皆様は航空管制官についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。

空港や飛行機を舞台としたアクション映画などで、航空管制官がレーダーを見ながら飛行機のパイロットへ指示を繰り出すシーンなどがしばしば登場しますが、そうした場面を見て航空管制官にカッコよさや憧れの思いを抱いている方も少なくはないでしょう。

ところがそうしたイメージとは裏腹に、傍からではわからない航空管制官特有の苦労や大変さがあります。

そこでこの記事では航空管制官ならではの苦労や重圧といったあまり知られていないマイナス面にもスポットを当てると共に、航空管制官への転職を志すも挫折した方の体験談を通じ、航空管制官を目指す場合に必要となる心得や覚悟などをお伝えして参ります。

航空管制官の仕事内容と責任の重大性

航空管制官の仕事内容を改めて確認しておくことにしましょう。

航空管制官のな仕事内容は大きく二つに分けることができます。

それは「飛行場管制業務」と「ターミナルレーダー管制業務」という業務です。

飛行場管制業務とは

空港で最も高い建物であり、しかも四方がガラス張りとなっているのが管制塔と呼ばれる建物です。

この管制塔において、航空管制官が目視によって空港へ着陸、あるいは離陸しようとしている飛行機のパイロットに指示を出すことで、安全に飛行機を誘導する業務が飛行場官制業務です。

ターミナルレーダー管制業務とは

管制塔の下部にはレーダー管制室というものがあり、そこには映画などでもお馴染みのレーダー機器がずらりと並んでいます。

ターミナルレーダー管制業務とはそのレーダー管制室において、空港からでは目視できない遠方を航行中の飛行機に対しレーダー機器をフル活用しながら、安全に航行できるよう高度や針路等に関する指示を出す業務のことです。

航空管制官の仕事は集中力と的確な判断力、重圧に耐える精神力が必要

航空管制官の仕事内容は先程ご紹介した二つの業務ですが、それらの業務をやり抜くには長時間途切れない集中力、状況を瞬時にしかも的確に判断する能力、そして重圧に耐える精神力が必要です。

例えば空港を取り巻く気象は刻々と変化します。

急に突風が吹く場合もあれば、突然雪が降り出すこともあります。

変化するのは気象だけではありません。

飛行機に突然トラブルが発生したり、動物が滑走路に迷い込んだりすることもあります。

そういった常に変化する環境の中で、航空管制官は何が最も安全で適切かを瞬時に判断し、的確にパイロットへ指示を下さなければなりません。

しかも、もしそうした判断や指示でミスをしてしまった場合には飛行機の安全性が脅かされ、最悪多数の人命が奪われる大惨事を招きかねないのです。

謝罪すれば済む話ではありませんので、航空管制官にミスは絶対に許されないのです。

つまり航空管制官は、刻々と変化する環境の中で、絶対にミスが許されない判断を瞬時に下さなければならないという大変な重圧に業務時間中ずっとさらされることになります。

この重圧に耐え続けるタフな精神力がなければ、航空管制官としての職務を全うし続けることはできないのです。

超難関!航空管制官になるには?

航空管制官採用試験合格が第一歩だが・・・

航空管制官になるには「航空管制官採用試験(1次試験~3次試験の計3回)」を受験し合格して、国家公務員になることがその第一歩となります。

航空管制官の合格率は例年でだいたい5%前後です。

95%前後の人が落ちるという大変狭き門であり、試験の問題集を買ってきてちょっと勉強する程度ではまず合格できないと考えて構いません。

もし合格を目指すなら最低でも1年程度は勉強付けの毎日を覚悟する必要がありますので、サラリーマンの方が仕事を抱えたまま試験勉強を両立させることは至難の業と言えます。

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特に英語力が重要

試験内容は一般教養の他、航空管制官にとって必要な空間把握力に関わる試験と英語などがあります。

特に英語は2次試験で英会話での面接試験が行なわれるため、学問としての英語力だけでなく英会話力も身につけておく必要があります。

そのため座学だけの勉強では不十分であり、外国人と英会話を行なう等により会話力を磨く努力も問われることになります。

航空管制官の受験資格に要注意!

受験資格は大きく二つです。

一つは学歴で、短大、高専、大学以上の学校を卒業しているか卒業見込みであることです。

二点目は年齢です。

航空管制官採用試験は30歳になるその年までしか受験資格を得ることができません。

31歳以降は受験資格がなくなりますので、年齢が30歳に近い方は特に注意が必要です。

もし30歳で不合格となれば、その時点で諦めるしかないのです。

航空管制官になるまでの流れ

大変な狭き門をかいくぐり無事試験に合格しても、即管制官になれる訳ではありません。

国土交通省が所管する航空保安大学校で公務員として給与を得ながら、1年間研修を受ける必要があります。

無事1年間の研修を終えたら、全国各地の赴任先へ配属されしばらくは訓練生と言う身分でOJTを受けます。

その後内部試験に合格してようやく一人前の航空管制官と認められます。

航空管制官になってからも継続される試験

では航空管制官採用試験に合格し、研修を受けて内部試験もパスすれば後はずっと航空管制官として仕事ができるかと言うとそうではありません。

航空管制官は国際的な取り決めにより、パイロットと英語でスムーズにコミュニケーションが行なえるよう定期的に英語能力証明試験を受けて、一定以上の英語力があることを証明し続ける義務があります。

また、航空管制官は定期的に全国の空港へ転勤を命じられますが、転勤すれば気象条件や地形、風向き、空港の構造や滑走路等それぞれ条件が異なってきますので、ベテランであっても都度訓練や研修を受け、且つ内部試験に合格することが求められます。

それらに合格できなければ、航空管制官本来の業務を行なえなくなります。

つまり航空管制官として第一線で活躍し続けるには、「勉強し続ける覚悟」が必要と言えます。

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航空管制官の年収:努力や重圧に見合った年収を得られるのか?

