転職した際、特定の条件に当てはまる方は確定申告が必要になってきます。
では確定申告が必要になってくる転職の条件とは具体的にどのような条件なのでしょうか。
また、必要だったにもかかわらずもし確定申告を忘れてしまったらどうなるのでしょうか。
転職された方々は勿論、転職活動中の皆様も転ばぬ先の杖としてぜひ知っておいて欲しい、転職と確定申告の関係や確定申告の方法等について詳しくご紹介します。

源泉徴収票は必要なの!?
なにがなんだかわからないよ。

だから転職の際に12月に会社に属していない場合は自分で確定申告する必要があるんです!

いきなり確定申告しろなんていわれてもやり方がわからないから無理だよ!

今回はそんな「何もわからない!」という方のために転職の際の確定申告や源泉徴収票のことをわかりやすく画像つきで解説していきますよ!
まずはチェック!!
●源泉徴収票とは何か?⇒その会社での給与所得の確定申告書
●転職時に自分での確定申告は必要か?⇒12月末時点で無職の場合は必要
●退職時にもらう2枚の源泉徴収票の違いは?⇒給与と退職金の違い
上記の内容を詳しくチェックしたい場合はコチラ⇒ 源泉徴収票 転職先への提出は必要!?退職時から提出までやっておくべき事まとめ
●12月に無職だった場合は確定申告が必要
●年内に転職した場合は源泉徴収票を転職先の会社へ提出!これで確定申告の必要なし
●確定申告書の手続き・書き方を画像つきで詳しく解説!

目次【クリックして移動できます】
転職で確定申告が必要な人・不要な人
転職で確定申告が必要になってくる人から確認しておきましょう。

不動産収入や副業などで複数の収入がある方等、転職に関係なく確定申告が必要なサラリーマンの方は除きます。
転職で確定申告が必要な人とは、年内に転職できなかった人
転職で確定申告が必要な人とは
- 前職で年末調整を受ける前に会社を辞めた方で退職年度内(当年の12月末日まで)に転職先へ転職しなかった方
もしくは
- 前職で年末調整を受ける前に会社を辞めた方で退職年度内(当年の12月末日まで)に転職したが、当該年度の年末調整手続きが転職先でも間に合わなかった方
となります。
キーワードは「年内」と「年末調整」
なぜご紹介した転職者の方が確定申告が必要になるか、それを紐解くカギは「年内」と「年末調整」という言葉にあります。

しかし、何千万人もいるサラリーマンの方々が税務署に申告で押し寄せてきてしまうと税務署はパンクしてしまいます。
そこでサラリーマンの方々については、12月31日までの正確な所得を確定させること、並びに源泉徴収していた税金の過不足を年末に調整する手続きを雇用主が実施することになっています。
それこそが「年末調整」です。
つまり年末調整はサラリーマンの方々にとって”簡易的な確定申告”のようなものなのです。
年末調整を行わないまま年を越してしまった方は、簡易的な確定申告手続きが行われていない状態となっているので、自分で確定申告を行う必要が生じます。
それが年末調整を受ける前に会社を辞めて「年内」に転職しなかった方、もしくは「年内」に転職したけれども転職先での年末調整手続きに間に合わず、その年の年末調整ができていない方という訳です。
転職で確定申告が不要な人とは、年内に転職を果たした人
転職したことで確定申告が必要になる方々がわかれば、自ずと不必要な人もおわかりになったと思われます。

ただし、年末調整は通常12月分の給与が支給されるタイミングもしくはその翌日以降の文字通り年末間際に行われます。
そのため、前職で年末調整を終えた上で年内に転職を果たすというのは現実的なスケジュールとは言えません。
ごく例外的なケースを除けば、年内に転職を果たして転職先で年末調整を行ってもらった方が主な確定申告不要者と言えます。
確定申告が必要になった!どんな手続が必要?
転職された方が年末調整できなかったために確定申告が必要になった場合、どんな手続きが必要になるか、確定申告の手順、必要書類、書き方の3点についてポイントを中心にご紹介します。

確定申告の手順・ポイント
確定申告の手順を流れでご紹介すると
↓
②確定申告期間前までに確定申告書を作成する
↓
③確定申告期間に必要書類や印鑑、確定申告書を持参の上、住所地を管轄する税務署を訪問し、確定申告を行う
という流れになります。
確定申告手順の流れにおけるポイントは一つだけです。
それは「確定申告期間を正確に把握すること」です。
確定申告できる期間は限りがある上、期間終了間際は税務署が大変込み合いますので余裕を持って作成までの作業を終え、早めに申告することが望ましいと言えます。
ちなみに2017年度分の確定申告は「2018年2月16日~3月15日」です。
もし2017年分の年末調整を受けていない方は、流れの①から②については2018年の1月末頃までには終えられるよう取り組んでください。
必要書類
確定申告書の作成、および申告に次の書類が必要になりますのでこれらを準備してください。
- 確定申告書A(確定申告書にはAとBがあります。確定申告書Aはこちらからダウンロードできます↓)
⇒http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h29/01.pdf - 源泉徴収票(転職年度内に発行されたもの)
- マイナンバーカード、もしくはマイナンバーがわかる公的書類と運転免許証など身分を証明できる書類
また、確定申告の際にはシャチハタを除いた認印も必要となりますので、こちらも予め準備しておいてください。
確定申告書の書き方
確定申告書Aには第一表と第二表の2枚がありますのでそれぞれ記入します。

