近年、都心部から地方へと移住する「人口還流現象」が起きていることがマスコミでも取り上げられるようになっていますが、その象徴となっている就職や転職のパターンが「Iターン」や「Jターン」です。

ところが「Iターン」や「Jターン」は、Uターンほど多くの方に認知されている言葉とは言えません。

そこでこの記事では「Iターン」と「Jターン」のそれぞれの意味や違いを明らかにすると共に、「Iターン」「Jターン」の就職や転職に役立つ知識を詳しくご紹介して参ります。

故郷以外の地方に就職や転職を考えておられる方々必見の記事ですので、ぜひご覧ください。

IターンとJターンの意味とその違いについて

Iターンとは?

Iターンは「ターン」の前に付くアルファベット「I」の形に着目すると、理解しやすくなります。

Iはまっすぐ一方向へと伸びており、曲がったり、戻ったりしていませんよね。

Iターンとは生まれ育った故郷から別の地域へと直線的に移住し、そこで就職や転職を果たすことを言います。

Iターンはネット上で「都心で生まれ育った人が地方へ就職や転職を果たすこと」という定義で紹介されている場合が多く見られますが、この定義は正確だとは言えません。

人口が最も多いのが都心部ですから、結果的に都心から地方へとIターン就職や転職を行う方が最も大きな割合を占めるのは事実です。

しかし「地方で生まれ育った方が別の地方へ就職や転職をする」ケースも直線的移動となりますので、この場合もIターンとなります。

では具体的な事例で確認してみましょう。

(Iターン事例)

  • 東京で生まれ育ち、東京の大学へ進学 → 石川県へ就職
  • 大阪で生まれ育ち、大阪で就職    → 宮崎県へ転職
  • ・山形県で生まれ育ち、山形県の大学へ進学 → 島根県へ就職

Iターンの特徴の一つは事例からわかるとおり、Iターン先には初めて住むことになる点です。

つまり一度も住んだことがない場所へ移り住み、仕事をすることになります。

また、地方から東京や大阪といった都心への移動も形状としては「I」ですが、地方から都心への就職や転職はIターン就職や転職には含めません。

Iターンは自分が生まれ育った地域と同程度の人口規模、もしくはそれより小さな規模の地域へと移住する場合を指すことが二点目の特徴です。

Jターンとは?

Jターンとは故郷を離れて都心部等の大学へ進学あるいは就職した方が、故郷ではないけれども、例えば故郷の隣県など故郷の近くで就職や転職を果たすケースを言います。

事例で確認してみましょう。

(Jターン事例)

  • 東京で生まれ育ち、北海道の大学へ進学 → 埼玉県に就職
  • 富山県で生まれ育ち、大阪の企業へ就職 → 新潟県に転職
  • 宮城県気仙沼市で生まれ育ち、愛知県の大学へ進学 → 宮城県仙台市へ就職

Jターン事例として三番目にご紹介した宮城県仙台市へ就職した事例ですが、Jターンという言葉が頻繁に使われるようになる前は故郷と同県内に戻ってきた場合も「Uターン」と表現されていました。

しかしながら近年ではUターンもJターンも増加傾向にあり、Uターンは自分の故郷の自治体エリア(主に「市」レベル)に戻ってくる場合に限定して表現されるようになっています。

そのため3番目の事例のような同県内であっても別の市に就職した場合には、UターンではなくJターンと考えて構いません。

IターンとJターンの違いとは?

IターンとJターンの違いについてわかりやすく理解できるよう、項目に分けてその違いをご紹介することにします。

故郷からみた場合の就職又は転職の方向

  • Iターン:故郷から離れる
  • Jターン:故郷に近づく

住む(または住んだ)場所の数

  • Iターン:「故郷」と「就職先または転職先」の2ヶ所のみ
  • Jターン:「故郷」と「進学または就職先」、「就職または転職先」の計3ヶ所

就職先や転職先に対する認知度や訪問度

  • Iターン:調べたり、旅行したりした程度で高いとは言えない
  • Jターン:故郷に比較的近いため、認知度や訪問頻度は比較的高い場合が多い

故郷への帰省

  • Iターン:Iターンする前にはなかった「帰省」の機会が生じることになる
  • Jターン:今まで住んでいた地域より帰省しやすくなる

IターンやJターン先として人気の県とは?

IターンやJターンは自分の故郷を起点として、故郷以外の地方へ移住することが前提となりますが、では故郷以外の地方としてどんな都道府県が選ばれる場合が多いのか、ランキングデータをご紹介します。

地方移住の希望先に関するアンケート・人気ランキング結果(2016年)

  • 1位:山梨県
  • 2位:長野県
  • 3位:静岡県
  • 4位:広島県
  • 5位:福岡県
  • 6位:岡山県
  • 7位:大分県
  • 8位:新潟県
  • 9位:長崎県
  • 10位:宮崎県

このランキングは認定NPO法人「ふるさと回帰支援センター」(本社東京都)が2016年に実施したアンケート結果です。

アンケート対象者となったのは同NPO法人が東京都で運営している「ふるさと暮らし情報センター」の新規来場者で、有効回答数は約6,800件です。

東京都の施設で実施されたアンケートですので、具体的な割合は不明ながら東京またはその近郊に居住している方々の割合が高かったと思われます。

上位ベスト3では近県志向が顕著

東京やその近郊在住者の方が多いと仮定した場合、山梨は東京と隣接していますし、長野は埼玉、静岡は神奈川を挟んでいるだけですのでベスト3だけをみれば近県志向が伺えます。

