工場を辞めて転職したい・・・と「考える」方は決して少なくありません。

しかし転職を考えたものの、新しい職場へ飛び込んで一から仕事を覚えることに不安を感じてしまい、なかなか転職に踏み切れないでいる方や転職をあきらめてしまう方が多いのも事実です。

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そこでこの記事では転職をすすめるというより、転職せずに工場勤務を継続した場合にどんなリスクが生じるかについて紹介することにします。

工場勤務者としてそのまま働き続けた場合にどのようなリスクが先々生じるかは、転職するにせよしないにせよ、工場勤務者の方々なら真正面から向き合って考えておく必要がある大切なテーマです。

転職を具体的に考えている方は勿論、転職すべきかどうか迷っているという工場勤務者の方々にとっても必見の記事ですので、ぜひ参考にしてください。

リスクその1:収入が景気や売れ行きなどに左右されやすい

工場とは企業の生産拠点であることから、会社の本体以上に景気や商品の売れ行きの影響を大変受けやすいという宿命を抱えています。製造している製品が爆発的に売れれば全ラインがフル稼働で残業続きとなり、工場勤務者の方は残業代でふところがうるおうことになります。

が、その逆で製品が売れなくなれば生産量を調整する目的で稼働させるライン数を減らしたり、工場稼働時間を減らしたりする必要が生じます。そうなれば残業代で稼ぐこともできなくなります。それでも生産量が過剰となってしまえば工場の稼働日数自体を減らすことになり、状況次第では基本給や手当を含めて賃金がカットされる場合もあります。

しかもこうした状況は中小、零細の工場に限られた話ではありません。大企業であってもこうした状況に直面する場合があります。一般的に大企業勤務者は収入が安定している立場として見られますが、工場勤務者に限ればそれが当てはまらないということです。

つまり工場勤務者は仮に会社が倒産しなかったとしても、景気や商品の売れ行き次第で収入が左右されやすく、大企業であっても実はそれほど収入が安定していると言えない職業なのです。

リスクその2:閉鎖によるリストラ不安が常につきまとう

生産調整だけでも対応しきれなくなった場合、工場は「閉鎖」となります。

かつて液晶テレビのブランド名ともなっていたのがシャープの亀山工場ですが、亀山工場の閉鎖が象徴しているとおり、大手企業であっても、会社本体が倒産しなかったとしても、工場には「閉鎖」というリスクがつきまとっているのです。

閉鎖となれば工場勤務者全員がリストラされることもあり得ます。仮にリストラを免れたとしても勤務先の工場がなくなる訳ですから、配置転換は免れません。その結果、自宅からの通勤が困難となってしまえば慣れ親しんだ住まいを引っ越すか、配置転換をあきらめて退職するかのどちらかを選ぶ覚悟を迫られることになります。

つまり工場勤めの方は会社本体が倒産しなかったとしても、景気などの状況次第でリストラに遭いやすく、またリストラを免れても通勤困難となって退職せざるを得なくなるリスクがホワイトカラーの社員より高いのです。

リスクその3:ポストが限られており、出世しにくい

工場勤務者の昇進は様々な部署や職務を経験する総合職と異なり、自分が勤める工場内のポストに原則限られます。工場内での管理職と言えば工場長をトップとして、仮に3本のラインがあったならそれぞれのライン長、大きな規模の工場であれば更に各製造工程におけるリーダーぐらいしかありません。

東京ドームいくつ分もの敷地がある巨大工場であればもう少し役職も増えるかも知れませんが、そうした巨大工場は勤務している従業員数も大変多いため、役職を得られる人はやはり一握りとなってしまいます。

そのため、勤務し続けたとしても出世を通じて自分の収入を向上させるキャリアアップの機会が大変限られるのです。

リスクその4:休日を楽しみにくくなってゆく

工場勤務は建設現場ほどハードではないかも知れませんが、基本的には肉体労働であり、体力勝負となります。若く、体力が充実している年代であれば週二日の休日もエンジョイできるかも知れませんが、年齢とともに体力の回復力自体も衰えてきます。

その結果、休日は疲れをとるのがやっととなり、せっかくの休日にスポーツしたり、行楽地に出掛けたりして楽しむことができなくなってくる可能性が高まってゆきます。

つまり、年齢を重ねるごとにただ働いて休日はもっぱらその疲れをとるだけの生活に陥りやすく、長く働ければ働くほど人生を楽しみにくくなってしまいやすいということです。

リスクその5:人生の目標を見出しにくくなることでうつ病となる場合がある

工場での作業は基本的に同じ作業の繰り返しです。同じ作業を繰り返すだけで給料をもらえるのは「楽だ」という見方もできますが、その反面、人生の目標や仕事に対するやり甲斐を見失いやすくなるというデメリットがあります。

