借金玉借金玉

ブラック企業は異常な組織です。そこには異常な価値観が流通し、異常な集団が形勢されています。通常、ブラック企業に勤めるメリットはあまりないとされていますが、実は一つだけあります。「異常な場所では異常なことが起きる」ということです。

通常、会社組織というのは秩序とヒエラルキーのある集団です。人間が集まって仕事をする以上、それは必ず必要なものですし、「良い会社」であればコーポレイトガバナンスは上手くいっているものです。良い給料、たっぷりの休暇、しっかりした福利厚生、十分な余剰を持って業務を回せる体制、明瞭な指揮系統、こういった要素が揃っている会社は間違いなく非常に堅確な組織体制を築き上げています。

こういった「良い会社」では異常なことはあまり起こりません。昇給も昇進も一定のルールに基づいて行われます。ずば抜けた功績を挙げる機会は乏しく、仮に挙げたとしてもその褒章はそれほど大きいものではないでしょう。大体の場合、従業員の能力は年次に比例します。日本のホワイト企業ほどその傾向は強いです。これが「良い会社」です。十分な人員が存在するので有給は取りやすく、誰かが体調不良などで欠勤したとしても業務が破綻するようなことはまずありません。

これらの要素が全て抜け落ちているのが「ブラック企業」です。業務マニュアルの完成度は低い、あるいは存在すらせず、業務は属人的でシェアされていません。誰かが体調を崩せば、代わりの人材が存在しないので即座に業務が破滅的な事態に陥ります。コーポレイトガバナンスはガバッガバで、誰が決定権を持っているのかイマイチわかりません。現場レベル意思決定はグチャグチャです。そういう場所では「異常なこと」が頻発します。むしろ、異常が日常と化すでしょう。

それは、いわば野戦です。上官が斃れれば否応なく野戦昇進が発生します。また、業務が属人的なのでずば抜けた功績を発生させる機会も多いでしょう。戦場からは英雄が生まれるのです、もちろんあまたの犠牲の上にということはありますが。

ブラック企業に入る以上、「異常なこと」を発生させその恩恵に与れなければウマミはありません。そこには異常な野戦における異常な状況が発生し、それはホワイト企業の原則とは全くの別物です。本日はその戦い方についてお伝えしましょう。大丈夫です、僕は元起業家。組織内で下克上を発生させられた側なので、大変その辺間合いはよくわかっています。多少は信用してくれていい。

尚、一つだけ注意があります。ブラック企業の中でも「組織体制がしっかりしたブラック企業」というものも存在し、これはダメです。「利益を出すために末端を使いつぶす」という体制を意図的に築いているところは、「異常なこと」は起きません。それは異常ではあるのですが、ソフィストケートされた完成度の高い異常さなのです。ここには紛れはありません。こういった会社には入社する価値はゼロです。「ブラックしか選択できない」という状況でも、可能な限りこの手の会社は避けましょう。

ブラック企業戦闘ガイド1 野戦昇進

ブラック企業では裁量があなたを求めます。といいますか、指揮系統が終わっているので一定の仕事が出来るとみなされると無限に裁量がぶっ飛んできます。「この仕事わかんないんですけど」「俺も知らない」「やれ」そういう世界観が発生します。ブラック企業において、人間は二種類しか存在しません。裁量を異常に与えられる者と、何の裁量も与えられない者のどちらかです。(後者はすぐに消えていきます)

どちらも大変に厳しいですが、まずはこの「無限に裁量が飛んでくる」を目指してください。「異常な業務量はあるのに上司の決済を得る作業がクソダルい」みたいな会社は完成度の高いブラック企業なので退職しましょう。ただし、決裁業務が破滅することもよくあります、破滅しそうならOKです。上の決済を待っていたら破滅するので現場が勝手に動き出す、あのダイナミズムに乗りましょう。

そして、一定量の決裁権を獲得し上司が討ち死にするとおめでとうございます。あなたに裁量が振ってくる時点で上司はオーバーフロウしているということですからね。さぁ、野戦昇進の発生です。ブラック企業の一般的な作法では、一定以上の権限を獲得した場合上司に「おまえの存在なんなの?」のような圧をかけていくのが正しいとされていますが、この辺は皆さんの良識に任せます。ブラック企業の野戦昇進は半端ではありません、まさに「ぶっ飛ぶ」と言わんばかりの叩き上げが発生します。

