
「毎日がんばっているのに、なかなか給料が上がらない」と悩んでいる介護士は少なくありません。介護の仕事は人の生活を支える大切な仕事ですが、ほかの職種とくらべて給料が低いと感じる人も多いでしょう。
この記事では、介護職員の給料の今の水準、資格による違い、処遇改善加算のしくみ、そして介護士が給料を上げるための具体的な方法を紹介します。

介護士の平均給料はいくら?

介護の職種別の平均給与
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」によると、処遇改善加算を取っている事業所で働く、常勤・月給の人の平均給与額(2024年9月)は次のとおりです。
| 職種 | 平均給与額(月額) |
|---|---|
| 看護職員 | 384,620円 |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 375,410円 |
| PT・OT・ST等 | 362,800円 |
| 生活相談員・支援相談員 | 353,950円 |
| 介護職員 | 338,200円 |
| 管理栄養士・栄養士 | 323,810円 |
| 事務職員 | 317,620円 |
| 調理員 | 272,240円 |
※平均給与額は、基本給のほか手当や一時金(賞与の月割り)などをふくむ額面の金額です。
介護職員の平均は338,200円で、看護職員とくらべると、月に4万6,000円ほど低くなっています。医療的なケアの一部を介護職員が担う場面もある中で、この差に不満を感じる人も多いでしょう。
資格による給与の違い
同じ調査で、介護職員の保有資格別の平均給与額(2024年9月)を見てみましょう。
| 保有資格 | 平均給与額(月額) | 前年からの増加 |
|---|---|---|
| 介護福祉士 | 350,050円 | +12,890円 |
| 実務者研修 | 327,260円 | +13,770円 |
| 介護職員初任者研修 | 324,830円 | +13,540円 |
| 保有資格なし | 290,620円 | +19,540円 |
資格のない人とくらべて、介護福祉士は月に約6万円高いことがわかります。資格を取ることは、給料を上げるための確実な方法のひとつです。

介護職員の給料は、資格だけでなく、施設の種類や地域、処遇改善加算の取り方によっても違います。いろいろな施設の給与をしっかり調べてから、働く場所を選ぶことが大切です。
資格による仕事の違い
介護職員の主な資格には、介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士があります。介護の仕事は資格がなくても始められますが、訪問介護で身体介護を行うには、初任者研修以上の資格が必要です。施設でも、資格のある人に任される仕事が増えていきます。
なお、資格を持たずに介護の仕事をする人は、2024年4月から認知症介護基礎研修を受けることが義務になっています。
施設の種類による給与の違い
介護職員の平均給与額は、働く施設や事業所の種類によっても違います(令和6年度介護従事者処遇状況等調査、2024年9月)。
| 施設・事業所 | 介護職員の平均給与額(月額) |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 361,860円 |
| 特定施設(介護付き有料老人ホームなど) | 361,000円 |
| 介護老人保健施設 | 352,900円 |
| 訪問介護 | 349,740円 |
| 介護医療院 | 330,030円 |
| 通所リハビリテーション | 319,310円 |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 302,010円 |
| 通所介護(デイサービス) | 294,440円 |
夜勤のある入所施設は、夜勤手当がつくぶん、日勤だけのデイサービスより給与が高くなる傾向があります。働き方の希望とあわせて、施設の種類を選ぶことも大切です。
介護士の給料が上がりにくい理由
介護報酬は国が決めている
介護サービスの料金(介護報酬)は、国が3年ごとに見直して決めています。事業所が自由に料金を上げることはできないため、売上を大きく増やして給料を上げることがむずかしいのです。処遇改善加算は、この課題を補うためのしくみといえます。
小さな事業所が多い
介護の事業所には、職員数の少ない小規模なところも多くあります。規模が小さいと、昇給のしくみや役職のポストが少なく、長く働いても給料が上がりにくいことがあります。
職場によって配分のしかたが違う
処遇改善加算をどの職員に、どのように配分するかは、一定のルールのもとで事業所が決めます。そのため、同じ加算を取っていても、職場によって給料への反映のされ方が違うのです。自分の職場の配分のしかたがわからない場合は、遠慮せず確認してみましょう。
介護士の給料を支える「処遇改善加算」

処遇改善加算とは
処遇改善加算は、介護職員の給料を上げるために、国が介護報酬に上乗せしているしくみです。事業所が加算を取るには、自治体への届け出と、職員の給料アップのための計画が必要です。これまで3種類あった加算は、2024年6月に「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。
ほとんどの事業所が加算を取っている
令和6年度の調査では、2024年9月30日時点で95.5%の事業所が、何らかの処遇改善加算を届け出ていました。加算には区分(Ⅰ〜Ⅴ)があり、もっとも上の区分Ⅰを取っている事業所は45.7%です。どの区分を取っているかによって、職員に配分される金額は変わります。
2026年度の臨時改定でさらに賃上げ
2026年6月からは、処遇改善加算の臨時改定が行われています。介護従事者の基本の賃上げに加え、生産性の向上などに取り組む事業所の介護職員には上乗せがあり、最大で月1万9,000円ほどの賃上げが見込まれていると報じられています。実際の金額は事業所によって違うので、自分の職場の取り組みを確認してみましょう。

