失敗する人が多い!?人気の社内SEへの転職に成功する方法と注意点

社内SEは昔からSlerのSEに人気の高い職業です。
クラウドサービスの発展により、企業規模問わず事業会社で社内システムを内製化する企業が増えてきました。
こうした背景からここ数年で社内SEの求人数は増加傾向にあります。

しかし、社内SEに転職してゆとりのある生活ができて喜ぶ人がいる一方で、不満の声をもらす人も少なくありません。

「残業は減ったけど仕事のやりがいを感じない」
「Sler時代と変わらず忙しい」
「どんなに頑張ってもなかなか昇給しない」

何が原因で転職に失敗したのでしょうか?
社内SEの仕事内容を踏まえて、SlerのSEが転職に失敗する理由と転職を成功させる方法をご紹介します。

意外と対応範囲が広い!社内SEの仕事内容

社内SEとは事業会社の情報システム部門に在籍して働くITエンジニアのことです。
社内SEに求められる役割や仕事内容は会社により大きく異なります。
最初に社内SEの代表的な仕事内容を簡単に説明します。
社内SEへの転職を検討している人は参考にしてみてください。

情報システム部門の予算作成・コスト管理

内製でシステム開発する場合、年間や期末ごとの予算を作成します。
開発業務やインフラ業務、ヘルプデスクなどを外注化する場合は、プロジェクト費用や人件費など外注化にかかる予算の見積もりも作成。
作成した予算と実際にかかるコストを比較して、予算オーバーした場合は是正措置を行います。

IT戦略の立案

会社の経営戦略に基づき、既存業務の効率化やコスト削減など経営課題を解決するIT戦略を立案します。
現状の業務分析や課題を洗い出し、システム化する業務範囲や必要な予算、期待できる効果を経営者に提案します。

社内システム開発・運用

社内の基幹システムや情報システムの要件定義・設計・開発・保守・運用は社内SEが行います。
企画から運用まですべて内製する会社もあれば、企画や要件定義のみ社内SEが行って設計以降の工程をSlerやベンダーに外注化する会社もあります。

長年稼働する社内システムがあり、機能追加のバージョンアップやメンテナンスなど保守や運用のみ社内SEが行う企業も少なくありません。
既存システムの運用・保守もまるごと外注化して、社内SEはSlerやベンダーの管理やコントロールのみに専念する会社も珍しくありません。

社内インフラの構築・運用

社内ネットワークやサーバなど社内インフラの企画や要件定義・設計・構築・保守・運用も社内SEが担当します。
全作業工程を社内SEが担当することもあれば、企画や要件定義のみ社内SEが担当して残りの工程を外注化する場合もあります。
インフラ業務自体をまるごと外注化することもよくある話です。

社員が使うデバイスの選定・セットアップ

社員が使うパソコンの選定やセットアップを行います。
現在、働き方改革の一環で大企業や都市部の企業を中心にテレワークを導入する企業が増えています。
テレワークを効率的に行うデバイスとしてiPhoneやiPadを社員に支給する会社も少なくありません。
パソコンとあわせてiPhoneやiPadのセットアップも社内SEが担当します。
パソコンの機種やiPhone、iPadの購入先の選定のみ社内SEが行って、購入後のセットアップ作業を外注化するケースが多いです。

社内のセキュリティ対策の整備

社内のセキュリティ対策の整備や社員に対するリテラシーの教育に関する仕事です。
企業の社内システムやパソコン、スマートフォン、USBなど各種デバイスには顧客の機密情報や社員の個人情報など重要な情報がたくさん保存されています。
これらの重大な情報が流出すると企業の社会的信頼が失われて、経営に大きな影響を及ぼします。

企業の情報漏えいの主な原因は社員の管理ミスや誤操作によるもの。
情報漏えい防止の物理的なセキュリティ対策から、社内の情報セキュリティのルール作成と社員への周知を行います。

社内ヘルプデスク</3>

社員からのシステムに関する問い合わせに対応する業務です。
社員のITスキルは会社により異なります。
「家電もIT」と認識して、社内SEにデジカメやiPhoneに関する質問をする会社も珍しくありません。
すぐに解決してほしいケースが多いため、臨機応変に対応できる幅広いITの知識が欠かせません。
大企業ではヘルプデスクを外注化するケースが多いです。

関連⇒社内SEは本当にホワイト!?仕事内容やスキルをSlerと徹底比較

企業規模別に解説!社内SEの役割と求められるスキル

上で紹介した業務をすべて社内SEが1人で担当する場合もあれば、システム開発・
インフラ・ヘルプデスクと業務ごとに分業化されている場合もあります。
社内SEの役割と求められるスキルは会社次第。

