無資格からケアマネージャー(介護支援専門員)になるには?



ケアマネージャー(介護支援専門員)は、介護が必要な人のケアプランを作り、サービスを調整する専門職です。国家資格と思われがちですが、厳密には都道府県知事の登録を受ける公的な資格です。
この記事では、ケアマネージャーの受験資格、無資格から目指す場合のステップと年数、試験の合格率、資格を取るまでの流れ、仕事内容、働き方をわかりやすく解説します。
結論:無資格から目指すなら「介護福祉士になって5年」が王道
- ケアマネージャーの試験を受けるには、決められた国家資格などにもとづく業務、または相談援助の業務を「5年以上かつ900日以上」経験する必要がある
- 無資格の介護職の経験だけでは、受験資格にならない
- 無資格から目指す場合は、介護福祉士を取ってから5年以上の経験を積むのが一般的で、最短でも8年ほどかかる
- 試験の合格率は、直近3回で21.0%〜32.1%と、しっかりした対策が必要
- 合格後は、実務研修を修了して登録することで、ケアマネージャーとして働ける
ケアマネージャーの受験資格
ケアマネージャーになるには、都道府県が行う「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。受験するには、次のいずれかの経験が通算5年以上、かつ900日以上必要です。
| 区分 | 対象 |
|---|---|
| 法定資格にもとづく業務 | 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士の資格を持ち、その資格にもとづく業務に従事した期間 |
| 相談援助の業務 | 生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として、相談援助の業務に従事した期間 |
※細かな要件は、受験する都道府県の受験要項で確認してください。

実務経験の証明に注意
受験の申し込みには、勤め先が発行する「実務経験証明書」が必要です。転職をしている場合は、前の職場にも証明書を書いてもらう必要があります。
- 資格を取る前の期間は、その資格にもとづく業務の期間として数えられない
- 「900日以上」は実際に働いた日数で、休日などは含まれない
- 前の職場が閉鎖している場合など、証明が難しいときは早めに都道府県に相談する
受験を考え始めたら、これまでの勤務の記録を整理しておくと安心です。
無資格から目指す場合のステップ
無資格からケアマネージャーを目指す場合は、次のステップで進むのが一般的です。
- 介護職員初任者研修を修了する(任意。無資格から実務者研修に進むこともできる)
- 介護福祉士実務者研修を修了する
- 介護の現場で3年以上の実務経験を積む
- 介護福祉士の国家試験に合格し、登録する
- 介護福祉士として5年以上(900日以上)の実務経験を積む
- 介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
- 介護支援専門員実務研修を修了し、都道府県に登録する
1.介護職員初任者研修
介護の入門の資格です。介護の基本的な知識と技術を学びます。無資格の人でも受講できます。
2.介護福祉士実務者研修
より専門的な介護の知識と技術を学ぶ研修です。実務経験ルートで介護福祉士の国家試験を受けるには、この研修の修了が必要です。
3.介護の現場での実務経験
介護福祉士の国家試験を受けるには、介護の業務に従業期間3年以上(1,095日以上)、従事日数540日以上の実務経験が必要です。働きながら実務者研修を修了しておくとスムーズです。
4.介護福祉士の資格取得
実務経験と研修の修了を満たしたら、国家試験を受けます。2026年1月の第38回試験からは、科目をパートに分けて合否を判定する「パート合格」の制度も始まりました。
5.介護福祉士として5年以上の実務経験
介護福祉士として登録したあと、介護福祉士としての業務を通算5年以上、かつ900日以上経験すると、ケアマネージャーの試験を受けられるようになります。
6・7.試験に合格し、実務研修を修了する
試験は年に1回、例年10月ごろに行われます。合格したら、87時間の「介護支援専門員実務研修」を受け、修了後に都道府県に登録して「介護支援専門員証」の交付を受けると、ケアマネージャーとして働けます。
ケアマネージャー試験の合格率
厚生労働省の公表によると、直近3回の試験の結果は次のとおりです。
| 回(年度) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第26回(令和5年度) | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
| 第27回(令和6年度) | 53,699人 | 17,228人 | 32.1% |
| 第28回(令和7年度) | 50,601人 | 12,961人 | 25.6% |
合格率は2〜3割ほどで、決して簡単な試験ではありません。介護保険制度や医療・福祉の知識が幅広く問われるため、計画的な勉強が必要です。
試験の内容
試験は、マークシート方式で行われます。
| 分野 | 問題数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 介護支援分野 | 25問 | 介護保険制度、ケアマネジメント、要介護認定など |
| 保健医療福祉サービス分野 | 35問 | 医療の知識、各種の介護サービス、福祉の制度など |
合格するには、2つの分野それぞれで基準の点数を上回る必要があります。片方の分野だけ得意でも合格できないため、苦手な分野を作らないことが大切です。
働きながら合格するための勉強法
- 過去問を中心に勉強する:よく出るテーマをつかみ、間違えた問題を解き直す
- 介護保険制度の基本を固める:介護支援分野は制度の理解が土台になる
- すきま時間を活用する:通勤や休憩の時間に、アプリや一問一答で用語を覚える
- 半年以上前から計画を立てる:仕事と両立しながら、無理のないペースで進める
ケアマネージャー(介護支援専門員)の仕事内容