手順としては第二表で集計した結果を第一表に写す必要があるため
第二表→第一表
という順番で作成するのが合理的です。
第二表作成のポイント
第二表の作成はそれほど難しくありません。
主要なポイントは「源泉徴収票の数値を確定申告書の正しい欄へ正確に書き写すだけ」と言っても構いません。
源泉徴収票(※)から書き写す数値は次の3つの欄の数値です。
(※参考画像:国税庁・給与所得者の源泉徴収票)
⇒https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/tebiki2017/PDF/03.pdf
- 「支払金額」(住所や氏名欄下の左から二番目の欄)
- 「源泉徴収税額」(「支払金額」と同じ行の一番右端の欄)
- 「社会保険料等の金額」(カッコ書きで(摘要)となっている欄上部の行で一番左端にある欄)
以上3つの欄の数字を確定申告書Aの第二表へ書き写す訳ですが、便宜的に各項目の金額を
- 支払金額:A
- 源泉徴収税額:B
- 社会保険料等の金額:C
とした上で、A~Cを第二表のどこに書き写せば良いか説明します。
第二表の書き方/左側編
第二表は左右にそれぞれ記入欄がありますので、左側の欄から見てゆきましょう。
左側の欄で記入が必要なのは左上部にある住所、氏名欄とそのすぐ下にある「所得の内訳」という二つの欄だけです。
まず住所や氏名欄に自分の氏名や現住所を記入します。
次に「所得の内訳」欄を見ますと4つの小見出しがあります。
一番左側の小見出しである「所得の種類」の欄には「給与」と書き込んでください。
その隣の小見出しは「種目・所得の生ずる場所又は給与などの支払い者の氏名・名称」となっていますが、こちらには前職の社名を記入します。
その右横の小見出しである「収入金額」という欄には源泉徴収票で「A」の数字、即ち源泉徴収票で「支払金額」の欄に記載されていた金額を記載します。
更にその隣、小見出しで一番右側の欄は「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」となっていますが、こちらの金額欄には「B」(源泉徴収票で「源泉徴収税額」の欄に記載されていた金額)を記入します。
次に「所得の内訳欄」内の一番下の行を見ます。
そこに囲み番号㊹として「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の合計額」という小見出しがありますので、こちらにも「B」の数字を書き込みます。
これで左側全体の記入作業は終了です。
第二表の書き方/右側編
次に第二表の右側です。
右側上部には「所得から差し引かれる金額に関する事項」という欄があります。
その欄内の一番左上には縦書き項目として「⑥社会保険料控除」とあり、横書きでは「社会保険の種類」、「支払保険料」という二つの小見出しがあります。
まず「社会保険の種類」という小見出し下の空欄には「源泉徴収票のとおり」と記載してください。
そのとなりの「支払保険料」下の空欄には「C」(源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄の金額)を記入します。
そこまで済んだら縦書き項目「⑥社会保険料控除」欄内の一番下に「合計」という項目がありますのでそこにも「C」の数値を書きます。
以上で第二表はすべて終了となります。
第一表の書き方/最上部の住所、氏名欄編
第一表では第二表と異なり、計算が必要な項目が増えます。
しかしながらそれほど複雑な計算を行う訳ではありませんので、こちらも数値を正確に記入するよう心がければこちらもそれほど難しくはありません。
まず第一表の一番上段は現住所、氏名、電話番号、個人番号(マイナンバー)の記載が求められますので、各項目に従って該当する個人情報を記載してください。
第一表の書き方/左側「収入金額等」・「所得金額」
第一表も住所や氏名欄を除くと左右に分けて説明できますので左側から説明しますと、左側一番上の欄は縦書き・グリーン色で「収入金額等」(以下「グリーン欄」とします)となっています。
グリーン欄内一番上の横書き項目に「給与」(◯囲み記号ではア)という欄がありますので、こちらに源泉徴収票の「A」の数字を記入します。
グリーン欄は以上ですので、次にその下のブルーの欄を見ます。
ブルーの欄は縦書きで「所得金額」となっており、その欄の一番上に「給与」(◯囲み番号で①)という項目があります。
こちらの欄には「A」を”給与所得に換算した数値”を入れる必要があります。
手計算でも可能ですがやや面倒ですし計算間違いが生じる可能性もあります。
そこで便利なサイトをご紹介しておきます。
「kyuyo.net」というサイトで、次にご紹介するページを利用すれば収入金額の給与を「所得としての給与」に換算できます。
⇒http://kyuyo.net/keisan/syotoku_06_v2.htm
ご紹介した「給与所得の計算」というページにアクセスしたら、「給与総額」というボックスに源泉徴収票の「A」の数値を入力してください。
そうすれば速やかに給与所得が表示されますので、その数値を先程の①の欄に書き込みます。

①には「A」の数値をそのまま書き込むのではありませんので、その点はくれぐれも注意してください。
①の「給与」欄を埋めたら、同じくブルー欄内の一番下にある「合計」(◯囲み番号で⑤)の欄にも同じ数字を書き込みます。
第一表の書き方/左側「所得から差し引かれる金額」
続いてブルー欄の下、赤色の欄「所得から差し引かれる金額」への記入です。
この欄の一番上に「社会保険料控除」(◯囲み番号で⑥)とありますので、ここには「C」の数値を書き込んでください。
次に赤欄の中央よりやや下に「基礎控除」(◯囲み番号で⑮)という項目があります。
基礎控除は一律で「38万円」と決められています。
従って⑮の欄には「380000」という数字を記入します。
⑮のすぐ下には「⑥から⑮までの計」(◯囲み番号で⑯)という項目がありますので、ここには「C」と「380000」を合計した数値を書きこみます。
赤欄では最後の記入項目となりますが、赤欄の最下部に「合計」(◯囲み番号で⑳)という項目があります。
こちらにも「C」と「380000」を足した数値、つまり⑮と同じ数値を書き込んでください。
参考まで、もし生命保険料や医療費といった控除額が他にもあれば該当する項目に金額を書き込みそれらを合計した数値が⑳となる訳です。
これで第一表の左側は全て終了となります。
第一表の書き方/右側「税金の計算」
右側には最も幅広い縦の濃紺色の欄「税金の計算」があります。
この欄の一番上の項目は「課税される所得金額」(◯囲み番号で㉑)という項目があります。
こちらには左側で埋めた⑤の数値(ブルー欄「所得金額」の「合計」)から⑳の数値(赤欄「所得から差し引かれる金額」の「合計」)を引いた値を記入してください。

