みなさんが前職を退職した場合「源泉徴収票」というものがもらえると思います。
年末になると給与明細と一緒についてくるあれですね。中には源泉徴収票を提出したくない人もいると思います。
そこで源泉徴収票を提出するまでにやるべき事や、提出したくない場合の対処法を紹介します。
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源泉徴収票とは?
税金関係、特に所得税や住民税は年度単位(4月~翌年3月)ではなく年単位(1月~12月)の給与等収入をもとに決定されます。



わかりやすく言うと「その会社での自分の確定申告書のコピー」ね。
11月に年末調整もための書類を提出していましたら、その書類によって控除等を受けた結果として、その会社の今年の「最終成績」的なものになります。
ここに書いてあるのがその年の年収というわけです。
ここに記載されている所得税は、給与から天引きされたもの+年末調整で可不足を修正したものの最終結果です。
12月給与が微妙に多かったり少なかったりするのは、所得税が年末調整の結果増えたり減ったりしたからです。

これで戻ってくる所得税もありますよ。
ただ、多くの人は、その会社だけで働き、年末調整時に書類を提出しているので、この源泉徴収票がその年の「最終結果」になります。
源泉徴収票はその人のその年の年収を対外的に証明するものですから、結婚相談所に入るときなどの年収をこの数字をもとに計算されます。
退職時に渡される2種類の源泉徴収票
12月末に退職すれば、前の会社の年末調整後の源泉徴収票はもらえますが、5月とか10月とか期中に退職した場合は、源泉徴収票には年末調整の結果が反映されていません。
したがって、
- 12月末時点で転職していない(無職)→自分で確定申告
- 12月末転職先にいる→転職先で年末調整→源泉徴収票
という流れが基本です。
この場合、転職先に源泉徴収票を渡すべきかどうかが問題になります。
退職時には、この2種類もらえることになります。
- 給与(ボーナス含む)の源泉徴収票
- 退職所得(退職金)の源泉徴収票
もらえない?これは法的な義務ですので前職の会社が発行しなければならないことになっています。
もしもらえていない場合は、前職の会社に言うか税務署に相談しましょう。
ひょっとすると前職の会社が脱税しているかもしれませんね。
転職先に提出すべき?
そこで問題になるのが源泉徴収票を会社に提出するかどうかです。
このうち退職所得については、退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していた場合は、退職所得独立で、前職の会社が所得税を引いて退職金を支払うのでそこで税金関係は完結して、新しい会社に提出する必要はありません。
そもそも勤続10年くらいで退職した場合は、退職所得控除額>退職金なので、退職金に税金はかからないケースが多いです。
例えば筆者が前職を退職した時(勤続約10年)では
- 退職金:約200万円
- 勤続20面未満の退職所得控除:40万円×勤続年数(10年)=400万円
- 所得税:200万円‐400万円=マイナス200万円
なので所得税は0円です(さすがに戻ってはきません)。
税金が0なのだから新しい会社に提出する意味もありません。
所得税を支払ったケースも退職金から支払われ、控除などを申告する必要もないので、どっちにしても退職手当の源泉徴収票は提出しなくてOKです。

それでももし退職所得の源泉徴収票を求めてくる会社があれば、明らかに不要な個人情報を聞いてきていますから、社員を管理、統制したい超悪質なブラック企業の可能性があります。
「退職所得の源泉徴収票は提出しなくていい」が正解です。
給与所得の源泉徴収票は提出した方がいいが義務ではない