企業規模別に社内SEの主な仕事内容と求められるスキルを解説します。
会社により本当に社内SEの業務範囲が異なるので、ここで紹介する内容をあくまでも一例と考えてください。

社員50人未満のベンチャー企業

社員50人未満の創業して数年程度のベンチャー企業では、会社により情報システム部門がないことも珍しくありません。
主に以下の業務とスキルが必要とされます。

仕事内容

・パソコン操作を含めIT全般のヘルプデスク
・社内システムの選定と導入
・インフラ構築や整備
・セキュリティ対策
・中途入社した社員への対応フローの整備など

求められるスキル

・コミュニケーション能力
・システム開発、インフラ問わず総合的なITリテラシー

社員50~750人以内の中小・中堅企業

事業フェーズとしては成長期にあたり、部門ごと分業化が進んでいきます。
社内SEの役割は整備されていない社内システムやインフラを整えることです。

仕事内容

・ITを活用した非効率的な事業運営の改善
・部門ごとの業務システムの開発や運用
・サーバ構築などインフラの整備
・社内ヘルプデスク
・外注化する場合はベンダーコントロールなど

求められるスキル

・システム企画・設計力
・システム開発、インフラ構築いずれかの実務経験
・コスト管理能力

社員数750名以上の大企業

事業フェーズとしては成熟期を迎え、社内SEは経営者と同じ目線でIT戦略の立案やシステムの企画が求められるようになります。

仕事内容

・抜本的な業務改善を行うIT投資計画の立案
・ITを活用した事業継続計画の強化
・老朽化した基幹システムや情報システムのリプレイス
・情報漏えいや個人情報保護などコンプライアンス対応の強化
・グローバル対応
・システム開発やインフラ運用など外注化とベンダーコントロールなど

求められるスキル

・IT戦略立案能力
・プロジェクト管理力
・コンサルティング能力
・システム開発やインフラ構築に関する専門性の深い知識

リサーチ不足が原因!社内SEの転職に失敗する理由

これまでの説明で社内SEの業務内容の広さと事業規模により求められる役割とスキルのちがいを理解できましたか?

社内SEの転職に失敗する主な理由は、会社ごとに「社内SEに求める役割」と「必要とされるスキル」のリサーチ不足が原因です。

SlerのSEのなかには、「今までのスキルが活かせて残業が少ない」「給料が上がる」
など条件につられて転職を決心する人も少なくありません。
確かに勤務時間・スキル・給料とすべての条件を満たして社内SEの転職に成功した人もいます。

インターネットで「社内SE ホワイト」と検索すれば、「社内SEはゆるい」「社内SEはホワイトすぎる」などの内容が書かれた個人ブログの記事が上位に表示されます。
そのため、「社内SEの仕事はラクだ」と勘違いするのも仕方ありません。

Sler出身者が「社内SEに転職して失敗だった」と感じる理由を掘り下げていきましょう。

Sler時代と残業時間がほぼ同じ

意外と多いのがワークライフバランスの充実を求めて社内SEに転職したにもかかわらず、Sler時代と変わらず忙しいことです。

社内SEが激務になる理由はさまざまですが、情報システム部門は間接部門。
営業やマーケティングのように会社の利益に直結する部門ではありません。
社内での位置づけは経理・人事・総務などバックオフィス部門と同じです。

間接部門なので情報システム部門にあまり人員を配置しない会社も多いです。
なかには社員数80人いて社内SEがたった1人しかいない会社もあります。
そのような会社ではシステム開発、インフラ構築、社内ヘルプデスク、セキュリティ対策などすべて1人で担当する羽目になります。
残業が月100時間超えること珍しくありません。

社内SEといっても事業会社の社員であることに変わりありません。
他部署で人手不足のときはITに関係ない業務でも手伝わざるを得ません。
システムとは別の業務で連日残業する羽目になったという話も少なからず耳にします。

間接部門なので給料が上がりにくい

転職1年目の年収は前職より上がっても、数年単位でみるとなかなか昇給しないことに不満の声をもらす人もいます。

情報システム部門の主な仕事は社内システムを安定稼働させることで、会社の売上に直結するものではありません。
営業職や販売職のように目に見える成果がわかりづらい部分があります。
社員の大半がSEのSlerのように明確な評価制度がない会社も少なくありません。
昇給の明確な基準がないので、他部署と比べて社内SEの年収が転職1年目とほとんど変わらない人もいます。