当初は対人関係や仕事上の課題解決に悩まされることがない点を快適に感じていた方でも、時が経るにつれて「この先も自分はずっと同じ作業を繰り返し行なって人生を終えるのか」という疑問や悩みが生まれ、それが原因でうつ病になってしまう方も実際にいるのです。

仮にうつ病にならなかったとしても、同じ作業の繰り返しに人生の目標や自分の存在意義を見出すことができなくなり、最初は「ラクで楽しい」はずだった工場での仕事が次第に苦痛となり、ベテランと呼ばれる年齢の方でも仕事を続けられなくなってしまう方も少なからずいます。

もっとも工場に勤め始めてすぐにそうした悩みや苦痛に直面した場合なら、転職のチャンスは十分あります。

ところがそうした悩みや苦痛は、人にもよりますがベテランと呼ばれる40代、50代ぐらいになってから突如おそってくる場合が統計的に高まっているのです。そうした年代で悩みや苦痛に直面してしまえば、転職によって人生の軌道修正を行うチャンス自体も少なくなってしまいます。

リスクその6:工場特有の環境で難聴や頭痛持ちになる場合がある

工場の環境によっては激しい金属音が響き続けていたり、化学薬品等による特有の臭いが絶えずたち込めていたりする場合などがあります。あるいは外部の温度とは異なる冷気や熱風、あるいは高い湿度などに常時さらされている場合もあります。

そうした日常生活では経験しない特異な環境で仕事をし続けていると、ごく短期間の勤務で体調に変調をきたすようなことはなくとも、例えば徐々に難聴になったり、頭痛に悩まされたりするようになる可能性があります。

仮に工場の環境が一般的な職場とそれほど変わらなかったとしても、同じ作業を短時間で何度も繰り返すような作業を続けていれば例えば手足の関節などが常時痛むようになる等、職業病を発症する可能性が高まります。

リスクその7:昼夜シフト勤務が体調不良を招いたり最悪寿命を縮めたりする

職場環境に爆音も異臭もなく、空調も快適であったとしても、昼夜交代のシフト制で働いている方、いわゆるシフトワーカーには体に大変な負荷がかかっていることをご存知でしょうか。

人間は睡眠と覚醒を一定のリズムを規則正しく繰り返すことが大切であり、このリズムが崩れると体内時計が狂い、睡眠障害などの体調不良を招く大きな原因になってしまいます。若い頃はそれでも体力で乗り切って特に不調が生じないという方もいます。

が、加齢と共に体に蓄積されるダメージに耐えられなくなり大病へとつながったり、最悪寿命を縮める原因となったりしたと見られるケースが実際に起こっています。交代シフトによる継続勤務は、健康面で決して軽視できない大きなデメリットなのです。

リスクその8:年齢と共に病気やケガ、最悪命を落とすことにも見舞われやすくなる

人間は年齢とともに体力が衰えてゆきます。しかし工場の作業は年齢とともに易化したり、楽になったりするものではありません。同じ作業を続けていれば、足腰などに与えるダメージも年齢とともに高まると考える必要があります。

その結果、デスクワーカー以上に高齢化と共に病気や足腰の痛みに見舞われる可能性が高まることになってしまいます。また、人間は年齢とともに視力や注意力も衰えてきます。

工場という職場には一般オフィスにはない危険物がたくさんあります。通常に使用していてればそれほど危険ではなくとも、視力や注意力の低下した状態ならそれらが体を傷つけたり、最悪命を奪ったりする凶器と化してしまうこともあるのです。

リスクその9:病気やケガに見舞われた場合に仕事を継続しにくい

工場勤務の構造的なデメリットと言っても良いのが肉体労働であるために病気や大怪我に見舞われた場合、職場復帰しにくかったり、最悪、職場復職できなくなってしまうリスクがデスクワーカーより高いということです。

デスクワークの方なら仮に病気で入院したとしても、入院先にパソコンを持ち込んで仕事を行う「リモートワーク(遠隔地での業務)」という方法で仕事を継続できる場合もあります。

ところが工場勤務の方は、軽いケガや病気であっても入院したら入院先で仕事を行うことはまずできません。

つまり入院=強制的に休日をとらざるを得なくなります。

また片足を骨折したといった場合でも、デスクワーカーの方なら出勤さえできれば何とか仕事は続けられます。しかし立ち仕事での工場勤務者なら、足以外に健康上何ら問題なくとも業務復帰はかなり困難になってしまいます。

