


介護職が転職先を探すとき、いちばん身近な情報源が求人票です。ただ、正しい見方や手当の確認のしかたを知らないまま応募して、入職後に「思っていたのと違う」と後悔する人も少なくありません。
この記事では、介護職が求人票で必ず見るべきポイント、求人票からホワイト施設を見分けるコツ、面接で確認したいことを解説します。
【この記事で分かること】
- 介護職の求人票の見方
- 求人票の休日の表記の違い
- ホワイト施設の見分け方
- 面接で確認したいこと
結論:月給だけでなく「手当の内訳」「休日」「残業」「夜勤」をセットで見る
先に結論をお伝えします。
- 給与は基本給と手当を分けて確認し、賞与を含めた年収で比べる
- 休日は「年間休日◯日」の表記で比べるのがわかりやすい
- 固定残業代がある場合は、時間数と金額、超えた分の支払いを確認する
- 夜勤の回数や体制、腰痛予防の機器の導入など、体への負担にかかわる情報も大切
- 求人票だけではわからないことは、面接や施設見学で必ず確認する
介護職が求人票で必ず見るべきポイント
給与の金額
転職でいちばん気になるのは、やはり給与でしょう。給与の土台になるのは基本給です。手当の確認の前に、まずは基本給の金額を確かめてください。
基本給は、賞与や退職金の計算のもとになることが多いため、基本給が高いほど、年収全体も高くなりやすいという特徴があります。
求人票の給与は、月給か時給で書かれているのが一般的です。夜勤専従のスタッフなどでは、日給(夜勤1回あたりの金額)で書かれることもあります。
| 表記の例 | 確認したいこと |
|---|---|
| 月給22万円〜28万円 | どの資格・経験なら上限に近いのか |
| 月給25万円(手当含む) | 基本給はいくらで、どの手当が含まれているか |
| 時給1,300円〜 | 資格や夜勤によって時給が上がるか |
| 夜勤1回 25,000円 | 夜勤の時間帯と、休憩・仮眠の時間 |
※金額は表記のイメージをつかむための例です。
給与以外の各種手当
介護職の手当には、夜勤手当、資格手当、処遇改善に関する手当、住宅手当、家族手当などがあります。どの手当が、いくら支給されるかは施設によって違います。
| 手当 | 確認したいこと |
|---|---|
| 夜勤手当 | 1回あたりの金額と、月の夜勤の回数 |
| 資格手当 | 介護福祉士や実務者研修などの資格ごとの金額 |
| 処遇改善に関する手当 | 毎月の給与で支給されるか、一時金でまとめて支給されるか |
| 住宅手当・家族手当 | 支給の条件(世帯主かどうか、扶養の人数など) |
| 通勤手当 | 上限の金額、車通勤の場合の計算方法 |
自分がもらえる手当を確かめ、基本給に上乗せすると月収がいくらになるかを計算してみましょう。
賞与(ボーナス)の有無
賞与の有無で、年収は大きく変わります。求人票では「賞与あり」「年2回」「基本給の◯か月分」などの形で書かれています。
賞与がある分、月給を低めにしている施設もあれば、賞与がない分、月給を高めにしている施設もあります。月給・手当・賞与を合わせた年収で比べるのがポイントです。
「賞与あり」と書かれていても、業績によって支給されない年がある場合もあります。面接では、前年の支給実績を確認しておくと安心です。
時間外労働(残業)
残業の多さは、家庭の時間や自分の時間に大きく影響します。求人票では、「あり」「なし」「月平均◯時間」などの形で書かれています。
ただし、「なし」と書かれていても、忙しい時期や人手が足りないときは残業が発生することもあります。求人票の残業時間は目安と考え、面接で実態を確認しましょう。
固定残業代(みなし残業)に注意
固定残業代とは、一定の時間分の残業代を、あらかじめ給与に含めて支払う仕組みです。固定残業代を取り入れる場合、会社は求人票などで次の3点を明示することが求められています。
- 固定残業代を除いた基本給の金額
- 固定残業代に含まれる残業の時間数と金額
- 決められた時間を超えた残業には、追加で残業代を支払うこと