つまり囲み番号だけで計算式を表すなら
㉑=⑤-⑳
となります。
次に埋める必要があるのは、その下「上の㉑に対する税額」(◯囲み番号で㉒)という項目です。
こちらも税額計算をする必要がありますので、さきほどご紹介した「kyuyo.net」の「所得税の計算」ページを利用すると便利です。
http://kyuyo.net/keisan/syotokuzei_15.htm
ご紹介しているkyuyo.netのページにアクセスしたら、「課税所得」のボックスに㉑に記入した数値を入力してください。
するとその下の「所得税額」という項目に必要な数値が表示されます。
この数値を㉒番の空欄に記入してください。
この㉒に記入した同じ数字を「差引所得税額」(◯囲み番号では㉜)と「再差引所得税額」(◯囲み番号では㉞)の欄にも記入します。
㉞の下には「復興特別所得税額」(◯囲み番号で㉟)という項目があり、こちらも計算が必要ですが確定申告書に記載されている指示通りの計算を行うだけです。

更にその下には「所得税及び復興特別所得税の額」(◯囲み番号で㊱)という項目があります。
こちらには先程求めた㉟の数値と㉞の数値を合計した数値を書き込んでください。
次に、一つ項目を飛ばすと今度は「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」(◯囲み番号で㊳)という項目になります。
ここには計算した数値ではなく源泉徴収票の「B」の数値を記入します。
いよいよ右側濃紺欄「税額の計算」内では最後の入力欄となります。
◯囲み番号では㊵となる「還付される税金」という欄です。

こちらでは
㊳(つまり源泉徴収票「B」の金額)- ㊱(所得税及び復興特別所得税の額)
という引き算を行った数値を記入してください。
項目はやや多くなりましたが、これで右側の「税額の計算」は終了です。
第一表の書き方/右側一番下「還付される税金の受取場所」
濃紺色の「税額の計算」欄の記入が終われば、もう計算の必要はありません。
またピンク色「その他」、ライトグリーンの「延納の届出」は該当する場合のみ記入しますが、配偶者に所得がある場合や所得税の未納、税金の延納の必要性がある場合など例外的なケースに限られます。
独身のサラリーマンが通常どおり源泉徴収を受けていれば、特に記入する必要はありません。
第一表の一番最後として、右側一番下の欄にあたる「還付される税金の受取場所」に自分の銀行口座番号などを記入すれば第二表、第一表ともに確定申告書の作成はこれで終了となります。
e-Taxで簡単確定申告!やり方は?
前出の確定申告の手順では、管轄の税務署を訪問して申告を行う方法をご紹介していますが、それには理由があります。
はじめての確定申告では記載ミスなどが付き物だからです。
税務署に訪問して申告すれば間違いがあっても指摘してもらえるため、申告ミスに伴う余計な手間や不利益の発生を回避できます。
その上で、確定申告書作成には自信があるという方や税務署に訪問する時間がどうしても取れないという方にはオンライン上で申告できる方法もあります。
それが「e-Tax」ですので、e-taxを利用した確定申告の手順(パソコン利用)についてもご紹介しておきます。
ステップ1:マイナンバーカードの取得
e-Taxを利用するには「マイナンバーカード」が必要になります。
マイナンバーカードはクレジットカードに似たもので、ICチップが埋め込まれたプラスチック製のカードです。

