転職の選考を突破する際、これまで培った自身のスキルと同等に重視されるのが「転職理由」です。
この転職理由を言い間違えてしまうと、一気にマイナス評価につながってしまいます。

本音と建前を使い分けることが重要なのですが、具体的にどのように言えばいいのでしょうか?
転職先(選考先)と辞める会社それぞれでテンプレートとしてまとめてみました。

転職先へ伝える転職理由

本音は基本的にNG

日本的と言ってしまえばそれまでですが、いくら前の会社にムカつくやつがいたり、酷いパワハラを受けたり、給料が激安だったり、人間関係が最悪だったりしても、それをそのまま転職理由にしてしまうのはNGです。
言いたい気持ちもわかりますが、転職の際の暗黙のマナーと言いますか、採用される方もそうした理由で転職する人が多いのはわかっていますが、暗黙の了解です。

企業側も「ムカついたから転職したい」という人よりも、建前でも「キャリアアップのために自分のスキルを活かして・・・」という人のほうがいいでしょう。
文句ばかり言う人を最終決定権者である社長がどう判断するのか、やはり犯罪行為をされたとかそのレベルでない限りは、前向きな理由+能力アピールで行った方がリスクが少ないということになります。

テンプレート1~安月給から転職したい場合

前職では、人事制度上があまり整備されておらず、一律の評価を下されることが多くモチベーションの維持に苦労していました。
私は、職務を遂行する上では、高い士気を維持できる人事評価制度が重要だと考えていて、御社の人事評価制度の下でパフォーマンスを最大限発揮できるようがんばりたく存じます。
ポイント 女性

転職先のほうがより実力主義でがんばれそう、ということを伝えます。
「御社は能力給の割合が大きくて」などお金には触れない方がいいかもしれません。

一番労働で大切な部分ですが、正当に評価されれば価値がある人材です=だから高い給料でもその価値はあります、と婉曲的に伝えるのがポイントです。

テンプレート2~人間関係、ムカつくやつがいた場合

前職ではチームで仕事をすることが多かったのですが、会社の部、課の構成がややいびつで、チームとしての連携が取りにくい状態にありました。
上層部に意見を言う制度もなく、言いにくい雰囲気もありました。
御社の社風は自由闊達に議論でき、個人のスキルを活かせると聞いております。
この社風に魅力を感じて転職を決めました。
在職中の○○という資格も活かせ、お役に立てると思っております。
ポイント 女性

あいつが、とかこういう変な人がいて、と言わずに、会社の制度上コミュニケーションが取りづらかったというようにしてしまいましょう。

男性

原因が他人にあっても、コミュニケーションスキルがあれば乗り越えられるのでは?この人コミュ力がない?と思われるのはマイナスですからね。

テンプレート3~残業、休日出勤が多かった場合

前職では、慢性的な人員不足で個人の努力ではカバーできない状態が続いていました。
業務フロー改善を具申したのですが受け入れられず、非効率的な仕事の進め方に疑問を抱いていました。
「働き方改革」が叫ばれていますが、非効率的な働き方をしていては自分自身のスキルも上がらず成長が叶わないと思い転職を決意しました。
御社は風通しがよく、業務改善に積極的だと聞いております。是非とも御社で働かせてください。
男性

残業が多い、残業がつらいのはもっともですが、それを正面に打ち出すのはNGってことだね。

ポイント 女性

必要な残業は行いますという意思を前提に、前職を悪者にして業務効率が悪すぎてどうしようもないことを強調しましょう。

テンプレート4~キャリアアップしたい場合

前職では「スペシャリストよりゼネラリスト」という方針で全く畑違いの部署を数年で異動していました。
そういう人材も必要なのだと思いますが、前部署での知識やスキルが異動によってリセットされてしまうため、自分自身の専門性が身につきにくいと考えていました。
私自身○○をやりたくてこの業界に就職したので、是非御社の○○部(○○職)で働いて、専門性を身に付けたいと思って転職を決意しました。
ポイント 女性