この場合において重要なのはホウレンソウを可能な限り全て無視することです。一々上司の判断を仰いでいられるわけがないだろう、こっちは忙しいんだ、なんなら上司など存在しなくていい。そういう圧をゴリゴリにかけていきましょう。ただし、入社序盤の右も左もわからない時期はいけません。ある程度の現場パワーを獲得したらおもむろに仕掛けるべきです。「業務が回らなくて困るのは誰かな?責任取るのは誰かな?役席って責任取るためにいるんじゃないの?」そういう気持ちを出していきましょう。

尚、もうとっくにお気づきとは思いますがこの戦略の大前提は「もうダメなら辞める、即座に辞める、だって俺の会社じゃねえし」です。従業員に取るべき責任など一つもありません。「責任取って辞表出します、明日から来ません、しばらく東南アジアの海辺で命の洗濯をします、この度は申し訳ございませんでした」そういう感じでいいのです。ブラック企業において責任感は致死性を持ちます。全部捨てましょう。

ブラック企業戦闘ガイド2 スタンドプレー

通常、組織人としてスタンドプレーは慎むべきものとされています。正常な組織においてはそうでしょう。しかし、異常な組織においてはスタンドプレーこそが正常となります。といいますか、一々手続き踏んで仕事していたら何も出来ない状態になっていると思います。ここで、「怖いな」という感情が発生するかもしれません、しかしブラック企業においてブッ飛んでいくのはその恐怖のタガがブチ切れている人です。

しかし、注意すべきは「最小限の」コンプライアンスです。法的には問題ないし私は会社のためを思って「やむなく」行動したのだ、そういいきれるだけの余地は残しておいてください。ブラック企業は一般に訴訟を好みます。わりとすぐ訴状が飛んで来ますので、その辺の回避能力は高めておきましょう。

俺は会社のためを思って、会社の利益を考えて、仲間たちの未来のために行動したのだ。どんなときもそう言い切りましょう。大丈夫です。2~3回口にすれば後は滑らかに口から飛び出してきます。そして、やはり2~3回ビッグスタンドプレーに勝つと、次は野戦昇進以上のドカンとした昇進がついてきます。

ブラック企業においては、「クビになってもどうってことない」という労働者が最高速度まで加速する要素があります。だって、そこは他人の会社でしかもブラック企業です。何の摩擦もないレールガンから発射される弾丸のようにあなたは加速できます。また、ブラック企業においてスタンドプレーは容易に英雄性を発生させます。「経営者すらヘタに文句言えない現場の英雄」なんてどこの会社にもいるでしょう。ここまで行けば勝ちが見えてきます。

ブラック企業において目の前に「リスクはあるがリターンもある」という判断が飛び出した場合は、「やる」以外の選択肢はありません。だって、損するのはあなたじゃないのですから。そりゃやるでしょ。そして、勝った後は経営者も迂闊に手を出せない現場の王国を築くなり、経営権を求めて反旗を翻すなり、ゴッソリ人員とノウハウと顧客引っこ抜いて独立するなり様々なキャリアプランが見えてきます。

ぶっちゃけですが、空手からいきなり起業して成功する人は多くないので、現在ブイブイ言わせている若手経営者の結構な比率がこの手の創業手法を取っています。特に、超一流企業などのバックボーンのない方は。ハリガネムシスタイルの起業家は結構いますよね。恨み言が各所から聞こえてきます。僕もやられました。絶対に許さないからな、僕はまだ生きているぞ、僕が生きている限り憎しみは消えねえからな。

ブラック企業戦闘ガイド3 ディフェンスと逃走について

さて、ここまでは「攻め」の手法をお伝えしましたが、ここからは更に重要な「守り」の手法です。というのも、ブラック企業はコーポレイトガバナンスはガバ太郎、指揮系統はグッチャグチャ、順法意識は地を這い、世界は闇に包まれる。そういう会社です。なので、暴れると当然ながら報復が来ます。

しかし、ここで考えていただきたいことがあります。従業員の立場を持っている以上、皆様は資本主義市場において最強の装甲を既に装備しているのです。実際、経営者の立場になってみると、「なんだよこのクソ硬い装甲は、これは流石に理不尽だろう」って思います。極論をすれば、「すいません、体調が悪くてどうしても布団から出られません」と主張する労働者を責める方法って無いんです。もちろん、手続きをきちんとやればですが。診断書に季節のお野菜でも添えて出せばバッチリです。

