無資格でも介護職に就職・転職は可能?※仕事内容と就業場所を紹介

介護の仕事は人手不足だと言われます。一方で、激務薄給で離職率も高く、キツイ仕事だという認識も広がっています。介護系の大学や専門学校が増えて、専門資格を持っている人が増えていても、それだけの人が続かず辞めてしまう介護の仕事。何らかの事情で働かなくてはならない人が、求人倍率が高い(就職しやすい)介護の仕事に就きたいというのはわかりますが、果たして続くのでしょうか?

今回は介護の仕事内容や資格の内容、介護に向いている人、向いていない人などについて考えたいと思います。

介護職の離職率は意外に低い!?~介護を取り巻く現状を統計から考える

まず、介護職の離職率を見てみましょう。

厚生労働省所轄の公益財団法人「介護労働安定センター」による「平成28年度 介護労働実態調査結果について」(平成29年8月発表)によると平成28年度の離職率は前年比0.2%増の「16.7%」となっています。
平成28年度介護労働実態調査結果について(pdf)

今から10年くらい前は、離職率は20%を超えていたのですが、ここ数年は下がり、16%~17%台で安定しています。

この場合の離職率は「1年間の間に辞めた人の割合」を指します。

ちなみに、他業種の離職率を見てみると、全業種の離職率は「11.4%」となっています。
政府統計-平成 28 年雇用動向調査|厚生労働省より

「やはり介護はブラックでは?」と思われるかもしれませんが、もっとブラックな職場もあります。


  • 宿泊業・飲食サービス業   30.0%
  • 生活関連サービス業、娯楽業 20.3%
  • その他サービス業      19.1%
やはりキツイイメージのある「卸売業・小売業」は14.0%となっています。
圧倒的にブラックなのが外食、次いで様々なサービス業が離職率第二グループを形成していて、介護職は平均よりもやや高い、離職率第三グループの中に入っています。

確かにホワイト業種ではないかもしれませんが、そこまでブラックというわけでもありません。色々な介護の職場を合わせて離職率16%ですから、いい職場を選べばホワイト業種の職場並みに働きやすいところもこれならありそうです。

ちなみに「平成28年度 介護労働実態調査結果について」の他の結果で押さえていきたいものはこちらです。・従業員が不足している 62.6%
・人が集まらないのは賃金が低いから
・良質な人材が欲しいが確保できない
・平均賃金(月給)は増加傾向にあるが依然として低い
責任者、管理職、○○士、看護師等:22.5万円
現場の介護職員:20.8万円
訪問介護員:19.7万円
・ボーナスがない職場が約半分
・前向きな理由で介護の仕事に就いた人が多い
・「人手が少ない」「賃金が安い」「休みが取れない」「精神的にキツイ」「社会的評価が低い」が介護をしている人の不満トップ5
・離職理由は「人間関係」「結婚や出産」が2トップ

慢性的な人手不足で低賃金なのは事実ですが、中で働いている人は前向きに頑張っていますが、人がいない故、人間関係がギスギスして辞めてしまうという感じでしょうか?

思っていたほど、肉体労働で辛くて辞めるケースは少ないみたいですね。

介護系の資格と業務内容

それでは介護系の資格について見てみましょう。取るのが簡単な順に書いていきます。

介護職員初任研修(旧ホームヘルパー2級)

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以前「ホームヘルパー」と呼ばれていた資格が名称変更となりました。介護業界で働くための初歩の資格で、介護未経験者が介護について理解するために取得することになります。

各地方自治体が指定した養成機関(自治体そのものではなく、ベネッセやニチイ学館など)主催の講座を受講し、「講義」と「演習」の全課程を修了して筆記試験に合格するとこの資格を取得できます。

講義では介護の基礎的な知識を学び、演習では、実技を通して実際の介護技術(入浴、食事、着替え等)を修得します

介護職員実務者研修(旧ホームヘルパー1級)

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介護サービスを受ける人に対する基本的な介護を提供する能力を修得するもので、介護職員初任者研修よりも上位の資格と位置付けられています。

ただし、介護職員初任者研修の資格を持っていなくても取得できます。介護職員初任者研修を受講科目が一部免除されます。介護職員実務者研修に修了試験はなくて、講座の受講をすれば修了となります(資格を得られます)。

内容として、基本的な介護業務だけではなく、医療的ケアの基本的知識も学びます。修了すると訪問介護事業所に必ず配置される「サービス提供責任者」という役職で活躍することもできます。

介護福祉士

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介護系で唯一の国家資格です。
社会福祉士・精神保健福祉士と並んで「福祉の三大国家資格」と呼ばれています。

介護が必要な高齢者や障害者の介護、介護に関する相談などを行う仕事で、より専門性が高く、また現場でも介護実務ではなく、相談業務や介護の企画立案など頭脳労働がメインです。