固定残業代の時間を超えて働いた分は、必ず追加で支払われなければなりません。超えた分を払わないのは違法です。給与の金額が高く見えても、固定残業代が多く含まれていないか確認しましょう。
社会保険の有無
病気やけが、老後の生活、失業などに備えるため、社会保険への加入も大切です。
| 保険 | 役割 |
|---|---|
| 健康保険 | 病気やけがの治療費の負担を軽くする |
| 介護保険 | 40歳以上が加入し、介護が必要になったときに備える |
| 厚生年金保険 | 老後の年金や、障害・遺族の年金に備える |
| 雇用保険 | 失業したときの給付や、育児休業の給付などを受けられる |
| 労災保険 | 仕事中や通勤中のけがや病気に備える |
正社員として働く場合は、これらの保険に加入するのが基本です。パートで働く場合も、労働時間などの条件を満たせば加入の対象になります。
休日の表記
気持ちのリフレッシュや家族との時間のためには、休みをしっかり取ることが大切です。求人票の休日の表記には、次のような違いがあります。
| 表記 | 内容 |
|---|---|
| 完全週休二日制 | 毎週必ず2日の休みがある。ただし土日とは限らない |
| 週休二日制 | 1か月の中で、週2日の休みがある週が1回以上ある。毎週2日休めるとは限らない |
| 4週8休 | 4週間(28日)で8日の休みがある。週によって休みの日数に偏りが出ることもある |
| 月8〜10日 | 1か月に8〜10日の休みがある。毎週2日休めるとは限らない |
| 年間休日◯日 | 1年間の休日の合計。夏季休暇や年末年始休暇を含むことが多い |
休日の多さを重視するなら、年間休日の日数が書かれている求人どうしで比べるとわかりやすいでしょう。
年間休日が120日以上あれば、休みが多い職場といえます。夏季休暇や年末年始休暇、リフレッシュ休暇などがあり、基本給にも不満がなければ、かなりの狙い目です。

夜勤の回数と体制
介護施設で夜勤のある働き方をする場合は、次の点を確認しましょう。
- 夜勤の形(16時間前後の2交代制か、8時間前後の3交代制か)
- 月の夜勤の回数の目安
- 夜勤の人数(1フロアに何人か、1人で何人の利用者を見るか)
- 休憩・仮眠の時間がとれるか
夜勤の回数が多いほど手当で収入は増えますが、体への負担も大きくなります。
福利厚生の内容
福利厚生も、転職先を決めるポイントになります。介護職の求人では、職員寮や住宅補助、託児所、食事の補助、制服の貸与、資格取得の支援などがあります。

仕事の内容と変更の範囲
2024年4月から、求人票などで就業場所と仕事の内容について「変更の範囲」を明示することが義務になりました。入職後に別の施設や事業所へ異動する可能性があるかどうか、確認しておきましょう。
求人票から見るホワイト介護施設の見分け方
固定残業代がない、または内容がはっきりしている
固定残業代がある場合は、時間数と金額、超えた分の支払いがきちんと書かれているかを確認しましょう。内容があいまいな求人は、面接で必ず確かめてください。
月の残業時間がゼロに近い
残業が多いと疲れがたまり、体調をくずしやすくなります。残業がまったくない職場は少ないものの、月の平均の残業時間が短く書かれている職場は、仕事の進め方が整っている可能性があります。
リフトなどの機器の導入が書かれている
利用者を移乗させるときの電動リフトやスライディングボードなどの福祉用具は、介護職の腰痛の予防に役立ちます。厚生労働省の腰痛予防の指針でも、介護作業では、人の力だけで抱え上げることを原則として避け、福祉用具を活用することが求められています。
こうした機器の導入を求人票に書いている施設は、職員の体を守ることに積極的な施設と考えられます。見守りセンサーや記録用のタブレットなど、ICTの導入が書かれている施設も、職員の負担を減らす工夫に取り組んでいるといえるでしょう。
福利厚生が充実している
福利厚生は、職員の生活の負担を減らすものです。小さな子どもを育てながら働く人にとっては、託児所の有無はとても大切なポイントになるでしょう。