どの会社でも総務や人事に行くことがありますので「○○しかしたくない」はNGですが、前職でキャリアアップを計れなかった理由は個人の努力ではどうにもならないことを伝えましょう。

男性

「がんばれば前の会社でもできたんじゃないの?」と思われないことが大切ってことだね。

テンプレート5~リストラされた場合

前職の所属部署が業績不振だったため、整理縮小の対象になりました。
このまま前職に残り会社の再建に尽くす選択肢もありましたが、かなり厳しい考退職を決意しました。
前向きに新しい業界、新しい会社で前職で培った〇〇の技術を御社で活かしたいと考えています。

わざわざ首になったという必要はありません。
解雇されたのか自発的に辞めたのか、ハローワークは知っていますが会社は知るすべがありません。

男性

「自己都合退職」で押し通して、その理由を説明できるようにしておくーけば良いってことだね。

稀にハローワークと通じていて、解雇されたことを知る企業もありますがその時点で超ブラックなのでこちらから願い下げです。

テンプレート6~家庭の事情の場合

実は父が○○病になり、徐々に体の動きが取れなくなり最終的には完全介護が必要になります。
母も高齢ですし、私と妻で交互に介護が必要になります。
前職は休日出勤や残業も多く、介護のための時間が全く取れないと思い今回転職を決意しました。
ワークライフバランス重視で介護休暇もある御社で仕事と家族の介護を並行させてください。
私のスキルは御社の役に立つはずです。
ポイント 女性

家庭の事情での転職はしっかり本音を伝えた方がいいです。
こればかりは本人の努力でどうにもなりませんし、しっかり使えておくことで業務や何かあったときに配慮してもらえるかもしれません。

貴方が余人をもって代えがたい能力があれば転職先は十分配慮して喜んで採用してくれるはずです。

テンプレート7~女性が働きにくい職場だった場合

前職は女性従業員も少なく、産休後復職した人はほとんどいませんでした。
会社のサポート体制も不十分でやむを得ず退職しましたが、これまで培ったスキルでもっと社会貢献したいと思っております。
育児と両立できる環境が御社にはあり、○○のスキルは持っているので、今後も社会で活かしていきたいと考えています。
子どもについては近くの保育園に預けて働こうと思います。
私の両親の近くに住んでいるため、急な発熱などがあっても面倒見てもらえるので仕事に集中できます。

女性が活躍する社会は今の時代のキャッチフレーズですし、子育てしながら働いている女性の割合が高いのは企業にとっても対外的なPR材料になりますので、本当に育児サポートが整っている会社ならば正直に話しましょう。

ポイント 女性

子どもに何かあったときに急に会社を抜けるリスクがあるため、テンプレートのように両親(おじいちゃんおばあちゃん)も近くにいます、と安心材料を付けるとより効果的ですね。

テンプレート8~セクハラ、パワハラで退職した場合

執拗にセクハラをする上司がいて何度も改善を職場の人事にお願いしたのですが叶いませんでした。
このままでは非常にストレスで嫌な環境の中で働かなくてはならず、やむを得ず退職しました。
御社では心機一転がんばりたいと思っています。
ポイント 女性

転職情報サイトの中には、セクハラやパワハラについて触れるべきではないというものもありますが、私はそうは考えません。
しっかりと理由を伝えたうえで、能力的には何ら問題がないことをアピールしましょう。

男性

コンプライアンスが叫ばれる中なので、こういう理由を述べれば転職希望企業への(無言の)プレッシャーにもなるはずです。

書いていくときりがなくなるので、転職先への例文は以上です。
続いて辞める会社について理由を考えます。

転職先へ伝える転職理由

「立つ鳥跡を濁さず」がベストだが・・・

こちらも日本的な考えですが、いくら最悪の会社を辞めると言っても、退職理由は穏当なもので円満に辞めるべきという意見が目立ちます。

  • 社会人としてのマナー
  • そこかでまた縁があるかもしれないから
  • 同業他社へ転職した場合あなたの情報がいく

などもっともなことで、リスクを回避するには極力穏便に辞めた方がいいのは事実です。
とはいえ、はらわたが煮えくりかえっている人も多いはずで、最後ぐらい「辞表を叩きつけたい」という人もいるでしょう。