介護福祉士になるには、この3つの方法があります。

  1. 福祉系の大学や専門学校で所定の科目を履修して卒業する
  2. 福祉系の高校を卒業して国家試験を受けて合格する
  3. 介護業務に3年以上従事していて、介護職員実務者研修の受講が修了している人が国家試験を受けて合格する
未経験から転職してきた人は③を目指すことになりそうです。

ケアマネージャー(介護支援専門員)

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正式名称は「介護支援専門員」で通称「ケアマネージャー」と言われます。2000(平成12)年に介護保険制度が導入された際に始まった公的な資格です。

仕事は、介護現場の業務そのものは行わず、必要な人が適切に介護サービスを使えるように、介護が必要な人をサポートすることになります。

介護サービスの利用者と面談してケアプランを作成・修正したり、要介護認定の申請代行などを行ったり、施設や業者との連絡調整を行ったり、完全なデスクワークになります。

ケアマネージャーになるには、「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。
ただ、この試験は誰でも受けられるわけではなくいずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 国家資格等(医師,歯科医師,薬剤師,保健師,助産師,看護師,准看護師,理学療法士,作業療法士,社会福祉士,介護福祉士,視能訓練士,義肢装具士,歯科衛生士,言語聴覚士,あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師,柔道整復師,栄養士,管理栄養士,精神保健福祉士)をを持ち5年以上介護実務に従事している。
  2. 生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として5年以上介護実務に従事している。

2017年まであった「ホームヘルパーで実務5年」や「資格はなくて実務10年」の人は受験不可になりました。
「国家資格+5年」か「相談業務+5年」が必須になりました。
介護の現場でいうと、介護福祉士が受ける上位資格の位置づけがより明確になりました。

社会福祉士

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高齢者や障害者介護だけでなく、障害者や生活保護者への福祉支援、児童相談所での福祉など、 介護に限らない「福祉分野全般の相談、支援のエキスパート」の国家資格になります。

以前と比較して活躍の場は広がっていて、介護施設だけではなく、各市区町村の地域包括支援センターの相談業務(社会福祉士しか不可)、サービス事業者および行政との連携業務を行う際の必須資格、児童相談所の職員配置基準の一つ、など社会福祉士を設置しなければならない場所が増えています。

さらに、障害者福祉施設では社会福祉士の配置による補助金加算もあり、社会福祉士を持っていると、広く、介護・福祉業界から引く手あまたの状況になっています。

国家試験の受験資格は、福祉系の大学や専門学校で単位を取得して、数年実務を積むか、そうでない人は福祉系の職場で働きながら、通信講座や専門学校で学ぶ必要があります。
このように福祉系の資格はたくさんあり、それぞれ順を追ってキャリアとともに取得していくことになります。
こうした人たちがいる中で、完全業界未経験の人はやっていけるの?

無資格でも大丈夫な介護の仕事内容とは?就業現場は?

介護現場は実際に高齢者や病気・障害を持った方と触れ合うので、強い責任感と介護スキルが要求されます。完全未経験の人ができる職場はあるのでしょうか?ある場合、どういう職場のどういう仕事なのでしょうか?

介護未経験でも働ける職場

人手不足で猫の手も借りたいような職場が中心になります。

介護福祉士以外は国家資格ではないのですから、「介護職員○○研修」取得者が行っている仕事は、全くの未経験でもできないことはありません。

具体的にはこれらが中心です。

  • 老人ホーム
  • 認知症ケアホーム
  • 障害者のグループホーム

ケアマネージャーや社会福祉士が働くような公的機関や相談センターなどは無理なので注意してください。そうしたところで働くならば、介護職のカテゴリではなく事務、雑用係としての求人になります。

介護未経験でもできる仕事内容

社会福祉士やケアマネージャーの業務はできませんし、「訪問介護」も介護福祉士や介護職員初任者研修、実務者研修の資格が必要になります。

介護未経験でもできるのは、人手不足でかつ誰でもできる仕事、つまり、介護福祉士のサポートや介護施設の受付、加えて食事の介助や清掃、洗濯、買い物、介添えする肉体労働、排せつや入浴のお世話など「下の仕事」も行うことがあります。

「自分の仕事じゃないから知らない」と言っていられないのが介護の現場です。例えば、介護している人がいきなり倒れるなどすれば病院へついていくこともあります。

それってきついんでしょう?