退職が11月末などのケースを除き、年末調整に源泉徴収票が間に合うならば提出してください、と言われるはずです。
ただし、これは法的な義務ではありません。「自分で確定申告するから提出しません」と言うこともできます。
前職の源泉徴収票+転職先の源泉徴収票(転職後から計算されたもの)+各種控除書類等を合わせて自分で確定申告しても問題ありません。
その場合確定申告自体は必ず行う必要がありますが、転職先に前職の年収を知られずに済むということはあります。
ただし、確定申告の作業自体が煩雑で、間違って申告したら申告漏れがあり修正申告を求められたり課徴金の支払いを求められたりする可能性があります。
特に思うとことがなければ素直に提出した方がいいと考えます。
副業があったり提出したくない場合は非提出でOK
前職について知られたくない、あるいは副業をしていたり、休職中であることを知られたくない場合も源泉徴収票は提出しなくても大丈夫です。
なんらかの事情で源泉徴収票を提出したくないひとには有り難いと言えるでしょう。
ただ前職の源泉徴収票を元に自分で確定申告をすることになりますし、間違えたり書き換えをしてしまうと思わぬリスクもありますので注意しましょう。
刑罰として3月以上10年以下の懲役を受ける可能性があります。もちろん、民事上でも契約の取消し、不法行為に基づく損害賠償請求、つまりクビにされる可能性が極めて高いのでそういうことは絶対にしないでくださいね。
転職後に源泉徴収票を提出すると起きること
年末調整を転職先の会社がやってくれる
源泉徴収票提出の主目的は会社が年末調整で申告を代行してくれることにあります。
これならば申告漏れや脱税などの心配はありません。
自分で計算したり書類を提出したりしないので安心です。
何かミスがあっても、これはみなさんの責任ではなく会社の責任なのでみなさんが追徴課税されるなどのペナルティの可能性は極めて低いはずです。
人事のウケがよくなる
前の会社の情報を渡すわけで、人事には会社に従順な羊だと思われるかもしれません。
よくも悪くも日本的な価値観であります。
源泉徴収票を提出しないと起きること
副業を疑われる
日本の会社では「副業禁止規定」を設けているところが多く、厳密にいうと憲法の「職業選択自由」に反するので、争えば勝てる(つまり副業やってもOK)なのですが、知られて干されたくないですよね。
副業は住民税でバレてしまいます。
同じ仕事をしているのに著しく住民税が高い人は他に仕事をしている可能性があるんですね。
だから年末調整をせずに自分で確定申告をする人もいるのですが(加えて住民税天引きではなく「普通徴収」=自分で納付するに〇する)、これも医療費控除や住宅ローン控除などそれなりの理由を付けないと怪しまれる可能性があります。
最初から源泉徴収票を提出しないと「この人副業やっているのでは?」と疑われるかもしれません。
会社に対して反抗的では?と思われる
本来、確定申告を個人で行うのが原則で、年末調整は「忙しい会社員だから特別に人事が本人に代わってやってもいい」という制度なのですが、今の日本では「年末調整が当たり前。自分で確定申告する人は訳あり」という認識になっています。
納税の原則を実践する人がマイナス評価になるのはそもそもおかしいのですが、日本の村社会、同調圧力はそういうのも是としてしまうんですね。
取り立てて理由がないのであれば素直に会社に前職の源泉徴収票を提出しておくのが無難、という結論になります。
前職と転職の間にアルバイトをしていた場合は?
前職を退職し、転職が決まるまでアルバイトをしていた人もいるでしょう。
その場合、アルバイト先からもらえる源泉徴収票も提出します。
ただ、個人営業の店を手伝うとか、クラウドソーシングで物を書いていたという人は、源泉徴収票がもらえないかもしれません。
その場合は、そこからのバイト代の振り込み明細(通帳など)を提出すればOKです。
実家の店を手伝って1~2万お小遣いをもらった程度であれば言わなくても大丈夫でしょう。
ある職場で5万円以上稼ぐと、雇用主が事務所にその人のマイナンバーを付けて提出するので、そこから足が付く可能性があり、まぁ転職先に提出ないし報告しておいた方がいいでしょう。
以前は、ほぼバレないし、現金当日取っ払いだから大丈夫という雰囲気でしたが、マイナンバーの導入で雇用先がマイナンバーを付けて提出することが義務になったため、そこからバレる可能性がゼロではないということです。
ただ訳ありでそういうお店で働いている人も多いわけで・・・、このサイトではこの分野については明確な答えを出すことができません。
源泉徴収票をもらって提出するのが「模範解答」ではありますが、それでいいのか、リスクもあります。そもそも源泉徴収票を発行しないお店もあるかもしれません。
というわけでこの夜のお店や風俗店で働いていた人は、様々なリスクを勘案し場合によっては専門機関などに相談に行ってください。
転職前に副業をしている人はどうする?
転職先が副業OKならばその旨伝えて源泉徴収票を提出するか、「ダブルワークなので自分で確定申告します」でいいのですが、多くの会社に存在する「副業禁止規定」がある会社に転職した場合、隠れて副業することになります。


副業をしていると住民税の額が多くなり、嫌な人事だと逐一チェックしています。
やる気のない人事だと、住民税額をチェックはしないのですが、これも運です。
ただし、その年に稼いでいた分を全て今の会社で年末調整しないといけないわけではありません。
副業の分は源泉徴収票を添えたうえで確定申告します。
つまり
- 前職の源泉徴収票を出して、本業の年末時に(1年分の)源泉徴収票をもらう
- 本業の源泉徴収票を添えて副業分の確定申告をする
- 翌年の住民税でバレないように「普通徴収」(自分で納付する)にする
が一番いいです。
前職の源泉徴収票を提出する義務はないと書いたので、最初から「全部確定申告します」でもいいのですがその方が会社に疑われそうです。
悩ましいわけですが、住民税で足がつかないように翌年以後も苦労することになるでしょうね。
「前職の源泉徴収票の提出は副業とそこまで関連せず、住民でばれない対策のほうが大切」が回答です。
⇒副業に関しての記事はコチラ
転職先への源泉徴収票の提出まとめ
いろいろ書きましたが、前職からもらう源泉徴収票ですが、退職時から提出までにやっておくべきことは?と聞かれるとこういうことになります。
- 確実に源泉徴収票をもらう(くれない場合は請求する)
- 記載内容に間違いがないかどうか確認する(この数字をもとに翌年の税金が決まります)
- 提出して年末調整をお願いするか、自分で確定申告するか決める
- 自分で行う=提出しない場合、会社の中で評価が下がるなどリスクがあるかも
- 提出して年末調整、自分で確定申告、いずれもしないのは絶対NG
- 前職と転職の間でやっていたアルバイトの源泉徴収票も提出する
- ちょっと言えないようなアルバイトの場合は専門家に要相談
- 副業は禁止規定がある会社の場合、バレないように住民税対策の方をしっかりやる
関連⇒転職時の年末調整はどうする?自分で確定申告するパターンは?