ネットの掲示板などには「立つ鳥跡を濁しまくれ」という人もいます。
また、超ブラック企業の中には「そんな理由では辞めさせないぞ」と脅すところもあるようです(法的には辞めさせないことはできないのに)。

今の勤務先に伝える退職理由は、婚活やお見合いの「お断り」に似ています。
相手を立ててお断りする人、暴言を吐いてお断りする人、完全無視を貫く人・・、「辞める自分が大人にならなければ」というのはもっともですが、いくつか辞めるテンプレートを書いてみました。

なお、辞める理由は事実でなくても構いません。
本音と建前、ウソも方便。
円満に辞めるための理由付けであれば問題なく許されるはずです。

なお、辞表を出す際にはICレコーダーを忍ばせておくのをおススメします。
ひどいことを言われたら、それをもとに関係機関に駆け込むことができます。

テンプレート1~キャリアアップのため

前部署で行っていた○○の分野の仕事を極めたくなりました。
この会社だと人事異動で全く別の仕事になるので、そうではなくスペシャリストを目指したくなりました。
前向きに自分に合った仕事をやるため辞めさせていただきます。
ポイント 女性

極めて前向きな理由での退職ですね。
この会社の人事制度上無理だから、新天地を目指して転職しますと言えば、円満な関係のまま辞めることができます。

テンプレート2~資格試験を目指す

この年でこんなことを言うのもなんですが、社会保険労務士になると思い、勉強のため仕事を辞めます。
ずっと学生時代からなりたかったのですが、就職して働くなかで、より社労士の重要性を認識しました。
必ず合格して自分の夢をかなえたいと思います。
男性

資格試験を目指すというのも前向きな理由としていいですね。
実際に受けなくてももちろん問題ないですからね。

ポイント 女性

ただ「お約束」として、完全文系だった人が「医師になるから医学部受験する」と言っても「おいおい」となってしまいます。
2~3年の勉強で合格する可能性があるサムライ資格などがいいかもしれません。

テンプレート3~家業を継ぐ

実家の父親もいい年になりました。
このまま家業を終わらせたくないので、父の下で修業しながら継げるようにがんばりたいと思います。
やはり、この家に生まれたからには代々の仕事を大事にしたいのだという自分に気付きました。
ポイント 女性

「家業を継がずに今の仕事をしろ」という人はいませんよね。
こちらも円満に辞めるためにはいい方便になると思います。

男性

ただ、これが使えるのは実家が自営業の人だけですね。

サラリーマン家庭ということを会社が知っているなら「えっ?」となってしまいますのでご注意を。
その場合は「起業したい」で行きましょう。

テンプレート4~寿退社

実は今度結婚することになり、彼の仕事の関係上引っ越しをするため辞めさせていただきます。
残念ですが、やはり古い考えかもしれませんが、夫を支える立場でがんばりたいと思っています。
ポイント 女性

今では珍しくなりましたが寿退社も女性ならば辞める理由として問題ないです。
「彼氏いたんだ?」「お見合いしたの?」「いつから付き合っているの?」などと会社が聞けばセクハラ案件になるため、これ以上突っ込んでくることはないでしょう。
あまりプライベートを詮索されずに辞めるには実は寿退社が一番いいです。