ご紹介したとおり、航空管制官は超難関といわれる試験を突破しなければなることができず、しかもなった後はとても大きな重圧に耐え続ける必要がある仕事ですが、それだけの努力や苦労に見合った年収を得ることができるのか、航空管制官の年収について見てみましょう。

航空管制官は国家公務員ですので、年齢に応じてだいたいの年収が決まっています。

まず航空管制官全体での平均月額給与は約43万円、平均年収額は650万円前後となっています。

年代別での年収目安としては

・30代:540万円程度

・40代:720万円程度

・50代:830万円程度

といった金額になります。

年収としては悪くないが・・・

ご紹介したとおり、年収額そのものは決して悪い方だとは言えません。

しかし航空管制官は一般公務員と異なり、高度な専門性が問われる専門技術職であることを踏まえれば決して好条件とも言えません。

例えば法律の専門職と言える検索官は階級があがれば、40代であっても年収は軽く一千万円を超えます。

航空管制官になるための大変な努力と、業務時間中ずっと重圧に耐え続ける対価として航空管制官の年収をとらえた場合、むしろ割に合わない仕事と言えるかも知れません。

 

航空管制官の長所と短所を考えてみる

航空管制官になるための大変さや、なってからの責任の重さ等、マイナス面もしくは短所と言える面を中心にお伝えしてきましたが、勿論航空管制官ならではの長所というものもあります。

ここで航空管制官の長所と短所を整理してみることにしましょう。

航空管制官の長所

・空港や飛行機の安全を確保する大変やり甲斐のある仕事である。

・社会的に尊敬される職種であり、印象や評価も高い。

国家公務員として安定した収入を得ることができる。

あまり残業と言う概念がない。基本的に勤務時間が終われば仕事を終えることができる。

航空管制官の短所

・試験突破が容易ではなく、年齢上も30歳までしか受けることができない。

・仕事にミスが許されず、大変なストレスに毎日さらされる。

・全国に転勤を命じられる。原則として赴任地は選べない

・ずっと試験を受け続ける必要がある。即ち勉強し続ける必要がある。

私が管制官を目指してやめた理由(A氏(当時28歳)の体験談)

A氏は航空管制官の採用試験に合格し、航空保安大学校へ研修生として入学しましたが研修を修了する直前に、航空管制官となることを断念しました。

A氏はなぜ断念したのか。

彼の口から語られた経緯やその理由をご紹介しますので、航空管制官を目指している方は同じような挫折感を味合わないようにするためにも、ぜひ参考にしてください。

「私は子供の頃から実は航空管制官の仕事に憧れていました。きっかけとなったのはハリウッド映画で空港を舞台としたアクション映画だったのですが、その映画に登場した航空管制官がとてもカッコ良く思え、ぜひこうした仕事につきたいと長年思い続けていました。
しかし大学卒業前に挑んだ採用試験では不合格となり、泣く泣く当時内定をもらった商社に入社しましたが、やはり航空管制官への夢が捨てきれず、会社を数年で退職して受験勉強だけに専念しました。
その結果、なんとか2回目のチャレンジで無事合格でき、航空保安大学校で研修を受ける身分となりました。
ところが・・・
あと一ヶ月程度で研修修了という時期に、私は航空管制官になることを断念しました。
その理由ですが、一言で説明できるようなものではありませんが、簡単に言えば頭では十分理解していたつもりだったはずが、実は航空管制官に課せられる責任の重大さをほとんど理解できていなかったことに気付かされたというか、このまま無理して航空管制官になっても、きっと責任の重さに耐え切れなくなることがわかったから・・・といった理由です。
例えば研修の中では「そんな状況では的確に判断しろという方が無茶だ」と怒りが込み上げてくるような難しい場面での判断や指示方法を幾度となく問われました。
しかし、そうした状況でも冷静に的確に判断しなければなりませんし、その判断が誤ってしまえば悲惨な事故を招いてしまう場合がある訳です。
つまり航空管制官に求められる判断とその責任度合いは自分が頭で描いていたことより何倍も大きかったことを、恥ずかしながら研修を通じてようやく理解することができたということです。
そのことがようやくわかったので、きっとこのまま航空管制官になってしまえば自分が壊れてしまう・・・そうした思いに至り、退職を決意しました。
後進の皆さんにお伝えしたいことは、月並みですが航空管制官の仕事は皆さんが想像している以上に厳しく責任が重い仕事であるということです。
それが想像以上であったとしても挫折しない覚悟や勇気があるかどうかは、航空管制官を志す前によく自分自身で考えて欲しいと願います。」

 

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