まずは、ご自身で労働者の権利についてしっかり学習してください。これはヘタに触りをお伝えすると「それだけ覚えた」になってしまいリスクが出てきます。これはブラック企業勤めの方に限らず、労働者の皆様は自分の持っている権利について、そしてその権利を思いっきり振り下ろすとどれくらいのことが出来るのかしっかり把握しておきましょう。そして、日頃から素振りをしておきましょう。労働者がチェストーって言いながら切りかかってくるの、実は経営者も相当怖いんですよ。

また、ブラック企業側が攻撃表示に入った場合に備えて「会社が行っているワルいこと」はキッチリ記録しておくことをオススメします。労働時間なんて間違いなく守っていないでしょうから、コレ一つだけでもそこそこのカードになります。また、ブラック企業は往々にして情報管理もガバッガバなので「アクセスできる情報は可能な限り目を通す」をクセ付けてください。ブラック企業に1年も在籍して、この手のネタがゼロなんてことはまずありえないと思います。もし存在した場合ですが、それはブラック企業ではない可能性が高いですね。

また、社内をじーっと見渡す目線はとても重要です。あれ、なんだこの社宅誰住んでるの?という素朴な疑問から、専務が横領で逮捕されたというお話はわりとよくあります。残念ながら、これはブラック企業の弱みです。完成度をカチカチに高めて現場を意図的に使いつぶすタイプの洗練された会社なら別ですが、基本的に人間が情報を管理するというのはとても難しいことなのです。このお話ですが、専門用語で睾丸をグリップするといいます。

そして、最も重要なことですがあなた自身はくれぐれもコンプライアンスを守ることを意識してください。究極的に、法治社会において「正しい」というのは最も強い武器なのです。「悪いことする人間は強い」という感覚が一般にありますが、これはウソです。悪いことをしていない、正しい人間が利益を得るように社会はデザインされています。ただ、勘違いして欲しくないのはこの場合のコンプライアンスというのは、ソリッドに「法令」のことです。ブラック部族の掟のことではありません。

終わりに

いかがでしょうか。「あれ?楽しそう?」という感覚が芽生えたなら、ちょっとやってみてもいいかもしれませんよ。もちろん、仕事はキツくリスクもあります。しかし、ここから輩出された成功者というのも結構な数存在するんですよね。英雄は戦場からしか生まれません。英雄になりたければ、戦場に飛び込むしかないのです。

僕個人としては、起業を志す方も一度「ブラック企業」を経験しておいて損はないと思います。色んな意味で強くはなれます、壊れなければですが…。そして、このコラムにおいて「ブラック企業」に限らずお伝えしたいことはこういうことです。

そこはあなたの会社ではありません。あなたに責任はありません。会社の利益よりあなたの健康は比較できないほど尊いです。その会社が転ぼうと、大損失を出そうと、きちんと勤めていた労働者には何の責任もありません。それだけは忘れないでください。

ブラックに限らず、あらゆる人間の組織においてひどいことは起こります。これはもう、人間だから仕方ないとさえ言えます。経営者が必死にいい会社にしようとしていても、結果出来上がるのは悪夢のような職場ということもあります。いつだって労働者は逃げていいのです。尚、「逃げる」場合のテクニック、利益最大化の方法についてはしっかり学習しておきましょう。失業保険辺りから基本をキチっとね。ブラックにいたならまぁ、即失業保険は出るでしょう。

さぁ、色々ありますがやっていきましょう。あなたが英雄になれることを、そして英雄としてのあなたがホワイトな、人を幸せにする組織を作り上げてくれることを心から祈っています。やっていきましょう。

ブラック企業 ホワイト企業関連情報でよく読まれているページ ベスト3

\ 借金玉✕ジョブシフト /

↓    ↓

この記事を書いた人

借金玉借金玉

http://syakkin-dama.hatenablog.com 発達障害者ライフハックブログをやったりしている人です。31歳です。コンサータは54ミリ飲んでます。よろしくお願いします。 syakkindamaアットhttp://gmail.com 試験的にメアド公開始めました。お仕事の依頼などはこちらにどうぞ。 衆院議員ではないです。⇒前回の地獄の生態系、ブラック企業生物図鑑もよろしくお願いします。