ケアプランを作るためには、まず利用者のことを知ることが第一歩です。利用者や家族の希望を聞き取り、体の状態や暮らしの様子を把握します。
在宅の利用者を担当するケアマネージャーは、利用者の自宅を訪問したり、デイサービスなどの事業所で様子を確認したりします。施設のケアマネージャーも、利用者の様子を見て、介護の現場の職員から話を聞きます。ケアプランの作成といっても、デスクワークばかりではない仕事です。
| 仕事の流れ | 内容 |
|---|---|
| アセスメント | 利用者の心身の状態や暮らし、家族の状況、本人の希望を把握する |
| ケアプランの作成 | 目標と、それを実現するためのサービスの内容を計画する |
| サービス担当者会議 | サービスを提供する事業所と、計画の内容を話し合う |
| モニタリング | サービスが計画どおりに行われ、効果が出ているかを確認する |
| 給付管理 | サービスの利用の実績をまとめ、介護保険の請求に必要な書類を作る |
働く場所による違い
ケアマネージャーは、在宅の利用者を担当する「居宅介護支援事業所」と、介護施設で働く場合とで、仕事の内容が少し違います。また、ケアマネージャーの資格を持つ人が、ほかの職種と兼務して働くこともあります。
老人ホームなどの介護施設で働くケアマネージャー

計画を利用者と家族に説明して同意を得たら、施設の職員に計画の内容を伝えます。その後は、日ごろの様子を確認し、計画が生かされているかを見て、必要があれば見直します。施設の管理者や生活相談員などと兼務することもあります。
居宅介護支援事業所で働くケアマネージャー
自宅で暮らす利用者のケアプランを作り、訪問介護やデイサービスなど、さまざまな事業所のサービスを組み合わせて調整します。毎月、利用者の自宅を訪問して様子を確認するのも大切な仕事です。
デイサービスで働くケアマネージャーの資格を持つ人

訪問介護事業所で働くケアマネージャーの資格を持つ人

サービス提供責任者は、居宅のケアマネージャーが作ったケアプランと、本人・家族の意向をもとに「訪問介護計画書」を作り、ホームヘルパーの調整を行います。
ケアマネージャー(介護支援専門員)の給料と働き方

ケアマネージャーの給料は、働く場所や地域、雇用の形、経験によって大きく違います。求人を比べるときは、基本給、資格手当、賞与の実績を含めた年収で比べることが大切です。
正社員のケアマネージャー

正社員として働く場合は、月給制が一般的です。ケアマネージャーの資格手当が給与に含まれていることもあります。これまでの経験によって、月給が変わる事業所もあります。
非常勤(パート)のケアマネージャー

非常勤の場合は、時給制で働く形のほか、担当する件数に応じて報酬が決まる形もあります。働く時間が短くなると担当する件数は少なくなりますが、仕事の内容そのものは変わりません。
派遣で働くケアマネージャー