有給休暇の取得率を書いている
2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇がある人には、年5日の取得が会社の義務になっています。そのうえで、有給休暇の取得率や平均取得日数を求人票に書いている施設は、休みやすい職場づくりに自信がある可能性が高いでしょう。
資格取得の支援がある
初任者研修や実務者研修、介護福祉士の受験対策などの費用を補助してくれる施設は、職員の成長を大切にしている職場といえます。
求人票だけでは分からないこと
求人票はあくまで施設が書いた情報です。次のようなことは、求人票だけではわかりません。
| わからないこと | 確認の方法 |
|---|---|
| 職場の人間関係 | 施設見学で職員どうしの声かけや表情を見る |
| 実際の残業時間 | 面接で「先月の平均の残業時間」を聞く |
| 職員の入れ替わり | 面接で「勤続年数の長い職員が多いか」を聞く |
| ケアの方針 | 見学で利用者への接し方や、施設の雰囲気を見る |
| 有給休暇の取りやすさ | 面接で「希望休はどのくらい通るか」を聞く |
介護の職場を辞める理由で多いのは、職場の人間関係です。令和5年度の介護労働実態調査では、前の職場を辞めた理由の1位が「職場の人間関係に問題があったため」(34.3%)でした。施設見学で職場の雰囲気を確かめることは、ミスマッチを防ぐうえでとても大切です。
面接で確認したい質問の例
・「夜勤は月に何回くらいで、1回の夜勤は何人体制ですか?」
・「処遇改善に関する手当は、毎月の給与と一時金のどちらで支給されますか?」
・「昨年の賞与は、基本給の何か月分でしたか?」
・「有給休暇や希望休は、どのくらい取りやすいですか?」
・「移乗のときに使っている福祉用具はありますか?」
架空のケース:求人票の休日表記で失敗しかけたRさん
※以下は架空の例です。
介護職のRさん(架空)は、「週休二日制」と書かれた求人を見て、毎週2日休めると思いこんで応募しようとしていました。面接の前に表記の意味を調べたところ、毎週2日休めるとは限らないことに気づき、面接で年間休日を質問。
年間休日は105日で、もう一つの候補の施設(年間休日120日)と比べて検討した結果、給与は少し下がるものの休みの多い施設を選びました。今は家族との時間も取れて、無理なく働けています。
介護職の求人票に関するよくある質問
Q.「処遇改善手当」が求人票に書かれていない場合は?
処遇改善に関する手当は、毎月の給与に含めて支払う施設もあれば、賞与や一時金としてまとめて支払う施設もあります。求人票に書かれていない場合は、面接で「処遇改善の分はどのように支給されますか」と確認しましょう。
Q.給与の幅が大きい求人は、どう見ればいいですか?
「月給22万円〜30万円」のように幅がある場合、下限に近い金額でスタートすることも少なくありません。自分の資格や経験だと、どのくらいの金額になりそうかを面接で聞いておくと、入職後のギャップを防げます。
Q.ハローワークの求人と転職サイトの求人で、見るべき点は違いますか?
見るべきポイントは同じです。ただし、転職サイトや転職エージェントの求人では、担当者が施設の雰囲気や離職の状況などを教えてくれることもあります。複数の方法で情報を集めると、より正確に判断できます。
Q.「未経験歓迎」の求人は大丈夫ですか?
未経験の人を受け入れる体制が整っている施設も多くあります。入職後の研修の内容や、先輩が付き添って教えてくれる期間があるかを確認しましょう。
介護職の求人票まとめ
介護職が転職するとき、求人票は大切な情報源です。給与や手当、賞与、残業、社会保険、休日、夜勤などのポイントを一つずつ確認しましょう。
求人票だけではわからないことも多いので、面接や施設見学で気になる点を確かめ、自分の力を存分に発揮できるホワイトな施設を見つけてください。気になる求人が複数あるときは、この記事のポイントを表にまとめて比べると、自分に合った施設が選びやすくなります。