会社で加入 | 園で加入 | 要件を満たせば園で加入 |
派遣保育士の年収を試算してみると


| 働き方(架空の例) | 計算 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| フルタイム:1日8時間×月20日 | 1,500円×160時間×12か月 | 約288万円 |
| 時短:1日5時間×週4日(月17日) | 1,500円×85時間×12か月 | 約153万円 |
| 東京都でフルタイム(時給1,757円の例) | 1,757円×160時間×12か月 | 約337万円 |
正規職員の年収は約407万円(令和6年、全国平均)なので、フルタイムの派遣でも年収では正規職員を下回ることが多いです。一方で、残業がなく、担任や行事の負担がないことを考えると、「時間あたりの手取り」や「自由に使える時間」では派遣のほうが有利になるケースもあります。年収の数字だけでなく、自分の生活に合う働き方かどうかで選んでください。
派遣で働くときのお金の注意点
- 配偶者の扶養の範囲で働きたい場合、社会保険の130万円(19〜22歳は150万円)の基準を意識する。2026年10月から、週20時間以上などの要件を満たせば賃金の月額要件なしで社会保険の加入対象になる場合がある
- 契約の切れ目で収入が途切れることがあるので、生活費の予備を持っておく
- 派遣会社によって交通費の扱いが違うので、通勤距離が長い人は確認する
派遣保育士が働ける職場の種類
派遣の求人は、一般的な認可保育園だけではありません。派遣会社によって扱う職場の幅が違うので、希望があれば登録時に伝えておきましょう。
| 職場 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 認可保育園(私立・公立) | 求人数が最も多い。フリー保育士や早番・遅番の補助が中心 | 保育の経験を活かしたい人 |
| 企業内保育・事業所内保育 | 少人数で、土日休みの職場が多い。保護者は同じ会社の社員 | 土日に休みたい人、少人数保育が好きな人 |
| 院内保育 | 病院職員の子どもを預かる。夜勤や24時間保育がある施設も | 夜勤で時給を上げたい人 |
| 学童保育・児童館 | 小学生が対象。午後からの勤務が中心 | 午前中を空けたい人 |
| 幼稚園・認定こども園 | 幼稚園教諭免許が求められることが多い | 両方の免許を持つ人 |
派遣が向いている人・正規職員が向いている人
- 派遣が向いている人:子育てや家族の事情で勤務時間を固定したい、担任や行事の負担を避けたい、いろいろな園を経験したい、短期で働きたい、正規職員になる前に園を見極めたい
- 正規職員が向いている人:担任としてクラスを持ちたい、賞与や昇給、処遇改善の手当を直接受け取りたい、主任や園長を目指したい、同じ園で長く働きたい
「紹介予定派遣」という働き方もあり

派遣は同じ園で働ける期間に制限があります。責任の軽さと時給の高さに満足している人は問題ありませんが、「本当は正規職員として働きたい」という人には、派遣のままでは身分が不安定です。その解決策の一つが「紹介予定派遣」です。

分かりやすく言うと、次の流れです。
- まずは派遣保育士として園で働く(最長6か月)
- 期間が終わるころに、本人と園の双方が「正規職員(または直接雇用のパート)になるか」を判断する
- 双方が合意すれば、園の直接雇用に切り替わる
普通の派遣と違い、園も「この人は直接雇用の候補」と最初から知っています。そのため、正規職員に近い仕事を一部任されることもあり、評価も少し厳しめになるかもしれません。
「それなら最初から正規職員として就職すればいいのでは?」と思うかもしれません。でも、待遇や雰囲気に問題のある園に正規職員として入ってしまうと、すぐ辞めれば経歴に残りますし、いきなり重い仕事を任される可能性もあります。


保育士→責任の軽い派遣の立場で、その園が長く働ける場所かどうかを事前にチェックできる。合わなければ次の園を紹介してもらえばOK
保育園→いきなり正規職員として雇うと、合わなかった場合に解雇が難しい。紹介予定派遣なら、合わなければ直接雇用しないという選択ができ、事前に働きぶりを確認できる
というように、双方にとって納得しやすい契約になります。リスクを減らす意味でも、「紹介予定派遣」は大いにありです。

派遣保育士として働き始めるまでの流れ
- 派遣会社に登録する(Webまたは電話)。保育士証、職務経歴、希望条件(勤務地、曜日・時間、短期か長期か、紹介予定派遣の希望)を伝える
- 担当者との面談。経験や苦手なこと、避けたい園の種類まで正直に話す
- 求人の紹介。園の種類(認可・認可外・企業内保育・院内保育など)、時給、勤務時間、契約期間を確認
- 園の見学・顔合わせ。派遣先による選考面接は原則禁止なので、こちらから園の雰囲気や人員体制を質問してよい
- 契約の締結。就業条件明示書で業務内容、期間、時間、賃金、残業の扱いを確認
- 初出勤。困ったことは園ではなく派遣会社の担当者に相談する
登録前に確認しておきたいこと
- 時給に賞与・退職金相当分が含まれているか(労使協定方式かどうか)
- 交通費の支給方法
- 残業・休日出勤の割増率と、申請の方法
- 契約期間と更新の目安
- 社会保険・有給休暇・健康診断の扱い
- 派遣会社のマージン率(公開が義務づけられている)
- 短期・紹介予定派遣の求人がどのくらいあるか
当サイトおススメ派遣会社エージェント
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【評判の良いおすすめの派遣会社】
紹介予定派遣を含めて、派遣保育士として働くには、保育士専門の派遣会社を使うのが近道です。書類作成やスケジュール調整といった転職エージェントのようなサポートに加え、一般には公開されていない求人も扱っています。
「紹介予定派遣」や少しでも時給の高い案件を探すなら、保育士専門でノウハウと実績のある派遣会社が有利です。当サイトがおすすめする2社を紹介します。
1位 ほいく畑