きついのは事実ですね。
介護実務の現場で実際に(やや補助的とはいえ)介護を行います。本来はホームヘルパーや介護職員○○研修の取得者が行うのが前提ですが、人手不足は如実にあり、とにかく目の前の人を支えないといけません。

完全未経験の人が戸惑うのは事実で、まったくうまくいかないこともあるでしょう。だから、かなり心身ともに堪えます。

とはいえ、人材不足の業界ですから、過去の職歴や学歴をあまり問われることなく採用されます。今働かなくてはいけない人は、就職しやすい介護業界に飛び込むしかありません。

最初の統計で示したように、外食やサービスと比べれば「まだマシ」とも言えます。完全無資格未経験で採用してくれる職種の中では、介護はベターな選択肢だといえるでしょう。だから、その中でも比較的ホワイトな職場を探して、そこで経験を積み、当座を凌ぐしかありませんね。

介護の仕事に向いている人、向いていない人

働くための経験や職歴も比較的問われない介護の現場ですが、やはり向いている人、向いていない人はいます。向いていない人は無理に介護の現場で働かなくてもいいです。相手(しかも弱い)がいる仕事ですから、双方不幸になってしまいます。ひょっとすると、外食やサービス業の方が向いているかもしれません。

介護の仕事に向いている人

人を敬える人

当然ですが、介護職は人間を相手にします。しかも、何らかの原因で他人のサポートが必要な人です。「介護してやっている」という気持ちは伝わります。人を大切に思う気持ち、尊敬の念がないとやっていけないでしょう。介護される方も人間です。いい加減な気持ちは必ず伝わってしまいます。

細かいところに気が付く人

介護を受ける人は必ずしも自分が思っていることを的確に伝えられる人だけではありません。調子が悪くても、何か違和感があっても言い出せないケースもあり、そのまま大事に至ってしまうかもしれません。

介護をしている人の変化や表情にいち早く気づき、適切な対応ができる細やかな心遣いが必要になります。

責任感が強い人

責任感が強すぎて自分で全部抱え込んでしまったり、それに押しつぶされてしまったりするのは良くないですが、人の健康や命をサポートする仕事ですから、普通の仕事以上に無責任になっては困ります。責任感が強いというのは自分で何でもするのではなく、適時適切な指示を仰ぎ、報告、連絡できる人でもあります。

介護の仕事に向いていない人

向いている人の裏返しで、やる気がない人やいい加減な人がダメなのは今でもないですが、その他にもこういう人は向いていないかもしれません。

せっかちな人

介護をする人は普通の人のように素早く行動できません。だからこそ介護が必要なわけで、あれこれ行動を急かしても意味がありません。せっかちな人が悪というわけではないですが、そういう人は介護職ではなく他の仕事を目指した方がいいでしょう。

きれい好き過ぎる人(潔癖症)

介護では排せつのお世話もしますし、食事の介護の時にこぼしてしまうこともあるでしょう。自分で清潔にできないからこそお介護ですから、除菌スプレーを常備しているようなタイプの人は介護の仕事はできないでしょう。こちらも、きれい好きがダメというわけではなく、介護という仕事には向かないということです。

もしやる気があるなら比較的マシな介護の職場に転職を!

やる気があれば求人は多いのですから、介護職への就職、転職は比較的容易です。しかし、未経験職は人がやりたがらない業務内容も多く、続かない人が多い現実もあります。

もし、本気で未経験でも働きたいならば、よりマシなホワイトな環境の職場を探しましょう。そのためには、ハローワークにある求人だけではなく、転職サイトに掲載されている求人もターゲットにしてみましょう。

  • ハローワークの求人:無料で掲載
  • 転職サイトの求人:有料で掲載

採用にお金をかけられるところは、実際に働いている人にもお金を落としている可能性が高く、待遇的にはマシなところが多いはずです。

当サイトに掲載している転職サイトから登録していただき、実際の「未経験歓迎」の介護の仕事がどういうものかを知ってください。そのうえで待遇と職場、仕事内容をよく勘案して、どの求人に応募するのか、そもそも本当に介護職でいいのか、など慎重な検討をお願いいたします。

でも人を助ける介護という仕事は、今後大きな市場になっていくと思います。

最後に結論を

無資格でも介護職に就職・転職は可能?

可能です!

無資格でも介護職に就職・転職は可能?

  • 介護職は慢性的な人手不足にある
  • 世間で思われているほど介護職の離職率は高くない
  • 未経験者でもできる介護の仕事はたくさんある
  • ただし資格を持っている人のサポートや誰でもできることが中心
  • 介護職の中で資格を取得してキャリアを積んでいくのもアリ
  • 「未経験者OK」の職場の中にもブラックなところはある
  • 未経験者は老人ホームや障害者向けグループホームなどの求人が多い
  • 肉体労働や排せつ、食事の介助など肉体的、精神的にキツイものもある
  • できるだけマシなホワイトな職場を探したい
  • そのためにはハローワークだけではなく転職サイトなどの活用もしたい
  • 無資格でも介護職に転職は可能である