マイナンバーカードは地元の自治体に申請して発行してもらいます。
尚、自治体の窓口や具体的な手続方法の詳細については自治体により多少異なりますので、地元の自治体に確認してください。
ステップ2:署名用電子証明書の発行手続き
マイナンバーカードが入手できたら、今度は署名用電子証明書を発行してもらう手続きを地元の自治体に依頼します。
署名用電子証明書の発行といっても、何かの書類を受け取る訳ではありません。
電子証明書の発行とは、マイナンバーカードのICチップに証明書を利用できる機能を自治体を通じて記録してもらう電子的な手続きのことを言います。
尚、電子証明書の具体的な申請方法も各自治体によって多少異なりますので、詳しくは地元の自治体にお尋ねの上手続きを行ってください。
ステップ3:パソコンやICカードリーダーを用意し、セットアップを行うと共に必要書類を準備する
電子証明書の発行手続きが終わったらインターネットに接続されているパソコンと、マイナンバーカードを読み込むためのICカードリーダーを用意した上で、セットアップ作業を行います。
セットアップとは具体的には電子証明書を利用できる専用のソフトウエアをダウンロード、インストール作業のことです。
ソフトのダウンロードは次のURLから行ってください。
⇒https://www.jpki.go.jp/download/index.html
パソコンのセットアップが終了したら、ICカードリーダーにマイナンバーカードを読み込ませます。
これでe-Taxに限らず、行政に対する各種の電子申請手続が可能になります。
またe-Taxの手続きを行う前に必要書類として源泉徴収票が必要になりますので、こちらも用意しておきます。
「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、作成・送信する
準備が全て整ったら国税庁の「確定申告書等作成コーナー」というサイトページにアクセスし、画面の指示に従って確定申告書を作成し、送信するだけです。
⇒https://www.keisan.nta.go.jp/h28/ta_top.htm#bsctrl
簡単に手順をご紹介しましょう。
↓
②次の画面で「e-Tax」を選択する
↓
③事前準備画面が表示されるので、準備が整っている場合には「すべて確認済み」のボックスにチェックを入れる
↓
④確定申告書Aを選択した上で、確定申告書を作成する
(作成方法は前出の記述による作成方法がパソコンでの入力になるだけです。具体的な作成方法については本記事の「確定申告書の書き方」を御覧ください。)
↓
⑤送信手続きを選択すると確認画面が表示されるので、間違いがないか、作業で漏れていることはないか、画面の指示に従ってチェックする
↓
⑥間違いがないことを確認画面で確認できたら、送信ボタンを押して終了
このようにe-Taxは手順としてはそれほど難しくはありません。
しかしながら最初の利用時に限り、電子証明書の発行手続き申請やセットアップといった準備に多少手間を要することは理解しておく必要があります。
転職して確定申告が必要となったが「源泉徴収票」がない!そんなときどうする!?
確定申告するなら源泉徴収票は絶対必要!
確定申告を行う際の必要書類として「源泉徴収票」があることをすでにご紹介しているとおり、結論から申し上げれば源泉徴収票がないと確定申告ができなくなります。
なぜなら源泉徴収票は法定調書でもあり、確定申告に際してこの記録と照合させることが申告上の条件となっているからです。
確定申告において源泉徴収票は確定申告書と同格の必要書類として、ぜひ理解しておいてください。
源泉徴収票がない場合には前職の会社へ至急要請し、発行してもらうこと
源泉徴収票は、退職した場合には前職の会社から必ず受け取っておく必要があります。
それが手元にないということは、次にご紹介する3つの理由が考えられますのでそれぞれの対処策と共にご紹介します。
退職したばかりで前職の源泉徴収票発行手続きが追い付いていない場合
こちらは時間の問題かも知れませんが、確定申告期限が迫っている場合には前職へ連絡し、できる限り急いでもらうよう催促する必要があります。
・前職が源泉徴収票の発行手続きを忘れている場合
前職側のミスや手違いにより、源泉徴収票の発行手続きや送付を忘れられている、あるいは放置されてしまってる場合も考えられます。
退職して1ヶ月経過しても源泉徴収票が届かなければ、そうした可能性も十分考えられますので、やはりこちらも前職に連絡し、確認することが大切です。
受け取っていたのに紛失していた場合
あと一つ考えられる理由は源泉徴収票は受け取っていたのに、紛失していたというケースです。
これはこちらのミスですので、電話で再発行を依頼するのではなく前職を直接訪問し、ちゃんとお詫びした上で再発行をお願いするのが筋でしょう。
かなり依頼しにくいかも知れませんが、避けて通ることはできません。
こうした事態に陥らないようにするためにも、源泉徴収票は受け取ったら大切に保管するよう心がけてください。
年末調整を受けずに転職・・・国民年金利用期間がある場合の確定申告はどうなる?
国民年金利用の有無に関係なく確定申告は必要
国民年金を利用した期間が生じたということは、おそらく転職の際に無職の期間が一定期間生じたことで厚生年金から一時的に離脱し、現職に就職するまでのつなぎとして国民年金に加入したものと考えられます。
こうした手続きはあくまで「社会保険」に関わる手続きに過ぎず、確定申告の必要性に何ら影響を及ぼすものではありません。
繰り返しとなりますが、年末調整を受けないまま年をまたいでしまった転職者の方は国民年金利用期間があろうとなかろうと必ず自分自身で確定申告を行う必要があります。
国民年金利用期間がある場合の確定申告上のポイント
国民年金利用の有無は確定申告の必要性には影響しませんが、確定申告を行う際に留意しなければならない事項が二つ加わります。
国民年金保険料控除証明書を受け取る
一つは日本年金機構より国民年金保険料控除証明書を受け取ることです。
こちらの証明書は年末まで納付した保険料分について、通常次年度の2月1日に発送されます。

確定申告書A第二表右側「⑥社会保険料控除」欄に金額を記入
次に確定申告書の書き方のポイントをご紹介しますが、説明が重複しないようすでに説明した「確定申告書の書き方」と異なる点に絞って説明します。
まずは確定申告書Aの第二表からです。
第二表の右側にある「⑥社会保険料控除」の「社会保険の種類」と「支払保険料」という二つの小見出しの空白欄について本記事の「確定申告書の書き方」では、それぞれ「源泉徴収票のとおり」と「C」の金額を記載するよう説明しました。
この説明自体に変更はありません。
それを前提とした上で、「源泉徴収票のとおり」と記載した下の空白欄には「国民年金」と書き込み、「C」に該当する金額を記入した欄の下の空白欄には証明書に記載されている納付額(控除額)を書き込みます。
次に「⑥社会保険料控除」欄内の一番下にある「合計」の項目欄には「C」ではなく、「C」と納付額を合計した値を記入します。
第一表左側「社会保険料控除(囲み番号で⑥)」その金額を記入→右側へ反映させる
第二表の「合計」欄に記載した金額を今度は第一表の左側、赤欄の「所得から差し引かれる金額」にある⑥の欄に記入します。
⑥に書き込んだ数値を赤欄内の⑯、⑳にも書き込みます。
第一表の右側も手順は全て「確定申告書の書き方」どおりです。
⑤から⑳を差し引いた金額を濃紺欄「税金の計算」の㉑に記入すれば、その数値に従って埋める必要がある番号や計算方法自体は全て「確定申告書の書き方」と同じです。
退職金は確定申告が必要?
「退職所得の受給に関する申告」を行っているはずなので不要
退職金はかなり大きな金額を受け取ることになりますので、転職であれ定年退職であれ、退職金を受け取ったら確定申告が必要と思われている方も多いのではないでしょうか。