もっとも、職場復帰できず休日となったとしても有給休暇が残っていれば給与が削られる心配だけはありません。ところが治療の長期化などで有給休暇がなくなってしまうと、職場復帰できないことは給与が削られることを意味します。

その結果、リストラに合わなくとも生活が困窮するおそれが生じます。

リスクその10:長期勤務してもキャリア形成にプラスになりにくい

伝統工芸品の職人などであれば、長く仕事を続けることで腕を磨けば自治体から「マイスター(名匠)」として認定されるなどキャリア形成にプラスになることがあります。

工場勤務でも特定の業種や職種についてはそうしたマイスター制度が適用される場合もありますが、そうした職種は限られています。

工場における大半の作業は、長期間継続しても自分のキャリア形成においてプラスに作用してくれるケースは限られています。

リスクその11:転職で潰しが利く汎用的なスキルや経験が身に付けにくい

工場での作業は工場に施設されている特有の機器や道具、あるいは製造品や製造工程などによって実施する作業が自ずと決まってきます。

工場によっては作業を一定期間ずつローテーションを実施し、従業員が複数の作業を経験できる仕組みが整っている場合もありますが、そのような職場は限られています。多くの工場では持ち場が変わリ続けるということはありませんので、それほど多様な経験を積むこともできません。

その結果、例えば自動車工場勤務者であれば他の自動車工場への転職は可能であっても他業種の工場となると、工場勤務が長くとも仕事内容次第では「未経験者」として評価されることすらあり得ます。

つまり転職で潰しが利くような汎用的なスキル、あるいは経験などを身に付けにくい点も工場勤務者のデメリットであり、リスクとなります。

リスクその12:コミュニケーション能力が低下する

対人関係で苦労したくない、コミュニケーションが苦手といった理由から工場勤務を選んだという方は多いと思われます。

工場での仕事はラインが稼働している間は作業の連続で、仕事以外のことで他者と話す機会はほとんどないでしょう。それどころか、工場によっては業務時間中の私語を厳禁としているケースすらあります。こうした職場環境は対人関係で悩みたくない、性格的に他者とのコミュニケーションを苦手としている方にとっては快適かも知れません。

しかし、コミュニケーションスキルはビジネス上無くてはならない必須の基本能力です。そのコミュニケーションスキルを磨く機会が大変少ない、限られてしまう環境にずっと居続ければコミュニケーションスキルの低下をますます招くことになります。

そうなればリストラ等で他の仕事へ転職しなければならなくなった場合、大変苦労することになってしまいます。

リスクその13:かえって対人関係が原因で退職しなければならなくなることがある

工場で働くメリットとして対人関係で苦労しなく済むということがよくあげられますが、実は工場だからこそ一般オフィス以上に対人関係で苦労したり、苦しんだりすることもあるのです。

工場勤務者は管理職などを除くと配置転換や転勤がありません。その結果、人間関係が特定の上司や先輩、同僚、後輩に限られてしまいやすくなります。

限られた関係者と良好な関係が続いていれば対人関係で悩むことはありませんが、人間関係が限られているだけに一旦何かで関係にトラブルが生じた場合には修復しにくくなります

そのため、配置転換や異動が頻繁に行われている総合職の社員より職場に居づらくなり、人間関係がもとで退職に追い込まれる可能性も意外に高いのです。

リスクその14:ベテラン社員は新入り社員の指導係を任されやすい

対人関係を苦手にしている方にとって想像以上に苦痛が伴うのが、新入り社員の指導係を命じられることです。指導係を命じられる可能性が高いのは工場勤務が長いベテラン社員ですので、勤務が長くなれば長くなるほどその可能性が高まることになります。

新入り社員が中途採用で年代が同じであったとしても、指導係として知らない人物と一から人間関係や信頼関係を築くのには相当なプレッシャーやストレスが生じます。まして年代が異なれば、コミュニケーションのきっかけや話題探しにも更に苦労することになります。

また、自分がそうであるように新入りの社員もコミュニケーションを苦手としたり、対人関係での苦労を敬遠できたりするという理由から工場を職場として選んだ場合が多いため、余計にコミュニケーションが取りにくい可能性が高いのです。

しかも、指導係となれば、新入りが仕事をちゃんと覚えたかの結果責任も問われることになります。相手が嫌がっても、コミュニケーションをとることに背を向けることはできないのです。

men指指しノーマル

ベテランと呼ばれる年代まで工場で働き続ければ、こうした苦労を背負うリスクも高まるということです。