男性

ただ、男性はなかなか使えない理由ですね…。

テンプレート5~「一身上の都合」で押し通す

この度一身上の都合で退職いたします。
すみません、それ以上は申し上げられません。
ポイント 女性

相手に色々詮索されるのを防ぐにはこれがいいです。
冷たいやり方ですが負の感情を溜めないためにはこういうのもアリです。

テンプレート6~本音をぶちまけてしまう

○○課長のやり方が酷すぎてもう耐えられません。立派なパワハラですよね。
あとなんで残業代を付けるなというのですか?労基法違反じゃないですか。
辞めさせないなら出るとこ出ましょうよ。もう好きにさせてください。
ポイント 女性

跡を濁すやり方です。
辞表には「一身上の都合により」「私事により」と書きますが、最後くらい本音をぶちまけても面白いかもしれません。

男性

全くおススメではないですが、溜飲が下がるならこれでキャリアをリセットするのもアリかも。

ただしこの3つを条件にします。

  1. 同業他社への転職ではないこと(風評被害リスクがありますので)
  2. 社内の仲のいい人の理解を得ていること(少なくとも仲がいい人とは退職後も付き合えた方がいいです)
  3. ICレコーダーを忍ばせて起動させておくこと

この方法を取るならば抗議の意思表示として、辞表提出後は一切出社せず有給完全消化(有給申請を内容証明で送付)、そのくらい覚悟があればこういう辞め方もあるかもしれません(勧めませんが)。

「病気退職」理由を作るのは避けた方がいい

無難そうにみえる「病気退職」理由、それを理由として勧める転職情報サイトもありますが、私はやめておいた方がいいと思います。

  • 内臓疾患を理由にした場合

「会社の健康診断で問題なかったじゃないか」と言われるとなかなか切り返せません。療養して治りそうなら「傷病手当金」を受給して治せと言われるかもしれません。

  • 精神疾患を理由にした場合

会社の健康診断ではわかりませんが、会社の相談室やEAP(Employee Assistance Program)、産業医との面談などを受けさせられるかもしれず、却って話が大きくなってしまいます。

いずれにせよ、病気退職の場合には医師の診断書も付けないといけませんから(一方的に病気だからやめるでもいいのですが)、それは本当に病気でなければ難しいですよね。別の理由を探した方が無難です。

ウソは厳禁という人もいますがついていいウソも転職時にはあります(持っていない資格を持っているというのはNGですが)。転職理由はその最たるものだと考えます。

お見合い時に「こんな男と同じ空間で息するのも嫌!」と断る人はいませんよね。ウソでも「私にはもったいない人で」と言うはずです。だから上手に「使い分け」を行って転職してください。

「建前」とウソは微妙に違う

いろいろ書きましたが、じゃあ転職先にもウソはいいかというと、あまり好ましいものとは言えません。

履歴書に書くようなものの虚偽は絶対にいけませんが、介護する親がいないのに介護のために転職をと言ってバレてしまうとやはりよくないです。
両親が元気で活躍してお店を経営しているのがバレる、あるいは、父親がすでに亡くなっているのに「父の介護が・・」と言ってもよくないですよね。

  • 建前:みなさんの内面に留まるもの(動機、目的)
  • ウソ:誰かが証明するとバレてしまうもの

と解釈してください。

転職先
建前:◎
本音:△
ウソ:×

退職先
建前:◎
本音:△
ウソ:○(人を傷つけないものなら)

日本は建前社会だなぁと思うわけですが、必要時応じて本音とついても許されるウソを使い分けることで、色々円滑に回るのだと思います。

転職理由の例文テンプレートおすすめ!転職先と辞める会社で使いわけ

・転職先への転職理由は本音は基本的に避ける
・転職先も前の会社が嫌だったことは知っているが受け入れる「建前」が採用には必要
・今の職場は円満退社がベター
・円満退社のためには誰も傷つかないウソも許容される(「建前」が大事)
・ツッコミを入れにくい退職理由がいい
・今の職場と徹底抗戦するならそれもまた可(この時くらいしかチャンスはない)
・何があるのかわからないのでICレコーダーを有効活用する

【対策】集団面接で聞かれる質問例文集!マナーと 自己紹介PRのバランス力を鍛える!