退職金は確かに大きな金額となりますが、毎年会社員が退職するたびに確定申告が必要になってしまえば、税務行政が大変なことになってしまいます。
そこで確定申告をしなくて済むよう、特別な申告方法が採用されているのです。
それが「退職所得の受給に関する申告」という手続きです。
具体的には退職所得の受給に関する申告書を退職金を受け取る前に、支給してくれる会社側に提出することが法律で義務付けられていますが、この手続を行うことが確定申告の代わりとなります。
そのため、退職金を受け取った方は法律上申告書を必ず提出しているはずなので、退職金については確定申告は不要となるのです。
万一提出していない場合には確定申告が必要なだけでなく不利益も生じる
退職所得の受給に関する申告書の提出は退職金を受け取る前に必要な手続きのため、本来考えにくいケースですが、万一退職所得の受給に関する申告書を提出せずに尚且つ退職金だけ受け取ったという方は、退職金に適応される特別な所得税ではなく、正規の税制で源泉徴収されることになります。
その場合、確定申告が精算する必要が生じてしまいます。
確定申告をすることによって納め過ぎた税金は取り戻すことはできますが、退職金は額が大きくなるだけに、納め過ぎとなってしまう税額も高額になってしまいます。
確定申告による精算が済んで税金が戻ってくるまでは大きな税額を納めたままの状態になり、そのお金はしばらく使えないことになりますので不利益だと言って良いでしょう。
確定申告の手間が生じるだけでなく、そうした不利益を招かないようにするためにも転職であれ、定年退職であれ、退職金を受け取る場合には会社側に事前確認するなどして必ず申告書を提出するよう心がけてください。
なお、申告書は次のURLからダウンロードできます。
⇒https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf2/h311.pdf
退職予定がある方は未提出とならないよう予めダウンロードしておくことをオススメしておきます。
確定申告は必ず損する?
確定申告は「損得」でなく法律上の義務!
確定申告は自ら1年間に得た全ての収入を申告することになる訳ですから、「正確な収入を知られたくない人」に限れば確かに損な話と言えるかも知れません。
しかし、バレなければ申告しなくて良いというものではなく、一定の収入を得た人は確定申告することが「法律上の義務」となっています。

しかも現在はマイナンバー制度が導入されており、税務署による収入の捕捉は制度導入前より断然容易になっています。
特にサラリーマンの方はガラス張り状態になったと言って良く、申告を逃れようとしてもほぼ確実にバレると言って良いでしょう。
従って確定申告の必要が生じた方は必ずすべきですし、あえて損得で言えば確定申告をせずにバレた場合には大変な「損」を被ります。
つまり確定申告は損得で考えても、やはりすべきものなのです。
確定申告は税金を取り戻す機会でもある!
確定申告を損と見るは発想は確定申告の一面しか見ていません。
なぜなら確定申告することで納め過ぎた税金の還付を受けることもできる、即ち「得」になる場合もあるからです。
ではどんな場合が「得」となるか、次のコーナーで具体例を紹介しましょう。
出産・住宅購入など確定申告をすると得する場合も!?
どんな場合に税金の還付を受けることができるかの代表的な例と言えるのが、「医療費」です。
少額では無関係ですが、医療費が年間で10万円を超えたら医療費控除の対象となり、額に応じて一定額の税金還付を受けることができます。
ところで通常の「出産」であれば病気ではないため、出産にかかわる費用は医療費とは無関係と考えている方はいないでしょうか。
実は出産に関わる次のような費用も医療費控除の対象となります。
例えば
- 妊娠したと診断された後の定期検診や検査費用
- 上記を受けるために医療機関に通院するために要した往復の交通費
- 出産に伴って入院した場合の入院費用
なども全て医療費控除の対象なのです。
ただし出産の場合、健康保険組合などから出産一時金を受け取ることができますが、この分を医療費控除の対象額から差し引く必要はあります。
つまり、出産一時金でカバーしきれなかった出産のための検診や医療的行為に要した費用を確定申告することで一定額カバーできるということです。
また住宅を住宅ローンで購入した場合にも、確定申告を行うと控除を受けることができます。
それが「住宅ローン控除」です。
かなり細かな規定や条件等ありますが、大雑把な目安で申し上げれば住宅ローン控除を申告すると約10年にわたってローン残高の約1%程度の税金の還付を受けることができます。
例えばある年度のローン残高が2千万であれば1%は約20万円となりますので、確定申告しなければ断然損と言って良いぐらい大きな税金の還付が受けられます。
尚住宅ローン控除において確定申告が必要なサラリーマンは住宅を購入した初年度だけで、次年度以降は年末調整を通じて控除を受けられますので確定申告の手続は不要となります。
確定申告し忘れた!しないとどうなる?
無申告加算税というペナルティーが課されることになります
もし自分が確定申告が必要な立場であることに気付けず、確定申告し忘れてしまった場合や、確定申告が面倒、あるいは嫌だという理由から意図的に行わなかった場合にはどうなるのでしょうか。
確定申告を行わなければ、うっかりであってもなくとも理由に関係なく「無申告加算税」という痛いペナルティが納税額に加算されることになります。
無申告加算税はいくらぐらい?
無申告加算税の計算は比較的簡単です。