社内SEの平均年収は300~500万円が最も多く、マネージャークラスに昇給して600万円以上になればマシな方といわれています。

スキルが活かせない仕事が多い

SEとしてシステム開発の経験を活かしたいのに、業務の大半がインフラ整備やヘルプデスク対応だったとことに不満を抱く人もいます。

事業会社によりITの定義が異なります。
基幹システムやネットワークなどSlerのSEがイメージするITと一致する会社もあれば、電気で動くものはすべてITと認識する会社もあります。
プリンタの紙詰まりやスマートフォンやデジカメの操作方法など、「自分で対応するのでは?」と思う質問も社内SEの対応範囲だったりします。
海外や地方の拠点とテレビ会議や電話会議をする会社も増えたので、テレビやAV機器も社内SEがサポートすることも珍しくありません。

スキルにあまり直結しない雑務が不満で、Slerに戻りたいと転職エージェントに再転職の相談をする人もいます。
開発業務の外注化で社内の調整や予算管理、ベンダーコントロールばかりで技術に触れる機会がないことがイヤで転職を決心する人も少なくありません。

社内SEならではの仕事のやりがい

社内SEへの転職に失敗して不満に思う人がいる一方で、社内SEの仕事にやりがいを感じる人もいます。
Slerでは経験できない社内SEならではのやりがいを紹介します。

会社の経営課題の改善に貢献できる

自社のシステム開発は会社の業務フロー改善や利益拡大のために行うものなので、会社の経営課題の改善に貢献できます。

Slerのようにプロジェクトごとにシステムの設計や導入を繰り返して終わりではありません。
システム導入後も最新の技術動向や会社の経営方針の変化に対応しながら、機能追加
のバージョンアップやリプレイスを行います。

経営戦略に関するシステムの企画から携わることで、高度なコンサルテイングスキルが身につきます。
社内SEは、会社の経営課題に貢献するシステムを追求できるやりがいのある仕事といってよいでしょう。

自社業務なので仕事の達成感を得やすい

社内システムの企画にあたり会社全体の業務を把握しなければならないため、経営陣や他部署の人と接する機会が増えます。
現状の課題やシステムで達成したいことなどシステム導入の目的を現場の人から直にヒヤリングできるのも社内SEならではのメリットです。
システム導入後に現場でどのような成果が出たかすぐにわかるうえ、感謝されることも多いので仕事の達成感を得やすいでしょう。

競争率が高い社内SEの転職を成功させる方法

デメリットもあるけどゆとりのある生活ができて、仕事の達成感を得やすい社内SEは依然として人気の高い職業です。
社内SEの求人数は増えても1社の採用人数は少ないので、競争率が高いことに変わりありません。
難易度の高い社内SEの転職を成功させるコツを紹介します。

社内SEを募集する背景の理解

入社後のミスマッチを防ぐために応募企業で社内SEを募集する背景を理解しましょう。
社内SEを募集する背景は主に次のような理由が考えられます。

事業拡大や社内のIT化推進

事業拡大に伴い社内のインフラ整備やシステム導入などIT化を進めなければならないのに、社内にITの専門家がいなくて困っているケースです。
地方の中小企業などはパソコンに詳しい社員が社内SEの役割を兼務することも珍しくありません。

このような会社は社内全体のITリテラシーも低く、組織に情報システム部門が定着していません。
そのため、自分でリーダーシップをとって社内のIT化や組織作りに貢献したい人に向いている転職先です。

面接では次の3つのポイントを踏まえて志望動機を話しましょう。

・ITなら何でも対応する柔軟性とやる気
・長く働きたい
・リーダーシップを発揮して社内のIT推進化に貢献したい

新しい事業やプロジェクトの発足

新しい事業やプロジェクト発足を理由に社内SEを募集するときは求人票に「扱うプログラミング言語」「プロジェクトマネージャー経験3年以上」など応募条件が記載されるケースが多いです。

その場合、応募条件に記載された内容がこれまでの経験や実績で活かせることを面接で
でアピールします。
たとえば、新規プロジェクトでAIデータ解析技術の経験者を募集していた場合、Pythonなどプログラミングやデータマイニングの実務経験をアピールします。

現担当者の高齢化による若手社員の補充

現担当者が定年退職で業務の引き継ぎを行うための社内SEの募集です。

会社にもよりますが担当者が高齢であることから、オフコンや汎用機など今どき珍しい古いシステムを引き継ぐ可能性も十分に考えられます。
このような企業の面接では古いシステムでもしっかり運用する姿勢とやる気をアピールしましょう。

近い将来、システムの大規模なリプレイスも考えられます。
大規模なリプレイスに対応できるシステム管理者としての総合的なITスキルと他部署の社員と協力して業務を行うコミュニケーション能力をアピールするのも効果的です。