処遇改善加算は、取っているかどうかだけでなく、どの区分を取っているか、職員にどう配分しているかも大切です。転職先を選ぶときは、面接で処遇改善の取り組みについて聞いてみましょう。
給与明細でチェックしたいポイント
- 基本給:賞与や退職金の計算のもとになることが多い
- 処遇改善の手当:「処遇改善手当」などの名前で支給されているか
- 資格手当・役職手当:取った資格やついた役職が反映されているか
- 夜勤手当・残業代:働いた分がきちんと支払われているか
基本給が低く、手当の割合が大きい場合は、賞与が少なくなりやすいことも覚えておきましょう。
介護士の給料を上げる5つの方法
- 介護福祉士などの資格を取る
- 夜勤に入る
- リーダーや役職を目指す
- 生活相談員やケアマネジャーにキャリアアップする
- 給料の高い事業所へ転職する
1. 介護福祉士などの資格を取る
資格がない人は、まず初任者研修や実務者研修から始め、介護福祉士を目指しましょう。介護福祉士の国家試験は、介護の実務経験3年以上と実務者研修の修了で受験できます。2026年1月の第38回試験の合格率は70.1%でした。
2. 夜勤に入る
夜勤のある施設では、1回ごとに夜勤手当がつくのが一般的です。深夜の時間帯(午後10時〜午前5時)は、法律で25%以上の割増賃金も支払われます。夜勤の回数を増やせば、月の給料は上がります。
ただし、夜勤は心と体への負担が大きい働き方です。自分の体力や生活の状況を考えて、無理のない回数にしましょう。
3. リーダーや役職を目指す
ユニットリーダーやフロアリーダー、主任などの役職につくと、役職手当がつく事業所が多くあります。処遇改善加算でも、経験や技能のある介護職員の給料を重点的に上げるしくみがとられています。
4. 生活相談員やケアマネジャーにキャリアアップする
平均給与額は、生活相談員が353,950円、ケアマネジャーが375,410円で、いずれも介護職員より高くなっています。ケアマネジャーの試験は、介護福祉士などの資格を持ち、その資格にもとづく仕事を5年以上(900日以上)経験すると受験できます。生活相談員になるには、社会福祉士や介護福祉士などの資格が求められることが多いでしょう。
5. 給料の高い事業所へ転職する
今の職場で給料が上がる見込みがない場合は、転職がもっとも早く給料を上げる方法になることがあります。転職先を選ぶときは、次の点を確認しましょう。
- 求人に給与の金額がはっきり書かれているか:「当社規定による」としか書かれていない場合は、面接で必ず確認する
- 処遇改善加算の区分と配分のしかた:加算を取っているか、どの区分か、職員にどう分けているか
- 昇給・賞与の実績:昇給の基準や、実際の賞与の支給月数
- 資格手当・夜勤手当の金額:手当の内訳を確認する

給料を上げる方法はいくつもあります。どの方法を選ぶにしても、自分の心と体の状態、家庭の状況に合ったやり方を選ぶことが大切です。
介護福祉士の取り方
働きながら介護福祉士を目指す場合は、次のような流れが一般的です。
- 介護職員初任者研修を受ける(未経験の人の最初の一歩として)
- 介護の現場で働きながら、実務経験を積む
- 実務者研修を修了する
- 実務経験3年以上(従業期間3年以上かつ従事日数540日以上)で国家試験を受ける
事業所によっては、研修の受講費用を補助する制度や、資格を取った人への手当を用意しているところもあります。自治体や雇用保険の教育訓練給付制度で、受講費用の一部が戻ってくる場合もあるので、確認してみましょう。
給料アップのために転職するときの注意点
転職で給料を上げたい場合は、今の職場で働きながら転職先を探すのが安心です。収入がとぎれる心配がなく、条件をじっくり比べられます。介護専門の求人サービスを使えば、職場の雰囲気や離職率など、求人票ではわからない情報を聞けることもあります。給料だけで選ぶと人間関係や働き方で後悔することもあるので、見学で職場の様子も確かめておきましょう。
架空のケースで考える:介護士Rさんの給料アップ
ここで紹介するのは、架空の例です。
Rさん(30代・介護職員)は、資格がないまま5年間働いてきましたが、給料がほとんど上がりませんでした。そこで、働きながら実務者研修を修了し、介護福祉士の国家試験に合格。あわせて、処遇改善加算の区分Ⅰを取っていて、資格手当のある特別養護老人ホームに転職しました。転職後は、月の給料が4万円ほど上がり、ユニットリーダーも任されるようになったそうです。
介護士の給料に関するよくある質問
職場に給料を上げてほしいと相談してもいい?
相談してかまいません。ただし、ただ「上げてほしい」と伝えるのではなく、取った資格や任されている仕事、これからやりたいことを具体的に伝えると、話を聞いてもらいやすくなります。評価面談の機会があれば、そのときに相談してみましょう。
副業で収入を増やすのはあり?
就業規則で副業が認められていれば、ほかの事業所で夜勤のアルバイトをするなどの方法もあります。ただし、働きすぎて体をこわしては元も子もありません。本業の勤務とあわせた労働時間や、休みが取れるかを考えたうえで判断しましょう。
介護士の給料を上げる方法のまとめ
- 介護職員の平均給与額は338,200円(2024年9月、加算を取っている事業所の常勤・月給)
- 介護福祉士は、資格のない人より月に約6万円高い
- 95.5%の事業所が処遇改善加算を届け出ている。2026年6月からは臨時改定でさらに賃上げ
- 給料を上げる方法は、資格取得、夜勤、役職、キャリアアップ、転職の5つ
- 転職するときは、給与の金額、加算の区分と配分、昇給・賞与の実績を確認する
資格や夜勤、役職による給料アップは、条件が合う人にかぎられることもあります。一方、転職は誰でも検討できる方法です。求人の給与や処遇改善加算の取り組みをよく比べて、今より条件のよい職場を探してみましょう。まずは今の給与明細を見て、基本給、各種手当、処遇改善による手当がそれぞれいくらなのかを確かめてみてください。自分の給料の内訳がわかれば、どの方法で給料を上げるのが近道なのかが見えてきます。介護の経験と資格は、どの職場でも評価される大切な財産です。