例えばその年の課税額が計算しやすいよう、ちょうど100万円だったとします。
100万円の内50万円部分は15%ですので、7万5千円となります。
100万円は50万円を超えていますので残り50万円部分はその20%となりますから、10万円です。
従ってこの場合の無申告加算税は7万5千円と10万円を足した17万5千円となります。
仮に納税額が50万円でも7万5千円も余計に取られることになりますので、くれぐれも確定申告をし忘れた、あるいはしなかったとならないようにすべきです。
期限に間に合わなかったが確定申告した!救済措置はないの?
では確定申告をし忘れていることに気付き、法定申告期間に間に合わなかったが確定申告を行ったとしたらどうなるのでしょうか。
法定申告期間を過ぎても確定申告を行った場合は、一定の救済措置があります。
救済措置にはそのタイミングに応じて次の3種類の措置があります。
申告期限後1ヶ月以内に自主申告した場合
期限を超えてしまったが最終期限日から1ヶ月以内に自主申告した場合には、無申告加算税は免除されます。
ただし、無申告加算税が免除されるのは5年につき1回限りです。
毎年繰り返してしまうと、無申告加算税は免除されなくなってしまいます。
またわずか1日過ぎただけであっても期限後申告は納付期限後の申告・納税手続きとなってしまいますので、年7.3%を目安とした延滞税を免れることはできません。
従って通常の税金に加えて延滞税を加算した上での申告手続きとなります。
税務調査の事前通知を受ける前に自主申告した場合
期限を1ヶ月以上超えますと、時期は断定できませんが2~3ヶ月以内に税務署より税務調査を行う事前通知がなされます。
この通知を受取る「前」に自主申告した場合には、無申告加算税が一律5%になります。
ただし、こちらの場合も延滞税は勿論免れません。
税務調査の事前通知を受けとった後に自主申告した場合
税務署からの事前通知を受け取ってから確定申告を自主的に行った場合には、50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は15%の無申告加算税になります。
つまり無申告加算税が5%ずつ減額されることになる訳です。
しかし、こちらもやはり延滞税は免れません。
救済措置は一応あるが期限内申告が一番!
ご紹介したとおり、3つの段階で救済措置がありますがどの措置でも延滞税は免れませんので、期限内申告より損することは確実です。
こうしたペナルティを避けるためにも、確定申告の申告期限を正確に把握した上で、くれぐれも期限内に申告を済ませるよう心がけてください。
サラリーマンからフリーランスに転職!確定申告はどうする?
サラリーマンが他企業へ転職した場合には確定申告が必要な場合と不要な場合があることはご理解頂けたと思いますが、サラリーマンが退職し、かつフリーランスとなった場合には確定申告はどうなるのでしょうか。
年末調整を受けた後フリーランスになった場合は確定申告不要
フリーランスの方は給与所得者ではなく個人事業主となりますので、必ず確定申告が必要になります。
ただしサラリーマンからフリーランスへと転身した当該年度については、時期により確定申告が不要な場合があります。
年末調整を受けた年度末もしくは翌年1月以降に退職した場合
サラリーマンだった方が例えば2017年度の年末調整を受けた上で2017年の末日や翌年2018年の1月などに退職してフリーランスになった場合、2017年分の確定申告、即ち2018年の2月中旬から3月中旬が申告期間となる確定申告手続きは不要となります。
ただし、当然ながら2018年分についてはフリーランスという身分ですので確定申告が必要になることは言うまでもありません。
年度途中でフリーランスになった場合には売上がなくとも確定申告が必要
では年度途中でサラリーマンからフリーランスに転身した場合はどうなるかと言えば、この場合はフリーランスとなった後の収入が万一なかったとしても確定申告は必要になります。
なぜなら年度途中であれば年末調整を受けていない状況のため、サラリーマン時代の給与が申告対象となるからです。
また、フリーランスとしてサラリーマンを退職した年度に収入が発生したら、当然その収入も確定申告に含める必要があります。
サラリーマンからフリーランスに転身した年度の確定申告(白色)について
サラリーマンがフリーランスに転身した年度の確定申告方法について、ご紹介することにします。
尚、フリーランスの確定申告は青色申告と白色申告の二つに分かれます。

簡単にいえば青色申告は複式簿記による帳簿付けが必要なため申告が難しい上、事前に申請も必要など面倒な点が多いのですがその分税制で特別な優遇制度を受けられます。
一方、白色申告は帳簿付けが簡単な上事前申請も不要であり、確定申告も平易ですが税制上の得点はありません。
どちらが良いかですが、年度途中にフリーランスになった方の初年度の収入は限られるでしょうし、収入が低ければ税金に対する優遇措置の恩恵も対して得られなくなります。
従って、フリーランスへ転身した初年度に限れば帳簿付け作業の負担が少ない白色申告がオススメの申告方法となります。
そこでここでは白色申告とし、複雑にならないよう各種控除がない場合で確定申告方法のポイントをご紹介します。
確定申告の手順・ポイント
サラリーマンがフリーランスとなった場合の確定申告の手順は次のとおりです。
↓
②確定申告に必要な書類を全て揃える
↓
③確定申告期限までに確定申告書や収支内訳書を作成する
↓
④確定申告期間に必要書類や印鑑、確定申告書を持参の上、住所地を管轄する税務署を訪問し、確定申告を行う
サラリーマンが確定申告を行う場合の手順と特に異なる点は、主に①の帳簿付けと領収書集めなどが必要になる点です。
といっても帳簿付けはそれほど難しく考える必要はありません。
帳簿付けといっても収入と支出を明確にすれば良いだけですので、極論すれば家計簿を付けるようなものとして理解しておけば良いでしょう。
また、フリーランスとなったら必要経費が認められますので、仕事上で支出が生じた場合には必ず領収証を受け取ること、それを無くさず保管しておくことも大切です。
必要書類を準備する
サラリーマンからフリーランスになった場合、確定申告を行う場合に必要な書類は次のとおりです。
- 源泉徴収票、支払い調書
- 領収証
- 確定申告書B
- 収支内訳書
- 帳簿の記録
- マイナンバーカードなどマイナンバーわかる公的書類
ご覧のとおり、サラリーマンが申告する場合は確定申告書Aでしたが、フリーランスが白色申告を行う場合には法定書類として確定申告書Bと収支内訳書が必要になります。
両書類は次にご紹介しているページからダウンロードできます。
(確定申告書B)
⇒https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h29/02.pdf
(収支内訳書)
⇒https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h28/07.pdf
尚、参考まで収支内訳書の書き方は国税庁を次のページで詳しく紹介していますので、こちらを参考にしてください。
(収支内訳書の書き方)
⇒https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2013/pdf/30.pdf
確定申告書Bの書き方・ポイント
確定申告書Bも第一表、第二表がありますが、申告書Bについては第一表、第二表どちらから着手しても構いません。
ここでは第一表から主に左右に分けて説明します。また源泉徴収票のA、B、Cについては本記事の「確定申告書の書き方」でご紹介しているとおりとします。
第一表上部:申告者の住所や氏名
こちらは特に悩む点はないでしょう。
各見出しに従って申告者の住所や氏名、マイナンバー、生年月日、電話番号を書き込むだけです。
第一表左側「収入金額等」
第一表の左側上部にはグリーン色の「収入金額等」という欄があります。
こちらでサラリーマンからフリーランスになった場合に主に関わる項目は、◯囲みの記号で「ア」の「営業等」と「カ」の「給与」です。
「ア」の欄には収支内訳書の収入金額に書いた数値、即ちフリーランスとしての当該年度の累計売上額を記入します。
この欄では経費等を気にする必要はありません。
単純に年間の売上だけとシンプルに考えてください。
次に「カ」については当該年度に勤務していた会社から受け取った源泉徴収票の「A」の数値を記入します。
尚本事例では紹介しませんが、例えばアパート経営をしていて不動産収入があるといった場合には「不動産(ウ)」、株式を運用しており配当を受け取っているなら「配当(オ)」などに金額を書き込む必要があります。
第一表左側「所得金額」
左側「収入金額等」の下欄はグリーン色で「取得金額」という欄になります。
この欄で主にかかわるのは①「営業等」、⑥「給与」、⑨「合計」以上3つです。