4位以降では西日本志向が影響

ところが、4位以降に目を向けると広島、福岡、岡山など遠方の西日本志向が顕著です。

中でも九州地方はベスト10の内4県を占めています。

上位3位から伺える近県志向とは正反対とも言える傾向ですが、ベスト10から言えることは関東地方の隣接県と九州を中心とした西日本エリアの人気が高いということです。

これら地域へ就職や転職を検討している方々は、早め早めの準備や対策に力を注ぐことが大切だと言えます。

IターンやJターンの情報や求人探しはどうすべきか

IターンもJターンも現在住んでいる地域と異なる地域で仕事を見つける必要がありますので、情報取得が容易ではありません。

そのため、求人情報をはじめとした情報取得が就職や転職成功の鍵となってきます。

IターンやJターン就職、転職を目指す方々が情報を取得する際にぜひ利用をオススメしたいのが次の2つです。

Iターン、Jターン先候補地自治体のホームページ

IターンやJターンは求人情報さえ得られれば成功できるというものではありません。

地域での生活を安心してスタートさせられるよう住まいや住環境に関する情報、地域の行政サービスや教育サービス、医療サービスなどにも目を配り、幅広く情報を取得しておく必要があります。

そうした総合的な情報を提供してくれるのが地方自治体のホームページです。

自治体ホームページの中で「雇用促進」や「労働対策」、あるいは「移住促進」といった地域での雇用や移住に向けた情報を紹介しているページは特に入念にチェックすることが重要です。

それらのページに小まめにアクセスしていれば、自治体が緊急で開催する合同就職説明会に関する情報や、新たにスタートさせた移住者向け生活補助金制度など、地方への就職をテーマとしたポータルサイトなどでは決して得られない最新情報を入手できます。

尚Iターン、Jターン先の候補地が複数ある場合は、それぞれの自治体ホームページにアクセスする必要がありますが、それを面倒がっていては情報戦には勝てません。

地方自治体の移住や雇用に関わるページをブックマークし、毎日チェックするぐらいのつもりでアクセスすることが大切です。

地方への転職に強い転職エージェントを活用する

二つ目にオススメしたい方法が、地方への転職支援に強い転職エージェントの利用です。

転職エージェントは「無料」で利用できますので利用しない手はないのです。

ではどんな転職エージェントが良いかと言えば、全国的に拠点を有する大手の転職エージェントがオススメです。

具体的にはリクルートエージェントDODAですが、これら大手転職エージェントであれば、東京以外にも全国的な拠点や地方企業との豊富なネットワークがあります。

東京にしか拠点を持っていない転職エージェントより、地方の拠点などを通じ就職や転職に関する情報をスピーディーに収集・把握できるからです。

しかも転職エージェントを利用すれば求人を紹介してくれますので、自分自身で求人を探す手間もなくなります。

退会だっていつでも自由にできますので、Iターン、Jターンを目指す方は積極的に転職エージェントを利用して就職や転職をぜひ成功させてください。

Iターン・Jターンの志望動機で気をつけなければならないこと

Iターン・Jターンに限りませんが面接突破の鍵を握ることになるのは「志望動機」です。

その志望動機においてIターン、Jターン志望者が陥りやすいのが「その地域に住む動機が主体になっており、面接を受けている企業の志望動機にはなっていない」というパターンです。

例えば次のような志望動機です。

「◯◯市は自然豊かで山の幸と海の幸にも恵まれ、住民の方々もとても親切で大変暮らしやすい町だったのでぜひこの町で暮らしたいと考えIターン(またはJターン)を決断しました。
その◯◯市において御社はもっとも大きな企業であったので志望しました。」

この志望動機は正直な動機かも知れませんが、これではその企業を志望した理由は◯◯市に住みたいことが一番であって、◯◯市で働くために一番大きな企業を探しただけであり、
もし町内で二番目の規模であれば志望しなかったと受けとめられてしまいます。

採用担当者が志望動機で知りたいことは、「我が社のどこが良くて応募したか」です。

Iターン、Jターンで応募してきた応募者が「◯◯市にあるから」も応募動機になっていることぐらい、はじめからわかっていることなのです。

従って相手企業へ志望動機を伝える場合のポイントとなってくるのは

  • Iターン先、Jターン先としてその地域を選んだ理由とできるだけ絡めないようにする
  • 応募先の企業研究をしっかりと行い、極論すればその企業がどこにあったとしても自分が働きたいと思えるようや企業の魅力や良さを見出しておく

以上の二点です。

Iターン先、Jターン先として選んだ理由は「尋ねられたら答える」で良い

一つ目のポイントしてあげた「Iターン先、Jターン先としてその地域を選んだ理由とできるだけ絡めないようにする」ですが、ポイントとなっている理由は、我が社のどこがよくて応募したかをわかりやすく伝えるためだけではありません。

Iターン先、Jターン先としてこの地域を選んだ理由は採用担当者も聞きたい点なので、大抵の場合、志望動機とは別に尋ねられるからです。

つまり「なぜあなたはここに住みたいと考えたのですか」といった主旨の質問に備えて、Iターン先やJターン先としてその地域を選んだ理由をとっておく必要もあるので、志望動機の場面ではあまり動機に絡めないようにした方が良いのです。