派遣のケアマネージャーは、比較的時給が高めに設定されることがあります。ただし、介護職員に比べると、派遣のケアマネージャーの求人は多くありません。
賞与(ボーナス)
賞与の有無や金額は、事業所によって大きく違います。

ケアマネージャーの資格の更新
介護支援専門員証の有効期間は5年です。働き続けるには、期間内に決められた更新研修を受けて、証の更新を行う必要があります。資格を取ったあとも、学び続けることが求められる仕事です。
ケアマネージャーのその先のキャリア
ケアマネージャーとして経験を積んだあとは、「主任介護支援専門員(主任ケアマネージャー)」を目指す道もあります。ケアマネージャーとして一定の期間働いたうえで、決められた研修を修了することで取得できます。ほかのケアマネージャーへの助言や指導、地域のケアマネジメントの支援など、より幅広い役割を担います。地域包括支援センターなどで活躍する人もいます。
ケアマネージャーのやりがいと大変なこと
| やりがい | 大変なこと |
|---|---|
| 利用者が望む暮らしを、サービスの組み合わせで実現できる | 利用者・家族・事業所の意見の調整に苦労することがある |
| 夜勤のない職場が多く、生活のリズムを整えやすい | 書類の作成や、月末・月初の給付管理が忙しい |
| 医療や福祉の幅広い知識が身につく | 制度の改正が多く、学び続ける必要がある |
| 介護の現場の経験を生かせる | 担当する利用者が多いと、一人ひとりに時間をかけにくい |
資格を取った直後でも求人に出会うコツ


ハローワークや都道府県の福祉人材センターでは、ケアマネージャーを含む介護の仕事の求人紹介や相談を受けられます。業務の内容や給料・賞与、未経験の人への研修や、先輩との同行訪問の有無などは、面接や見学のときに確認しておきましょう。
実務研修で知り合った人や、今の職場のケアマネージャーに、働きやすい事業所の情報を聞いてみるのもひとつの方法です。
架空のケース:介護福祉士からケアマネージャーになったYさん
※以下は架空の例です。
Yさん(架空)は、無資格で特別養護老人ホームに入職し、働きながら実務者研修を修了。3年後に介護福祉士の国家試験に合格しました。その後、ユニットリーダーとして5年間働きながら、通勤時間に過去問を解くなどしてケアマネージャーの試験に備えました。
2回目の挑戦で合格し、実務研修を経て、今は居宅介護支援事業所でケアマネージャーとして働いています。現場の経験があるため、事業所との調整もスムーズに進められています。
ケアマネージャーに関するよくある質問
Q.看護師などの資格があれば、もっと早く受験できますか?
看護師や社会福祉士などの法定資格を持っている人は、その資格にもとづく業務を5年以上(900日以上)経験すれば受験できます。すでに資格を持っている人は、介護福祉士を取る必要はありません。
Q.生活相談員として働けば受験できますか?
生活相談員などとして相談援助の業務を5年以上(900日以上)経験すれば、受験資格を満たします。ただし、生活相談員として働くための要件は自治体などによって違うため、確認が必要です。
Q.試験は年に何回ありますか?
試験は年に1回で、例年10月ごろに行われます。申し込みの時期は都道府県によって違い、夏ごろまでに締め切られることが多いので、早めに受験要項を確認しておきましょう。
Q.年齢の制限はありますか?
受験に年齢の制限はありません。必要な実務経験を満たしていれば、何歳でも受験できます。介護の現場で経験を積んでから、40代や50代で合格する人も多くいます。
まとめ:ケアマネージャーに向いているのはこんな人!
ケアマネージャーは、介護の「コーディネーター役」です。多くの事業所や利用者・家族と連絡を取り合い、相談しながら物事を決めていく必要があります。
人と話すことが苦にならない人や、情報を整理してわかりやすく伝えるのが得意な人に向いている仕事です。無資格から目指す場合は時間がかかりますが、介護福祉士の資格と現場の経験を積み重ねることで、確実に近づいていけます。