①の「営業等」は
収入(累計売上)- 累計の必要経費全額
という引き算で求められた金額となります。
次に⑥の「給与」についてはすでにご紹介していますが、源泉徴収票の「A」に該当する数値を「kyuyo.net」というサイトのページを利用して「給与所得」に換算した数値を記入します(本記事「・第一表の書き方/左側「収入金額等」・「所得金額」を参考にしてください」)。
⇒http://kyuyo.net/keisan/syotoku_06_v2.htm
⑨は前出の①と⑥の数値を合算した数値を書き込めば良いだけです。
第一表左側「所得から差し引かれる金額」
グリーン欄の「所得金額」の下、第一表左側最後の欄が赤色の「所得から差し引かれる金額」です。
こちらで関係する項目は⑫の「社会保険料控除」、㉔の「基礎控除」、そして一番下㉕の合計です。
⑫については源泉徴収票の「C」にフリーランスとなってから支払った国民年金や国民保険健康料の合計額(国民年金控除証明書等を参考にします)を合算した値を記入します。
つまりサラリーマンからフリーランスになった方は、サラリーマン時代の社会保険料とフリーランス後の社会保険料の二つがありますので両方を足す必要がある訳です。
㉔の基礎控除も本記事で既に説明していますが、一律38万円ですので「380000」という数値を記入します。
両項目の記入が終わったら、⑫と㉔の合計額を㉕に記入します。
これで左側は終了です。
第一表右側「税金の種類」
続いて右側に目をやると紫色の欄として「税金の種類」があります。
まず埋める必要があるのが欄内一番上の㉖「課税される所得金額」です。
こちらは左側に記載した数値で⑨から㉕の数値を引いた金額を記載します。
次にその下㉗の「上の㉖に対する税額」は「kyuyo.net」の「所得税の計算」ページを利用して求めると便利です(本記事の参照「第一表の書き方/右側「税金の計算」」を参照してください)。
⇒http://kyuyo.net/keisan/syotokuzei_15.htm
ご紹介しているkyuyo.netのページに㉖の数値を入力して導き出された数値を㉗へ記入します。
今度は飛んで㊳の「差引所得税額」です。
こちらは㉗と同じ金額を書けば良いだけです。
次は㊵の「再差引所得税額」ですが、こちらも㉝と同じ数値を書き込みます。
その下㊶の「復興特別所得税額」は㊵の数値に2.1%をかけた数値で1円未満の端数が生じた場合には切り捨てた数値を記入します。
更に続いて今度は㊷となりますが「所得税及び復興特別所得税の額」は㊵と㊶を足した値を書き込んでください。
一つ飛んで次は㊹の「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」です。
こちらには退職した会社から受け取った源泉徴収票に書かれている源泉徴収額やフリーランスとなった後に取引きを行った会社から送られてくる「支払い調書」に書かれている源泉徴収額を合計した金額を書き込みます。
その下㊺の「所得税及び復興特別所得税の申告納税額」も記入が必要項目となります。
と言っても㊺は簡単な引き算を行うだけです。
具体的には「㊷ − ㊸ − ㊹」という計算を行ってください。
次に㊼の「所得税及び復興特別所得税の第3期分の税額」ですが、こちらも簡単な引き算を行えば良いだけです。
「㊺ − ㊻」という計算を行い、その値を記入して下さい。
ただしこの引き算を行った結果、マイナスになった場合には未記入で大丈夫です。
いよいよ「税金の計算」最後の項目となりますが、㊽「還付される税金」ですが「㊺ − ㊻」の計算を行った結果、マイナスとなった場合にはその金額をこちらに書きます。
例えばマイナスで5万円となったら「50000」と書けば良く、「-」等を記入する必要はありません。
第一表右側「その他」・「延納の届出」
ピンク色の「その他」は白色申告で且つ配偶者がいない場合や家族従業員がいない場合、雑所得、臨時所得など該当する事項がなければ、ブランクとなります。
またライトグリーン色の「延納の届出」とは文字どおり納税額を延納したい場合ですので、延納しなければこちらも未記入となります。
第一表右側「還付される税金の受取場所」
こちらは本記事「第一表の書き方/右側一番下「還付される税金の受取場所」」と同じということになります。
以上で第一表は終了です。
第二表左側「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」
次は第二表左側です。
まず第二表の右側最上部は住所や氏名、フリーランスとして屋号を決めている場合には屋号を書けば良いだけですので、第二表の右側、上から二番目の欄にあたる「所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)」から説明します。
こちらはサラリーマン時代の源泉徴収票にもとづいた記載方法は、本記事「第二表の書き方/左側編」で説明しているとおりですので、詳しくはこちらを参照してください。
源泉徴収票のAとBの数値を「収入金額」と「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」のそれぞれの欄へ正確に記入することがポイントです。
これと同じ要領で支払い調書を受け取った企業名、売上(収入金額)、源泉徴収額を書き込み、全て記入したら第一表の㊹と同じ金額を同欄一番下の合計額に記入します。
尚、第二表左側下の「雑所得(公的年金等以外)、総合課税の配当所得・譲渡所得、一時所得に関する事項」と「特例適用条文等」は特に該当する事項がなければ未記入で結構です。
第二表右側「所得から差し引かれる金額に関する事項」
確定申告書Bの第二表は申告書Aと異なり、下部は左右に分かれていませんので、先に左側の欄「所得から差し引かれる金額に関する事項」から説明することにします。