「ほいく畑」は、保育や介護など医療・福祉分野専門の人材サービスを行う株式会社ニッソーネットが運営する求人サイトです。派遣の求人を多く掲載しており、私立だけでなく公立保育園や公的機関の派遣求人も扱っています。未経験・ブランクありの人の相談にも対応しています。
2位 保育情報どっとこむ

「保育情報どっとこむ」は、保育業界に特化した人材サービス会社の株式会社アスカ(群馬県高崎市、全国21拠点)が運営しています。私立保育園のほか、公立保育園、企業内保育、院内保育の派遣求人も扱っており、同社の派遣保育士の平均時給は1,506円(2026年4月時点)と公表されました。一般的な保育園以外で派遣として働きたい人にも向いています。
どちらも登録は無料です。派遣で働くか、転職するか迷っている人も、一度登録してどんな求人があるかを確かめてみてください。担当者に相談してみるのも手です。2社に登録して、紹介される求人と対応を比べる人も多いですよ。
派遣保育士の架空のケース
ここからは架空のケースです。
ケース1:子育て中に、短時間の派遣で復職(架空)
架空のAさん(34歳・保育士歴8年)は、出産を機に正規職員を辞め、下の子が幼稚園に入ったタイミングで「9〜14時、週4日」の派遣で復職しました。担任を持たずにフリーで保育に入り、残業がないので送り迎えに間に合います。時給は以前のパートより高く、園の雰囲気を見て「子どもの手が離れたら、ここで正規職員になるのもいい」と考えています。
ケース2:紹介予定派遣で園を見極めてから正規職員に(架空)
架空のBさん(27歳・保育士歴4年)は、前の園の人間関係に疲れ、次は「入る前に雰囲気を確かめたい」と紹介予定派遣を選びました。6か月の派遣期間で職員同士の関係や残業の実態を見たうえで、直接雇用に切り替え。今は担任として働いています。
保育士の派遣に関するよくある質問
派遣保育士にボーナスはありますか?
正規職員のような形の賞与はないことが多いですが、同一労働同一賃金のルールで、賞与・退職金に相当する分を時給に上乗せしている派遣会社が多くあります。登録時に「時給にどこまで含まれているか」を確認してください。
派遣でも担任を持つことはありますか?
原則としてありません。ただし、園の人手不足で補助的な担任業務を頼まれることはあります。契約書に書かれた業務の範囲を超える場合は、派遣会社に相談してください。
ブランクがあっても派遣で働けますか?
働けます。ブランクのある保育士向けに、短時間や補助業務から始められる求人を扱う派遣会社も少なくありません。各都道府県の保育士・保育所支援センターでも、復職の研修や相談を受けられます。
派遣の期間が終わったあと、同じ園で働き続けたい場合は?
園に直接雇用を申し出るか、派遣会社に相談して直接雇用への切り替えを調整してもらいます。3年ルールの期限が近づいたときに、園から直接雇用の打診があることもあります。
派遣の求人は地方にもありますか?
あります。ただし求人の数は都市部のほうが多く、地方では認可保育園の求人が中心になります。全国に拠点を持つ派遣会社なら、地方の求人も扱っているので、希望の地域を伝えて探してもらいましょう。時給は地域の最低賃金や相場に合わせて決まるため、都市部より低めになるのが一般的です。その分、家賃などの生活費も安いので、手元に残る金額で比べてみてください。
保育士の派遣会社とおすすめの働き方まとめ
- 保育士の有効求人倍率は2.77倍(2025年7月)。人手不足は続いているが、年収は約407万円と全体平均より低め
- 派遣保育士は時給が高め(平均1,506円、アスカ2026年4月)、残業なし、担任の責任なし、短期勤務も可能
- デメリットは契約更新の不安、昇進・昇給がないこと、同じ園は原則3年まで。賞与は時給に含まれる形が多い
- 正規職員を目指すなら、最長6か月の紹介予定派遣で園を見極めてから直接雇用に切り替える方法がある
- 派遣会社は保育士専門のところを選び、時給の内訳・短期や紹介予定派遣の求人数・担当者の相性で決める
派遣は、保育士の仕事を続けながら、働く時間と責任の重さを自分で選べる働き方です。今の働き方がつらいと感じているなら、選択肢の一つとして検討してみてください。