事業のグローバル化による海外進出

事業のグローバル化に伴い、海外の支店で現地社員と一緒にシステム構築ができる人を募集する企業も増えています。
また、社内システムの開発や運用をオフショアする企業も多く、オフショア先を管理する人を募集する企業も少なくありません。

どちらにせよ業務は定時内でのんびり終わらせたいという考えの人には向いていません。
総合的なITスキルやコンサルテイングスキル、英語力など幅広いスキルが必要とされます。

応募企業の特徴や魅力の理解

当たり前のことですが応募企業の特徴や魅力を理解したうえで、志望動機をしっかり説明できるようにしましょう。

自動車メーカーの社内SEだったら「昔から◯◯の車種が好きで親しみがあり、好きな車種を販売する御社の業務に貢献したい」などと伝えます。

病院の院内SEなら「子供の頃は身体が弱くてよく病院の世話になった。院内業務のIT化に貢献して患者によりよいサービスを提供したい」と伝えましょう。

Slerの批判はNG!好印象を与える志望動機

本音の転職理由がSlerの激務や客先常駐がイヤだからであっても、それをそのまま伝えるわけにはいきません。

Slerで培った経験と応募先企業の業務内容がマッチするような志望動機を面接で話します。
志望動機を話す際はSlerではなく「なぜ社内SEを選んだか」がわかる内容にするのがベスト。
志望動機の例文を紹介するので参考にしてみてください。

■例文
Slerで7年間、製薬会社のシステムの要件定義・設計・プログラミングと一連の開発業務に携わってきました。入社5年目から開発メンバー10人のリーダーをつとめてきました。PDCAサイクルを意識した業務改善や経営戦略に基づいたITコンサルが行えるようになりたいと考えるようになりました。Slerで働くよりも社内SEになった方が自分の望みの実現がより早いと思ったので転職を決心いたしました。製薬会社でのシステム開発に携わったときに身につけた業界知識が活かせると思い御社を志望しました。

社内SEに転職可能な年齢

2017年7月から2018年6月にかけてDODAエージェントサービスを利用して転職した人のアンケートをとった結果、転職したときの平均年齢は32.5歳でした。

一般的に経験者であっても社内SEの転職は35歳までといわれています。
40代の募集はゼロではありませんが、マネージャーや部門長など管理職での採用となるので求人数は一気に少なくなります。
30代であってもプロジェクトマネージャーなどマネジメント経験とITスキルが両方ある人が優遇されます。

たまに転職サイトでIT業界未経験者の社内SEの募集も見かけますが、それも20代までのこと。
基本的にはプログラマーやSEなど実務経験がある人が優遇されます。
未経験者が社内SEになるのは狭き門と覚えておいてください。

非公開求人が多いので転職エージェントを利用すべし!

社内SEの転職方法は主に転職サイトと転職エージェントと2種類あります。
社内SEは転職サイトなどに掲載される求人数はあまり多くありません。
次の理由で転職エージェント経由で非公開求人で募集するケースが多いです。

・企業経営で重要なシステムの弱みを同業他社に漏れることを防ぎたい
・人気職種なので応募が殺到したときに通常業務に影響を及ぼす

そのため、社内SEの転職活動には転職エージェントの利用が欠かせません。
転職エージェントのメリットは非公開求人の紹介だけではありません。

・求人票にない応募企業の社風や採用理由の理解
・応募書類の添削
・面接の指導
・面接の日程調整
・給与交渉
・入社日の調整など

特に社内SEは会社により業務内容とITの認識が大きく異なります。
求人票にない応募企業の社風や募集の背景など詳しい情報を知るためにも、転職エージェントを活用しない手はありません。

「志望動機がうまく書けない」と頭を悩ませることも社内SEの転職希望者からよく聞く話です。
応募書類の添削と一緒に面接での志望動機の話し方などアドバイスを転職エージェントから受けるとよいでしょう。

応募企業の社内SEの業務範囲をしっかり理解しましょう

社内SEは残業が少なくて自社で落ち着いて仕事ができることからSlerのSEに人気の高い仕事です。
以前と比べて求人数が増えたといっても1社で1人しか採用しないので、狭き門であることに変わりありません。

しかし、会社により社内SEの業務範囲と情報システム部門に期待する役割は異なります。
「残業が20時間以内」「年収が50万UP」など目先の条件につられて、安易な気持ちで転職に踏み切ると入社後に後悔することとなります。

社内SEになりたい人は、気になる企業の社内SEの業務範囲と期待される役割をしっかり理解したうえで転職を行いましょう。