こちらの項目で関係する項目は「社会保険料控除」です。
こちらには社会保険の種類とそれぞれ支払った金額、その合計額を記入します。
サラリーマンからフリーランスとなった場合には源泉徴収票に記載されている社会保険料額「C」と、フリーランスとなってから支払った国民年金、国民健康保険の3つとそれぞれの金額が対象になってきます。
第二表下部「事業専従者に関する事項」
こちらはフリーランスになってから、自分の家族を従業員として雇用していなければ特に記入の必要はありません。
第二表最下部「住民税・事業税に関する事項」
第二表最後の項目が二表の最下部欄となる「住民税・事業税に関する事項」です。
まず同欄内の紫色見出しである「住民税」ですが、こちらも16歳未満の扶養家族がいる場合や、株式の配当割額控除額などが生じた場合など、該当する事項がなければ特に記入する必要はありません。
次に黄色の欄「事業税」では当該年度にフリーランスとして事業をスタートさせた場合ですから、「前年中の開(廃)業」の項目で開業の方に◯をして、スタートした年月日を記入します。
尚、黄色の「事業税」の更に下にも欄がありますが、白色申告で尚且つ別居している配偶者がいなければ特に記入する必要はありません。
これで確定申告書Bの第一表、第二表の作成とも完了となります。
後は期限内に必要書類をもって確定申告を行うだけです。
転職もふるさと納税もした人の確定申告は?
転職してもワンストップ特例制度利用であれば原則申告不要
ふるさと納税を行った年度中に転職した場合、確定申告する必要があるかどうかですが、一定の条件を満たしている方は確定申告は不要です。
ではどのような条件かと言えば
- 給料以外に確定申告しなければならないような副収入はない
(各種控除の申告は任意ですのでこの場合には含めません) - 当該年度の年末調整をちゃんと受けている
- 当該年度およびその翌年の1月1日時点で引っ越しをしていない
- ワンストップ特例制度(要は確定申告を免除するための申請制度)をふるさと納税した各自治体へ申請している
以上4つの条件ですが、例外があります。
この中で「当該年度およびその翌年の1月1日時点で引っ越しをしていない」というのがありますが、ふるさと納税で控除される税金は主に住民税です。
住民税は毎年1月1日時点での住居地で納税先が決まりますので、ふるさと納税を行った年とその翌年1月1日時点での住居地が異なれば、ワンストップ特例制度が適応されなくなります。
ただし、スケジュールとしては翌年の1月10日まで必着というかなり厳しい条件ですが、
ワンストップ特例の変更届をふるさと納税を行った各自治体へ提出すれば控除を受けることはできます。
また、ワンストップ特例は無限に利用できる制度ではありません。
ふるさと納税を行える自治体数は最大5つまでと決められています。
5つを超えてふるさと納税を行ったら、ワンストップ特例利用者でも確定申告を行う必要があるということです。
ふるさと納税したサラリーマンの確定申告の手順・ポイント
ではふるさと納税した場合の確定申告の方法についてご紹介しましょう。
尚、こちらでの説明も重複した内容を避けるため、本記事の「確定申告書の書き方」で説明している内容を前提にさせて頂きます。
またここでも書き方が複雑にならないよう、転職したが年末調整を受けた独身サラリーマンがふるさと納税の確定申告を行う場合と致します。
確定申告の流れ
転職しふるさと納税を行った結果、確定申告が必要な場合でも、手順のポイントは大きく変わりません。
↓
②確定申告期間前までに確定申告書を作成する
↓
③確定申告期間に必要書類や印鑑、確定申告書を持参の上、住所地を管轄する税務署を訪問し、確定申告を行う
という基本的な流れは同じですが、必要な書類が若干異なってきます。
確定申告に必要な書類
主に必要な書類は
- 寄付受領証明書
- 源泉徴収票
- 確定申告書B
以上の3点です。
以上の3点で寄付受領証明書とはふるさと納税を行った自治体側が発行してくれる証明書で、例えばふるさと納税を行った自治体数が3ヶ所なら3ヶ所すべての寄付受領証明書が必要になります。
確定申告書Bの記入方法
確定申告書Bの記入方法ですが、転職しても年末調整を転職先などでちゃんと受けた方ならとても簡単です。
第二表の書き方
確定申告書Bは第二表の方から書いた方が便利なので、ここでも第二表から書き方を説明します。
と言っても、第二表で記入する必要があるのは左上部の申告者の住所や氏名と、右側最下部(「特例適用条文等」は除きます)にある⑯の「寄附金控除」だけなのです。
⑯の小見出しである「寄附先の所在地名称」は欄が小さいですが、ふるさと納税を行った全自治体名を書く必要があります。
ただし、自治体の役所所在地を全て書き込む必要はなく県名と市名(もしくは町村名)だけでOKです。

例えば大阪府と東大阪市にふるさと納税を行ったとしたら
- 大阪府
- 大阪府東大阪市
という表記になります。
次にその右横の「寄附金」の欄はふるさと納税した金額の”合計額”を記入します。
これだけで第二表は終わりです。
第一表の書き方
次に第一表です。
第一表も上部の住所や氏名、マイナンバーなどを記入する以外は左側赤色欄の「所得から差し引かれる金額」の⑯、「寄附金控除」だけです。
ただし注意しなければならないことは、第二表の⑯とは同じ金額ではないということです。
第一表の⑯には第二表に書き込んだ寄附金の合計額から2千円を差し引いた金額を記入する必要があります。
2千円は要は自治体の手数料のようなもので、2千円についてはふるさと納税額に関係なく、一律的に引かれる金額です。
例えばふるさと納税額の合計額が20万円なら第一表の⑲に書き込む数値は「188000」となります。
これで第一表も終了です。
後は確定申告期間が到来したら、確定申告書や証明書、印鑑などを持参して税務署を訪問し、申告するだけとなります。
こちらの記事も読まれています